著者
藤田 哲也 堀内 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.414-420, 1998-12-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
25
被引用文献数
1

Judging whether words refer to oneself results in better memory than judging words on a semantic or physical basis. This phenomenon is known as self-reference effect. It is assumed that people encode more attribute when they are engaged in self-referent processing than when they are engaged in other types of processing, but it is not clear what kinds of attributes are encoded. In this study, the performance patterns of three judgment types (self, semantic, and physical) were measured in two conditions: A perceptual implicit memory test (the word-stem completion condition) and a conceptual explicit memory test (the word-stem cued recall condition). The results showed that in the explicit condition, both the self reference effect and the levels-of-processing effect were obtained, but in the implicit condition, all judgments produced the same memory performance. This finding suggests that self-referent judgment produces a perceptual encoding that is similar to a perceptual encoding in semantic or physical judgment, and, that self-referent judgment produces more semantic and conceptual encoding than semantic or physical judgment.
著者
津谷 和男
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料試験 (ISSN:03727971)
巻号頁・発行日
vol.3, no.12, pp.72-76, 1954-03-01 (Released:2009-05-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
入來 篤史
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

行動経済学はバブルを引き起こすと考えられるヒトの非合理的な行動の一部について説明することを始めている。たとえば、「貨幣錯覚」と呼ばれる現象は、インフレーション下で名目所得が増加すると実質所得は減っていても所得が増えたように錯覚することであり、購買行動を誘発することでバブルを引き起こすと考えられる。一方、神経経済学はバブルに関わるヒトの非合理的な行動を支持する神経基盤を明らかにしつつあるが、バブルが発生しているときに取引しているヒトの脳活動はこれまでに計測されていない。我々は、実際にバブルの様相を呈し破綻に至った投資会社の株式価格データを用いて、実際に株取引を行っているときの脳活動を計測した。被験者は取引により収益を最大化するよう求められ、参加の謝金が収益に依存することを理解して実験に参加した。実験の結果、バブル期の買い注文に関わる脳活動のなかで被験者の収益に相関するのは腹内側前頭前野(BA32)であった一方、売り注文に関わる脳活動のなかで被験者の収益に相関するのは外側前頭前野(BA10)であった。これらは我々の仮説を支持する。また、fMRI実験後に行った時間展望尺度アンケートの結果と相関するバブル期の買い注文の脳活動が左下頭頂小葉(BA40)に見られた。これらの結果から、下頭頂小葉で計算される株価の見通しが認知バイアスとして働くことで腹内側前頭前野の非合理的判断を誘導したのではないだろうか。もしそうであるならば、下頭頂小葉がヒトで大きく発達したことが、経済的な予測を可能にするのと同時にバブルという病理を生み出しているのかもしれない。
著者
上田 城久朗 能丸 真司 永田 夏織 梶井 信洋 大村 良介 原田 俊則 鈴木 伸明 鈴木 道成 森岡 秀之
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.33-37, 2000-01-05
被引用文献数
17 13

症例は73歳女性.朝食2時間後より突然,上腹部痛出現.腹部CT検査と小腸造影検査より空腸憩室を合併した小腸軸捻転症と診断した.入院約1カ月後,手術を施行したが,小腸全体が反時計回りに720°捻転しており,空腸憩室はTreitz靱帯から約25cmの部位の腸間膜よりに存在した,原発性小腸軸捻転症は,本邦ではまれな疾患で術前診断されることは少ないが,本症例では典型的なCT像より術前診断が可能であった.
著者
鶴 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.129, pp.95-100, 2013-07-11

