著者
Naoya Sata Hirohiko Takeuchi Takafumi Nakano
出版者
The Japanese Society of Systematic Zoology
雑誌
Species Diversity (ISSN:13421670)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.171-175, 2020-08-07 (Released:2020-08-07)
参考文献数
24
被引用文献数
1

A new nematode species, Rhabdias kiri sp. nov., which is a lung parasite in a microhylid frog Microhyla okinavensis Stejneger, 1901 from Ishigakijima island in the Yaeyama Islands of Ryukyu Archipelago, Japan is described and illustrated. This new species differs from other congeners inhabiting East Asia and the Russian Far East in its features: i.e., shorter body length, slender body shape, narrower and shallower buccal capsule, shorter head diameter and cuticular inflation less prominent in the anterior and middle parts of the body. This is the first record of a frog parasite in Rhabdias from the Yaeyama Islands. Partial sequences of mitochondrial cytochrome c oxidase subunit I and 12S rDNA genes were provided as DNA barcodes for the new species.
著者
横山 和輝
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3-4, pp.25-41, 2011-03-01

律令制が形骸化し,荘園公領制が形成されるとともに貨幣経済が進展し,14世紀までには交換手段として貨幣が普及していた.この貨幣経済の初期段階において,米価ならびに地価は低下傾向にあった.貨幣経済が進展するなか,貨幣価値が上昇することで,貨幣保有者の交渉力が増大し,売り手の提示価格に対する引下げ効果が生じたのである.
著者
釜野 さおり
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.200-215, 2017-10-31 (Released:2018-11-08)
参考文献数
13
被引用文献数
2

本稿では,「性的マイノリティについての意識:2015年全国調査」のデータを用いて「同性愛・両性愛フォビア度尺度」と「家族・ジェンダー保守度尺度」を生成し,各尺度得点を被説明変数とした重回帰分析を行った(n=1074).男性である,高齢である,同棲の経験がない,政治意識が保守的である,セクシュアル・マイノリティが周りにいないと認識していると,家族・ジェンダー保守度と同性愛・両性愛フォビア度が高いことがわかった.婚姻地位,都市規模,信仰・信心の有無は,いずれの尺度においても関連性が確認できなかった.学歴,就業の有無,主な仕事の種類,宗教心の重要性,居住地域については,2つの尺度間で,また,統制する変数によって結果が異なった.検討した変数すべてを含むモデルの標準化係数を見ると,同性愛・両性愛フォビア度に対する説明力が高いのは,年齢,セクシュアル・マイノリティが周りにいるか否か,性別の順であった.
著者
荻堂 優子 山田 徹太郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.345-350, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
16

消炎鎮痛外用剤中に含まれるクロタミトンによるアレルギー性接触皮膚炎の3例を報告した。症例1は79歳の男性で, モーラス®を貼付し紅斑が出現した。48時間貼布試験でクロタミトンを含んだ経皮消炎鎮痛剤と10%クロタミトンに陽性だった。症例2は48歳の女性で, 経皮消炎鎮痛剤を貼付し, 紅斑が出現した。24時間貼布試験でクロタミトンを含んだ経皮消炎鎮痛剤と0.5%クロタミトンに陽性を示した。症例3は39歳の女性で, セルタッチ®を貼付し, 紅斑が出現した。24時間貼布試験でクロタミトンを含んだ経皮消炎鎮痛剤と0.5%クロタミトンに陽性を示した。3症例ともクロタミトンを含んでいない経皮消炎鎮痛剤では貼布試験は全て陰性だった。
著者
幸谷 智
出版者
Japan Society for Simulation Technology
雑誌
日本シミュレーション学会論文誌 (ISSN:18835031)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.67-71, 2016 (Released:2016-06-29)
参考文献数
9

