著者
小林 酉子
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

チューダー朝初期に王侯貴族のお抱え劇団が誕生してからエリザベス時代に至って商業劇団が最盛期を迎えるまで、この間の演劇がどのような演出の下で、どのような衣装で演じられたかを明らかにした。宮廷饗宴を演じていた俳優たちが宮廷外でも演じるようになると,饗宴衣装が民間の商業劇場へ流れ,ロンドンの市井の劇場でも使用された可能性が高い。本研究では,チューダー朝期を通じての演劇の演出と衣装の変化を追って,英国ルネサンス盛期の商業劇場の舞台がどのような有様であったかを検証した。
著者
落合 和昭
出版者
駒澤大学
雑誌
論集 (ISSN:03899837)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.65-73, 1976-03
著者
有吉 哲也 有馬 裕 馬場 昭好
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

現在、多種多様なカラー撮影方法が研究・実用化されている。カラー情報をより容易に、同時に偽色やモアレを生じさせること無く簡単な画素構造にて得ることが求められている。本研究では、シリコン基板の側面に光を照射してカラー撮影を行う「側面照射型カラー撮像素子」の原理に基づき新しいカラー撮影の検討を行い、その基礎を確立して実現可能性を示した。
著者
岩本 諭
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

商品購入に併せて提供されるポイントは、EU・ドイツの競争法では「景品」として扱われ、ポイント提供は、「抱き合わせ取引」に該当する。2010年の欧州裁判所判決は、ポイント提供型抱き合わせを「公正競争・取引」の観点から原則自由とした。「自由競争」の観点からはポイント提供型抱き合わせが市場に与える競争制限効果が問題となる。日本では景表法の景品規制、独禁法の不公正な取引方法(一般指定9項)の規制枠組が考えられる。また、ポイントサービスの会計ルールを定める予定の国際会計基準の動向が注視される。
著者
中川 清 福田 研二 藤本 登
出版者
九州大学
雑誌
九州大学大学院総合理工学研究科報告 (ISSN:03881717)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.309-315, 1997
被引用文献数
1

This study has been carried out to probe into the availability of using solar power generation as a substitutive power system for the fossil fuel in Japan. The available space the solar cell array could be installed is 10% for the plottage of major buildings, 0.5~2% for the flat land and a certain percentage for the appended facilities for road, etc. The generation capacity of the solar cell is assumed to be 100 W/m2 at peak time (the average value is 1/10).The generating power calculated from the conditions above is about 250GWp and nearly 75% of that is from the building plottage, and the available space for array installation is close to 0.66% of the gross land area. Also, based on the above estimate, the generating power is expected 286 billion kWh a year, which is about 30% of the total power generated (964 billion kWh in 1994), that is about 5% of the total power consumed (5.9trillion kWh in l994).
著者
古津 年章 児玉 安正 高薮 縁 柴垣 佳明 下舞 豊志
出版者
島根大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

本研究課題は,スマトラにおける赤道大気レーダ(EAR)を中心にして熱帯積雲対流活動を総合的に観測し,対流活動の階層性ならびに対流圏起源と大気波動の振舞いを明らかにすることを目的とする.そのため,風の鉛直プロファイルを観測するEARと同時に気温や水蒸気密度の鉛直プロファイルや降雨の3次元構造を観測する機器,更に様々な地上測器を設置し,それらによる観測を実施してきた.取得されたデータ解析をすすめ,赤道スマトラ域を中心とした対流活動の特性ならびにそれに起因する大気擾乱や重力波に関して以下のことが明らかになった.1. 海洋大陸では,全赤道域平均に比べて,海洋と陸域の降雨特性が混合されて表れていることが見出された.この特徴は,雷活動にも現れていた.2. 赤道域特有の季節内変動であるMadden-Julian振動(MJO)やスーパー雲クラスター(SCC)に対応して, 3次元降雨構造が大きく変化する.大規模対流活動抑圧期には,却って水平規模が小さく背の高い対流が支配的になる.3. 大規模擾乱の内部にメソスケール雲クラスター(CC)が明確に現れる。SCCの東進はCCの連続的な発達の結果として生じており,西スマトラの山岳地形とも関係する.4. 対流活動の微物理過程の帰結として生じる雨滴粒径分布は,顕著な季節内変動,日周変化を示す.5. 上に述べた対流活動の時空間変動に伴い,雷活動度や熱源の鉛直分布が明確に変化する.これは,陸上と海上で異なる特性を示す.更に,短周期の鉛直流変動にも顕著な日周変化,季節内変化が現れる.
著者
前川 泰之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.380, pp.7-12, 2001-10-17
参考文献数
7

