著者
和田 充夫 徳山 美津恵 菅野 佐織 長尾 雅信
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

この研究の目的は当初から地域ブランド構築のためのプランニングとマネジメントモデルを構築することであった。研究は月一回の討論と全国各地における訪問調査であった。宮崎県、愛知県、大分県、長野県、新潟県などにおける訪問調査でも多大な成果をあげた。また、我々は多くの地域に対して地域イメージモデルを作成しインターネット上でイメージ調査を行った。最終的に我々は地域ブランドモデルを開発した。このモデルの特徴は、1)ブランドの定義を元に地域ブランドコンセプトの創り方を開発し、2)ゾーニング概念を導入し、3)コミュニケーション戦略の体系を作成し、4)アクターモデルを導入、最後に5)企業と地域の新たな関係を構築した双方向的な地域ブランドモデルを提案した。これらの成果を踏まえて、我々は2009年6月に「地域ブランドマネジメント」を上梓した。
著者
吉田 司雄 林 真理 一柳 廣孝
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究プロジェクトは、科学言説と文学言説を中心とする他の言説群との相互関連性を問題とし、文学研究の内側に止まるのではなく、科学史・科学思想の領域の研究者と共同して情報データベースを作成し、脱領域的なレベルでの積極的な議論を行える場所をつくることを通して、文化研究の新たな地平をひらこうとするものであった。研究期間中には特に近代日本の「動物学雑誌」等の学術雑誌、啓蒙的な大衆科学雑誌、少年向け雑誌、1970年代の各種メディアにおけるオカルト(疑似科学)に関する言説等を調査し、科学言説の非専門家層への伝播とその過程での変容や屈折を分析した。また、年1回ペースで公開研究会を開催し、脱領域的な研究ネットワークを構築することを目指した。第1回(2005年2月11日)は奈良崎英穂氏、松永俊男氏、第2回(2006年2月19日)は溝口元氏、曾根博義氏、第3回(2006年12月16日)は安齊順子氏、竹内瑞穂氏、小倉めぐみ氏、井山弘幸氏、第4回(2007年12月9日)は下坂英氏、伊藤龍平氏に報告をお願いし、コメンテーターを始め多くの参加者を交えて活発な議論を戦わせた。近代日本の文学言説がいかに様々な科学言説と交差することで生成展開していったか、その全貌を明らかにすることは研究期間内にはとても叶わなかったが、従来の文学史・科学史・文化史の枠組に囚われない新たな史的叙述の可能性を確信し、これまで学問的に注目されることの乏しかった分野の資料を博捜することで多くの知見を得ることができた。
著者
立沢 秀晃
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
日本ソフトウェア科学会大会講演論文集 日本ソフトウェア科学会第21回大会 (ISSN:13493515)
巻号頁・発行日
pp.23, 2004 (Released:2005-02-01)

本研究では型付き関数型言語を基にしたアスペクト指向言語を提案する。アスペクト指向機構部分はJavaを基にしたアスペクト指向言語AspectJにならい、ポイントカット・アドバイス機構と型拡張機構を持つ。本稿ではそれらの機構の設計と、その際に見られた関数型言語特有の問題点および解決策について述べる。
著者
福地 豊樹
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、体操教師矢島鐘二の大正期から昭和戦前期までの活動を明らかにすることを目的とする。群馬離県後の矢島は、体育行政、学校管理職を歴任し、体操の実践活動からは離れたが、その実践で得た経験をもとに、多くの教育活動の成果をあげた。昭和初期を通して台頭する競技に対しては、運動家精神(スポーツマンシップ)を失うことなく、教育的な配慮が必要であることを説いた。戦時体制下にあっても、その生き方は、一貫したものであった。
著者
蓮池 いずみ
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、日本語学習者による助詞「は」の使用における母語転移の可能性を探ることを目的とする。母語が主題卓越言語である韓国語、中国語を母語とする学習者と、主語卓越言語である英語を母語とする学習者で助詞「は」の使用/不使用の傾向が異なるかどうかに注目し、L1における主題の表し方の違いが助詞「は」の使用に影響を与えている可能性について調査した。その結果、助詞「は」の使用傾向が学習者の母語背景によって異なる可能性が示された。また、本研究とは異なるタスクを用いた予備調査とは一部異なる結果が得られたことから、タスクの種類が母語転移の現れ方に影響を及ぼす可能性が改めて示された。
著者
田名部 尚子 小川 宣子
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.282-285, 1975-11-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
5