TCP/IP技術に基づくエンドツーエンドのパケット交換を原理とする現在のインターネットは、極端に長い伝搬遅延、頻繁なパケット損、間欠的な通信リンクなどが発生する劣悪な状況においてはきわめて通信効率が悪い。惑星間インターネット通信を起源の1つに持つ遅延耐性ネットワーク:DTN (Delay Tolerant Networking)は、このような環境でのエンドツーエンド情報伝達を効率的に実現するための技術や枠組みを指し、Dの意味として、Disruption, Disconnection, Disaster等を取りこみながら情報伝達システム設計の可能性を広げ、実用的必要からも理論的興味からも多様な研究が続けられてきた。Challenged networkingやOpportunistic networkingなどの側面において共通的な要素技術は、時間的不連続性や空間的不連続に対応するためのネットワーク内部における情報の蓄積形転送(待機&転送)と蓄積運搬形転送(物理的移動&転送)およびそれらと連携した情報符号化であり、それらの技術は通常のネットワーク環境においても有効性が認識されてきた。特に最近は、個別のアプリケーションにおける要素技術として高度な適用と実用化が進んでいると同時に、極めて多様な有無線が統合された今後のインターネットを資源効率よく実現する情報流通アーキテクチャとしての発展も期待されている。本講演では、これまでのDTNの研究やアプリケーションを簡単に紹介すると共に、新世代インターネットに向けた様々な技術進展の中でのDTNの行く先を議論する。
著者
北形 元 笹井 一人 高橋 秀幸 木下 哲男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoNA, モバイルネットワークとアプリケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.168, pp.63-66, 2013-07-25

本稿では,大規模災害時における通信需要の極端な増加,電力供給の停止,通信路の切断など,極めて厳しい条件下において円滑な通信を実現する不揮発性ネットワーキングを提案する.大規模災害時においては,極端な通信需要の増加状態の継続により輻輳が緩和されず,大規模な通信障害が長時間に渡り続く.このような不安定な通信品質の下で,中継ノードでデータを一時蓄積しながら中継していく技術としてDTN(Delay Tolerant Networking)が提案されており,これを活用した災害時の情報通信方式も提案されているが, DTNがその性質上,送信のみの単方向通信であるという点から,安否情報や避難情報など,情報入手に利用することは難しい. そこで本稿では,利用者端末からのリクエストとサーバからのレスポンスの両者をひも付けながらネットワーク上に保持することで,リクエストを送信してからサーバからのレスポンスを受信の間に,利用者端末をネットワークから切断し可能とする,不揮発性ネットワーキングを提案し,その主要技術について述べる.
著者
桃原 岳史 宮里 智樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.39, pp.1-5, 2014-03-07

劣通信環境とよばれる,通信インフラが貧弱,あるいは存在しない環境化においては,通常のネットワークとは異なるアプローチでの通信様式が求められている.途絶耐性ネットワーク (DTN:Delay Tolerant Network) とは,そのような環境での情報伝達を目的とした通信技術である.DTN の形態のひとつに蓄積運搬型通信があり,移動する端末が移動経路の近辺に存在する端末と相互に情報を転送することで情報伝送を行う.蓄積運搬型通信においては,ノード間の通信可能時間内に転送できるデータ量が限られるため,効果的な伝送制御法が研究されている.本論文では,地域コミュテイでの情報サービスの災害時運用として,DTN の概念を取り入れた情報サービスを設計,平時から非常時までをシームレスにサポートするサービス形態を提案.その概念を実証するためのテストベッドを構築した.転送するデータのメタ情報をもとに通信ノードとの転送ファイルを決定する手法を提案し,提案手法を実装したテストベッドでの性能計測を行い,有効性の検証を行う.In the environment with a poor or no inteernet infrastructure, the communication style in different approach from usual is searched for. DTN:Delay/Disrupt Tolerant Network is the Communication technology aiming at such environment. Store-Carry-Forward is one of the style of DTN. At Store-Carry-Forward,mobile node makes communication by moving between a node and a node. In that case, since traffic is restricted, the various control methods are devised. In this research, the communication service using the technique of Store-Carry-Forward was created and the performance measurement was performed.
著者
多氣 真之輔 小板 隆浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoNA, モバイルネットワークとアプリケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.209, pp.5-9, 2013-09-05

