出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.129-133, 1984-02-25 (Released:2009-05-25)
被引用文献数
1 1
著者
横山 朋子 一杉 正仁 佐々木 忠昭 長井 敏明 今井 裕 徳留 省悟
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.107-111, 2005-09-19 (Released:2017-04-27)
参考文献数
9

獨協医科大学口腔外科で外科治療を必要とした未成年患者のうち、母親がエホバの信者であった3人を対象にインフォームド・コンセントの過程および治療経過を参考に、輸血の可否を決定する際の望ましい対応法について検討した。15歳と17歳の患者は本人の意思にもとづいて、それぞれ輸血を承諾した。また、9歳の患者は十分な判断能力があると思われ、本人および母親の希望で非観血的治療を行った。未成年者が意思決定を行う際に、親の影響を受けることは十分に考えられるが、本人の判断能力の有無を見極めるには、年齢のみでなく患者との十分なコミュニケーションにもとづいて慎重に行うことが重要である。未成年者においても、判断能力がある場合には本人の意思を尊重すべきである。また、判断能力が不十分な場合や患者の意思が確認できない場合には、保護者の意思を最大限に尊重しながら、倫理委員会や複数の医師の判断で輸血の可否を決定することが望ましいと思われた。
著者
溝口 巴奈 川田 紀美子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.153-164, 2019-12-27 (Released:2019-12-27)
参考文献数
23

目 的初めて親になった男性における,父親としての発達とパートナーの里帰りの有無および里帰りに関する各要因との関連について検討することを目的とした。対象と方法第1子出生後約1か月が経過した男性345名を対象に,7産科医療施設で無記名自記式質問紙調査を行った。質問項目は,父親になることによる発達尺度,主観的幸福感尺度,基本的属性,里帰りの形態,里帰り期間中の父親の生活実態である。里帰りの有無および里帰りに関する各要因と2つの尺度得点との関連について,Mann-Whitney U検定またはKruskal-Wallis検定を行った。結 果本研究対象者においては,パートナーの里帰りの有無によって,産後1か月での父親としての発達尺度得点に有意な差はみられなかった。里帰り群において,「父親になることによる発達尺度」と統計上有意な正の関連があった項目は,パートナーの里帰り期間中に,毎日電話をすること,里帰り後の育児をストレスに感じること,自分自身の家事をストレスに感じること,であった。また,有意な負の関連があった項目は,生まれた子どもとの心理的な距離を感じることであった。結 論里帰り期間中にパートナーと電話で毎日連絡を取ることで,父親の子どもを通しての視野の広がりにつながること,生まれた子どもとの心理的な距離を感じていた者は家族に対する愛情が低かったことが明らかになり,パートナーが里帰り期間中の男性に対して,母子への積極的なコミュニケーションを促す支援の重要性が示唆された。また,里帰り後の育児や里帰り期間中の家事をストレスに感じることは,父親としての役割を遂行しようと模索する,発達プロセスの初期段階にあたると考えられた。以上より,パートナーが里帰りをする男性に対しては,育児に関する知識の提供や育児家事行動について考える機会を与えることが重要であるという示唆を得た。
著者
野中 章久 山下 善道 金井 源太
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.97-107, 2019-10-01 (Released:2019-10-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

ハウス等の温度を遠隔監視するシステムは,すでに多くの製品が市販されているが,フィールドサーバ研究にはユーザが自作することを想定した系譜がある.本稿はこの自作の系譜をハウス等の温度の遠隔監視システムへ応用するものとして,市販IoTプロトタイピング・キットを活用して水稲育苗施設の温度の遠隔監視システムを開発する.そして,実際の水稲生産法人の実用に供し,そのシステムの実用性を明らかにすることを課題とする.この課題解明のため,岩手県奥州市で近隣の農家に水稲苗を販売し,また作業受託・借地を合わせ約50 haの水稲作業面積を持つ水稲生産法人の芽出機と育苗ハウスにおいて実用試験を実施した.試験に供したシステムは安定的に稼働したため,芽出機の夜中の見まわりを廃止できた.また,ボイラ故障をいち早く発見するなどの効果があった.これら芽出機に関して削減した賃金や故障による損失の金額換算は,このシステムの年間費用を大きく超えることを明らかにした.また,育苗ハウスについても日中の見まわり回数を半減するなどの効果があった.このように稼働の安定性と実用性が明らかとなった.
著者
KAZUHIRO UZAWA YUJI SEKI DANIEL MORALES CHOCANO
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological Science (ISSN:09187960)
巻号頁・発行日
vol.129, no.2, pp.109-119, 2021 (Released:2021-09-01)
参考文献数
46
被引用文献数
4

