著者
山口 徹 棚橋 訓 吉田 俊爾 朽木 量 深山 直子 佐藤 孝雄 王 在〓 下田 健太郎 小林 竜太
出版者
慶應義塾大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

今みる景観を自然の営力と人間の営為の絡み合いの歴史的産物と位置づけ、オセアニア環礁(低い島)と八重山諸島石垣島(高い島)のホーリスティックな景観史を、ジオ考古学、形質人類学、歴史人類学、文化人類学の諸学の協働によって明らかにし、その中で人とサンゴ(礁)のかかわり合いを遠い過去から現在まで見とおした。立場や系譜が必ずしも同じではない人々のあいだに、サンゴ(礁)とのこれからの「共存」のあり方への共通関心を喚起する目的で、研究成果を活用したアウトリーチに積極的に取り組んだ。
出版者
自治館
巻号頁・発行日
1910
著者
中嶋 有加里
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

平成13年度のシミュレータ実験により眼精疲労や車酔いなどシミュレータの影響と推察される問題点が判明し妊婦を対象に実験を行うことができなかった。そこで本年度は「妊婦の自動車運転の安全性に関する研究」の一環として実施した前方視的質問紙調査のデータを統計学的に分析し、自動車運転により切迫早産・早産および臍帯巻絡のリスクが増大することはないとの結論を得た。【研究方法】2001年1〜12月に大阪府泉佐野市T病院で妊婦健診に来院した妊娠28週の初産婦493名に質問紙を配布し、外来・入院カルテ、出産記録から出産情報を照合し、単胎妊婦442名の有効回答を得た。切迫早産・早産の検討では、早産の関連因子(有職者、喫煙者、運動習慣のある者、妊娠中毒症などの合併症)のある者を除いた238名、臍帯巻絡の検討では、巻絡の発生頻度に関連する因子(有職者、運動習慣のある者)のある者を除いた312名を分析対象とした。【結果】(1)運転の有無と切迫早産・早産率および臍帯巻絡率との関連は認められなかった。切迫早産率 早産率 臍帯巻絡率ドライバー 11.7% 3.1% 39.4%ノンドライバー 16.0% 4.0% 35.6%(2)運転・乗車時間の長短を1週間総利用時間のほぼ中央値である60分で分け比較したところ、運転・乗車時間の長短と切迫早産・早産率および臍帯巻絡率との関連は認められなかった。(3)車種と切迫早産・早産率および臍帯巻絡率との関連は認められず、振動による影響は少ないものと推察された。(4)子宮収縮の自覚では、運転中・同乗中の方が歩行時に比べて収縮を自覚する者が有意に少なく、「歩くよりも楽」という妊婦の感想を裏付ける結果となった。また、運転中と同乗中の収縮自覚の比較では有意差が認められなかった。(5)運転の有無と平均臍帯長・過長臍帯率は有意差が認められず、運転が臍帯長に影響を及ぼす可能性は低いと考えられた。
著者
馬場 優 藤井 正人 加藤 靖正
出版者
奥羽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

頭頸部扁平上皮癌患者に対する治療の進歩にもかかわらず、その生存率は有意に改善されていない。それゆえ、今回、私はアフリカの食物Mundulea sericea由来の天然物デグエリンの抗腫瘍効果を調査した。デグエリンは舌癌由来細胞株においてEGFで活性化されたAKTを阻害することに伴いアポトーシスを誘導することを示した。また、デグエリンは舌癌由来細胞株においてIGF1R-AKT pathwayを抑制することによりアポトーシスを誘導することを示した。IGF1R-AKT pathwayがEGFR阻害剤耐性機構の一つであると推察されているため、デグエリンがEGFR阻害剤耐性を克服する可能性が示唆された。
著者
有賀 康裕
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.279-286, 2014-07-01

特許の価値を数値に表すことは金銭的な価値評価として発展してきた。その過程で手法論が編み出されてきている。特に,数値化に対して有力な情報は特許の経過情報である。この数値は,人的判断に近い計算式としてチューニングして組み立てたることより,自動的に特許1件毎に数値(重み)を与えることができるようになる。このようにして得られた数値情報を利用し,実例としての「クロスカップリング反応を伴う技術」を収集して適用した。この反応を伴う応用技術の中で,評価値を使った特許マップを作成することを試みた。その結果,評価値の効果は特許の棚卸だけでなく,アライアンスなどに係わる情報をもたらしてくれる。この解析結果は従来の特許マップでは難しい技術の中身に踏み込んだ解析結果と共に,特許戦略的な面を持つ特許情報となる。
著者
大庭 亨
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.275-278, 2014-07-01

