著者
岩瀬 弘明 村田 伸 阿波 邦彦 松尾 奈々 山﨑 康平 米山 智彦 小松 直正 重田 裕子 窓場 勝之
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.163-167, 2013 (Released:2013-05-24)
参考文献数
22

本研究の目的は,高齢入院患者を対象に,異なる歩行速度における下肢筋力の貢献度を明らかにすることである。方法は,入院中の高齢患者13名を対象に,光学式歩行分析装置を用いて最速歩行と最大低速歩行の歩行パラメーターを計測した。また下肢筋力の代表値として,大腿四頭筋筋力と足把持力を評価した。歩行条件別に下肢筋力との関連を検討した結果,足把持力は最大低速歩行時の歩行率,歩幅,重複歩距離,立脚時間,遊脚時間との間に有意な相関が認められた。一方,大腿四頭筋筋力は最速歩行時の歩行率,立脚時間,遊脚時間との間に相関を示す傾向が認められた。最速歩行時の足趾把持力および最大低速歩行時の大腿四頭筋筋力は,すべての歩行パラメーターと有意な相関は認められなかった。これらの知見から,足把持力は最大低速歩行時の姿勢の安定化に関与している可能性が示された。一方,大腿四頭筋筋力は,身体を前方へ進める推進力としての役割が大きいことが推察された。
著者
坂本 達昭 春木 敏 吉本 優子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.67-75, 2013 (Released:2013-05-23)
参考文献数
22

【目的】教科学習における食に関する指導の進め方について解説したWeb教材「先生のための食育教室」を開発し,その利用可能性を検討した。【方法】大阪府下の小学校でチームティーチング形式により実施された教科学習における食に関する指導について解説したWeb教材を開発し,教諭・栄養教諭および栄養教諭免許取得をめざす学生の視聴により評価を試みた。評価アンケートは,①画面レイアウト,操作性等の技術面,②学習意欲を高めるためのARCSモデルによる注意,関連性,自信,満足感の4項目,③教材としての有用性の側面についてたずねた。併せて自由記述による意見を求めた。【結果】教諭19人,栄養教諭12人,学生84人がアンケートに回答した。技術面およびARCSモデルの4項目に関する問いに,教諭・栄養教諭および学生は,それぞれ80%以上が肯定的に回答した。教材の有用性に関して「教科学習における食に関する指導を実施するために役立つ」という問いに教諭・栄養教諭の77.4%が「そう思う」と回答した。「教科学習における食に関する指導の進め方について知ることができた」という問いに学生の96.4%が肯定的に評価した。他方,自由記述による意見からスライド送りやナレーションの速さ等の改善点が挙げられた。【結論】評価結果から当教材は,教諭・栄養教諭ならびに栄養教諭をめざす学生向けの教材として利用可能であることが示唆された。
著者
鷲見 克典 四谷あさみ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.1032-1040, 2004-03-15
参考文献数
26
被引用文献数
5

Webサイトは有用な情報源としてすでに普及しているが,日本では求める情報について調べるという利用目的から,Webサイトの合目的性を評定するツールの開発が遅れている.本研究では,図書館情報学における知見を基に,調べる際に利用される情報源としてのWebサイトの質を評定する20項目6ポイント尺度(WEI)を作成し,WEIによるWebサイトの評定実験を通じてその有用性を検討した.結果として,評定者間における評定結果の高い一致と,評定結果の時間的安定によって,信頼性が支持された.また,実験用あるいは既存のWebサイトに対する,学生,大学教員,司書の評定結果が予想された値であったことから,妥当性が支持された.以上から,WEIの有用性の高さが確認された.Websites have established their position as one of the most important information resources in recent times. However, development of evaluation tools (e.g., criteria, items and scales) for assessing Websites, which can be used to seek for needed information, has been seriously delayed in Japan. Based on the knowledge of library and information science, the study has attempted to assess the validity of a 20-item and 6-point Likert scale (WEI: Website Evaluation Inventory) as a tool for scaling the quality of Websites. Several experiments for assessing Websites were conducted using the scale. The results have shown, that by using the scale, there were no differences between the ratings by two groups of raters. Furthermore, the time stability of ratings have indicated reliability of the WEI. Ratings by college students, college teachers and librarians, for Websites created for the experiments and the actual Websites, were found to be as expected. The validity of the WEI was, thus, supported.
著者
山崎 沙織 逢坂 裕紀子 岡本 詩子
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.45-63, 2012

2009年に制定された「公文書等の管理に関する法律」の要点のひとつは、国の非現用公文書等についての利用請求権を 認め、それに基づく異議申し立てを可能にしたことにある。同法の努力義務規定により、上述の権利とそれに基づく異義申し立ては地方自治体の公文書政策にも反映される見込みだ。そこで、本研究は同法制定後の地方自治体の公文書館についての条例・規則の改訂状況を次の2点から調査した。(1)利用請求権や異議申し立てを認める改訂はあったか。(2)公文書館への意味づけを変えるような改訂はあったか。調査の結果、(1)'新規に条例・規則を制定した自治体を除き、利用請求権や異議申し立てを認める改訂は見られないこと、(2)'公文書館への意味づけは「地域の歴史・教育・文化を振興させる場」と「開かれた行政を実現させる場」に二分されるが、前者が保持される傾向にあり、この傾向が利用請求権成立の困難さに一定の影響を与えていることが判明した。
著者
李 東真
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.29-44, 2012

