著者
山脇 雅夫
出版者
京都大学哲学論叢刊行会
雑誌
哲学論叢 (ISSN:0914143X)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-13, 2006

"Es werden in der Einleitung in Hegels Phänomenologie des Geistes die zwei Seiten des Bewußtseins unterschieden: Wissen und Ansich. Meiner Auffassung nach sind diese Seiten des Bewußtseins die Strukturkonstienten des Anspruchs, den es als erscheinendes Wissen darauf erhebt, daß das,was ihm wahr ist, auch an sich wahr sei. Was dem Bewußtsein wahr ist, kann mit der Seite des Wissens, was es aber für an sich wahr hält, mit der Seite des Ansich identifiziert werden. Wenn diese Auffassung richtig ist, dann ist der Inhalt des Ansich von dem des Wissens nicht verschieden. Auf die Vergleihung beider, durch die die Selbstprüfung des Bewußtseins vollzogen werden soll, scheint keines Neues zu erfolgen. In diesem Aufsatz wird diese Aporie zu lösen versucht, indem die Dialogstruktur der Prüfung in Betracht gezogen wird. Die Prüfung kann eine Art von Dialog zwischen dem Standpunkt von ‘für es’ und dem vom ‘an sich oder für uns’ betrachtet werden. Was an sich wahr ist, muß nicht nur für den, der es dafür hält, sondern auch für den anderen, der an dem Dialog teilnimmt, wahr sein. Deshalb kann der Dialogspartner das ihm Dargestellte von seinem eignen Gesichtspunkt aus betrachten und davon eine neue Ansicht abgeben. In dem Gedankengang der Phänomenologie des Geistes wird eine dem Bewußtsein bis dahin nicht bekannte Bedeutung der Sache häufig mit der gegensätzlichen Konjunktion ‘aber’ herbeigeführt. In diesem ‘aber’ bricht der dem Bewußtsein entgegengesetzte Gesichtspunkt des Dialogspartners durch. Daraus erhellt, daß die außer der Beziehung auf das Wissen seiende Seite der Sache der Ansicht aus dem Aspekt des Dialogspartners entspricht."
著者
小川 隆章
出版者
北海道教育大学
雑誌
釧路論集 : 北海道教育大学釧路分校研究報告 (ISSN:02878216)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.119-127, 2003-11-30

野外教育の実践活動は、夏に行われるものが圧倒的に多いことが指摘されている。北海道においては児童・青年の夏休みは短く、各種のスポーツ大会や学校行事が行われることも多い。一方他地域よりも冬休みは長い。積雪期が長く、ともすれば、屋内での活動が多くなりやすい。北海道東部では同じ北海道でも日本海側に比べると冬の天候は恵まれている。筆者の印象では日本海側で雪が降ったり、風が強く、吹雪が多い時期に道東では穏やかな晴天が続き、積雪量も多くないように思われる。こういう地域では、もっと児童・青年を対象とした雪上ハイキングや歩くスキーなどの屋外活動の機会を多く設けてもいいのではないかと思う。そこで、積雪期のハイキングコースについて調べようとすると、意外にも文献になっているものがない。無雪期の、いわゆる「夏山登山」のガイドブックは何冊か出版され、各コースについて、執筆者が実際に調査して克明に記述がなされ、ハイカーは初めてのコースでも不安無く出かけることができる。ところが、積雪期のハイキングコースについては紹介されているものが見当たらない。低山といえども、山は無雪期と積雪期では様相が一変している。そこで、ここでは阿寒国立公園の地域の低山を主にとりあげ、網走・十勝・根室の各管内からも1ケ所ずつ取り上げ、積雪期のハイキングコースの実態を調査して報告することにした。(1)白湯山(標高824m)(2)阿寒湖畔のポッケ探勝路と森のこみち、および太郎湖・次郎湖(3)オンネトーと展望台(標高788m)(4)藻琴山(標高1000m)(5)和琴半島一周(6)摩周岳685mコブ(7)幌岩山(標高376m)(8)然別湖・東霊湖と天望山(標高1173.9m)(9)知床横断道から羅臼湖の9コースについて記述し、コース中の注意したい箇所などを指摘するとともに、積雪期のハイキングの楽しさを伝えるようこころがけた。
著者
Cui Guangwei Hara Takahiro Simmons Szandor Wagatsuma Keisuke Abe Akifumi Miyachi Hitoshi Kitano Satsuki Ishii Masaru Tani-Ichi Shizue Ikuta Koichi
出版者
National Academy of Sciences
雑誌
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (ISSN:10916490)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.1915-1920, 2014-01-21
被引用文献数
141