通信インフラが破壊された状況においても通信を行える手段としてDTNが注目されている. DTNは通信の切断に強い反面,メッセージ到達に時間がかかる問題がある.ルーティングの方式によっては無駄なメッセージの増大も発生する.本研究では,DTN環境に特殊な移動を行う移動中継ノードを導入し,メッセージ到達時間を短縮し,無駄なメッセージの削減の実現を目指す.
著者
山口 晋
出版者
目白大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,①地方都市の若者文化,とりわけ音楽文化と地域社会との関係,②大都市周辺地域における若者の転出入行動を場所感覚の観点から探求した。①については,フリーの野外音楽フェスティバルでは,日本最大規模の「上田ジョイント」の盛衰について,「上田ジョイント」の制度化と,オーガナイザーの「サブカルチャーからの卒業」をキー概念に分析した。②については,埼玉県戸田市における,転出入者の行動を調査票調査から明らかにした。その際には,転出入行動が顕著であったのが若年層であり,転出入先が戸田市に隣接する市に多いことが明らかになった。
著者
金持 徹也 桧垣 博章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.3, pp.1-6, 2013-10-10

無線マルチホップネットワークにおいて,データメッセージ群を複数の異なる経路を用いて配送する秘密分散通信を行なうための隣接独立ルーティング手法を提案する.ここで,盗聴無線ノードを含むすべての無線ノードが高々単一経路を配送されるデータメッセージ群のみを取得し,複数経路を配送されるデータメッセージを取得しないことを実現するために,異なる経路に含まれる中継無線ノードの無線信号到達範囲の共通領域に無線ノードが含まれることを回避する.ただし,送信元無線ノードと送信先無線ノードの近隣では複数配送経路が近接することから,これらの無線ノードの近隣は盗聴無線ノードが存在しない安全領域であることを適用条件とする.また,簡易実験結果により,提案するルーティングプロトコルに従った制御メッセージ送信を行なわない盗聴無線ノードが複数経路を配送されるデータメッセージ群を取得できる領域は 1% 未満であり,これを可能とする経路が検出される可能性を考慮すれば,実際にデータメッセージ群を取得できることはほとんど考えられないことを示す.This paper proposes a novel routing protocol called neighbor-disjoint routing protocol in wireless multihop networks for secret sharing communication where data messages are transmitted along multiple wireless multihop transmission routes. Here, all wireless nodes including wiretapping wireless nodes receive data messages transmitted along at most one transmission route, i.e., they never receive data messages transmitted along multiple transmission routes. This is realized by the proposed protocol which ensures that there are no or less wireless nodes whose locations are included in wireless transmission ranges of intermediate wireless nodes included in different wireless multihop transmisison routes. In order to assure this security property, it is assumed that there are no wiretapping wireless nodes around the source and the destination wireless nodes since multiple wireless transmission routes are neighboring. A result of naive experiments show that an area where wiretapping wireless nodes are included in wireless signal transmission ranges of intermediate wireless nodes in different wireless transmission routes is less than 1% under our neighbor-disjoint routing environments.
著者
阿部 恵介 桧垣 博章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.244, pp.31-36, 2013-10-17

車輛の動線が交差する交差点では, 交通信号機によって片方の動線の交通流を一時停止することによって車輛の衝突を回避する. しかし, 物理的な信号機は, 設置, 維持, 管理のコストが大きく, 自然災害等による破損の影響が大きい. 本論文では, 車載コンピュータ間の車車間通信によって, 車輛の走行状態に基づいて協調的に生成された赤信号情報の集合である仮想信号機による車輛衝突回避手法を提案する. ここでは, 衝突回避を可能とするための車載コンピュータ間通信距離を導出し, 赤信号情報生成プロトコルを構成する. ここでは, 各車輛の走行状態によって赤信号を生成することで, 衝突回避を前提として赤信号時間を短縮することを可能とする. また, 互いに整合しない複数の信号が一時的に生成される場合でもこれを検出し, これらを生成した車載コンピュータ間の協調によって調整可能であることを示す.
著者
高橋大斗 中村嘉隆 高橋修
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.16, pp.1-6, 2013-11-07

