著者
市川 顕
出版者
東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻
巻号頁・発行日
2012-03-22

報告番号: ; 学位授与年月日: 2012-03-22 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(情報理工学) ; 学位記番号: ; 研究科・専攻: 情報理工学系研究科電子情報学専攻
著者
米澤 嘉康
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1085-1091, 2007-03-25

1999年7月,大正大学綜合佛教研究所の写本調査チームは,チベット自治区ラサ市のポタラ宮において,『維摩経』と『智光明荘厳経』という両文献の梵文写本がそれぞれ完本として同じ帙に収められて所蔵されていることを確認した.筆者は,幸運にも,ポタラ宮での写本調査に参加し,その後の文献学的基礎研究に携わることができた.しかしながら,その過程で若干気にかかっていることがある.それは,『維摩経』と『智光明荘厳経』とでは知名度に差があるためか,貴重な両文献がセットで発見されたという事実がそれほど注目されていないのではないかということである.そこで,本稿は,『維摩経』と『智光明荘厳経』という両経典が,同一の寄進者シーラドヴァジャ,同一の筆写者チャーンドーカによってほぼ同時期に筆写され,同帙に収められて保存されてきたという事実を再確認して,彼らの意図がどのようなものだったか,考察するものである.状況証拠から導かれる暫定的結論は,シーラドヴァジャおよびチャーンドーカにとって,『智光明荘厳経』のほうが『維摩経』よりも優先度が高かったのではないかというものである.その背景には,写本筆写当時,さらにそれ以降,流行していた密教の思想・文化的影響もあったのかもしれない.
著者
岩城 卓二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、戦争と災害という視点から幕末期の畿内・近国社会の特質について明らかにした。具体的には、幕末期の畿内社会では、人々の間に戦争を忌避する意識が高まっていたこと、それは民間の情報網によって西国の広い地域の人々にも共有されていたこと、戦争による長州藩の打倒を叫ぶ畿内大名もいたが、社会を覆う戦争忌避の力と、たくさんの領主が小さな所領を領有するという所領形態によって軍事行動を起こすことはできなかったこと、幕末期の京都・大阪は武士人口が急増するが必要な労働力・消費物資は町・村が提供する「請ける」体制が機能していたこと、1865年以降天候不順が続き、災害復興に大勢の労働者が動員されたため、農村地主・幕藩領主の間で労働力の奪い合いが起こったこと、その矛盾が爆発したのが1866年の打ちこわしであったことを明らかにし、領主制の矛盾がいち早く吹き出し、その解体の必要性を提起したのが畿内の幕末社会であったことを指摘した。
著者
中桐 裕子 栗田 治
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.44-63, 2002-03
参考文献数
10

本研究は,従来のモデルでは追従しきれない成長現象を記述するモデルとして,階層構造を有する成長現象の微分方程式モデルを取り上げ,考察を加えるものである.ある種の成長現象は,η種の性質を順番に取得するといった「階層的な」構造を持っている.そこで本研究では,ある段階の性質を身に付ける個体数の成長速度が,その段階および直前の段階の性質を入手している個体数に依存するという仮定を設けて,『段階的成長微分方程式モデル』を作成した.同様の仮定から,宅地化を経て市街化面積が広がる様子を上手く記述するモデル等が提案されているが,本研究では,従来の研究にはなかった多段階成長の連立微分方程式に着目して,これに一般解を与える.モデルの適用例としては,特にゲーム機の売上データを取り上げた.ハード購入希望者→ハード購入者→ソフト購入者といった階層的な構造を定式化したモデルを実データに当てはめた結果,発売直後のハード売上を再現するには,段階的成長モデルが有効であることが確認できた.更にこのモデルを応用して,値下げキャンペーンによる売上増を記述できる簡便なモデルを作成することに成功した.過去の分析例や今回の研究成果より,ゲーム機売上の記述に留まらず,他の社会現象の中にも,このモデルによる記述が有効な局面も存在するのではないかと考えられる.
著者
庄嶋 芳卓 秋葉 正一 加納 陽輔
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.553-563, 2013-12-25 (Released:2014-12-25)
参考文献数
14

