1 0 0 0 OA 訃報

著者
松本 幸夫 清水 忠雄 新谷 晶子
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.40-43, 1991-03

田村一郎先生を悼む/高橋(高木)由美子図書掛長/高橋(高木)由美子さんを悼む/高橋(高木)由美子さんを偲んで
著者
姜 貞勲 山下 敦
出版者
独立行政法人国立循環器病研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

循環器疾患細胞に過剰発現しているGタンパク質共役受容体関連シグナルに応答するナノ分子システムの開発を目的とした。細胞内シグナルに選択的な新規ペプチドの探索に成功し、ペプチドを側鎖とし、水溶性高分子ポリマーを主鎖とするナノ分子システムを構築した。ナノ分子システムによる細胞内への遺伝子導入実験で、過剰発現している細胞内シグナルに応答して遺伝子が発現することを確認し、システムの有効性を明らかにした。
著者
鄭 承衍
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

前年度には、日韓両国の国会図書館、各産業協会、大学図書館、民間企業への訪問を通じて集められた資料を整理することにより、両国間の自由貿易協定(FTA)の締結への動きとその課題を把握する作業を行った。本年度には、前年度に収集した資料さらに新しく集めた資料・データをもとに、具体的な産業分析を行った。つまり、日韓産業技術構造の比較という観点から、両国間の競合部門を代表する半導体産業と補完部門を代表する工作機械産業を取り上げ、日韓間の経済協力の現状やFTA締結に向けての課題について調査・研究を行った。その主な結果をまとめると、次の3点が言える。第1に、半導体産業においてはメモリー部門での両国間の競合は依然として続いているものの、近年のDRAM価格の急落や生産面においての後発国の急激な追い上げのため日本の大手メーカーがメモリー部門を大幅に縮小・整理しシステムLSIのような非メモリー部門に重点を移していることから、韓国のメモリー、日本の非メモリーという補完関係が成立し始めた。第2に、工作機械産業においては韓国の内需市場の拡大により韓国工作機械メーカーも質量ともに発展を遂げてきているものの、NC工作機械に含まれるNC装置のような核心部品においては韓国の日本への依存が依然として続いていることから、韓国の標準型NC工作機械、日本の高性能NC機械や核心部品という分業体制が定着した。第3に、以上の2つの産業比較分析から分かるように、日韓両国が今後FTAの締結に成功しそのメリットを十分に引き出すためには、競合部門での国境を越えての整理・合併を通じての技術革新・生産の特化をより鮮明にすること、補完部門での組立加工生産や核心的な部品供給の面で産業内分業をより徹底して進めることが求められる。来年度には、以上の研究成果を集めて研究叢書を刊行する予定である。
著者
森島 義行 芝野 俊郎
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.136, no.2, pp.83-87, 2010 (Released:2010-08-10)
参考文献数
11

血栓症の予防・治療薬として用いられる抗血栓薬の研究戦略および経口血液凝固Xa因子(FXa)阻害薬エドキサバンの薬効薬理について述べる.血栓症とは何らかの原因で血管内の血液が固まり,血管をふさぐことによってその下流の組織に虚血や梗塞が引き起こされる疾患である.血栓には動脈血栓(脳梗塞や心筋梗塞など)と静脈血栓(静脈血栓塞栓症など)の2種類があり,動脈血栓には抗血小板薬が,静脈血栓には抗凝固薬が主に使用される.抗凝固薬の研究戦略として,50年以上臨床で使用されてきたワルファリンやヘパリンの欠点を解消した経口投与可能な抗凝固薬を獲得することを目標に設定した.創薬の標的分子として血液凝固カスケードの中のFXaを選択し,FXaを競合的・選択的に阻害する低分子化合物をスクリーニングした.経口吸収性がテーマ最大の難問であり,サルを用いた経口投与でのPK/PD試験を化合物評価の重点項目として研究を進め,エドキサバンの獲得に至った.エドキサバンはFXaを競合的・選択的に高い阻害活性で抑制した.ラットの病態モデルにおいてエドキサバンは既存の抗凝固薬と同等の抗血栓効果を示すとともに,既存抗凝固薬の欠点の克服が可能なプロフィールを示した.エドキサバンの対象疾患として,心房細動患者における脳塞栓症の予防,整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の予防,および静脈血栓塞栓症の再発予防を選択した.整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の予防は国内で製造販売承認申請を行い,心房細動患者における脳塞栓症の予防および静脈血栓塞栓症の再発予防は第三相臨床試験を実施中である.エドキサバンはワルファリン以来の日本初の経口抗凝固薬として,今後の医療に大きく貢献できると期待する.
著者
小西 典子 廣江 克彦 川村 正起
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.136, no.2, pp.88-92, 2010 (Released:2010-08-10)
参考文献数
16

