著者
小泉 源一
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-13, 1938-02-28

1. フセンキエボシサウ(新種) (第一圖) 咸南赴戰高原に登る松興線インクラインの終點赴戰嶺驛附近の山中に發見す.花は黄白色,全形タチキエボシサウに近けれど長梗を有するを以て著し.本種亦白岩山及江原道金剛山中にも産す,Aconitum puchonroenicum UYEKI et SAKATA と新稱せり. 2. カイマ(蓋馬) トリカブト(新種) (第二圖) 本種は南鮮智異山産の淡黄トリカブトに近似すれども子房は常に5-6個,稀に4個あり,葉形は全く異なる.花は帶黄白色,白岩山1200-1300米高附近の斜面に多く生ず,尚漢垈里の赴戰山荘の北方約3KMの路傍の草叢中に1株開花せるを車上より目撃したれば高原一帶に生ずるならむ.Aconitum kaimaense UYEKI et SAKATA と新稱せり. 3. ビロウドヒナノウスツボ(新變種) 松興線インクライン最高點白巖山驛(1580M)附近の山中に生ず,テウセンゴマノハグサの全草白毛を被り葉裏絨毛を敷く一變種と思考せらるも,昨夏長津郡の山中にて採種せられし標品をも見たれば或ひは高原一帶に産する獨立種と見倣しScrophularia paikamicola SAKATA と新稱する方可ならむ. 4. 八重ノルリハンシヨウヅル(新品種) 咸南遮日峰近くの草本帶の岩石地に稀産す,ルリハンシヨウヅルの花八重のものなり,Clematis nobilis f. plena UYEKI et SAKATA と新稱す. 5. キレベンチシマイチゴ(新品種) 前記草本帶岩石地に小區域を限りて生ず,チシマイチゴの花瓣齒縁となれるものなり,新に Rubus arcticus f. dentipetala UYEKI et SAKATA と稱す. 6. エダウチホソバキリンサウ(新變種) 赴戰高原漢垈里の山荘より雲隱嶺麓の石店街附近に至る岩上,路傍等に處々生ず,分岐性甚だしく腋出枝を數多出し,其頂及莖頂に岐繖花序の黄花を附けたるホソバキリンサウの一變種なり,水原に於ける栽培の結果此の分岐性は土地的の變異にあらざるを知る,新に Sedum Aizoon var. ramosum UYEKI et SAKATA と命名す. 7. 白花カメバヒキオコシ(新品種) 本夏筆者の一人佐方は知友を介して新興林業社長の厚意に依り,トロツコにて大沙水里事務所より松興へ下山の途中,伐木運搬用索道始發點近くの崖上に基本種紫花のカメバヒキオコシ中に白花品一株混生せるを發見したれば急停車を命じて採集し得たり,蕚は緑色,花は純白色,全然紫色を帶ぶる事なし,Amethystanthus excissus var. typicus f. albiflorus SAKATA と命名せり,又筆者植木は殆んど時を同うして之を金剛山中(集仙峯)に發見したるは奇とすべし.
著者
信國 好俊 堂前 純子 烏帽子田 彰 藤本 成明
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

大規模ジーントラップ挿入変異細胞ライブラリーを用いたゲノム機能遺伝学的方法で、細胞内コレステロール代謝輸送、そして高脂血症に関与する可能性のある候補遺伝子を探索し、既知あるいは機能未同定の遺伝子を複数明らかにすることに成功した。これまでに188の変異細胞の解析から、細胞内コレステロール代謝輸送関連(候補)遺伝子として49の既知遺伝子と32の機能未同定遺伝子の解明に成功した。
著者
近藤 高貴
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.181-198, 1982-10-31
被引用文献数
4

マツカサガイ属にはマツカサガイ, オバエボシガイ, オトコタテボシガイの3種が知られていた。これら3種について再記載を行なうとともに, 新種ニセマツカサガイの記載を行なった。ニセマツカサガイはマツカサガイに非常によく似ているが, マツカサガイより殻のふくらみが強く, 後縁がまるく少し湾曲していることにより区別できる。またグロキディウム幼生はマツカサガイとオバエボシガイでは楕円形の無鉤子幼生(いわゆるLampsilis型)であるのに対して, ニセマツカサガイでは亜三角形の有鉤子幼生(いわゆるAnodonta型)でオトコタテボシガイの幼生に酷似している。しかし親貝では, オトコタテボシガイの殻頂はニセマツカサガイより前方に位置することでこの2種は容易に区別できる。マツカサガイ属4種の類縁関係を主成分分析により調べた。その結果, マツカサガイが最も原始的な種と考えられ, ニセマツカサガイはマツカサガイから, オトコタテボシガイはニセマツカサガイから分化したものと推測された。またオバエボシガイはこれら3種とは系統的にかなり離れていると考えられた。
著者
土屋 昭博 菅野 浩明 粟田 英資 太田 裕史 中西 知樹 林 孝宏
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

Zhu の有限性条件をみたす頂点作用素代数の表現のつくるアーベル圏がArtin かつNoethern であり、また既約対象が有限個であることを示した。さらに、対応する共形場理論を使ってこのアーベル圏がbraided tensor 圏の構造を持つことを示した。典型的な例として、頂点作用素W(p) について、その表現のつくるアーベル圏が一の巾根における制限されたs12(C)型の量子群の表現のつくるアーベル圏と同値であることを示した。
著者
藤井 聡 竹村 和久
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.9-17, 2001 (Released:2009-04-07)
参考文献数
21
被引用文献数
11 23 4

