著者
湯浅 将英
出版者
東京電機大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

人と擬人化エージェントとの円滑な発話交替の設計には,(1)人の観察からの発話志向態度である「話したい/聞きたい」ときの顔表情と仕草のモデル化,(2)エージェントの「話したい/聞きたい」の非言語表現の作成と主観的評価,(3)エージェントの「話したい/聞きたい」の非言語表現時の人の脳活動計測,(4)評価結果,脳計測結果からのモデルの再作成が必要である.本研究は,(2)主観的評価に加えて,(3)脳計測を用いることにより,非言語表現モデルを評価するものである.さらに(4)主観的評価と脳計測による評価を繰り返すことで,より詳細な表現モデルの構築する.22年度では,擬人化エージェントによる発話志向態度である「話したい/聞きたい」を示す顔表現を探った.複数のさまざまな「話したい/聞きたい」を示す顔表現を持つエージェントキャラクタを作成した.アンケートによる主観的評価により,複数の顔表現の特徴を考察し「発話志向態度」を示す顔の表現モデルを構築した.作成した抽象的な発話志向態度のモデルと表現は,今後,機械による人の発話志向態度の認識,およびロボットや擬人化エージェントの表現などに幅広く応用可能である.さらに発話志向態度モデルの明示性/非明示性に着目し,語用論の観点から考察を行った.考察に基づき,脳計測実験のための実験デザインを作成した.今後,擬人化エージェントによる「話したい/聞きたい」の表現について脳計測データを収集し考察する.
著者
田辺 晃久 本間 康彦 兼本 成斌 日野原 茂雄 五島 雄一郎
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.323-331, 1984
被引用文献数
2 1

試作体位センサーによる体位情報とホルター心電図との同時記録から,虚血ST-T変化と体位ST-T変化との鑑別を試みた.対象は陳旧性心筋梗塞(OMI) 16名,狭心症(AP) 16名,健常例11名の計43名であつた.虚血ST変化はOMIで3/21件(14%), APで29/35 (83%)とAPに多く,体位ST変化はOMIで13/21 (62%), APで5/35 (14%)とOMIに多かつた.最大ST変化に至る時間は体位ST変化では10秒以内が18/25 (72%)と大多数を占めたのに対し,虚血ST変化では1分以上が28/32 (88%)と大多数を占めた.体位T変化についても10秒以内が15/18 (83%)と大多数を占めたのに対し,虚血T変化では10秒以内はわずか2/13 (15%)ときわめて少なかつた. CM<sub>5</sub>誘導における体位ST変化の20/22 (91%), T変化の19/21 (90%)は体位変換前後で標準12誘導心電図のV<sub>4</sub>, V<sub>5</sub>, V<sub>6</sub>のいずれかに対応して変化した.すなわち,これらの変化の原因は心軸回転で説明可能であつた.しかし,体位ST-T変化のうちST変化で2/22 (9%), T変化で2/21 (10%)は心軸回転で説明不能であつた. ST-T変化前に対する変化後の心拍数増加率(HR比)は虚血ST-T変化では高値例が多く,体位ST-T変化では少なかつた.とくにT変化でHR比1.3以上は虚血T変化の12/16 (75%)に対し,体位T変化では3/21 (14%)ときわめて少なかつた.以上より,ホルター心電図法の体位ST-T変化の虚血ST-T変化に対する鑑別点として, (1)ST-T丁変化の最大に至る時間, (2)標準12誘導心電図との比較, (3)心拍数増加の有無などの検討が重要と考えられた.
著者
蘭 信三 外村 大 野入 直美 松浦 雄介 上田 貴子 坂部 晶子 高野 和良 高畑 幸 飯島 真里子 花井 みわ 竹野 学 福本 拓 大久保 明男 倉石 一郎 山本 かほり 田村 将人 田村 将人
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の成果は以下のようである。まず、(1)第二次世界大戦後の東アジアにおけるひとの移動は日本帝国崩壊によって策定された新たな国境線によって引揚げ、送還、残留、定着という大規模な人口移動と社会統合がなされたことを明らかにした。しかし、(2)例えば日韓間の「密航」や中国朝鮮族居住地域と北部朝鮮間の移動のように、冷戦体制が整うまでは依然として残る個々人の戦前期の生活戦略による移動というミクロな側面も継続されていたことを明らかにした。そして、(3)帝国崩壊後も中国に残留した日本人の帰国のように、それは単純に「遅れた帰国」という戦後処理(コロニアリズム)の文脈だけではなく、日中双方における冷戦体制崩壊後のグローバル化の進行という文脈、という二つのモメントに規定されていたことを明らかにした。

1 0 0 0 無頼の文学

著者
無頼文学研究会編
出版者
無頼文学研究会会
巻号頁・発行日
0000
著者
やお文化協会
出版者
やお文化協会
巻号頁・発行日
1976
著者
佐藤 健 東島 圭志郎 安ヶ平 一也 村方 栄真
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.409-471, 2003-11

昭和基地の地上気象観測装置は,第39・40次隊により1997年と1998年の2カ年計画で更新された. 新システムは,1999年2月1日より正式運用を開始したが,その後1年間は旧装置での観測も継続して行い,両装置の比較のためのデータを取得した. 比較観測の結果から,次のことが分かった.1) 両装置の観測データは,概ね精度の範囲内で一致し,新旧データの均質性が保たれていた.2) しかし,一部の要素については,観測値に僅かであるが無視できない差異が生じていた.3) これらの差異は,測器感部やデータ処理の方法,設置位置の変更など装置の仕様変更に起因していた. 本稿では,これら両装置の観測値の差異とその特徴,データの均質性などについて考察した結果を報告する.
出版者
Jossey-Bass
巻号頁・発行日
1989
著者
村上 洸介 織井 達憲 笠間 貴弘 吉岡 克成 松本 勉
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.54, pp.1-8, 2011-03-03

