著者
長谷 晃輔 長谷 生子 下山 由美子 西藤 公司
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.75-78, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
6

雑種猫,3歳3ヶ月齢,未去勢雄に多発性丘疹結節および腫瘤,ならびに皮膚硬化が認められた。皮膚生検の検体および斃死後の剖検検体を病理組織学検査に供したところ,皮膚腫瘤/結節および硬化部位の皮膚のみならず,骨格筋膜や臓器漿膜にも広範囲に紡錘形細胞の増殖が認められ,皮膚結節の一部では線維肉腫に矛盾のない組織像が認められた。抗猫白血病ウイルス抗体を用いた免疫染色では,前述した紡錘形細胞の細胞質が陽性となったことから,前述の組織学的変化が猫白血病ウイルスまたは猫肉腫ウイルスに関連した可能性が示唆された。
著者
高桑 祐吉
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.210-214, 1987-03-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
7
著者
石本 あゆみ
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-12, 1992-03-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

1.1987~1989年の9月下旬から11月初旬に,北海道風蓮湖と新潟県福島潟で標識調査中,アオジの翼長,頭頂羽の羽色及び,風切羽の換羽について調査した。2.北海道と新潟県をあわせて99個体の成鳥のデータを得たが,地域による翼長•羽色•換羽の違いは認められなかった。3.成鳥の頭頂羽の羽色は性の識別に有効であり,羽色が緑系は雄,茶系は雌となった。性差は自然翼長において顕著に現れ,雄の方が雌よりも翼長が大きかったが,若干の重複を認めた。また,初列風切は換羽を完了していた。4.幼鳥544個体を調査した結果,頭頂羽の羽色は緑系と茶系に大別でき,翼長は緑系の個体の方が茶系の個体よりも大きかった。しかし,その測定値は重複が非常に大きく,ばらつきも大きかった。5.幼鳥の Post Juvenile Molt は Complete Molt, Partial Molt 及び No Molt であった。頭頂羽の羽色に関係なく,最長風切羽が換羽完了している個体は,未換羽の個体より翼長が大きかった。6.幼鳥の翼長のばらつきの原因は換羽状態であり,翼長の長短から性を論じる場合には最長初列風切の換羽状態を考慮する必要がある。7.死亡鳥132個体の各部の測定,頭頂羽の羽色及び風切羽の換羽について調査し,生殖器の確認によって性別を判定した。この結果は生体で得られた推論を裏付けた。
著者
桜井 芳生
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.2_91-2_104, 1990-11-01 (Released:2009-03-31)
参考文献数
5

まず、柄谷行人が『探究II』でおこなったクリプキの可能世界論の援用への疑義を提示する(1節)。つぎにこの柄谷の可能世界論の誤用がかれらのいう「第二の論点」と関連していることを確認し(2節)、大澤のいう「世界」と「宇宙」という概念を導入することで、柄谷がいわば「世界間差異」と「宇宙的差異」との混同に陥っていることを指摘し、後者をめぐって柄谷とクリプキとが異なっていることを明示化する(3~5節)。我々の行ってきた議論を用いて、柄谷のいう「反復」の議論への接近を試みる(6節)。最後に、ここでの議論とルーマンの「脱トートロジー化」の議論との連関を示し、社会理論的含意を示唆する(7節)。
著者
柳川 佳也 宮崎 茂次
出版者
日本生産管理学会
雑誌
生産管理 (ISSN:1341528X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.193-196, 2001-01-31 (Released:2011-11-14)
参考文献数
7

野球における打順は, どのチームにおいても, 一番打者は足が速く出塁率が高い選手, 二番は犠打などの小細工が得意な選手, 四番には長打力の有る選手が良い, などの通則に基づいて決められているように見える。本研究では, このように経験的に決められた打順が, 他の規則に基づく打順と比べて獲得得点を最大化する上で, 妥当であるかどうかを, シミュレーションにより検討する。
著者
内山 常雄
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.361-370, 2004-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1

線条痕が同一の工具によって付けられたものか否かの判別は, 発射弾丸と発射銃器を結びつけるなど犯罪鑑識において重要な位置を占めている. その作業は, 経験を積んだ鑑定者による顕微鏡作業であり, その内容の客観化に画像解析の手法が用いられてきた. しかし, 扱う対象の条件の範囲が広く, 機械的処理が容易な分野ではない.
著者
高橋 章子
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.209-224, 2009-09-30 (Released:2012-03-01)
参考文献数
36

主に英米圏において従来É. デュルケムは,社会秩序を,集団の価値観や信念が個人を拘束することで成立すると,論じたのだとみなされてきた.だが近年,これとは異なる解釈が提出されている.H. ガーフィンケルは,人々が互いに相互行為に参加することによって秩序が形成されるという見方を,デュルケムも採っていたと考えている.ガーフィンケルによって着目されたデュルケムのこのような側面とはどのようなものなのだろうか.本稿は,ガーフィンケルの提起を受け,これまで構造主義,客観主義の代表とみなされてきたデュルケムのうちに存在している,相互行為論との接点を示すことを目的としている.そのために『社会分業論』を中心に,デュルケムがどのような状態を秩序とみなしたかを検証した.デュルケムは,社会を個々人が相互に自由に形成するものと捉えていた.デュルケムのこの見方には,J.-J. ルソーからの影響が認められる.他方,現在でもデュルケム解釈に大きな影響を与えているT. パーソンズは,これとは別の社会形成の論理に則っているため,これまでデュルケムのこの側面に焦点があてられてこなかった.本稿は,T. ホッブズ「秩序問題」との関係を軸として,2つの社会形成の論理を比較することによって,ルソーから影響を受けたデュルケムの社会形成の論理が,根本的な点でガーフィンケルの相互行為論と共通性をもっていることを論じている.
著者
明仁親王 目黒 勝介
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.409-420, 1988