Identical decision problems in form may yield different decisions, depending on the subjective decision framing as a function of how the situation is described. This is called the framing effect. The Contingent Focus Model (Takemura, 1994) can theoretically explain why the framing effect emerges. The model hypothesizes that a risk attitude depends on how to focus on the possible outcome (focusing hypothesis), and how to focus on them is, in turn, contingent on situations of decision making (contingent focus hypothesis). To test this hypothesis, we conducted 2 experiments which manipulated the relative size of letters of outcomes to the other letters (n=180, respectively). The results indicated that the subjects were more risk-taking when possible outcomes were emphasizing than those when probabilities were emphasizing. The psychometric analysis using the model indicated that the size of effect of emphasizing conditions on decision making is not different from that of positive/negative frame conditions.
著者
鎌田 東二 梅原 賢一郎 河合 俊雄 島薗 進 黒住 真 船曳 建夫 原田 憲一 藤井 秀雪 中村 利則 小林 昌廣 尾関 幸
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本語の「モノ」には物質的次元、人間的次元、精神的・霊的次元が含意されているという問題認識に基づき、日本文明の創造力の基底をなすその三層一体的な非二元論的思考の持つ創造性と可能性、またその諸技術と表現と世界観をさまざまな角度から学際的に探究し、その研究成果を4冊の研究誌「モノ学・感覚価値研究第1号~第4号」(毎年3月に研究成果報告書として刊行)と論文集『モノ学の冒険』(鎌田東二編、創元社、2009年11月)にまとめて社会発信した。また最終年度には、「物からモノへ~科学・宗教・芸術が切り結ぶモノの気配の生態学展」(京都大学総合博物館)と、モノ学と感覚価値に関する3つの国際ンポジウムを開催した。
著者
山田 正 PATHIRANA ASSELA ASSELA PATHIRANA
出版者
中央大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

本研究室で所有するドップラーレーダによる10年以上に渡る観測より,関東で発生するメソスケール現象の雷雨の多くは,関東北部及び西部の山間部で発生していることがわかっている.また,関東一円で行っている気象観測より夏期の強い日射が陸面と海面に温度差を生じさせ,それを起因として発生する海から陸へ向かう海陸風が関東北部,西部の山岳部まで進入し,地形により押し上げられることにより地形性の雷雨が発生を明らかにしている.以上のことより,地形条件と大気状態が雷雨発生に大きく寄与していることがわかっている.本研究では,地形影響の定量的評価を行う基礎的段階として,ガウス分布である単峰性の仮想地形を設定し,非静力学モデルによるメソスケール場の降雨に対する地形の影響について解析を行った.本研究では,NCAR(National Center for Atmospheric Reserch)とThe Pennsylvania State Universityにより共同開発されたメソ気象モデルThe Fifth Generation Penn Stag/NCAR Mesoscale Model(MM5)を用いてシミュレーションを行った.降雨を発生させない条件の下で,山地地形の形状及び2層の密度成層を有した大気の成層度を変化させ,山地地形の風下側に発生する重力波についての解析を行った.等流状態で重力波が発生するときは,山地の風下側で渦の発生を確認し,重力波を発生するフルード数の条件について明らかにした.実大気において海陸風の風速が夜半に現象していくように,シミュレーションにおいても水平風速を徐々に減少させた結果,山地の風下側で発生した重力波が風上側へ伝播することがわかった.降雨形成について微物理過程を導入し,仮想地形の下で地形形状,大気状態,それに起因する重力波の影響が降雨量に与える影響について解析を行った.山地標高が高くなるに従い総降雨量,降雨強度のピークは増加するが,ピークの位置は山地の風上側であり,山地の幅が広くなるに従い風下側へ片寄った降雨量分布となることがわかった.弱い水平風速では広範囲に降雨をもたらし,水平風速を徐々に減少させることにより降雨量のピークは風上側へ移動していくことがわかった。山地の風上側へ伝播した重力波による上昇流が強い対流を引き起こし,雷雨発生に関係しているものだと考えられる.
著者
品田 宜輝 木村 建一 桂木 宏昌 宋 城基
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.153, pp.45-56, 2009-12-05

北九州市の大学校舎建築に導入されたソーラーチムニーと地中ピットとを組み合わせた自然換気システムを対象とし,運用下におけるその性能を把握することを目的として開校後4年間に渡って実施した実測調査の結果を述べる.本報では実測対象建物の自然換気システムと補助空調システムの概要,本システムの運用状況,自然換気作用時の給排気風量の実測結果について報告する.自然換気が作用する時間は開校3年目まで増え続け,2年目から4年目の自然換気作用時間は冷房期間の33〜61%を占めた.自然換気作用時間の80%程度が夜間であった.自然換気作用時の給排気風量は,年間の全時間平均で,地中ピットからの給気量は6,000m^3/h程度,ソーラーチムニーからの排気量は4,000m^3/h程度であり,4年間を通してほぼ安定していた.この差は主に排気ファンによる影響であり,ソーラーチムニーからの排気量は風量の多い便所排気ファンの運転停止に左右されていた.給排気風量は,中間期に増加し,夏期に減少する傾向が見られた.
著者
皆川 美恵子
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.19-21, 1992-08-01