近年,任意のユーザから実行ファイル等の投稿を受け付け,解析環境 (サンドボックス) 内で実行し,その挙動を解析して結果をユーザに提供する 「マルウェア動的解析オンラインサービス」 が人気を集めている.我々はこれまで,特別に設計したデコイを解析対象としてサービスに投稿することで,サンドボックスの情報を暴露させ,その情報を基に解析環境の検知・回避を行う攻撃に対して,当該サービスが脆弱であることを指摘している.特に,インターネット接続型のサンドボックスが用いる IP アドレスは,容易に変更することが難しい場合も多く,攻撃者に特定された場合にサービスの解析結果に重大な影響を及ぼす.そこで本稿では,サンドボックスをインターネットに接続する際に,検体を投稿するユーザのホストをプロキシとして用いることで,サンドボックスの IP アドレスを攻撃者から隠蔽する手法を提案する.また,提案手法の具体的な実現例について示し,考察を行う.Recently, the use of public Malware Sandbox Analysis Systems (public MSASs), which receive online submissions of possibly malicious files or URLs from an arbitrary user, analyze their behavior by executing or visiting them by a testing environment (i.e., a sandbox), and send analysis reports back to the user, has increased in popularity. In previous study, we have pointed out a vulnerability of public MSASs that the host information (i.e., Windows product key, MAC address, IP address, etc.) of a sandbox used in public MSAS can be easily disclosed by an attacker who submits a decoy sample dedicated to this purpose, and an attacker can detect public MSAS and conceal potential malicious behavior of malware by using the disclosed information. In particular, if the IP address used by an Internet-connected sandbox is identified by an attacker, then it causes serious influence on an analysis result of the service. In this paper, we propose a method that uses a service user as a proxy when the sandbox connects the internet for hiding its IP address. We also show an implementation example of the proposed method.
著者
田中 和永 小澤 徹 大谷 光春 西田 孝明 山崎 昌男 山田 義雄 柳田 英二 倉田 和浩 足達 慎二 平田 潤 関口 昌由 佐藤 洋平
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

非線型問題の研究を変分的手法により行った. 特に(1) 非線型シュレディンガーおよびその連立系に対する特異摂動問題に関して凝集解の変分的構成を行い, 非常に一般的な設定の下でその存在を示した. (2) 非線型楕円型方程式 (系) の解の存在を種々の設定の下で扱い, 解の新しい変分的構成を与えた. また解の安定性, 不安定性の研究を行った. (3) 空間次元 1 の特異摂動問題においては高振動解の特徴付けと存在結果を与えた.
著者
福島 淑彦
出版者
名古屋商科大学
雑誌
NUCB journal of economics and information science (ISSN:13466097)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.165-182, 2006-03

本論文は完全雇用を達成してきたノルウェー労働市場を概観し、完全雇用を実現させたノルウェーの賃金決定システム及び労働市場政策について検証している。ノルウェーにおける賃金決定は、第2時世界大戦以後一貫して全国レベルでの労使間賃金交渉によって特徴付けられてきたが、近年は地域レベル或いは産業レベルの交渉へと移行している。その結果、労働者間の賃金格差が拡大している。また1980年代後半の景気後退移行、ノルウェーでは雇用政策の重点を受動的労働市場政策(passive labour market programmes) から積極的労働市場政策(active labour market programmes) へと移しており、これが雇用の増大、失業の減少、延いては「完全雇用の維持」に大きく貢献してきた。さらに、ノルウェーの基幹産業である石油や天然ガスから得られる巨額の収益がノルウェーの完全雇用の実現に大きく寄与してきたことについても本論文は考察を加えている。
著者
石川 和信
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.489-493, 2011 (Released:2012-02-09)
被引用文献数
3 3

福島の大震災の特異性は,壊滅的な地震や津波による浜通りの市町村へのダメージに加えて,危険度とその範囲が判然としないままに避難や生活の糧を破棄するよう指示が追加されていった広域な放射線汚染,被曝への恐怖から惹起されたであろう国内外からの被災地・福島を回避する心理が膨らませた経済的損失や精神的重圧にあるように思う. 小雪の舞う早春に突然起こった未曾有の体験に対して,地方行政,地域の医療機関は懸命な対応を続けた.急性期には水道,電気,ガス,通信,移動手段(ガソリン)が整っていることが職務の前提であったことを痛感した.DMAT,被曝医療チームが地域の医療チームに加わり活動した.深刻化していく原発復旧作業の中,県内避難所2万5千人への巡回,20~30 kmの屋内退避地域の在宅患者への支援などを行った. 専門職には想定外などあり得ないこと,日々の有機的な組織・人と人との連携が変化への対応力となること,分かりやすい説明能力が安心感を生むことを皆が学んだように思う.医療と原子力事業の根幹に横たわる安全管理には共通する要素が多い.プロフェッショナルとしての使命の省察が個人・組織のレベルで予断なくなされてきたか,厳しく点検されることは,長年に及ぶ放射線汚染という重荷を背負いながら生きていかなければならない被災地域への大きな責務であるように思う.