サイトカインIL-15を産生する細胞の可視化に成功 -免疫系の微小環境の解明に期待-. 京都大学プレスリリース. 2014-01-21.
出版者
医学中央雑誌刊行会
巻号頁・発行日
vol.185(6), no.1674, 1963-04
著者
神崎 奈奈 三輪 和久
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.121-132, 2013 (Released:2013-10-10)
参考文献数
27

グラフの表現の違いが情報理解に与える効果が確認されてきた。このことは, 説明の仕方によって, グラフの使い分けがなされる必要があることを示唆している。本研究では, 研究発表等で日常的にグラフを使用している研究者を日常的グラフユーザと定義し, 日常的グラフユーザ, および理系大学院生, 文系学部学生を対象として, 自らが生成した説明とグラフ表現の一貫性に関する検討を行った。具体的には, 生成された説明中の特定の変数の表現と, 作成されたグラフにおける変数の配置の一貫性という観点から, グラフ作成に関する実験を行った。実験1A, 1Bの結果から, 日常的グラフユーザ, および理系大学院生は, 自らが生成した説明と一貫した表現のグラフを作成していることが確認された。一方, 実験2の結果から, 文系学部学生に関しては, 説明に関連したグラフの使い分けは確認されなかった。ただし, 実験3の結果から, 文系学部学生に関しても, グラフの候補を提示することによって, 自らグラフを作成する状況に比して, 説明に関連したグラフの使い分けが促進されることが示唆された。
著者
湊 太郎 宮内 宣宏 山崎 正一 佐藤 義夫 福江 正治
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.181-186, 2006 (Released:2013-02-19)
参考文献数
10

本研究では, 大阪湾の湾奥に位置する尼崎港と尼崎運河において行った実証実験の結果をもとにして, 海水浄化船による水質汚濁物質の削減の可能性について検討した. その結果, 海水中のSSの中で粒状態有機物の占める割合が大きいほど, 海水浄化船を稼動させてSSを除去することによって, 海水中から水質汚濁物質である有機物を除去することが可能であるということが判明した. また, 植物プランクトンは, 海水中に溶存する無機栄養塩類を取り込み固定している. つまり, SSとして植物プランクトンをより多く除去することができれば, それに伴って海水中の栄養塩類の濃度をある程度まで低減させることが可能になると思われる. これらのことから, 大阪湾の湾奥のように, 植物プランクトンが大規模に増殖する海域では, 海水浄化船によるSSの除去に伴う水質改善が, より効果的に行われると考えられる.
著者
中島 皇 竹内 典之 酒井 徹朗 山中 典和 徳地 直子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