大阪電気通信大学(寝屋川市)構内で過去13年間連続測定した放送衛星電波(11.84 GHz、右旋偏波、仰角41.4°)と通信衛星ビーコン波(19.45GHz、右旋偏波、仰角49.5°)の観測データを用い、各種前線通過時におけるKa帯およびKu帯衛星電波の降雨減衰特性について比較検討を行った。減衰比の年変化には、梅雨期と秋雨期の停滞前線による降雨の影響の大小関係が深く関連しており、梅雨期に停滞前線上を低気圧が通過する際に発生する降雨では両周波数帯の減衰比が大きいのに対し、秋雨期の前線の南側で発生する降雨では夏季の夕立と同様減衰比が小さいことが分かった。この変化は主として雨滴粒径分布の差異で生じることが示された。
著者
野村 康祐 安部 征哉 福島 健太郎 庄山 正仁 松本 暁 福井 昭圭 山崎 幹夫 二宮 保
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.371, pp.105-109, 2010-01-14

近年、データセンターの規模は年々拡大し、その消費電力は著しく増加している。そのため、データセンターにおける給電システムを従来の交流給電から直流給電へ移行し,消費電力を削減することが検討されている。この直流給電システムにおいて、過電流から系統を保護することは最も重要な事項の一つである。そこで、保護用デバイスとして、高速な遮断が可能である半導体遮断器の適用が検討されている。しかし、遮断の際に発生するノイズ電流により他系統の半導体遮断器に誤動作が発生する。本稿では、ノイズ電流による半導体遮断器の誤動作の発生メカニズムについて検討する。
著者
新保 輝幸 三浦 大介 交告 尚史 深見 公雄 山岡 耕作 友野 哲彦 婁 小波 新保 輝幸
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

自然科学的アプローチ深見は、柏島周辺に設けた測点において、周年に渡って水質や微生物群集に関する調査を行った。その結果、同海域では基本的に貧栄養な環境であるものの、冬季には栄養塩濃度が、また夏季の底層付近では有機物濃度がそれぞれ増加する傾向が見られた。水質の変動は月齢や潮汐でも観察され、小潮の下げ潮時に栄養塩濃度や微生物の生物量が上昇することがわかった。以上の結果から、柏島周辺海域では基本的には貧栄養な黒潮の影響を受けているものの、短期的には貧栄養な内湾水が流入することもあり、これらが同海域の豊かな生物群集を支えている可能性があることが示唆された。山岡らは、後浜西部にラインセンサス区を設定し、底質によってゴロタ区、サンゴ区、死サンゴ区の3区に分け、2002年9月と3月に魚類生態について調査を行った。その結果、9月の調査では137種2,266個体が観察された。この種数は、以布利の同時期の出現数約70種のおよそ2倍に達し、柏島の魚類相の豊かさを証明する結果になった。3区の内では、サンゴ区で最多の種数が観察された。また以上のような調査を通じて調査海域の生物多様性に関する基礎データを蓄積中である。社会科学的アプローチ現地において、地域住民、漁協、ダイビング業者・ダイビング組合、町役場などの地域の利害プレイヤーに対するヒアリング調査と、関係諸機関からのデータ収集を行い、地域の実態の把握を行った上で、次のような研究を行った。交告らは、漁業とダイビング等の海洋レクリエーションの間でどのような利用秩序を構築するのが望ましいかを分析し、主体間で海面の利用調整を行うルールについて検討した。そして、そのルールにどのように法的な効力を持たせるかという点を追究した。新保らは、アンケートを用いた仮想状況評価法(CVM)および仮想旅行費用法によって、それらの自然資源の経済価値を評価するとともに、付け根方程式を推定してデータの信頼性を検証した。アンケートは、近隣で柏島への訪問客が多い岡山市、高松市、高知市の住民に対する郵送調査で行った。また友野は、オンサイトのアンケート調査を行い、これらの自然資源をダイビング等の海洋性レクリエーションで利用する場合の利用価値について、ゾーン・トラベルコスト法により評価した。婁は、柏島にとどまらず、沖縄や三浦半島など漁業とダイビング業の関係が問題となっているその他の地域についても調査を重ね、地域の自然資源を地域住民が多面的かつ持続的に利用して暮らしを立てていく「海業」という概念を提示し、従来の漁業・ダイビングサービス業の枠組みを超えた新たな形に産業構造を転換し、地域振興をはかっていくべきであるとして、その具体案を検討した。
著者
中村 崇仁 佐野 雅己 沢田 康次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.193, pp.41-48, 1999-07-19