Domesticated camelids spread to Peru’s Northern Highlands by 500 BC. The complexity and development of the society that then developed in the region have been explained by social networks enabled by the use of the llama as a cargo animal. However, the actual use of domesticated camelids in the Formative Period remains unclear. This study analyzed camelid skeletal remains excavated from the Pacopampa site (1200–400 BC) to provide information on the actual use of these animals. Osteometry determined the camelid to be llama; alpaca was not identified in the samples. Body part frequency, butchering mark distribution, and mortality profile revealed ritual consumption of the meaty part of young individuals. Four sacrificed immature llamas were detected. In contrast to the great similarity with the consumption process of artiodactyls’ only llamas were sacrificed, while deer were not targeted. Although there were no features in the animal bone material indicating the use of secondary products, the increasing number of artifacts related to textile production suggest the fiber might be the result of llama herding.
著者
槌屋 治紀
出版者
一般社団法人 日本風力エネルギー学会
雑誌
風力エネルギー (ISSN:03876217)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.A_1-A_6, 2016 (Released:2017-07-07)

This paper shows the statistical relationships among the electricity generations by wind and solar powers in ten regions of Japan. The electricity generations are simulated using the hourly weather data of Extended AMEDAS 2000. We tried correlational analysis of hourly, daily and monthly powers of wind and solar throughout a year. The result shows that the correlation coefficient is 0.58 between Hokkaido and Tohoku for wind powers, but those among the other adjacent regions are low. The correlational coefficients between wind and solar powers within each region are nearly -0.4 for daily and -0.6 for monthly generation. This means wind and solar powers can be complementary in each regions.
著者
加賀 秀治
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.4-12, 1986-09-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9

コンクリートの発展過程をその構成材料の面からとらえるべく, 各材料の変遷について調べた。セメントは生産量の増大とともに種類や品質の改善が加えられたが,骨材は資源の不足から種類が多様化し, 品質の悪化がコンクリートの耐久性低下の一因となった。また, 新たにアルカリ骨材反応などが発生した。一方, コンクリートの品質や施工性を改善するために各種の混和剤が開発され, 現在では不可欠なものとなった。
著者
松原 敏浩
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.55-65, 1984-08-20 (Released:2010-11-26)
参考文献数
38
被引用文献数
1

本研究の目的は, リーダーシップ行動の部下のモラールへの影響が, 部下のパーソナリティ, 部下の職務特性, 部下の職位水準によってどのように規定されるかを検討するものである。リーダーシップ行動は, PM式リーダーシップ測定尺度によって測定された。モデレーターである部下のパーソナリティ特性は, YG性格検査, 職務特性は質問紙によって測定された。そして部下のモラールも質問紙によって測定された。得られた主な結果は, 次の通りであった。1. 部下によって認知された上司の目標達成行動 (P行動) と部下のモラール (満足感次元) との関係は, 情緒的に安定した部下の方が, そうでなひものよりもより高い正の相関を示した。2. P行動と部下のモラールの凝集性次元との関係は, 社会的活動性に富む部下の方がそうでないものよりもより高い正の相関を示した。3. P行動と凝集性次元との関係は, 多様性に富む職務, 協力の必要性のある職務のものの方がそうでないものよりもより高い正の関係を示した。4. P行動と部下のモラールとの蘭係は, 部下の職位水準の上昇とともに増加した。5. 部下によって認知された上司の集団維持行動 (M行動) とモラールとの関係におよぼすモデレーターとしての部下のパーソナリティ特性の役割は, P行動の場合ほど明確でなかった。6. M行動とモラールとの関係は, 多様性に欠ける職務の方が富む職務よりもより高い正の相関を示した。7. 部下の成長欲求は, モデレーターの役割が明確でなかった。結果は, Houseのパス・ゴール理論, 三隅のPM理論から考察された。
著者
淺倉 康二 中川 哲朗
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.125, no.5, pp.288-291, 2005 (Released:2007-02-02)
被引用文献数
1 1

本記事に「抄録」はありません。
著者
小宮 京
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.5-13, 2010 (Released:2017-05-08)
参考文献数
20

2009年9月,1955年の結成以来,ほぼ政権の座にあり続けた自由民主党の一党優位体制が崩壊し,民主党を中心とした鳩山由紀夫内閣が発足した。政治報道も変化した。とりわけ派閥という存在は,従来の自民党政権と,新しい民主党政権の断絶あるいは連続性を考える上で,興味深いテーマである。本稿は,この問題を考える前提作業として,自由民主党における非公式組織である派閥の機能について歴史的に検討する。その際,総裁選出過程における派閥の役割を,1920年代,1945-55年,1955年以降の三つの時代に分けて, 分析した。その結果,派閥のあり方を規定したのは,第一に,大日本帝国憲法や日本国憲法のもとでの運用,第二に,総裁選出方法との強い関連が明らかにされた。そして,派閥は,非公式の組織でありながら確固たる存在となったことが判明した。