温帯のスギと広葉樹が混交する天然林において総合的な調査を開始した。森林の動態の解明を大きな目標として、森の動きと働きを明らかにするのがこの研究の目的である。今回は特に物質の動きに注目して、今後の研究の基礎固めを行った。12年間に3回の毎木調査を行ったことにより、集水域が約8haある天然林の大まかな動きが捉えられた。小径の広葉樹ではソヨゴ、リョウブの枯死が多く、ソヨゴは常緑であるため冬の積雪の影響を大きく受けて「幹裂け」の状態を示しているものが多く見られた。流出物調査では北米で報告されている量と同程度の値が観測され、渓流水質調査では過去の観測データと比較すると硝酸濃度の上昇傾向が見られるなど、新たな知見が得られた。他方で、いろいろなイベントが森の動きに大きく影響を及ぼしており、そのイベントが生じた直後でなければ、なかなか影響を顕著に見つけられないことも事実である。この点は流出水量・流出リター量・渓流水質においても同様で、イベント時の現象を詳細に捉え、解析することが、今後の大きな課題である。毎木(成長量・枯死量)、樹木位置図、流出水量、流出リター量、渓流水質などの調査はいずれも時間と労力を必要とするもので、多くの人の力が必要である。森林という人間などよりはるかに長寿命の生物と付き合うためには、長期的な戦略と長期的なデータに裏付けられた息の長い調査・研究が今後とも必要である。
著者
星野 直哉
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究は、金星雲層(50-70km)起源の大気波動が中間圏(70-110km)・熱圏(>110km)の風速場に与える影響を、大気大循環モデル(GCM)を用いた数値シミュレーションにより解明することを目的としている。この目的達成のため、我々は、1)先行研究で考慮されてこなかった惑星規模の波を考慮した数値シミュレーション、2)風速観測とシミュレーション結果との比較、3)先行研究において取り扱いが不十分だった小規模な大気重力波の取り扱いの改良、及び数値シミュレーション、を達成目標と定め研究を行なってきた。まず、我々は惑星規模の波を考慮した数値計算を行い、金星熱圏では、惑星規模の波の中でケルビン波が最も卓越し伝搬することを世界で初めて示唆した。また、本研究では高度110km付近の風速観測を行っているドイツ・ケルン大学の研究チームと連携し、シミュレーションと風速観測との比較を行なった。その結果、高度約110km付近の数日スケールの風速変動強度は本シミュレーションで示唆されるケルビン波による風速変動強度と整合的であり、従来不明であった熱圏変動の要因の一部がケルビン波にあることを示唆した。続いて、重力波の取り扱いを改善した数値計算を行った。その結果、小規模な重力波が下層から上層に運動量を輸送し、熱圏において100m/sに及ぶ高速東西風を駆動することを示唆した。計算による熱圏高速東西風強度の高度分布は、先行研究の風速の高度分布とよく一致する結果であった。また、本研究では初めて熱圏高速東西風のローカルタイム分布に着目し、高度約100-110kmの熱圏高速東西風強度は昼側より夜側で強いことを示唆した。このような、熱圏高速東西風強度の昼夜依存性は先行研究の観測より示唆されていたものの、数値計算によりその存在を実証したのはこの研究が初めてである。
著者
和島 芳男
出版者
神戸女学院大学
雑誌
論集 (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.45-57, 1954-12
著者
井良沢 道也 馬場 潤 高橋 祐紀 IRASAWA Michiya BABA Masaru TAKAHASHI Yuki
出版者
[岩手大学農学部]
雑誌
岩手大学農学部演習林報告 (ISSN:02864339)
巻号頁・発行日
no.42, pp.79-95, 2011-06

