著者
本田 秀仁 松香 敏彦 植田 一博
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第13回大会
巻号頁・発行日
pp.20, 2015 (Released:2015-10-21)

日本語には、漢字・カタカナという異なる表記法が存在しており、見た目・使用法、それぞれ大きく異なる。本研究では、表記が思考に与える影響について検討を行った。具体的には、3都市名を漢字(例:岡山・広島・長崎)またはカタカナ(例:オカヤマ・ヒロシマ・ナガサキ)で呈示して、同じグループであると思う2都市の選択、ならびに選択理由の回答が求められる都市カテゴライズ課題を実施し、表記の違いがカテゴリー化に与える影響ついて検討を行った。結果として、漢字で都市名を呈示した場合は地理的近接性に基づいたカテゴリー化(岡山・広島を“中国地方だから”という理由で選択する)が行われやすく、一方でカタカナ呈示時は文脈的類似性(ヒロシマ・ナガサキを“原爆が投下されたから”という理由で選択する)に基づいたカテゴリー化が行われやすかった。以上、表記の違いによって異なる思考プロセスが生み出されることが明らかになった。
著者
王 張嶠 石川 忠晴 吉田 圭介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.67-76, 2012 (Released:2012-04-20)
参考文献数
34

揚子江下流河道には洪水期に大量の土砂が供給され堆積が進行している.また河口潮位変動が大きく,洪水時においても流れが脈動するため,河床変動の機構は非常に複雑である.本研究では河道幅が拡大する江陰から下流の145kmの区間について洪水流の数値計算を行い,潮汐によって生じる非定常流況とそれが流砂特性にもたらす効果を考察した.その結果,潮汐の影響により澪では概ね澪軸に沿った脈動流が生じるが,砂州上では河道横断方向にも大きな偏差が生じ,このことが砂州地形と澪の蛇行を増幅するものと考えられた.揚子江下流河道の澪にはほぼ一定間隔(約22km)で深い区間が存在するが,これは干潮での順流ピーク時から満潮での澱み発生時までの浮遊砂移動距離に関連すると考えられた.
著者
Yoshiro Hadano Hajime Yoshii Michio Hayashi Hiroshi Oono Reiko Tanaka
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.1141-1143, 2015 (Released:2015-05-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

Cryptococcus arboriformis (C. arboriformis) is a novel Cryptococcus species belonging to the genus Trichosporonales. This novel species was identified definitively in 2007 using D1/D2 26S ribosomal DNA gene sequencing. In this article, we present a rare case of central line-associated bloodstream infection caused by C. arboriformis with successful treatment of this infection.

5 0 0 0 OA 日本文学史

著者
三上参次, 高津鍬三郎 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
vol.上, 1890
著者
城倉 正祥 石井 友菜 川村 悠太 呉 心恰 谷川 遼 高橋 亘
出版者
早稲田大学東アジア都城・シルクロード考古学研究所
巻号頁・発行日
pp.1-67, 2020-10

早稲田大学東アジア都城・シルクロード考古学研究所 デジタル調査概報 第2冊
著者
前田 直俊 大山 聡
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.73-78, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)

過去20年にわたって世界各国でウェブアーカイブが行われ,法制度の整備,技術開発,人材育成など様々な分野で発展を遂げてきた。とりわけ技術開発においては,IIPCを中心とした国際的な取組の成果が顕著で,その成果は今日におけるウェブアーカイブ技術の基盤を形成している。本稿では,それらウェブアーカイブ技術の中核であるクローラHeritrix,保存ファイルフォーマットWARC,閲覧ソフトWaybackを取り上げ,各国機関における導入状況,開発経緯や仕組みを紹介する。また,NutchWAXやSolrなどの全文検索エンジン,メタデータによる組織化,アーカイブ間の連携を目指すMementoプロジェクトについても概要を紹介する。
著者
植田 康孝 木村 真澄
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.27, 2017-03-31