近年のモバイル端末の高性能化に伴い,モバイル端末が扱うファイルサイズは肥大化している.ファイルサイズの肥大化への対応のため,アドホック通信を用いたモバイル端末間のファイル転送方式は今後さらなる改良が求められる.また,モバイル端末間でのファイル転送の際には,中継役を不要とするアドホック通信が適していると考えられる.本研究ではアドホック通信におけるファイル転送効率化の手段として,マルチホーミングと TCP マルチコネクションに焦点を当て,モバイル端末間における効率的なファイル転送方式を提案・実装した.本提案方式の有効性を示すべく,無線通信環境の変化時におけるスループットの変動などにも注目し,その評価を行った.
著者
與那嶺 諭宏 王 家宏 児玉 英一郎 高田 豊雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.11, pp.1-6, 2013-12-12

2011 年 3 月 11 日に東日本大震災が発生し,岩手県を含む広域にわたり電力設備や通信設備が機能しなくなった.被災地では,既存の通信インフラを用いたコミュニケーンョンが行えず,情報の入手が困難であった.しかし,被災地にいる人々が所持していた無線通信機能を有する通信端末は機能しており,アドホックネットワークの構築は可能であった.このことから本研究では,無線による端末間通信を行うアドホックネットワークを用いた緊急用コミュニケーションシステムモデルを提案する.本システムを利用することにより,通信インフラの復旧までの間,人々のコミュニケーションのサポートが可能である.On March 11, 2011, Tohoku earthquake and tsunami occurred, which caused extensive and severe damages to the power supply system and communication supporting system in north-eastern Japan, including the Iwate. Due to the damage, communication based on the existing communication infrastructure became impossible, and it became hard for people to obtain information. It is found that, however, most people at the disaster-hit area held wireless mobile terminals, and the ad hoc network could be constructed to support obtaining information. In this paper we propose approach to constructing a wireless ad hoc network based communication supporting system, which can be used for the emergency use at a disaster-hit area until the communication infrastructure becomes restored.
著者
小原 知也 若原 恭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.29, pp.1-6, 2014-03-07

近年の車車間通信によるネットワークへの期待や自然災害に対する救助等への応用により,アドホックネットワークの利用の可能性が増えてきている.そのような多彩な環境の上で信頼性ある通信が求められる際には TCP を利用することが考えられるが,アドホックネットワーク上で TCP を用いた場合,グッドプットが大きく低下してしまうことが知られている.アドホックネットワークでは,ノードの動きによってリンクが途切れやすくなりルートの入れ替わりが激しく,またマルチホップ無線通信によってパケットの衝突が頻発する.これによって輻穰が生じていない場合でも TCP によって輻韓だと誤認されてしまい,不適切な再送タイムアウト (RTO) を引き起こしグッドプットが低下してしまう.そこでこのような不適切な RTO を回避するために,RTO よりも早期のルートの再セットアップ及びパケット再送を行い,グッドプットの改善を行う.シミュレーション実験によりこの手法が最も良く働くパラメータの調整を行い,グッドプットの低下を抑えるために有効性があることを確認した.In recent years, the expectation of networks for inter-vehicle communication, the utilization for natural disasters relief etc. have widened the applications of ad hoc networks. When a reliable communication is required under a variety of such a network, TCP is to be used. However, it is well known that the goodput of TCP degrades significantly in ad hoc networks. In ad hoc networks, a route is likely to change because of link breakage by node mobility, and there will be frequent packet collisions in multi-hop wireless communication. This leads to the misjudgment of congestion by TCP, and as the result, there will be inappropriate RTO (timeout) to decrease its goodput. Therefore, we propose early route re-setup and early packet re-transmission, to improve the goodput by avoiding inappropriate RTO. By some simulation experiments, we adjust the parameters of proposed method, and demonstrate the effectiveness of the proposal in suppressing the decrease in the goodput.
著者
青木 英郎 長井 昭裕 関山 友輝 大島 訓
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.18, pp.1-6, 2012-07-25