岩手・宮城内陸地震被災流域において,気象・融雪観測を行った。気象・融雪観測を行った5箇所(一関No.1~4,荒砥沢No.5) の気象・融雪観測の総括表を表-3に示す。 岩手・宮城内陸地震被災流域における気象・融雪観測によって,以下の課題が得られた。融雪水量の観測より磐井川No4地点は標高が260mと低く,12月から3月にかけて気温がプラスとなる日も多く,融雪だけでなく,降雨が積雪中を浸透する現象も考慮する必要がある。磐井川支川の産女川で2009年4月21日から22日に小規模な泥流が発生した。設置していた監視カメラにその画像を捉えることができた。近傍の一関No.2では2009年4月21日に簡易熱収支法から求めた積雪層底面からの排出水量110.2mm/day,22日は74.1mm/dayであり,融雪期間中最大の値であった。降雨と融雲水により不安定な河道堆積物層が流動化したものと推定される。なお,本流域では厳冬期にも降雨を記録する日があり,ライシメータ実測値には表面発生融雪量の他に降雨量を考慮{する必要がある。地温計の分析により気温の高くなる融雪末期では0℃に近くなり,0℃の融雪水が地表に活発に供給されている様子が伺えた。積雪が無くなると地温は急上昇しはじめる。気温と地温の変動から根雪及び消雪の期間の推定,及び融雪の活発な時期をある程度推定することが可能となる。山地災害の発生した流域全体に,地震発生以降は融雪や降雨によって全般に大きなニ次災害は発生していない。しかし,岩手県一関総合支局の調査では厳美町市野々原地区において新規崩壊や拡大崩壊箇所が51箇所確認されている。地震以後については,一関No.1~3地点では約2年分,一関No.4地点,荒砥沢No.5地点では約1年分のデータしかない。さらに様々な条件下での気象・融雪特性を把握していくためには,今後も継続的に観測及び解析を行う必要がある。さらに,多角的な視点から地震発生以降の土砂生産,土砂移動の挙動の対応など分析していく。これまで,融雪現象に関する研究例は小島(5)に代表されるように,北海道で盛んに行われてきた。本地域では厳冬期でも降雨を記録することが多いため,北海道とは気温などの気候条件と共に融雪現象にも違いが見られるとされる。そのため,今後,東北地方を中心とする積雪地帯において融雪と土砂災害との関連性を検討した研究事例(6-8)が増えることを期待する。
著者
韋 冬
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

計測現場における計測精度の向上を図るためには、光周波数コムに直接リンクした長さ計測技術を開発する必要がある。光周波数コムを用いた長さ計測の精度を向上させるために不可欠な空気の揺らぎ補正を取り上げ、構築した光学システムを用いて空気の揺らぎによる誤差を補正する技術要件を検討し、高精度で絶対的長さを計測できる方法を用いて提案法の検証を目標に研究を進めた。
著者
妙本 陽 眞鍋 昇 今居 譲 木村 嘉博 杉本 実紀 岡村 佳則 福本 学 酒巻 和弘 庭野 吉巳 宮本 元
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.641-649, 1997-08-25
被引用文献数
13 15

ブタ卵巣の健常卵胞から調製した顆粒層細胞を反復感作したマウスの脾細胞とミエローマから常法に従ってハイブリドーマを作成し, IgM抗体を産生しかつ免疫蛍光法にて健常卵胞顆粒層細胞とのみ反応するものを選抜した. 次いでハイブリドーマが産生する抗体が培養顆粒層細胞にアポトーシスを誘発出来るかを調べ, 2種の細胞株 (PFG-1およびPFG-2) を選抜した. PFG-1抗体は顆粒層細胞細胞膜の分子量55kD, 等電点5.9の蛋白質を認識し, PFG-2抗体は分子量70kD, 等電点5.4の蛋白質を認識することがウエスタンブロット法にて分かった. 顆粒層細胞を0.1μg/mlのPFG-1抗体あるいは10μg/mlのPFG-2抗体を添加した培地で3時間培養すると顆粒層細胞にアポトーシスを誘発することが, 核の形態, DNAのラダー形成およびフローサイトメーターによる核相解析にて確認できた.
著者
古川 顕
出版者
京都大学経済学会
雑誌
経済論叢 (ISSN:00130273)
巻号頁・発行日
vol.179, no.1, pp.1-18, 2007-01
著者
束原 文郎
出版者
札幌大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の目的は,「大学の運動・スポーツ系部・クラブに所属していた者(以下,<体育会系>) が他に比して良い就職を得る」という<体育会系>就職神話について,戦後の動向とその変遷のメカニズムを捉えることにある.採用側の企業の変遷,新聞・雑誌記事での扱われ方,そしてスポーツと優良企業への内定獲得率の相関を検討した.主な結果として,<体育会系>就職は,1)時代的なリーディング企業によって牽引されること,2)大卒新卒労働市場が一時的な落ち込みから回復する期間にメディア上で取り上げられることが多くなること,3)優良企業からの内定獲得率にはスポーツ間で差異があることが明らかとなった.