日本人は,鉄腕アトム,ドラえもんなど,いつの時代も人間そっくりのヒト型ロボットに憧れて来た。そして,その憧れは,近年,技術革新が著しい人工知能へと結び付く。人間のように動き,時に感情まで持つアンドロイド(ヒト型ロボット)は様々なSF マンガに登場するため,今やエンタテインメントには欠かすことが出来ない存在になっている。鉄腕アトムやドラえもんといった,ロボットを題材としたアニメが人気となった日本では,特にヒト型ロボットの研究が先行して来た。コミュニケーションが出来るヒト型ロボットは海外でも需要が高い。日本以外にも少子高齢化に悩む国では新たな労働力が必要となるためである。サービス業でロボットを利用すれば,生産性を向上して経済成長を促すことが出来る。日本は,福島第一原発,少子高齢化に伴う健康・医療,介護,労働力不足,地方経済の疲弊など数多くの課題を抱えるが,課題解決するためには人工知能(ロボット)の活用が不可欠である。課題先進国であるからこそ,人工知能の開発が進むチャンスである。 問題となるのは,ロボットが獲得する「自律知」である。人間が作り出す人工知能を搭載する最新のロボットは果たして「心」を持つことが出来るのか。「感情」や「自意識」を持った「人格」がロボットに宿るのか。議論の分かれ目は「感性」や「意識」,そして「精神」や「魂」といったある種の神秘性をロボットが持てるか,それともそれらがロボットには欠落するか,という点に尽きる。この問題は,ハリウッドのSF 映画における見方と日本アニメ文化の見方で大きく分かれる。西欧キリスト教文明では,心を持つのは人間だけに限定され,動物には心はないと考える。ましてやロボットのような無機物の「魂」には「心」も「魂」もないと考える。一方,日本人は,路傍の石やモノノケなど森羅万象あらゆるモノに「モノの気」があると考えて来た。もちろん森羅万象の「気」「魂」「心」「意識」「自我」には様々な階層があるが,自然に対するそのような見方の下では,人間以外の存在も「心」や「魂」を持てることを,日本人は自然に受け入れることが可能になっている。 「ドラえもん」や「鉄腕アトム」のような「自律知」を持った「汎用人工知能」を実現するためには,2つの問題を解決しなければならない。人工知能のシステムに価値観を「植え付ける」という技術的問題と,その価値観はどういうものにするべきかという倫理的問題である。道徳論はいわば,人類の永遠のテーマとして扱われて来た。何千年も前から議論が続いているが,私たちはいまだ道徳論に対する「正解」を見つけられずにいる。汎用人工知能として日常生活に溶け込むロボット「ドラえもん」にどのような倫理観を植え付けるべきかという正解を見つけることは,今後ともに議論の余地を残す。軍事ロボットを開発する米国や中国と異なり,ロボットを平和用途に限定して用いる日本が果たすべき役割は大きい。いつの時代も問われているのは人間の倫理観である。
著者
松浦 智和
出版者
名寄市立大学
雑誌
名寄市立大学社会福祉学科研究紀要 (ISSN:21869669)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.41-47, 2016-03-31

本稿では、統合失調症患者や高齢精神障害者の地域移行支援について諸家が指摘する論点を整理するとともに、今後の精神保健福祉士養成教育のあり方について著者の私心を述べることを目的とした。「地域移行」という言葉は、ノーマライゼーションに基づく「脱施設化」の政策が推し進められるなかで定着してきたものと推測される。殊に、わが国では、2003年からスタートした「精神障害者退院促進支援事業(モデル事業)」から続く一連の制度・政策の整備のなかで関係者に浸透してきた感がある。患者の地域域移行支援や生活支援システムを検討する過程においては、患者自身の諦め・絶望、家族の受け入れの難しさ、地域社会の偏見・差別、支援者の偏見・差別などの諸問題がある。精神保健福祉士養成を開始したばかりの本学であるが、学生と地域と大学の協働により、名寄市という地域性も加味した上で次代を担う精神保健福祉士のあり様を考えていく必要がある。
著者
久留島 元 Hajime Kurushima
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2014

https://doors.doshisha.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB12905772/?lang=0
著者
坂入 竜治
出版者
ルーテル学院
雑誌
ルーテル学院研究紀要 = Bulletin of the Japan Lutheran College and Theological Seminary (ISSN:18809855)
巻号頁・発行日
no.52, pp.81-95, 2019-03-01

