著者
平井 利枝 矢吹 信喜 福田 知弘 道川 隆士
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_34-I_41, 2014
被引用文献数
1

犯罪不安は生活の質(QOL)に大きく影響を与えるため犯罪予防は重要な課題である.犯罪予防の手法の一つである防犯環境設計(CPTED)は,特に都市部で多い機会犯罪の予防に効果的だとされているが,これに近年発展が進む無線センサネットワークを利用することを考えた.本研究ではセンサノードにArduinoと通信モジュールを用いることで安価に無線センサネットワークを構築し,屋外でも使用可能なデバイスの設計とシステムの検討を目的とした.検証実験では実際に屋外にデバイスを設置し,正常にシステムが作動することを確認した.
著者
中村 英代
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.498-515, 2015

<p>本稿の目的は, 薬物依存からの回復支援施設であるダルク (Drug Addict Rehabilitation Center : DARC) では, 何が目指され, 何が行われているのかを考察することにある.</p><p>薬物問題の歴史は古く, 国内外で社会問題として存在し続けている. 薬物依存に対する介入/支援の代表的なものには, 専門家主導による司法モデルと医学モデルとがあるが, そのどちらのアプローチでもなく, 薬物依存症者自身が主導している介入/支援がある. それが本稿で考察するダルクだ. ダルクは, 薬物依存の当事者が1985年に創立して以来, 薬物依存者同士の共同生活を通して薬物依存者たちの回復を支援してきた. 薬物依存の当事者が運営している点, 12ステップ・プログラムを中心に据えている点, 日本独自に展開した施設である点にダルクの特徴がある.</p><p>本稿では, 2011年4月以降, 首都圏に立地する2つのダルクを中心にフィールドワークとインタビュー (31名) を行ってきた. 調査の結果, ダルクとは, 我々が暮らす現代社会の原理とは異なる原理に基づいて営まれている共同体であることが明らかになった. 具体的には, 人類学者のG.ベイトソンの議論を補助線として, ダルクとは「ひとつの変数 (金, 人望, 権力など) の最大化」を抑制する共同体であることを, 結論として提示する.</p>
著者
水津 嘉克 佐藤 恵
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.534-551, 2015

<p>「犯罪被害者遺族」「自死遺族」が現代の社会において直面せざるをえない困難性について, 論じることが本稿の課題である. 一見まったく異なった存在であると認識されている両者が直面せざるをえない, しかし他の遺族とは異なる「生きづらさ」とはどのようなものなのか. まずは素朴に彼らがどのような存在なのかを数的データで確認する. 数値が示す内容とは裏腹に, そうした犯罪や自死によって生み出される「犯罪被害者遺族」「自死遺族」の存在についてわれわれはあまりに知らない. このように「犯罪被害者遺族」「自死遺族」が毎年一定数確実に生じているにもかかわらず, その存在が顕在化することのない社会を本稿では「生きづらさを生き埋めにする社会」とする. そうした社会は彼らを「曖昧な包摂」のもとに置く社会である. そこでの当事者にとっての「現実」とは, 「自責の念」「親密な人びととの問題」「死別を受け入れることの困難性」としてとらえられるだろう. そしてこれらの「現実」は, 社会 (世間) にとっての「現実」とのあいだに大きな乖離を生ぜしめることになるのである. このようなリアリティの乖離は, 相互作用場面において彼らをダブルバインド的状況に追いやることになり, その結果, 彼らは「沈黙」を選択せざるをえないという「生きづらさ」を抱えることになる. 彼らが他の遺族とは異なるかたちで直面せざるをえない困難性がここに日々再生産される結果となる.</p>
著者
工業常識普及会 編
出版者
大阪誠文館
巻号頁・発行日
vol.第1-6集, 1926
著者
佐伯 いく代 横川 昌史 指村 奈穂子 芦澤 和也 大谷 雅人 河野 円樹 明石 浩司 古本 良
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.187-201, 2013-11-30

我が国ではこれまで、主に個体数の少ない種(希少種)に着目した保全施策が展開されてきた。これは貴重な自然を守る上で大きな成果をあげてきたが、いくつかの問題点も指摘されている。例えば、(1)「種」を単位として施策を展開するため、現時点で認識されていない未知の生物種についての対応が困難である、(2)人々の保全意識が一部の種に集中しやすく、種を支える生態系の特徴やプロセスを守ることへの関心が薄れやすい、(3)種の現状をカテゴリーで表すことに困難が生じる場合がある、などである。これらの問題の克服に向け、本総説では絶滅危惧生態系という概念を紹介する。絶滅危惧生態系とは、絶滅が危惧される生態系のことであり、これを保全することが、より包括的に自然を保護することにつながると考える。生態系、植物群落、および地形を対象としたレッドリストの整備が国内外で進められている。22の事例の選定基準を調べたところ、(1)面積が減少している、(2)希少である、(3)機能やプロセスが劣化している、(4)分断化が進行している、(5)開発などの脅威に強くさらされている、(6)自然性が高い、(7)種の多様性が高い、(8)希少種の生息地となっている、(9)地域を代表する自然である、(10)文化的・景観的な価値がある、などが用いられていた。これらのリストは、保護区の設定や環境アセスメントの現場において活用が進められている。その一方で、生態系の定義、絶滅危惧生態系の抽出手法とスケール設定、機能とプロセスの評価、社会における成果の反映手法などに課題が残されていると考えられたため、具体の対応策についても議論した。日本全域を対象とした生態系レッドリストは策定されていない。しかし、筆者らの行った試行的なアンケート調査では、河川、湿地、里山、半自然草地を含む様々なタイプの生態系が絶滅危惧生態系としてあげられた。絶滅危惧生態系の概念に基づく保全アプローチは、種の保全の限界を補完し、これまで開発規制の対象となりにくかった身近な自然を守ることなどに寄与できると考えられる。さらに、地域主体の多様な取組を支えるプラットフォーム(共通基盤)として、活用の場が広がることを期待したい。
著者
藤川 正毅 石川 清貴 真壁 朝敏 田中 真人 笹川 崇 表 竜二
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
2016
被引用文献数
2