市販ウズラ卵を1974年5月より1975年4月まで毎月中旬に名古屋•岐阜地区の3店より購入してその卵質を調査した。卵黄高, 卵黄係数, 卵白高はいずれも著しい季節的変動を示し, 気温の上昇とともに低下し7月および8月に最低になった。また気温の下降に伴い高くなり10月から3月までは高い値を示した。6, 7, 8月には腐敗卵の発生がみられ, 7月には25%に達した。このことから市販ウズラ卵は産卵後かなり長い期間 (20~60日) 経過したものが店頭におかれていることが想像された。
著者
飯尾 明生 中山 敦雄
出版者
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究はヒト自閉症高感受性遺伝子ニューロリギン4X(NLGN4X)について、自閉症での遺伝子発現の変化の有無、その発現の増減が自閉症発症の原因なのか結果なのか、その発現の増減を引き起こす非遺伝的背景は何なのか明らかにすることを目的としている。そこでNLGN4Xの発現制御機構について詳細に解析したところ、NLGN4Xの発現がプロモーターのCpGメチル化を介してMeCP2により調節されていること、ストレス依存的なmiR-23aによって翻訳抑制されていること、AS-NLGN4Xによって相補的に発現制御されていることが明らかとなり、エピジェネティックな発現制御を受けていることが示唆された。

1 0 0 0 静岡市史

著者
静岡県静岡市役所[著]
出版者
[静岡市]
巻号頁・発行日
1930
著者
大友 秀明
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は、子どもの社会性や人間性を育むために、「伝統生活文化」を中心教材に据えたカリキュラムの在り方を構想し、実践することである。本研究の成果は、以下のとおりである。1.戦後教育における「伝統生活文化」学習の位置・役割・意義を明確にした。取り上げた内容は、(1)民俗学の成果の活用と生活文化学習(成城学園初等学校の社会科プラン、柳田國男・和歌森太郎の社会科教育論)、(2)中核教材による総合的学習論(富士山学習と琵琶湖学習)、(3)秋田の「ふるさと教育」である。2.上記の「民俗学の生活文化」「中核教材」「ふるさと教育」の視点から、「荒川流域の伝統生活文化学習」の教材を開発した。そのテーマは、(1)荒川水系の新河岸川の舟運・水運、(2)伝統漁業と農業(川魚料理とわさび栽培)、(3)治水と水防の知恵(水害・洪水・堤防)、(4)祭り(祭りと地形・地名)、(5)水神信仰の5つである。また、授業素案・略案を作成するとともに、子どもに期待する学習活動(祭り・遺跡・石碑の調査、マップ作成など)の内容を整理した。3.羽生の「藍染」、桶川の「紅花栽培」、草加の「煎餅」、三芳の「さつまいも栽培」を教材とする小・中学校社会科の実験授業を行い、「伝統生活文化」の有効性と課題について分析した。4.ドイツ・バイエルン州の学習指導要領を中心に分析し、民主主義社会における共同生活の基礎を培う「政治・社会学習」の意義と内容とともに、「政治教育」のカリキュラム構成原理を明確にした。
著者
山本 興太朗
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

傾斜屈性を示すシロイヌナズナ突然変異体hy5 の側根を用いて、傾斜屈性が生ずる機構を調べた。その結果、側根では成長とともに根端のオーキシン濃度が低下し、それに従って成長方向が傾斜方向から下方へ転換するが、hy5 ではオーキシン濃度の低下が遅れる結果、野生型より長い間、傾斜屈性が維持されるとみられる。また、hy5 側根傾斜屈性を抑制する遺伝子座の位置を5番染色体の下腕、14遺伝子を含む領域にまで絞り込んだ。
著者
今井 三子
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.659, pp.514-520, 1941