これまでワルファリンは半世紀にわたり,唯一の経口抗凝固薬として世界中で使用されてきた.近年,活性化血液凝固第X因子(factor Xa, FXa)阻害薬が,ワルファリンの欠点を克服した新たな経口抗凝固薬の候補として注目されている.FXa阻害薬の適応症としては,静脈血栓症である深部静脈血栓症や肺塞栓症,動脈血栓症である急性冠動脈疾患,そのほか心原性脳塞栓症が挙げられ,これらの疾患を想定した種々動物モデルでの薬効および出血に関する成績が数多く報告されている.臨床開発段階にある経口FXa阻害薬,TAK-442(当社),リバロキサバン(バイエル−ジョンソン・エンド・ジョンソン),アピキサバン(ブリストル・マイヤーズ スクイブ−ファイザー)およびエドキサバン(第一三共)については,静脈血栓症モデルにおいて,出血時間を延長しない用量から抗血栓作用を示すこと,抗血栓作用と出血時間延長との安全閾はワルファリンよりも広いことが報告されている.また,動脈血栓症モデルにおいても,アピキサバンは出血時間の延長を伴わずに抗血栓作用を示すこと,臨床での併用が想定される抗血小板薬との組み合わせでその薬効を増強させることが確認されている.さらにラット脳塞栓症モデルにおいて,FXa阻害薬,DPC602(ブリストル・マイヤーズ スクイブ)は,血栓の自然溶解を促進して脳血流を改善し,脳梗塞巣や神経脱落症状を改善することが示されている.よりヒトの臨床病態に近いモデルを指向して筆者らが作成したサル血栓性脳塞栓症モデルにおいても,FXa阻害薬TAK-239は神経脱落症状の改善を示した.これらの前臨床成績は,経口FXa阻害薬がワルファリンよりも優れた画期的な次世代経口抗凝固薬となることを示唆し,現在進行中の複数の臨床試験でのその有効性,安全性評価が待たれている.
著者
今野 洋子
出版者
北翔大学
雑誌
人間福祉研究 (ISSN:13440039)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.105-122, 2008

本研究は,養護実践を実証的に明らかにすることを目的とした。北海道東部に住む養護教諭12名の実践や経験についてライフストーリーとして得られたデータを,グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法で分析し,養護実践について,以下の点を明らかにすることができた。1.志望動機の如何に関わらず,養護実践を通し,養護教諭というしごとに[フィットイン]する。2.養成機関の学習が養護実践の[基礎]となる。3.性格的資質は,志望動機や養護教諭の専門的資質を獲得するための最も[基礎的]なものであるとともに,養護実践の[彩り]ともなり得る。4.養護教諭の専門的資質能力は[探究]と[実践]によって形成され,豊かな専門的資質能力を備えた養護教諭による養護実践(=教育実践)は,学校教育活動を[促進]させる。5.養護実践は,[子どものいのち,心,からだをまもる]ことであり,養護実践は教育実践であり,学校教育の本務を担っている。
著者
和田 圭司
出版者
国立精神・神経センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

