- 著者
-
多田 実加
笠原 酉介
- 出版者
- 一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
- 雑誌
- 日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.1, pp.31-37, 2019 (Released:2019-04-20)
- 参考文献数
- 29
早産児や低出生体重児は,神経学的障害の発生だけでなく,発育や発達に関する障害が存在することが知られている.NICUでの発育は子宮内発育と比較し,身長,体重および頭囲の発育が停滞しやすく,2~3歳での精神運動発達は遅延していると報告されている.近年,出生直後からの積極的な栄養管理によって,NICU入院中の発育を改善させることは明らかとなっているが,長期的な発達予後に対する効果の報告はまだ少ないのが現状である.自験例として,超低出生体重児と横隔膜ヘルニア術後の症例,消化管穿孔術後の症例を提示し,主に運動発達の獲得時期や獲得順序と出生後の栄養,発育の関連性を考察した.その結果,発育障害や発達遅延を改善させるためには,出生後の栄養管理が強く関わっていることが示唆された.われわれ理学療法士はNICU退院後も適切な栄養管理で発育や発達を促すために,栄養士や薬剤師などの多職種とも連携を図り,アプローチすることも必要であると考える.