著者
久保 博子
出版者
奈良女子大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

夏期のオフィス環境等の室内空間における、温熱的快適性と人体への気流の影響検討することを目的とする研究一環として、空調設備の気流の吹き出し方式の違いによる人体の温熱的快適性への影響を明らかにすることを目的として実験を行った。人工気候室にて夏期のオフィス環境を想定して、気温25℃、27.5℃、30℃の3段階を設定し、相対湿度50%一定とした。気流は3室の人工気候室を用い、「天井吹きだし」「床吹きだし」「壁面吹きだし」の3条件とし、気流速度は被験者の位置で0.2〜0.3m/sの微弱気流とした。夏服着用の健康な平均的体格の青年女子を被験者とし、実験中はパソコンのによる数値入力作業を科し、各温熱条件に60分暴露した。測定項目は生理的反応として皮膚温14点、心理的反応として温冷感、快適感、気流感等とした。(1)平均皮膚温は、吹き出し方式別に検討すると、壁面吹き出しが最も低く、天井吹き出し、床吹き出しの順に低くなる。これは、皮膚温が気流による人体の暴露面積の影響で暴露面積が大きい方がより低下することが考えられる。(2)全身温冷感は、顕著な差は認められないが、気温25℃では床面が、27.5℃及び30℃では天井吹き出しが最も涼しい側の申告である。(3)快適感は、気温25℃では壁面吹き出しが、27.5℃及び30℃では天井吹き出しが最も快適と申告され、天井吹き出しでは「やや涼しい」方が、床吹き出しでは「どちらでもない」で最も快適と快適された。(4)どの気温でも天井吹き出しが「好きな」「満足した」と評価された。
著者
加藤 照之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

高頻度でサンプリングしたGPSデータの地震計への応用可能性を目的してシミュレーションと観測の両面から研究を行った.シミュレータを用いた検証を行った結果,数Hz程度よりも高い周波数の地面振動を受信する際には位相,振幅に有意なずれが生じることが明らかとなった.一方,実際の観測でどのような波形が取得できるかについて,3台のGPS受信機を用いた観測を実施した.いわき,鹿嶋,静岡の3か所に受信機を設置し,50Hzでの観測を実施した.この結果2013年9月20日に福島県浜通りで発生した震度5強の地震による振動波形を取得することにはじめて成功した.
著者
秋田 喜代美 無藤 隆
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.109-120, 1996-03-30
被引用文献数
1