ボンベシンは多彩な生理作用を持つ生理活性ペプチドであり、その作用を介達する受容体については哺乳類でGRP受容体、NMB受容体、BRS-3の3種が知られている。ボンベシンシステムは内外分泌、代謝の調節や行動の制御などに関係することが示唆されているが各受容体の脳機能における生理的役割をより詳細に個体レベルで検討するためGRPおよびNMB受容体並びにBRS-3欠損マウスの作製を行った。これら遺伝子欠損マウスを用い研究期間中に行動科学的研究を推進し、GRP受容体欠損マウスが非攻撃性の社会相互作用の亢進及び活動期(夜間)の運動量の増加を示すこと、さらに、社会的探索行動の亢進を認め、それが嗅覚情報処理の障害から来る可能性の高いことを見いだした。また、BRS-3欠損マウスでは中枢性の肥満、高血圧、糖代謝障害を呈するとともに、野生型に比して甘味をより嗜好し苦味をより嫌悪する傾向にあって味覚学習も障害されていることを見い出した。さらに、社会的刺激の剥奪がBRS-3欠損マウスの体重増をより促進すること、同じく野生型で認められる社会的刺激の剥奪による自発運動量の亢進がBRS-3欠損マウスでは認められないことを見出した。これらの結果はBRS-3欠損マウスでは情動反応性、社会的反応性が障害されていることを示唆する。行動科学的解析を中心にした本研究は、ボンベシンシステムの脳機能における役割が情動の多面的調節であることが示すものである。なお、未知であるBRS-3の内在性リガンドの分子生物学的同定を試みたが候補となる分子の同定にはいたらなかった。
著者
守屋 慶隆 太田 晃
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.43, no.491, pp.919-929, 1994-08-15
被引用文献数
3 7
著者
佐藤 和秀 亀田 貴雄 石井 吉之 的場 澄人 高橋 一義 石坂 雅昭 竹内 由香 横山 宏太郎 小南 靖弘 川田 邦夫 渡辺 幸 飯田 俊彰 五十嵐 誠 竹内 望
出版者
長岡工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

北海道から本州の山形県,新潟県,富山県にいたる冬期の降積雪試料を採取し,主に酸性雪に関する化学特性の解析を行い,その実態の調査研究を実施した。報告例が少ない降積雪の過酸化水素濃度に関する多くの知見が得られた。より明確な因果関係の把握にはさらなる観測調査が必要であるが,大気汚染物質あるいは積雪の主要イオン濃度,過酸化水素濃度,pH,黄砂,雪氷藻類などの間にはいくつかの相関関係が見られ,融雪水のイオンの選択的溶出も観測された。
著者
中谷 敬子
出版者
大阪府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