大学で化学を研究する立場から,特許に含まれる技術情報の受け止め方について私見を述べた。実際に実験を行う上で,実施例に記された実験方法やデータなどは参考になる。また,従来技術に関する記述は当該分野を俯瞰するのに役立つ。ただし,記述の形式こそ学術論文と似ていても,内容の事実性が審査されないまま公開されていることを考慮しなければならない。特許は技術文献ではあるが,より本質的には発明の技術的範囲を明示する権利書である。最小限の情報開示で最大限の権利を獲得しようとする結果として,明細書の記述に不充分さや曖昧さが含まれている可能性を,特許の技術情報を読む上では常に念頭に置く必要がある。
著者
佐藤 貢司
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.271-274, 2014-07-01

特許は権利書としてだけでなく,特許情報自身が技術文献としての意義を有し,また,事業戦略等への更なる活用が可能である。近年,テキストマイニングを利用した特許分析ツールの開発が進んでいる。見える化の手段として利用されている特許マップツールや特許の価値といった独自の指標も提供されるようになってきており特許情報の分析は活発に行われている。弊社においても,従来から行っている出願件数推移といった統計的な分析に加え,これらの分析ツールを利用し特許解析を行っている。また,従来から行っている先行技術調査等の調査に加え,さらなる解析を目的として分析ツールの拡大利用を検討している。本稿ではその一例を紹介する。
著者
井出 達徳 今野 亮介 五藤 智久 北谷 謙一 嶋田 明代
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.259-264, 2014-07-01

特許の技術情報としての活用及び企業の経営戦略の策定に貢献する経営情報としての活用について電機業界での一例を紹介する。電機業界では,非常に多数の特許が事業に関与するため,個々の特許の質はもちろんのこと特許の量も事業遂行上,重要となってくる。特許明細書から得られる情報,特許のマクロな分析手法とマクロ分析から得られる情報について述べると共に,ベクトルを用いた新しい特許ポートフォリオ分析手法について紹介する。さらに,特許から得られる情報を補強するために様々な情報源,データベースも駆使して研究開発動向やビジネス情報等を総合的に分析する「総合調査」について述べる。
著者
臼井 裕一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.250-254, 2014

特許情報は,特許制度の目的から必然的に権利情報と技術情報との側面を持っている。また特許情報は論文などと比較してその発行数の多さのゆえに研究者がその全てに目を通すことは困難である。研究者が読むべき特許を選別する者が必要と考える。また,多量の特許情報を用いて解析を行い,更に利用価値の高い経営情報を再生産することが可能であることを考慮しても特許情報は大いに利用すべきである。このために「知的財産情報プロデューサー」と仮に呼ぶような専門家集団が必要であると結論づけた。
著者
細見 和之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

イツハク・カツェネルソンがワルシャワ・ゲットーで書いたイディッシュ語作品を読み込むとともに、ワルシャワのユダヤ史研究所、エルサレムのヤド・ヴァシェム、ニューヨークのユダヤ文化研究センター(YIVO)を訪れて関係資料を調査することによって、ゲットー蜂起に象徴される武装による抵抗ではなく、カツェネルソンらの周辺で行われた文化活動を背景としたユダヤ人の精神的な抵抗の意義を確認することができた。
著者
藤井 禧雄
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.1-5, 1969-01-25