The purposes of this study were to examine mothers' conceptions of book-reading to their children and relations between those conceptions and their behavior styles of setting home environment on reading. Two hundred and ninety-three mothers in Study 1 and three hundred and thirty-two mothers in Study 2 answered a questionnaire concerning their recognitions on the functions, and their behavior of setting environment. The main findings were as follows : (1)Two functions were identified as "UTILITY" and "ENJOYMENT" ("UTILITY" : read to get children to master letters and acquire knowledge ; "ENJOYMENT" : read to share a fantasy world with their children and communicate them.) Although many mothers attached importance to "ENJOYMENT" function, some mothers did to "UTILITY" ; but differences were shown among mothers. (2)Mothers changed the ways of reading according to their children's age. (3)There were relations between conceptions of functions and ways of reading. Though mothers rated "UTILITY" higher, their reading styles were seen to promote children to become independent readers.
著者
山内 知子 阪野 朋子 小出 あつみ 間宮 貴代子 松本 貴志子 勝崎 裕隆 今井 邦雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.15, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】愛知の地元野菜であるアシタバに着目し,生活習慣病予防を目指した機能性パンの開発を試みた。試料のアシタバの構成成分の分析と粉末アシタバ置換量が製パンの機能性亢進に与える効果について,製パン中のポリフェノール量及び抗酸化活性の変化を明らかにした。【方法】】アシタバは,2012年11月に稲沢市の栽培農家から購入し,凍結乾燥(-80℃)し粉末(250μm)にした。強力粉重量400gの内、1%(4g)、3%(12g)、5%(20g)をアシタバ乾燥粉末で置換してパンを作成し、試料とした。対照としてアシタバ無置換パンを作成した。パンの材料配合は置換したアシタバ以外は、使用したホームベーカリーに示される方法で焼成した。アシタバ成分の構造はLC-MSとNMRで分析し,ポリフェノール量はFolin Denis法,抗酸化活性はDPPHラジカル捕捉活性測定法を用いて測定した。データは多重比較法によりTukey-Kramer法で解析し,統計的有意水準は1%とした。【結果】成分分析の結果,今回実験に使用したアシタバの主要成分の一つがChlorogenic acidであることを明らかにでき, Quercetin やkaempferol の配糖体が含まれていることも示唆できた。アシタバ置換パンにおいて,ポリフェノール量・DPPHラジカル捕捉活性能は対照パンと比較して,両者ともにアシタバの置換量増加に伴い有意(p<0.01)に増加する傾向を認めた。日常的に食するパンの強力粉の一部をアシタバに置換することにより、効率的に機能性成分を摂取できる可能性が示唆された。今後,より生理活性の高まるアシタバを用いた調理・加工法について検討していきたい。
著者
村田 絵美 志方 万莉奈 岡田 真実 佐橋 磨衣子 横山 実香 小西 洋太郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.14, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】本研究は,玄米の発芽過程で生じる内因性酵素や機能性成分を利用し,製パン性(品質と機能性)を向上させる最適条件について検討した.【方法】強力粉100%パン(コントロール)および10%発芽玄米粉(2012年産コシヒカリを0,1,2,5日間発芽)を添加した計5種類のパンを,Panasonic SD-BMS104ホームベーカリー(約2時間のShort Course, SCおよび4時間のLong Course, LC)で焼成した.パン材料,発酵生地,焼成後のパンについて,還元糖量(BCA法),総遊離アミノ酸量(TNBS法),フィチン酸量(Wade法),GABA量(酵素法)を測定した.またパンのクラムについては卓上型物性測定機TPU-2CLを用いて硬さと凝集性を測定した.【結果】(1)発芽玄米の還元糖量は発芽2日目までは減少し,3日目以降は増加した.総遊離アミノ酸量とGABA量は,発芽日数を長いほど増加する傾向にあった.フィチン酸量は発芽3日目までは増加したが,その後減少した.(2)製パン工程において,還元糖量,総遊離アミノ酸量,GABA量はいずれも,発酵生地の段階で有意に増加し,パン焼成により減少した(しかし材料中の含量よりは高い).フィチン酸量は材料,発酵生地,パンの順に減少した.(3)SC, LCにかかわらず,焼成後のパンの比容積はコントロールと差はなかった(4~5 ml/g).SC, LCにかかわらず,発芽日数の長い発芽玄米を使ったパンほど,柔らかくなる傾向にあり,5日発芽パンが最も柔らかかった.発芽玄米パンの凝集性はいずれもコントロールよりも低かったが,発芽玄米パン同士で比較すると1,2日発芽玄米パンにおいて高かった.
著者