本研究の目的は、精神保健福祉士を対象とした事例検討会のモデルを構築するために、事例検討会の効果と効果を導く要素(効果的要素)を探索することである。精神保健福祉士11 名を対象に事例検討会の3 側面(効果、過程、構造)についてフォーカス・グループ・インタビューを実施し、質的データ分析を行った。その結果、「効果」として≪クライエント・システムの理解の深化≫・≪専門職としての視点・態度の確認≫・≪疾病や障害に関する知識の習得≫・≪解決策≫・≪自己覚知≫・≪サポート関係の強化≫・≪組織・人材の育成≫・≪ネットワークの構築≫の8 カテゴリーを抽出した。「効果」を導く「過程」の効果的要素として8 カテゴリー、7 サブカテゴリー、「構造」の効果的要素として6 カテゴリー、15 サブカテゴリーを抽出した。これにより、事例検討会の3 側面の関係性が浮かび上がり、効果的な事例検討会のモデルを構築するための知見が得られた。
著者
森本 瑛士 赤星 健太郎 結城 勲 河内 健 谷口 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_345-I_354, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
40
被引用文献数
10

現在日本において人口減少社会に対応した「コンパクト+ネットワーク」を実現するための都市計画が進んでいる.また地方分権の進展とともに市町村単位の都市計画が進められているが,その計画は広域的な視点から見たときの整合性(広域的整合性)を確保できているか疑問が残る.本研究は市町村における都市計画が広域的整合性を確保できているのか把握することを目的とする.具体的な方法として,市町村MPで記載されている将来都市構造図に着目し,県域レベルの市町村MP連結図を作成することで都市計画の広域的整合性を把握した.作成した連結図から,市町村の「コンパクト+ネットワーク」を実現するための都市計画は広域的整合性を確保できておらず,各市町村MPが断片化していることを明らかにし,各市町村で都市計画を一致させる必要性を示唆した.
著者
行實 志都子 ユキザネ シヅコ 八重田 淳 ヤエダ ジュン Yukizane Shizuko Yaeda Jun
出版者
駒澤大学文学部社会学科
雑誌
駒沢社会学研究 : 文学部社会学科研究報告
巻号頁・発行日
no.53, pp.1-16, 2019-10

目的:精神障害者の地域生活支援を行う領域において、ピアサポート活動は約20年前から注目され始めた。精神障害者にとってピアサポートは自分自身を取り戻す「魔法のことば」のように取り扱われ、全国でピアサポート養成が実施された。ピアサポートは、同じ体験をもつ仲間同士の関係性を表す言葉であるが、特に仕事としてピアサポート活動に注目が集まった。よって本研究は、精神障害者当事者会が行うピアサポートを基盤にした電話相談等の活動には職業的妥当性があるかを検証することを目的とした。調査方法:2013年11月に精神障害者の当事者会に所属する12名に対して、フォーカスグループインタビュー調査を実施し内容分析を行った。結果:「人間関係の中での葛藤」、「ピアサポートの活動を実施したことでの気づき」、「ピアサポート活動での悩み」などの9つのカテゴリに整理された。考察:当事者会の電話相談等のピアサポート活動は、職業的妥当性といった観点からは、まだまだ課題が多く仕事して捉えることに無理が生じる。当事者会Pで実施される電話相談などの業務は、ピアサポート活動の一環として捉え、そこに発生する賃金等は活動に支える交通費等と捉える方がよいといえる。実際に、その程度の賃金しか支給されておらず、賃金で雇われているというものではなく、仲間としての関係性でその役割は存在していた。