著者
青山 高義
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.91-102, 1995
被引用文献数
1

後氷期に異なった植生変遷をたどったと考えられている。ヒノキアスナロとスギの寒冷環境に対する性質を, 現在の天然分布と気候環境を比較することによって検討した。東北地方において, ヒノキアスナロとスギは, 同じ地域に成育することもあるが, ヒノキアスナロは北上山地などのより乾燥した太平洋側に, スギは日本海側のより湿潤な地域に分布している。特にヒノキアスナロの高度限界は, このような水文環境に関連して, 乾燥側で上昇し, 匍匐形で森林限界を越えるという性質を持っている。すなわち, ヒノキアスナロは年水過剰量700mm, 冬3ヶ月の降水量200~300mmで, 暖かさの指数25℃・month の気候環境で成育することができる。<br>最終氷期の温度低下を7℃程度とすると, スギは東北地方が北限地域となって北海道では成育不可能であるが, ヒノキアスナロは降水量が減少した条件下で, 渡島半島で標高約200m, 東北地方で標高約500mまで成育可能で, レフユジアを形成し得たと考えられる。
著者
時永 祥三 池田 欽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.465, pp.117-122, 2011-03-03

本報告では,非線形時系列モデルにおける粒子フィルタ(Particle Filter:PF)および遺伝的プログラミング(Genetic Programming:GP)を用いた構造変化の推定とその応用について述べる.まず非線形状態方程式により生成される観測時系列データからPFにより状態を推定する問題を仮定する.さらにモデルの尤度などから構造変化が抽出された場合に,非線形方程式が変化すると仮定し,GPによりこの変形後の関数形を推定する.すなわち,GP手法により元の関数形から変形された複数の関数を求め,モデルの尤度が最大となる関数を構造変化のあとの関数と推定する.応用例として人工的なデータを用いて,本報告の手法の有効性を確認するとともに現実の時系列データに適用して,構造変化の前後の状態方程式推定を議論する.
著者
時永 祥三 譚 康融
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.739-755, 2010-11-01
参考文献数
26
被引用文献数
4

企業(エージェントと呼んでおく)間取引などを時系列として表現した場合に,時系列から相互作用を除去した本来の状態(真の状態と呼ぶ)を推定することは取引安定化などに有用である.本論文では,遺伝的プログラミング(Genetic Programming:GP)による方程式近似に基づく粒子フィルタ(Particle Filters:PF)を用いた時系列からの状態推定とその変動抑制への応用について述べる.エージェントの交互作用を非線形の状態方程式で記述し,行動結果を時系列として表現した場合には,観測データからエージェント状態(真の状態)を推定するPFが適用可能である.これまでのPFの適用においては,状態方程式が既知であるとされているが,一般的な商品市場などを仮定した場合にはエージェントの行動は未知であり,状態推定と同時に方程式の推定をしなければならない.本論文の手法においては,方程式を記述する複数の木構造(GP個体)を与えておき,これらを状態方程式とみなして,状態推定をPFにより実施した場合のゆう度を求め,これに比例して個体の適合度を定義し,遺伝的処理を行い近似と推定の改善を図る.応用例として,商品受注関係やオークション市場での価格を対象とした人工・現実データに対するシミュレーションを行い,時系列変動を抑制する方法及び取引手法を変更する効果分析を示す.
著者
小塚 洋司
出版者
公益社団法人日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 (ISSN:18804004)
巻号頁・発行日
vol.21, no.10, pp.1159-1166, 1997-10-01
参考文献数
33
被引用文献数
23