非鉄金属スラグは,非鉄金属精錬によって副生する循環資材であり,その代表的なスラグである銅スラグやフェロニッケルスラグ(以下,FNS)はコンクリート用骨材として既にJIS規格化され,利用されている.しかしながら,これらの生成過程や粒径,形状によっては利活用が困難なものもあり,特にFNS微粉末の多くは有効利用されないままとなっている.一方,集塵ダストとして発生する微粉酸化鉄は,消石灰と配合した安定処理材(以下,Fe石灰)として九州地方を中心に利用されているが,強度発現性に関しては経験的な要素が強く,究明すべき点が多い.本研究では,FNS微粉末の安定処理材としての利活用を提案し,九州地方の特殊土に対する改良効果について,Fe石灰による強度発現性および環境安全性,経済性と比較検証した.この結果,FNS微粉末の土質安定処理材としての有用性が認められた.
著者
石田 喜美
巻号頁・発行日
2008

筑波大学博士 (教育学) 学位論文・平成20年3月25日授与 (甲第4723号)
著者
白水 紀子
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.143, pp.123-169, 2003-03

近代家族(Modern family)是在形成近代國家的同時產生的一種制度,與近代〈母親觀念〉的確立以及專業主婦的誕生是表裡一致的。本文從比較的角度介紹幾篇20-30年代日中女性文學中批判近代家族的作品。日本的伊藤野枝《某個妻子寫給丈夫的信》,田村俊子《她的生活》,宮本百合子《伸子》,中國的盧隠《何處是歸程》,沈櫻《舊雨》《喜筵之後》,丁玲《一九三〇年春上海(一)》等作品描寫了結婚生活後失去自我的悲哀,以及被社會拋棄後的焦躁感和孤獨感,切實地訴説了女性的自我實現在帶着愛的面紗下的近代家族中是很難實現的。日本的作品中,主人公對結婚并没有抱有很大的幻想,倒是在結婚生活開始之前,做好充足的心理準備,而結果還是以悲劇或是與家庭作對而告終。而在中國的作品中,主人公對戀愛結婚有着強烈的幻想,因而在之後所面對的對結婚生活的幻滅和失望感相當強烈,作品倒像是把重心放在了表達這種絶望的心情上。但是日本和中國的作品也有共同點:幾乎所有的作家都通過自己痛苦的親身經歷,對近代家族制度本身充滿了疑惑。至此在中國,對民國時期的文學進行闡述時,五四時期關於批判傳統家庭以及以〈戀愛神聖〉為主題的作品十分令人注目,然而很少提到女作家們描寫的對所謂〈新家庭〉的批判。但是這些作品所提及的夫婦關係的言説以及女性在新家庭中面對的社會性別等問題是在中國近代文學史上不可忽視的主題。
著者
川上 則雄
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.985-1010, 2002-03-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。講義
著者
山口 惠三 大野 章 石井 良和 舘田 一博 岩田 守弘 神田 誠 辻尾 芳子 木元 宏弥 方山 揚誠 西村 正治 秋沢 宏次 保嶋 実 葛西 猛 木村 正彦 松田 啓子 林 右 三木 誠 中野渡 進 富永 眞琴 賀来 満夫 金光 敬二 國島 広之 中川 卓夫 櫻井 雅紀 塩谷 譲司 豊嶋 俊光 岡田 淳 杉田 暁大 伊藤 辰美 米山 彰子 諏訪部 章 山端 久美子 熊坂 一成 貝森 光大 中村 敏彦 川村 千鶴子 小池 和彦 木南 英紀 山田 俊幸 小栗 豊子 伊東 紘一 渡邊 清明 小林 芳夫 大竹 皓子 内田 幹 戸塚 恭一 村上 正巳 四方田 幸恵 高橋 綾子 岡本 英行 犬塚 和久 山崎 堅一郎 権田 秀雄 山下 峻徳 山口 育男 岡田 基 五十里 博美 黒澤 直美 藤本 佳則 石郷 潮美 浅野 裕子 森 三樹雄 叶 一乃 永野 栄子 影山 二三男 釋 悦子 菅野 治重 相原 雅典 源馬 均 上村 桂一 前崎 繁文 橋北 義一 堀井 俊伸 宮島 栄治 吉村 平 平岡 稔 住友 みどり 和田 英夫 山根 伸夫 馬場 尚志 家入 蒼生夫 一山 智 藤田 信一 岡 三喜男 二木 芳人 岡部 英俊 立脇 憲一 茂龍 邦彦 草野 展周 三原 栄一郎 能勢 資子 吉田 治義 山下 政宣 桑原 正雄 藤上 良寛 伏脇 猛司 日野田 裕治 田中 伸明 清水 章 田窪 孝行 日下部 正 岡崎 俊朗 高橋 伯夫 平城 均 益田 順一 浅井 浩次 河原 邦光 田港 朝彦 根ケ山 清 佐野 麗子 杉浦 哲朗 松尾 収二 小松 方 村瀬 光春 湯月 洋介 池田 紀男 山根 誠久 仲宗根 勇 相馬 正幸 山本 剛 相澤 久道 本田 順一 木下 承晧 河野 誠司 岡山 昭彦 影岡 武士 本郷 俊治 青木 洋介 宮之原 弘晃 濱崎 直孝 平松 和史 小野 順子 平潟 洋一 河野 茂 岡田 薫
出版者
日本抗生物質学術協議会
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.428-451, 2006-12-25
参考文献数
17
被引用文献数
37
著者
鈴木 隆芳
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.67-86, 2009-03-15