動的映像は、歴史や過去の事象を生々しく伝えることのできる資料として高い価値を有する。動的映像を研究資料としてまたは、創作活動の素材として利用するためには、動的映像を収集して、利用できる形に整理する、つまり組織化する必要がある。ニュースや映画などの完成作品としての動的映像は、提供元などが提示した情報を基に目録規則に従い記述することで組織化できる。一方で、素材もしくは半製品として存在する動的映像を記録として組織化する場合、動的映像そのものから目録、メタデータに対応する情報を生成することが求められる。動的映像資料の利用者研究を考察することにより、「制作者」、「タイトル」、「主題」がアクセスポイントして有効であること、さらに「制作者」、「タイトル」が与えられない素材、未完成・未公開作品などの動的映像から生成可能な情報は「主題」であることが示された。しかし、動的映像そのものからの主題を生成する場合、イメージを語で表現する作業を伴うことから、本稿ではさらに、その際に生じる問題点を考察、分析した。その結果に基づき、問題点を1)抽出する動的映像の階層レベル、2)抽出する素性の抽象度、3)抽出された主題の表現法の3つに分類した。
著者
添野 貴史
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.71-78, 2012

記録資料は、東日本大震災のような天災、戦争や紛争などの人災、火災等のいつ起こるか分からない災害や、記録資料自体の劣化など、さまざまな危険に晒されている。しかし仮にそのような場面に直面したとしても、「記録の媒体変換」を行い、さらに「分散管理」をしておくことで、記録情報損失のリスクを軽減出来る。当社は50年にわたり記録資料の「保存と活用」に携わってきた。本稿では、記録を損なうことなく将来に伝えるために、専門技術者として蓄積してきた技術力・アイディアを駆使した記録管理方法について、現状・今後の可能性を報告する。
著者
小川 智瑞恵
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.64-70, 2012

東京大学史史料室は、東京大学百年史編集室時代から大学に関する史資料を保管してきた。昨年度、史料室にておこなった所蔵資料に関する概要調査について報告する。このような調査が記録管理の礎となり、これまで史料室に寄せられた期待に応えうるようになることを願うものである。
著者
佐々木 和子 水本 有香 小川 千代子
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.101-109, 2012

東日本大震災被災地では、現在もNPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク(以下宮城資料ネット)などボランティアグループ等が中心となり、被災史(資)料の救出をおこなわれている。災害時の史(資)料救出活動は、1995年(平成7)におこった阪神・淡路大震災時の歴史資料ネットワーク(史料ネット)に始まる。その後大きな災害後には、被災地に史料を救出保全するネットワークが作られ、全国に広がっていった。2004年からは水害後の史料救出活動が始まり、そのノウハウが蓄積され、現在東日本大震災被災地で生かされている。本稿では、これらの活動の概観とともにその課題についても考察する。
著者
折間 桂子 青木 智子 津久井 亜紀夫
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.178-184, 2008-09-30 (Released:2008-11-11)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

コンビニエンスストア (CVS) の弁当・おにぎり類の利用実態についてインターネットによるアンケート調査を実施し, 次のような結果が得られた。  CVS弁当・おにぎり類1人あたりの購入回数は「週に1~2回程度」が多く, 女性の方が男性より多く, 特に30~39歳が頻繁に利用していた。  弁当・おにぎり類の選択重視点について栄養成分の関心度別によるコレスポンデンス分析の結果では, 栄養成分関心度が高い人は, 「添加物」や「栄養バランス」「季節物」を, 中位の人は「量」や「味」を, 低い人は「価格」をあげる傾向にあった。  弁当・おにぎり類を買うとき, 消費者の約70%が食品表示ラベルを確認しており, 約85%は信頼していた。  食品表示ラベル記載の「ナトリウム」と「食塩相当量」の相違については, 約80%が「知らなかった」と答えていた。また, 食塩摂取量について「基準があることは知っていたが, 基準が10g未満であることは知らなかった」が最も多く, 「基準があることも, 基準が10g未満であることも知らなかった」人を合わせると, 全体の70%は10g未満という数値を把握していなかった。  記載されている食品表示以外で必要だと思う項目は「製造日時」が最も多く, 特に40~49歳で高かった。栄養成分の関心度別によるコレスポンデンス分析では, 栄養成分関心度が高い人は栄養成分項目の追加を, 低い人は食材の生産地や原産国表示に関する項目をあげていた。  この研究は千代田区の補助金の一部で行った。