Demand for ferrite EM-absorbers is going to increase, particularly in the field of EMC (electro-magnetic compatibility) technology. They are used for anechoic chambers, for example, and to prevent TV ghosting,forged echos in ships' rader signals, and EM-wave leakage from various electric devices. The fundamental principle for the construction of a ferrite EM-wave absorber is based on the idea of a "magnetic resistive sheet" backed with a conductive plate. However, various types of ferrite absorber that depart from this principle have been developed recently. For instance, double-layered absorbers, consisting of carbon and ferrite materials, and grid ferrite absorbers are widely used for anechoic chambers. EM-wave absorber consisting of a concrete panel and a ferrite plate, or of a concrete panel containing ferrite particles to prevent TV ghosting, have been developed as materials for building walls. These ferrite materials include, sintered soft ferrite, rubber ferrite, plastic ferrite, and by-product ferrite. This paper first describes the fundamental principle of a ferrite absorber's constraction and reviews trends in research on ferrite EM-wave absorbers. In response to recent broad EMC technology trends in EM-absorbers, simple methods for improving and changing the frequency characteristics of ferrite absorbers are introduced, such as the use of magnetized ferrite, ferrite combined with other materials, and ferrite with small holes.

1 0 0 0 OA 生殖補助医療

著者
浅井 美智子
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.2_77-2_84, 2008-10-31 (Released:2009-11-20)
参考文献数
5
著者
松崎 昇
出版者
上武大学経営情報学部
雑誌
上武大学経営情報学部紀要 (ISSN:09155929)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-38, 2009-03

わが国は1990年代以降、長期にわたって資産デフレの状態にある。もっとも昨今は資産デフレも底を打ったようにもみえるが、なお予断を全く許さないし、資産価格の極度の低迷状況に変わりはない。また経済成長率も、既に70年代以降低下しているのであるが、この90年代以降もう一段低落してしまった。(超)長期にわたる停滞である。都合、近年の日本経済は<資産デフレと停滞>という二重の長期低迷状態にあることになる。ではこの二重の長期低迷貴重を、私達はどうしたらよいのだろうか。ここで論理的には、物価変動は流通論に立脚した表層的短期的当面的な問題であるのに対して、経済成長は生産論に立脚した深層的長期的究極的な問題であることを想起しよう。もっとも資産価格はストック上の概念であってフロー上の概念たる一般物価とは異なる面をもつが、大きく括るならば物価の一環であることに変わりはない。ここから、なによりもまず前者(物価問題)の現在的難問形態たる資産デフレを止めなければならないことがわかる。資産デフレからの脱却である。停滞からの脱却はその後の話である。資産デフレから脱却するためには、まずインフレ・ターゲット政策を核とするリフレ金融政策を大胆に採らなければならない。需要刺激的なマクロ経済政策の実施である。しかもこのインフレ・ターゲット政策は、当初の目的を達成したのちも、継続的に維持していくことが望ましい。2〜3%前後のインフレ(目標とその実現)を常態とするわけであり、以降これが恒常的標準的な金融政策となるわけである。これは従来、デフレ脱却策として提示されてきたものであるが、資産デフレ脱却策としても有効である。だがそれだけでなく、資産(ストック)論上にある資産デフレ(ストックデフレ)からの脱却策としては、資産界固有の対策も必要である。そもそもわが国は既に資産大国(ストック大国)になっているからして、資産が経済のなかで占める位置・意味は大変に大きくなっている。しかも現代における最先端経済国においては、本来的にデフレと低利が常態となりつつある。したがって、まず一般に、資産面における変調に対しては、その度合いが大きい場合、国民の経済生活・企業の経済活動を守るために、資産市場・価格を安定させる政策も直接に打ち出すべきである。ましてや、近年みられたような、否現在も続いている激甚な資産デフレに対しては、直接に強力な資産リフレ政策を打たなければならない。やや具体的には、民間合同による資産市場徹底整備のほか、日銀によるTOPIX連動型・東証REIT指数連動型上場投信(ETF)の大量買いオペ、およびとりわけ政府による大都市再開発プロジェクト発動等の公的大型実需を執行すべきであろう。その財政的な裏付けとしては、政府紙幣発行等を用いればよいのではないか。インフレ・ターゲット対策というリフレ政策の継続的展開、および大都市再開発プロジェクト等による協力な資産リフレ政策の展開、合わせて<ダブルリフレ政策>により、<ダブル物価>を常時微インフレ気味に保つこと、その動的安定性を図ること、これがわが国の今後の金融・経済政策となるべきである。
著者
古関 聰 佐藤 直人
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.325-330, 2011-06-01