ロクラハゼ属の2種キマダラハゼ<I>Astrabe flavima-culata</I>とシマシロクラハゼ<I>A. fasciata</I>を新種として記載し, シロクラハゼ属の模式種であり, 今まで知られていた唯一の種であるシロクラハゼ<I>A. lactisella</I>についても前2種と比較して再記載した.キマダラハゼは日本産魚類大図鑑の中でキマダラハゼ<I>Astrabe sp</I>.として明仁親王 (1984) が解説を付したものである.キマダラハゼはシロクラハゼとは眼の上縁にある皮摺の上後部が突出しないこと, 縦列鱗数が少ないこと, 第1背鰭前方と腹部に鱗があること, 胸鰭基部を通る白色横帯の幅が狭いこと, 生時には胸鰭基部を通る白色横帯を除き, 暗褐色地に黄色模様が見られることによって区別される.シマシロクラハゼはシロクラハゼとは横列鱗数が少ないこと, 体側の鱗のある部分の幅が狭いこと, 胸鰭基部を通る白色横帯の幅が狭いこと, 第1背鰭前部から体の腹側に向かう白色横帯があることによって区別される.この度の標本の調査により, Snyder (1912) が記録した種子島産の<I>A. lactisella</I>はキマダラハゼであり, 本間・田村 (1972) が記録した佐渡島達者産のシロクラハゼはシマシロクラハゼであることが判明したので, これらの標本はそれぞれの種の副模式標本とした.また道津.塩垣 (1971) がシロクラハゼとして扱ったものの中, 標本を調べることが出来た鹿児島県馬毛島産のものはキマダラハゼであった.長崎県野母崎産の標本は図から判断するとシマシロクラハゼと考えられる.明仁親王 (1984) のシロクラハゼとキマダラハゼの解説は訂正しなければならない.
著者
杉浦 淳吉 三神 彩子
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.45-54, 2020-07-10 (Released:2020-07-10)
参考文献数
18

本研究では,住環境と省エネルギーに関する学習教材を開発し,その学習効果を検討した.知識の獲得だけでなく行動につなげるという課題から行動変容に関する社会心理学の理論を背景とし,手法としてゲーミング・シミュレーションを選定し,すごろくを開発した.すごろくではテーマに関するエピソードが問題認識,対処としての住宅リフォーム,問題解決,省エネに関する行動変容,地球環境とのつながりの5つの観点から整理された.学習者はエピソードの読み上げとポイントの増減を通じて課題を理解し行動変容につながるようにした.首都圏の中学校・高等学校の計555名を対象として学習効果を検討した.ゲーム後の振り返りとしてのアンケート調査の結果から,ゲームによる学習は住生活学習への関心を高め,楽しく学べることで学習への動機づけを高めていた.また,ゲームでの学びの際に現実の生活を意識させることで行動変容への意欲が高まっていた.自由記述のキーワードからは「エコ」「地球環境」「省エネ」といった環境にかかわることが高く意識されていた.自由記述における動詞の使われ方として認知・理解,意識改善,行動改善を意味するキーワードが出現したことから,学習内容と現実の生活とが関連づけられていた.
著者
服部 靜夫 中原 清士
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.717-718, pp.37-38, 1948 (Released:2007-06-18)
被引用文献数
2 2

On the trnnks of pine trees, Pinus densiflora and P. Thunbergii, there are found somewhat globular, large wooden protuberances, the formation of which is caused by the infection of a pathogenous fungus Cronartium quercuum Miyabe. During a relatively short winter period, from the middle of January to the beginning of February in Middle Japan, pale yellow, sweet watery drops are exudated from the cracks of the protuberances. This phenomenon was from an old time known and named“pine honey”by natives. The yellow colour is that of minute spermatia of the fungus, which are formed just at the exudation of sugary liquid. We have been studyiug this curious phenomenon, and found that the sweetness of the exadate is caused by two sugars, namely d-fructose and d-glucose, the amount of the former being 3.3 times that of the latter.The absolute amount of the sugars has been estimated to be about 3.7%, though it would vary according to the duration the liquid experiences after the exudation, that is to say, to the possible evaporation, which in turn varies according to the activity of the plant. That the saccharose, as is the case with sugar maple, does not occur here, together with the fact that the fructose is the leading sugar, is noteworthy.
著者
谷口 久次 橋本 博之 細田 朝夫 米谷 俊 築野 卓夫 安達 修二
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.301-318, 2012-07-15 (Released:2012-09-04)
参考文献数
131
被引用文献数
4 21

Consuming rice as the staple, 0.95 million tons of rice bran is produced annually in Japan as a by-product from the rice milling process. Bran is used in several applications such as animal feed and fertilizer for mushroom cultivation, but most of it has been discarded as an agricultural waste although it contains various functional substances, such as γ-oryzanol, ferulic acid, sterol, wax, ceramide, phytin, inositol and protein. It could be considered a scarcely used but promising resource. As such, continuous efforts have been dedicated to exploring its effective utilization. In this context, functionalities of the substances contained in the bran are summarized, and our attempts for improving functionality, improving ease of use, and exploring new applications are presented.