アモルファス合金は、低い剛性にも関わらず、静的強度、衝撃破壊強度、疲労強度、いずれも大きいというその特徴をもち、その製品の開発が進んでいる。申請者は、鉄単元系アモルファス金属の理想化されたモデルに対して、分子動力学シミュレーションを実施し、その変形挙動、破壊機構が、結晶とは全く異なっており、その違いは、原子レベルの構造とその変化の違いから生じていることを明らかにしてきた。しかしながら、現実に存在する複数種類の原子を含む合金系では、その原子構造が有しているオーダーリングの複雑さのために、単元系に対する知識がそのまま通用するかどうかはわかっていない。一方、アモルファス合金の解析については、銅ジルコニウム(Cu-Zr)合金について、二、三の原子レベルシミュレーションがなされているが、合金系の原子間ポテンシャルのパラメータに単元系の値を平均したものを用いているなどの点で曖昧さを有している。また、損傷/破壊に対するメカニズムはまだ十分に明らかにされていない。このような経緯から、本研究では、実験データが豊富な銅-ジルコニウム(Cu-Zr)合金系のアモルファス相に対して分子動力学法を用いてその構造および力学特性、変形・破壊挙動について検討を加えることを目的としている。この目的達成のために、今年度は、昨年度に開発したポテンシャルをより適切なものへとブラッシュアップした。さらに、作成したポテンシャルを結晶構造に適用し、その相変態や、構造強度の変化を調べることを試みた。具体的には,(1)幾何学的な原子構造と原子レベルの固有応力,弾性定数の分布等の基礎的データの収集,(2)無負荷および引張予負荷を与えた試験片に対する単軸引張圧縮および二軸引張圧縮試験の分子動力学シミュレーションによる基本力学特性とその変形による損傷についての研究を行なった。得られた成果により、申請者は、(財)日本機械学会から2001年度日本機械学会奨励賞(研究)を授与された。
著者
湯浅 佳子
出版者
東京学芸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、曲亭馬琴の読本・合巻作品の典拠調査から作品論を目指すものである。今年度は、昨年度同様に馬琴の初期の読本作品に注目し、物語世界がどのような先行作品をふまえ、それをどのような世界として描いているのかについて考察した。まず、馬琴読本世界の中で輪廻転生や因果応報という仏教的世界観、儒教的な道徳観念を背景として主張される善悪の問題について考えてみためが、「『新累解脱物語』考」である。『新累解脱物語』は、文化四年という比較的初期の中編読本作品であるが、馬琴読本の中でも登場人物の善悪の設定が曖昧な作品と評価されてきた作品である。そこで本論では、人物の善悪の描かれ方について詳細に検討した。その結果本作品では、従来の怪異説話を利用しながら、その怪異性よりもむしろ因果応報の理が強調され、親から子へ、子から孫へと、人物が犯してきた罪の報いが受け継がれる世界を描いていること、また、珠鶏という女性の善を終始一貫して描くことにより、勧善懲悪の世界が全うされているということが明らかになった。読本作品が前代の怪異説話をどのように継承・展開させたかを示した一論である。また、「『盆石皿山記』小考」では、同じく馬琴の中編読本『盆石皿山記』における善悪・神威の問題を、典拠作品との比較から考察したものである。そこでは、本作品が、浄瑠璃『苅萱桑門筑紫〓』の世界を、殺生の罪という問題を強調しつつ取り入れていること、また、紅皿欠皿伝説に取材した幾種かの草双紙作品や民間伝承に基づきながら、継子いじめの因果応報譚を描いていること、さらに、それら登場人物の罪の消滅が、皿屋敷伝説を展開させた話に添いながら、名僧による怨霊解脱譚としてなされていることを指摘した。
著者
松沢 勲
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.39, no.468, 1932-09-20
著者
宮脇 博巳
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

遺伝子資源として,現在生物多様性は重要視され,かつて役に立たないと考えられていた生物にも注目されるようになった.しかし,皮肉にも急速に地球上から,不自然な形つまり,人間の活動により急速に絶滅が進んでいる.かつて,汚染源近くでの環境変化についての研究は多くなされたが,近年では人里の地衣類にも急速に異変が現れてきた.しかし,定量的な調査はなく,個々の研究者の体験的な発言が中心であった.今回の奨励金により1983年頃まではLecanora muralisの生存が確認された11箇所のうち,鳥取県若狭町と広島市旧広島大学キャンパス理学部一号館の屋上だけであった.そのうち,活力の指標とされる生殖器官である子器が確認されたのは後者だけであった.広島市以外は,近くに汚染源がなかった.一方,1945年の原爆投下にも耐えた広島大大学旧理学部1号館に大量のサンプルが採集されたのは,予想外であった.赤レンガ上ではなく,赤レンガを埋める戦前のセメントに限って生育している点は興味が持たれた.一方,共生菌の胞子発芽様式も研究した.基礎的なデータを蓄積し,分類群ごとに発芽様式に共通性があることが判明した.推察の段階であるが,この約20年間の間に大陸からの酸性雨等の影響により全国的に人里の地衣類であるLecanora muralisの生育が減少した.一方,旧式のセメントの上は,pHなど何らかの原因で共生菌の発芽を助長している仮説を得るまでにとどまった.