At rifle shooting, some adjustments on a riflescope, called “zeroing”, are required for precise aiming, and done with multiple trial fires. It is a matter of course that more trial shots make zeroing more correctly. However, no conventional data could be found to know how many trials make zeroing how accurately. There are some limits for firing a large amount of ammunition, to know the fact, causing not only budget but legal. Therefore, a distribution of bullet marks is analyzed at the setout, and it is ascertained that follows gauss distribution. Following simulations are based on that fact. Differences between bullet marks and the center of crosshair are normalized with their standard deviation to make relation free from shooter's skills, machining accuracies, and such shooting environments. Required numbers of trial shot are calculated to achieve arbitrary accuracies conclusively.
著者
水原 啓太 武藤 拓之 入戸野 宏
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.25-31, 2019-02-28 (Released:2019-03-21)
参考文献数
21

人は自分が意思決定したタイミングを正確に知覚できない.Bear & Bloom(2016)は,画面上に五つの白い円を提示し,実験参加者に任意の円を選ばせた.しばらくして一つの円(標的刺激)を赤色に変化させ,参加者にその円を選んでいたかどうかを尋ねた.その結果,色の変化までの時間(遅延時間)が短いと,標的刺激を選択していたと回答する割合が高かった.これは,実際には色の変化が選択に影響を与えたにもかかわらず,変化前に選択していたと錯覚したことを意味する.本研究では,遅延時間が25~50 msのときに同様の効果が認められたが,さらに短い17 msでは認められなかった.この知見は,意思決定のタイミングについてのポストディクションを支持する新たな証拠である.また,色の変化までに円の選択が間に合ったという報告は,遅延時間が167 ms以下のときに実際よりも多くなることが示された.この結果は,遅延時間が短いときに,意思決定についての意識が後付け的に生じることを示唆している.
著者
進藤 翔大郎
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.183-199, 2018

本稿は戦後日本で明るみになった, ソ連による対日工作活動であるラストボロフ事件および関・クリコフ事件として知られる事件を近年アメリカ国立公文書館で公開された一次資料を基に扱うことで, シベリア抑留帰還者を用いた米ソによる情報戦の一端を明らかにするものである. これらの事件を取り上げることで, 日本の敗戦直後から抑留帰還者を用いた米ソの熾烈な情報戦が展開されていた事実が浮かび上がるだけでなく, 講和条約後の1950年代全体を通して抑留帰還者を巡る米ソの情報戦が日本に影響を及ぼしていたこと, および, インテリジェンス上の日本の戦後の対米依存を垣間見ることができる.
著者
小野 順貴 SCHEIBLER ROBIN
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2017-11-10

本研究の目的は、音を光に変換するセンサノードとカメラを組み合わせ、カメラを一種の多チャンネル音響デバイスとして用いる新たな多チャンネル音響信号処理の枠組みを構築することである。これらにより、従来は困難であった広範囲に分散するセンサノードからの音響情報の取得を容易にし、音響シーン認識、音源定位、音源強調などをカメラによって行う新しい音響応用システムを実現することを目指している。2018年度は以下の研究成果を得た。1) 音強度情報からの音源定位を行った。具体的には,首都大学東京日野キャンパスの体育館において,多数の音光変換デバイス「ブリンキー」を配置し,ビデオカメラで撮影したブリンキーの光強度信号から,機械学習により画像上での音源位置を推定した。2) 前年度に引き続き,通常のマイクロホンアレイと組み合わせ、光信号を教師信号として用いる教師有りビームフォーミングを行い、その有効性を確認した。3) 複数音源を扱えるようにするため,ブリンキーで取得した音強度信号を非負値行列分解により分離する手法を考案し,実環境でも分離できることを確認した。さらに,4) 2)の拡張として,通常のマイクロホンアレイとブリンキーを組み合わせたマルチモーダルブラインド音源分離の理論を構築し,シミュレーションにより有効性を確認した。5) 音響シーン認識やイベント検出への応用として,人,自転車,バイクなどの通行の検出,研究室環境での複数人での会話といった実環境シーンでデータ取得を行い,分析法について検討した。
著者
今和泉 隆行 梅崎 修
出版者
法政大学キャリアデザイン学部
雑誌
法政大学キャリアデザイン学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Lifelong Learning and Career Studies (ISSN:13493043)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.201-226, 2017-03