This paper presents a novel Formulated Alpha FEM with deviatoric / volumetric split, which is combination of standard FEM and Node-based Smoothed FEM (NS-FEM), to compute highly accurate deformation in mechanical problems using tetrahedral elements. The essential idea of the method is the use of a deviatoric alpha formulated on basis of the results of cantilever problem, and the volumetric alpha introduced NS-FEM. The features of this proposed method are: 1) immune from volumetric locking, 2) less sensitive to element distortion, and 3) to be carried out with the same preprocessing as standard FEM from user's viewpoint. Several numerical examples show that the present method achieves higher accuracy compared to the standard FEM and Edge-based/NS-FEM which is known to be one of the best S-FEM formulations.
著者
相良 恒太郎 吉田 有貴子 西堀 正英 国吉 久人 海野 徹也 坂井 陽一 橋本 博明 具島 健二
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.35-39, 2005-05-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
13

A phylogenetic analysis, based on the complete nucleotide sequences of the mitochondorial control region (D-loop), was conducted on Mola mola occurring around the Japan coast. Two significantly distant clades (bootstrap value 914, based on 1000 replicates) were recognized. One consisted of 19 specimens with 812-814 by D-loop sequences that were collected from geographically wide spread locations around Japan (Aomori to Kagoshima). The other clade consisted of 3 specimens (all greater than 2 m in total length) collected from the Pacific coast of eastern Japan and characterized by 817 by D-loop sequences with many nucleotide substitutions compared with the former clade (ca.100 positions).
著者
岡田 登
出版者
神道史学会
雑誌
神道史研究 (ISSN:05830702)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.168-190, 2005-10
著者
Xi Li Akira Kitajima Tsuyoshi Habu Keiko Kataoka Rihito Takisawa Tetsuya Nakazaki
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.MI-145, (Released:2016-06-15)
被引用文献数
1

A new method of inducing fruit abscission by incubating detached ovaries and fruits in agar medium was developed in citrus. Ovary and fruit abscission in the satsuma mandarin, ‘Kiyomi’, hyuganatsu, and ponkan during early physiological fruit drop was characterized using this method. For primary physiological fruit drop, the abscission of detached ovaries could be divided into three patterns, including an early type in hyuganatsu, a medium type in ‘Kiyomi’, and a late type in satsuma mandarin and ponkan. The cumulative abscission ratio of four species and cultivars was over 80% at 96 h after treatment. However, for secondary physiological fruit drop, the initiation of fruit abscission was earliest in hyuganatsu, and latest in satsuma mandarin. The cumulative abscission ratio was highest in ponkan at 84% and lowest in hyuganatsu at 6%. The pattern of abscission was different for primary and secondary physiological fruit drop in the four species and cultivars. High temperature promoted the abscission of detached ovaries and fruits in satsuma mandarin and ponkan. Leaf attachment suppressed fruit abscission in ‘Kiyomi’, hyuganatsu, and ponkan at 7 weeks after anthesis in 2012 and ponkan at 5 weeks after anthesis in 2013. Ovary and fruit abscission in four species and cultivars during early physiological fruit drop was characterized by incubating detached ovaries and fruits in agar medium.
著者
中沢 康彦 宇賀神 宰司
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.268, pp.54-61, 2007-01

はっきり言って今、大学卒の新人を採用するにはお金がそれなりにかかります。就職媒体への広告、採用者向けホームページの作成など、様々な取り組みが必要だからです。当社が受け請う採用コンサルティングでは、5人程度の新卒採用のパッケージプランは、1社500万円程度かかります。 「ウチはとてもそんなにお金を出せない。それでも何とかしたい」——。
著者
高市 順一郎
出版者
桜美林大学
雑誌
紀要. 桜美林英語英米文学研究 (ISSN:03868516)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.57-70, 2007-03

Poetry of G. M. Hopkins might be called divine allegory-poems, or sacral metaphysical poems, dealing with the subjects of the magnificat to Madonna Mary and the profession of belief in God. His poetics consists of both the "Instress, " psychic-energy, which reflects God's enormous power of Pneuma, and also of the "Inscape, " which projects inner revelations as external "scapes." The repetitive terms, "Fire" and "Light, " seem to be his key-codes with which his soul and mind exert to correspond with spiritual breaths and fires of God. In this paper, eleven translated poems in full form out of Hopkins's representative poems are to be bulletined, because of the shortage of space, to give the evidence to the author's discourse which has been already completed.
著者
二木 功治 西尾 和三 會田 信治 岡林 賢 中野 泰 竜崎 崇和 大曽根 康夫 鹿住 祐子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.3637-3639, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
5
被引用文献数
3 7

症例は64歳,女性.咳嗽を主訴に近医受診.胸部CT上,多発小結節影および気管支拡張像が認められ,当院紹介受診した.気管支洗浄液にて抗酸菌陽性となり16S rRNAおよびrpoB遺伝子の相同性からMycobacteruim shinjukuenseと同定された.本菌株はTranscription Reverse-transcription Concerted method(TRC法)で結核菌群偽陽性を示した.クラリスロマイシン,リファンピシン,エタンブトール3剤併用療法を開始し,画像所見および自覚症状の改善が得られた.