本報告ハ第二報ノ續デアル。<br>391. こにせいっぽんしめぢ <i>Entoloma turbidum</i> (FR.) QUÉL. 淺川御料林内デ採ル。<br>392. ひめあじろもどき <i>Pholiota marginella</i> PECK. 高尾山中デ採ル。<br>393. つばふうせんたけ <i>Cortinarius armillatus</i> FR. 山梨縣ノ針葉樹林及混淆林ニハ廣ク分布スルラシイ。<br>394. むらさきたけ <i>Cortinarius subtabularis</i> KAUFFM. 北米種デ山梨縣下ニテ採ル。<br>395. おちばとまやたけ <i>Inocybe floccosa</i> (BERK.) SACC.<br>396. ささくれとまやたけ <i>Inocybe Hysterix</i> (FR.) KARST.<br>397. ゆきとまやたけ <i>Inocybe subvatricosa</i> IMAI. 全體純白色デ, 剛毛體ヲ缺如シ, 胞子ガ類卵形, 平滑ナ種類デアル。高尾山デ採ル。<br>398. あせたけもどけ <i>Inocybe umbrina</i> BRES.<br>399. くりいろむくえたけ <i>Naucoria cucumis</i> (PERS. ex FR.) GILL.<br>400. しろえのくぎたけ <i>Gomphidius glutinosus</i> [SCHAEFF.] FR.<br>401. あふぎたけ <i>Gomphidius roseus</i> (FR.) GILL. ハ新知種デハナイガ著者ノ都合上載録シタ。<br>402. ぬめりあかちちたけ <i>Lactarius hysginus</i> FR. ハ赤褐色粘性ノ菌傘ヲ持チ, 白色ノ辛味アル乳液ヲ漏出スル。<br>403. むらさききからはつ <i>Lactarius speciosus</i> (BURL.) SACC. ハきからはつニ似ルガ白色ノ乳液ガ後チニ紫色ニ變ツテ來ル。<br>404. うすくれないたけ <i>Russula rubra</i> (KROMBH.) BRES. ハ赤色ノ菌傘ト淡黄色ノ菌褶ヲ持ツタ菌デ肉ハ辛イ。べにたけニ似ルガベにたけノ菌褶ハ白色デアル。<br>405. ふじうすたけ <i>Cantharellus Fujisanensis</i> IMAI ハうすたけニ近似スルガ, 菌傘ノ肉ハ厚ク, 菌柄ハ殆ド赤色味ヲ帶ビナイシ, 胞子ガ有刺ナ點デ區別出來ル。
著者
佐藤 正樹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

アンナ・ルイーザ・カルシュ(1722-1792)はシュレージエンの極貧の家庭に生れ、子守と牛追いと女中奉公に明け暮れた少女時代と二度の悲惨な結婚生活を経て(カルシュはシュレージエンで庶民としてはじめて離婚を経験した)詩人となった。この研究は、啓蒙のプログラム--カントによれば、万人に宿る悟性を鍛練して自立した人間になること--のもっとも重要な手段の一つである学校教育を受けず、詩人としての訓練はおろか綴字法や句読法さえ習得しなかった女性が、なにゆえ一冊の書物としては18世紀全体をつうじて最高の売上高を記録した『精選詩集』(1763)を出版し、ドイツ最初の自立した女流作家となりえたか、この疑問に、近代教育制度の初期の女子教育やプロイセン建国途上の社会文化、啓蒙主義とそれにたいするアンチテーゼとして提案された天才讚美、感情・陶酔を重視した時代風潮、それにカルシュ自身の生活史とから答えようとするものである。カルシュが不可欠であるはずの作家修業を経ず、まっとうな教育さえ受けなかったという境涯の不利益を、克服ないし回避するためにとった「戦略」は、彼女が人為的な教育にその天才を損なわれていない「自然児」だという主張であった。天才は神ないし自然の賜物であり、教育はむしろ有害だという。カルシュとその周辺の知識人たちはこの時代の流れに棹さして詩人カルシュを宣伝したのである。他方、フリードリヒ二世はカルシュにとって二重の意味で--一つは結婚生活の軛からの、第二には貧乏生活からの--解放者となった。天才カルシュは自然児であることを利用しただけでなく、プロイセンの愛国詩人となる道を選ぶことによって、みごとに生き抜いたのである。カルシュはドイツ文学・精神史の潮流を利用しつくし、前例のない「出世」をなしとげた庶民の娘だった。そもそも啓蒙のプログラムの対象とはなりえなかったはずの女は早々にこのプログラムに見切りをつけ、天才と感傷と愛国精神とに乗り換えたのである。
著者
入山 義久 小林 淳彦
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.200-203, 2012 (Released:2013-04-16)
参考文献数
2

積雪寒冷地における水田畦畔管理の省力化を目的に,草丈の低いクリーピングベントグラスを用いた水田畦畔の緑化方法を検討した。長野県内の5 ヶ所の水田畦畔および畑地法面において,幾つかの播種方法を比較し,ベントグラスの被度の推移を調査した。泥団子の投げつけおよびジョーロによる散布は,資材の混合や播種作業に手間が掛かり,また張芝は養生のための土地の確保が問題となった。一方,作業性およびベントグラスの定着から見ると,種子を実播した後に,水に溶かした糊剤を動力噴霧器あるいは背負子式噴霧器を用いて散布する方法が最適であった。また,埋土種子からの雑草の発芽に備え,除草剤の散布と播種時期の選定が重要であった。