マルチコアのサーバにおいて,メモリ回収専用コアの割当てにより,リアルタイム性を必要とするアプリケーションがオーバヘッドの低い安定的なメモリ確保を可能とする手法を述べる.計算機の低価格化にともない,高信頼性、安定性が求められる制御システムでも,PC アーキテクチャを基にした計算機と Linux などの汎用 OS が利用されるようになってきた.汎用 OS のメモリ管理では、プロセスやディスク I/O のページキャッシュに、可能な限りのページを割り当てる.このため、メモリ管理機構は,新たなページ割当て要求に対して、オーバヘッドの高いページ回収処理を実行しないと、要求されたメモリが割り当てられない状況が発生する。本研究報告では,ページ回収の契機となる閾値をコアごとに設定できるようにし,コアごとに異なるポリシでページを回収する.これを利用することで,アプリケーションの実行コアに回収が発生しない低い閾値,ページ回収コアに高い閾値を設定するシステムが設計できる.評価により,コア別のページ回収は,システムのメモリ負荷が高くなった場合にでも,アプリケーションの実行を保証する仕組みとして有効であることを確認した.This technical report presents a method to ensure that real time applications allocate memory with low overhead memory by assigning memory reclaiming core in multicore server. Nowadays, PC based computers and general purpose operating systems are popularly used for control systems. In general purpose operating systems like Linux, memory manager allocates pages as much as possible for processes and disk I/O cache. Thus, in many cases, new page allocation would cause page reclaiming, which is very high overhead procedure. The method that we propose enables memory manager to have different page reclaiming thresholds for each core. To use this method, system administer can set page reclaiming policy to cores. If the threshold is low, the core is able to use for running real time application. Moreover, page reclaiming core has high threshold. In our evaluation, the method is feasible to insure execution of application against high memory pressure.
著者
湯本 厚史 杉野 暢彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.462, pp.79-84, 2012-02-24

CUDAによるGPGPU向けアプリケーションの開発はCPUに関する知見を要し,難しい.そこで,我々はコード記述の容易さと性能を両立する目的で,プロファイル・データを活用してC言語からCUDAへとコードを再構成するコンパイラを提案する.提案コンパイラは入力コードをタスクに分割した上で,タスクの処理内容から加速可能性の判定手法により,GPU/CPUへのタスク割り付けを行い,CUDAコードの生成とチューニングを行う.独自のソースコード変換システムである『SCRInfra』を用いて提案コンパイラの試作を行い,例題プログラムを用いた評価実験によって有効性を確認した.本報告では提案コンパイラの詳細と性能評価実験について述べる.
著者
山田 英史 中居 祐輝 山根 智
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.1-19, 2013-12-20

近年の組込み機器の多機能化を受け,消費電力の抑制や小型化のために動的再構成可能プロセッサ(DRP)が注目されている.本稿では,CPUとDRPから構成される動的再構成可能システムを対象とした仕様記述言語を提案する.提案する仕様記述言語では,線形階層ハイブリッドオートマトンとオブジェクト指向を組み合わせることで,システム構成の動的変化を表現している.また,提案言語を対象とした検証器を開発し,その有効性を実証する.Recently, embedded systems begin to have various functions, Dynamically Reconfigurable Processor (DRP) draws attention to solution for the miniaturization and saving energy. In this paper, we propose the specification language for Dynamically Reconfigurable System, which is composed of CPU and DRP. The proposed language describes dynamically changing the system using Hierarchical Linear Hybrid Automaton and Object Orientation. Then, we develop the verifier for the proposed specification language, and verify the system.