角田 美紀子 野村 希代子 淺井 智子 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.9, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】和食の美味しさは汁や菜を白飯と組み合わせることで成立し,汁は欠かせない。一方,生活習慣病の増加により食事全体,特に汁の塩分量の減少が求められている。しかし,飯と組み合わせた時の汁の塩味の嗜好性,すなわち食事の美味しさを保つ塩味の範囲に関する検討はなく,実際の食事における「減塩」の許容範囲は明らかでない。我々は,これまでに汁と飯の食べ方や汁の具により,汁物の塩味の嗜好性が影響されることを報告している。本報告では,レモン外皮を加えた汁物の塩味の嗜好性について報告する。【方法】官能評価は,レモン外皮を加えた塩分濃度0.4-0.9%のみそ汁,すまし汁について行った。汁に白飯あるいは桜飯(0.6%塩分)を組み合わせ,「汁の次に飯を食す(汁→飯)」「飯の次に汁を食す(飯→汁)」の場合について,汁物として最も好ましい塩分濃度,汁物として許容できる塩分濃度を選択させた。【結果】レモン外皮を加えた汁の最も好ましい塩分濃度は,レモン外皮を含まない場合と比較して,みそ汁では低濃度側に,すまし汁では高濃度側に移行した。また,すまし汁では,幅広い塩分濃度の汁が許容された。飯と組み合わせて食べた場合は,すまし汁と白飯の組み合わせを除き,最も好ましい塩分濃度は低濃度側にシフトし,低濃度(0.5-0.6%)の汁を許容できるとした者が増加した。これらのことから,レモン外皮を加えた汁物では,汁単独では低い塩分濃度の汁の嗜好性が低くなる場合がある一方で,飯と組み合わせて食べた場合では低い塩分濃度の汁物が許容され,実際の食事における「減塩」へのレモン外皮の活用の可能性が示唆された。
著者
淺井 智子 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.20, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】乳化特性を有する卵は油脂を配合しやすく,その加熱ゲルは特有のテクスチャーとなる。我々は,これまでに,乳脂肪クリームを配合したオムレツは脆弱な,菜種油を配合したオムレツはしなるような硬さ(軟らかさ)テクスチャーとなることを確認している。本報告では,これら特有のテクスチャーへの配合油脂の影響について,冷却遠心分離による脂質分画等によって検討した。【方法】オムレツは,卵液(卵黄35gと卵白65g)に,「乳脂肪クリーム30ml」,「菜種油18ml+水12ml」,「水30ml」のいずれかを加え,200℃で攪拌加熱して調製した。分析には,加熱前(10℃)および加熱過程(65℃,75℃),加熱後(80℃)の試料を用いた。試料をストレーナーに通した後,冷却遠心分離による脂質分画を行った。得られた3画分からBligh&Dyer法で脂質抽出を行い,脂肪量,リン脂質中リン量を測定した。また,SDS-PAGEは,Laemmliの方法で行った。【結果】冷却遠心分離による脂質分画の結果,卵黄脂肪は加熱前には中層に,その後は下層に多く分画され,乳脂肪クリームは加熱前後ともに上層に分画された。菜種油を配合したオムレツは,卵黄単独の場合と同様に,加熱後に,下層の脂肪量が多くなり,上層にも多く分画された。乳脂肪クリームを配合したオムレツは,加熱前においても下層の脂肪量が多く,加熱後も上層の脂肪量は少なかった。このことから,加熱により菜種油や乳脂肪クリームが卵たんぱく質に抱合され,乳脂肪クリームでその程度が大きいことが推察された。このことは,脂肪酸組成等の結果からも確認された。SDS-PAGEからは,乳脂肪クリームを配合したオムレツではオボアルブミンの加熱変性の程度が低いことが示唆された。
著者
磯部 由香 平島 円 堀 光代 長野 宏子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.4, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】調理の重要な操作として「切り方」が挙げられる。本研究では,大学の調理実習で「切り方」の扱うための知見を得ることを目的とし,大学生と専門学校新入生の「切り方」の知識とその操作を行う自信度について分析し,学生の調理技術について検討した。 【方法】2010~2013年に大学・短大・専門学校に入学した学生1,149名に対し,20種類の「切り方」の知識とその自信度についてアンケート調査した。それぞれの項目について「できる」「ほぼできる」「少しできる」「たぶんできる」「できない」「知らない」から選択回答させた。その結果から20種類の切り方をクラスター分析により分類した。 【結果】学生が「知っている」切り方は「リンゴの皮むき」「みじん切り」「ジャガイモの皮むき」の順で多かった。しかし,学生が「できる」と回答した,すなわち自信度の高い切り方は「輪切り」「みじん切り」「いちょう切り」の順だった。「皮むき」については自信度が低かった。学生の自信度により切り方を分類したところ,自信度の高い切り方が7種類,個人差の大きい切り方5種類,自信度の低い切り方8種類と3つに分類された。自信度の高い切り方は高等学校までの教科書に多く記載されている切り方で,自信度の低い切り方は教科書にほとんど記載されていなかった。したがって,学生の調理技術を高めるためには経験することが重要であり,大学の授業で扱う必要があるとわかった。また,大学で調理実習を行う予定の学生と行わない学生に分けて切り方を自信度別に分類したが,調理実習を行う学生のほうが自信度の高い切り方が少なかった。実習を行う予定の学生のほうが調理の難しさを理解しているのではないかと推察された。

1 0 0 0 OA 港おどり(一)

著者
野口 雨情[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1929-09
著者
野口 雨情[作詞]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1934-08
著者
西岡 水朗[作詞]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1933-08
著者
久保田 宵二[作詞]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1934-09
著者
内川 昌則
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、転写制御因子 SOX2 とそのパートナー因子の協調的作用による感覚器原基の特異化機構について研究した。鼻、眼、耳などの感覚器原基は頭部外胚葉に由来し、Sox2が常に発現される。この発現は時期・領域特異的な制御領域(エンハンサー)により制御される。今回解析した NOP1 エンハンサーは、嗅上皮・内耳プラコード特異的に活性を示す。その活性に必須な配列の一つは、SOX2/9と Sall4 により協調的に制御されることを明らかにした。さらにドミナントネガティブフォーム SOX2 は、内耳プラコードで NOP1 エンハンサー活性を阻害したことから、嗅上皮・内耳プラコード特異的な NOP1 エンハンサーの活性にはSOX と Sall4 の協調的な作用が重要であることが示された。