This paper introduces our second workshop on fieldwork using maps and conducts discussions regarding this in the university after first workshop introduced by Imaizumi & Umezaki(2016). In fact, using maps forfieldwork is not a new attempt. However, some problems exist in using maps that students have not sufficiently investigated as they are only interested in participant observation and interview methods. Briefly, students would go into the field without much preparation, making it difficult for them to understand the essence of fieldwork. Therefore, we designed the workshop for building a strong "geographical imagination" and examined its effect.
著者
松平 誠
出版者
女子栄養大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究は1966年4月7日から1971年3月29日に亘り放映されたNHK番組「ふるさとの歌まつり」が、地域社会の伝統行事に対する関心を広げ、地域伝統文化活性化の導因となるとともに、観光化への道を開いていった過程を分析し、TVによる地域文化の開発原理を探るための実証的調査研究である。「ふるさとの歌まつり」が、地域文化創成に寄与するとともに、以後のTV番組による地域文化の観光化に先鞭をつけたことは、一般に知られている。それは、TVメデアによる地域文化掘り起こしの画期的な実験であると同時に、地域文化が都市化の中で変質していく契機を提供したものであった。本研究は、三年間にわたり同番組に取り上げられたすべての地域を対象として、総合的、多角的に全国的実証的調査を行なうとともに、重点的な地区について、詳細な聞き取り調査を実施し、全国約600の市町村および祝祭行事関係者の協力をえて、TVコミュニケーション時代の祝祭文化の実態を明らかにすることができた。本研究の結果、TVメディアによる地域文化掘り起こしと、都市化のなかでの地域文化が持続に関する基本的な原理を明らかにすることができ、成果は十分挙げられたと確信している。成果の詳細な内容とその具体的なデータは、添付報告論文のなかに記載してあるので、再説しないが、成果を全国の市町村に配布することによって、将来への方向付けの一端をも果たし得たと思う。
著者
Natsuko SUGIURA Kandai DOI Takuya KATO Tatsushi MORITA Shin-ichi HAYAMA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.17-0092, (Released:2018-01-19)
被引用文献数
16

To examine outbreaks of mange in raccoon dogs (Nyctereutes procyonoides) with respect to population density, we analyzed camera trap videos, and isolated mites from raccoon dog carcasses. In a camera trapping survey, we categorized the skin condition of raccoon dogs, and used a number of independent videos to calculate the relative abundance index (RAI). The RAI of raccoon dogs with alopecia increased following an increase in the RAI of those without alopecia. Among 27 raccoon dog carcasses, 12 showed mange-compatible skin lesions. Sarcoptes scabiei was isolated from 11 of these raccoon dogs, indicating that sarcoptic mange was endemic in our study area. Therefore, a high relative population density may be a factor underlying epizootics of sarcoptic mange in raccoon dogs.
著者
長南 浩人
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.417-426, 2001-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

本研究は, ろう学校高等部の生徒35人を被験者として日本手話・中間型手話・日本語対応手話の構造の違いが手話表現の理解に与える影響を, 被験者の手話能力と日本語能力という2つの要因から検討したものである。理解テストは, 被験者が, 日本手話, 中間型手話, 日本語対応手話を見て, それぞれと意味的に等価な絵をワークシートから選択するという方法で行われた。その結果, 手話能力と日本語能力が共に高いGG群は, 理解テストにおいて日本手話, 日本語対応手話のどちらでも高い得点を示し, 手話能力が高く日本語能力が低いGP群は, 日本手話でのみ高い得点を示し, 手話能力が低く日本語能力が高いPG群は, 日本語対応手話でのみ高い得点を示し, 手話能力と日本語能力が共に低いPP群は, いずれの手話表現でも低い得点を示したというものであった。このことから, ろう学校高等部の生徒が理解しやすい手話の種類には個人差があることが分かった。また, 中間型手話はどの被験者にとっても理解が難しい表現方法であることが分かった。
著者
中澤 務
出版者
關西大學文學會
雑誌
關西大學文學論集 (ISSN:04214706)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.55-83, 2010-09