高速ネットワーク環境の普及にともない,現在,社会の様々な場面においてデータの大規模な収集・蓄積が進んでおり,これを解析することで有用な情報を抽出したいという機運が高まっている.このための計算基盤として,並列分散計算の仕組みであるHadoopが有望視されており,実際にHadoopを活用した事例もいくつか報告されている.しかし,Hadoopの提供するMapReduceフレームワークは比較的低レベルな仕組みであり,データ解析利用にはプログラムの特別な設計が必要であることから,Hadoopをデータ解析に活用するためのプログラミング・モデルやツールが求められている.本稿では,このようなHadoop上でのデータ解析をとりまく状況を概観し,Hadoopとデータ解析アプリケーションとの間のギャップがどのように埋められようとしているかについて解説を試みる.
著者
久保 典弘 村本 勝洋 下薗真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.84, pp.49-56, 2000-09-21

平面上に与えられた点をすべてを通過し最初の点に戻ってくる最も短い巡回路を求める問題の,非常に高速なアルゴリズムについて述べる.本アルゴリズムは非常に単純なアルゴリズムなので実装が簡単である.また,n個の点が与えられたときにO(n log n)時間,O(n)領域で計算を行う.アルゴリズムは,平面を分割し,点をソートして分割領域内の順路を求め,各領域内の順路をつなぎ合わせる構成をとる.ランダムに点が分布するときは確率的に定数近似アルゴリズムである.このアルゴリズムをKarpの分割アルゴリズム,Lin-Kernighanの局所探索,Aroraの近似スキームなどと比較した結果,実行時間は最も速く精度は同じかより良いという結果が得られた.We present a quite simple, fast and practical algorithm to find a short cyclic tour that visits a set of points distributed on the plane. The algorithm runs in O(n log n) time with O(n) space, and is simple enough to easily implement on resource restricted machines. It constructs a tour essentially by axis-sorts of the points and takes a kind of the 'fixed dissection strategy.' We show that the algorithm is a 'probabilistic' constant-ratio approximation algorithm for uniform random distributions. We made computational comparisons of our algorithm, Karp's partitioning, Lin-Kernighan local search, Arora's PTAS, etc. The results indicate that in running time our algorithm overwhelms existing ones, and the average approximation ratio is better or competitive.

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1926年06月29日, 1926-06-29

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1936年07月24日, 1936-07-24
著者
馬庭 知弘 齊藤 朋人 金田 浩由紀 南 健一郎 齊藤 幸人
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.221-226, 2008-06-20

背景.外来抗がん剤治療中で軽度の呼吸器感染症状を認めることがあるが,重度の好中球減少を伴わない場合は抗菌剤投与で経過をみることが多い.今回,外来化学療法中の症例で突然の呼吸不全を生じた症例を経験したので報告する.症例.68歳男性.2007年7月中旬に右中葉肺扁平上皮癌(pT4N0M0)に対して右中葉切除術施行,術後補助療法として外来にてCBDCA+TXLを3コース施行中に,数日前より継続する咳,膿性痰の増悪,さらに早朝からの38℃の発熱のため外来受診.胸部CTでは末梢の気腫性病変周辺に淡い浸潤影を認め,白血球数3300/mm^3.CRP値6.43mg/dlであった.同日14時50分の時点では,著変なく経過していたが,15時15分より突然の呼吸苦,38.9℃の発熱,ピンク色の泡沫状痰が出現し,酸素を投与するも経皮的酸素飽和度は80〜90%であった.ICUへ移室し気管内挿管施行.人工呼吸管理を含む集中治療にて救命しえた.結語.外来抗がん剤治療中に軽度の好中球減少や呼吸器感染を示す症例の中でARDSへ移行する症例があり,慎重な外来観察を要する.