二脚の台の上に置かれた角材を, さまざまの条件下で(Table 1参照)鋸手に支えられたチェンソーで玉切った。そしてその際チェンソーのハンドル部位に生ずる振動加速度(G表示)を, 非接着型加速度変換器を通して, おのおのが直角な三方向別に記録し, それらを分散分析法を用いて解析した。実験は二段階に分かれている。第1段階は, チェンソー自体の特性(その馬力数, 原動力の種類)がチェンソーの振動におよぼす影響を考察するために, スティール(6馬力型), ホームライト(5馬力型), 電動型(1.35馬力)を用いて予備実験を行なった。そして次の点を明らかにした(Table 2参照)。1.チェンソーに生ずる振動は, チェンソーの馬力数や原動力の種類によって大きく支配されている。2.切削時に比べれば低いけれども, しかし空転時ですでにかなり高い振動加速度が生じている。3.左右切歯の各角度およびデップス量の不揃いは, 振動加速度を増加させる。第2段階は主実験で, 供試機としてホームライトZIPを用い, Table 1の因子を直交配列表L_<64>, に割付けて64のさまざまな切削条件下で玉切実験を行なった。その結果は次のとおりである。1.あらゆる切削条件を通じての平均振動加速度は8.4Gであり, 最大値は12.9G, 最小値は5.1Gであった。この平均値を方向別に示すと, Cμ : P. : C_⊥=2.9G : 4.0G : 6.7Gであった。2.角材の木口幅, デップス量, 樹種, エンジンの回転数, 交互作用角度i×回転数は1%の危険率で有意であったが, 最も興味のあった角度β, iおよびその交互作用は有意でなく, 他の因子に比べればチェンソーの振動にさしたる影響を与えるものではないことが明らかになった。3.しかし, 両角度の16の組み合わせごとの振動加速度を見ると, β=55°, i=5°の場合の7.5Gから, β=85°, i=50°の9.8Gまで2.3Gの差が現われた(Fig.2参照)。したがって結論としていえば, チェンソーに生ずる振動の大部分は両角度以外の要因に影響されるものであるが, チェンソーの稼動時の振動をより少なくするためには, 均一な, しかも適正な角度とデップス量を保持することも必要であるといえる。
著者
山上 泰史 伊藤 良生 中西 功 副井 裕 小林 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-03-06

巡回型LMSアルゴリズムが, 安定に動作するためのステップサイズの範囲は, 文献[1]で与えられている. また, それに基づく可変スデップサイズ型アルゴリズムも提案されている[2]. しかしこのアルゴリズムの収束特性については詳しく検討されていない. 本文では, 可変ステップサイズ型アルゴリズムの, z平面上における動作について考察する.
著者
龍村 あや子
出版者
京都市立芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

3年間に渡って次の研究活動を行った。1)当該期間中に出版された著書・論文:アドルノの『マーラー』の単独訳出版(法政大学出版局)、アドルノの『音楽社会学』(平凡社)の解説執筆、「音楽と時間-世界化の時代の音楽時間論」(『民族芸術』)、ドイツで独語単行本に執筆"Wie die Zeit vergeht. Musikalische Zeit in West und Ost angesichts der Globalisierung."Musik in der Zeit. Zeit in der Musik(Velbruck Verl.)、「ワーグナー論における一つの流れ」(京都市立芸術大学音楽学部研究紀要)、「アドルノ理論と民族音楽学」『民族音楽学の課題と方法』(世界思想社)、「音楽社会学の課題と展望-近代化とグロバリゼーションをめぐって」『音楽(音文化)研究の課題と方法』(中部高等学術研究所)2)平成14年度に出版される予定の著書・論文:「グローバル化時代のアドルノ理論-音楽と自然の問題を中心に」『アドルノ論集』(仮題、平凡社)「パン・アフリカン・ミュージックと現代の音楽文化」民族音楽学を学ぶ人のために』(世界思想社)「ベートーヴェンの後期様式をめぐるアドルノの思索とその源湶」『角倉一朗先生退官記念論文集』(仮題、音楽之友社)3)研究発表 平成11年度:音楽学会大会シンポジウムでダールハウスのベートーヴェン論について発表。民俗音楽学会大会のシンポジウムでヨサコイ・ソーラン祭りについて発表。平成12年度:音楽学会大会でのシンポジウム「ドイツと日本1930 45」の企画・司会。東京ゲーティンステイテュート主催のシンポジウムでドィツと日本の音楽批評について発表。中部高等学術研究所で<近代化>と<グロバリゼーション>について音楽社会学的観点から発表。4)アジアの音楽文化の現状に関する予備調査を中国の西安市・寧夏回族自治区(11年)、インドのムンバイ・アグラ・ジャイプール・デリー(11年)において行った。5)研究資料収集をドイツ・イタリア・フランス・トリニダードトバゴで行った。