ソシュールが晩年アナグラム研究と呼ばれる思索に耽ったことは良く知られている。また、彼がそこでやっていたことについても、多くが、それ以前のソシュールとはまったく別人の営為を見ることでほぼ一致している。本稿は、それとは反対のことを試みようと思う。つまり、ソシュールのアナグラム研究を、その挫折までも含めて、彼の思索の持続の中に置いてみようと思う。
著者
王 宇 小野 智司 武田 和大 佐藤 公則 中山 茂
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-10, 2004
被引用文献数
4 1

本稿では,主成分分析を利用し,耳画像に基づいて個人認識を行う方式を提案する.近年,顔画像に基づく個人認識が広く研究されているが,顔画像は加齢や表情,体調の変化などに影響されるため,同一顔画像を長期間利用することは難しい.これに対し,耳は16歳前後から安定期に入り,形状が変化しにくいという利点がある.本方式は,入力画像に対し,輝度の正規化およびモザイク処理を施した後,主成分分析により,入力データの次元圧縮を行う.学習時には,1枚の入力画像に対して平行移動・回転を行った画像を登録することで,入力画像の位置ずれに対処する.実験により,提案する方式は110人の耳画像を99.7%の精度で認識できることを確認した.
著者
巻 直樹 髙橋 大知 高田 祐 柳 久子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.23-30, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
27
被引用文献数
2 3

目的 : 要介護高齢者における, 呼吸機能とADL・QOLの関連を検討することを目的とした.方法 : 要支援1・2及び要介護1・2・3の介護認定を受け, 通所リハビリテーションを利用している65歳以上の要介護高齢者87名を調査. 呼吸機能検査および, 心身機能検査, 嚥下機能検査と, 質問紙によるADL・IADL・QOL評価を実施し, Spearmanの順位相関検定を行い, 有意な相関が得られた項目を説明変数とする重回帰分析を行った.結果 : 呼吸機能は身体機能, 嚥下機能, ADL・IADL・QOLと有意な正の相関を認めた. 重回帰分析の結果, 一秒量, 嚥下機能はQOL (SF8身体&精神) , IADL, ADLに関連する要因だった. 要介護高齢者において, 呼吸機能とADL・IADL・QOLが関連していることが示唆された.考察 : 呼吸リハビリテーションにより身体機能を向上し, 呼吸機能, 嚥下機能を改善することにより, 要介護高齢者のADL, IADL・QOLを向上出来る可能性が示唆された.
著者
積雪地方農村経済調査所 [編]
出版者
積雪地方農村経済調査所
巻号頁・発行日
vol.第16号 昭和十一年積雪調査, 1940
著者
小幡 史明 影治 照喜 田畑 良 長瀬 紗季 生田 奈央 森 敬子 谷 憲治 坂東 弘康
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.18-22, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
11

背景 : 発症4.5時間以内の急性期脳梗塞患者に対するrt-PA静注療法が認可され有効性が報告されているが, 医療過疎地域では専門医不足と地理的条件からその実施は困難なことが多い.目的及び方法 : 2013年2月から2014年2月までの間, 当院に救急搬送された急性期脳梗塞患者は75例あり, このうち4例 (5.3%) に遠隔画像システム (k-support) を用いて画像診断を行いrt-PA静注療法のdrip and ship法を行った. この4例をretrospectiveに再評価し, 発症後の時間経過や治療転帰などについて検討した.結果 : 4例に対してdrip and ship法を施行し, 1例において閉塞血管の再開通が得られ症状の改善が見られた.考察 : 遠隔画像システムを利用することによってrt-PA静注療法のdrip and ship法が医療過疎地域においても安全に実施できると考えられた.