強化学習において、Temporal Difference (TD)学習の発展形であるQ-Learningがよく用いられている。この方法は、状態と行動の対を評価する。そのため、高次元空間では多大な時間、計算資源が必要となる。そこで、本研究では、単一のエージェントを、積極的に複数のエージェントとしてとらえ、出力(行動)の決定を分割するアルゴリズムを提案する。このアルゴリズムにより、探索空間を縮小することになり、収束までのステップ数、計算時間、消費メモリ量の改善がみられた。その評価を行い、応用例を示す。
著者
朝日田 卓 山下 洋
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

従来の形態学的手法では種判別が困難であった甲殻類消化管内容物から、ヒラメDNAを種特異的PCR法により効率的に検出する手法を開発した。また、実際のフィールド調査の際に欠かせない、大量のサンプルを効率的に処理することが可能な検出法の開発に、DNA-DNAハイブリダイゼーション法とELISA法を応用することにより成功した。本手法は、エビジャコ等の肉食性甲殻類による捕食後(水温20℃の条件下)8〜10時間程度までのサンプルからヒラメDNAを検出可能であり、PCRによる増幅後最大2000サンプル程度まで一回の検出反応で処理可能である。エビジャコ胃内容物の顕微鏡による観察においてほとんど内容物が確認できなかったサンプルからもヒラメDNAを検出できたが、消化が進んで内容物が確認できないサンプルからの検出は一般に不可能で当たり前と考えられる。この結果は、消化によるDNAの検出阻害の影響を極限まで排除できたことを示しており、従来捕食後4時間程度までのサンプルが限界であった検出可能範囲を大幅に拡大することが可能となった。これにより、ヒラメ被食生態の解明のためのフィールド調査への適用が可能となった。ヒラメの天然稚魚および放流種苗の被食実態の一端を明らかにする目的で実施したフィールド調査結果から、被食者および甲殻類捕食者の生態学的知見などを得ることが出来た。宮古湾の調査結果からは、ヒラメ稚魚の着底時期や砂浜浅海域での成長、エビジャコの生息密度や体長組成、ヒラメ稚魚とエビジャコとの生態的関係などについて新知見を得た。若狭湾の調査からは、キンセンガニが積極的捕食者ではなくスカベンジャー的な生態的地位を占めることや、カミナリイカや他の魚類などがヒラメ放流種苗の強力な捕食者であることなどの新知見を多く得た。これらの情報は、異体類被食研究やより効果的な種苗放流技術の開発に非常に有用であると考えられる。
著者
福田 玄明 植田 一博
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 = Cognitive studies : bulletin of the Japanese Cognitive Science Society (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.64-78, 2011-03-01
参考文献数
41
被引用文献数
3

It is thought that we can discriminate between animate and inanimate things. This ability is called animacy perception. Our discrimination between animate and inanimate things is considered to be an important ability for our social cognition, because animacy perception is assumed to serve as a foundation for considering objects as others that have their own goals, intentions and⁄or emotions. We investigated neural mechanism underlying animacy perception using a real animate thing (turtle) and an inanimate thing (robot) in this study. As far as we know, brain activity related to animacy perception in the course of approaching a real animate thing has not been investigated. In experiment 1, we compared Event-Related Potentials (ERPs) when participants performed reaching actions for the animate thing (animate condition) with those when they performed reaching actions for the inanimate thing (inanimate condition). We found that the amplitude of ERPs in left infero-frontal region, which is said to correspond to mirror system, was significantly higher in the animate condition than in the inanimate condition. Moreover, we found more significant mu suppression in the animate condition than in the inanimate condition, which is said to be an evidence of the activation of mirror system. These results suggest that mirror system is related to animacy perception. In Experiment 2, participants were asked to observe an object, either of the animate thing or the inanimate thing, which was covered in a box so that they could not judge by appearance what it was and to answer whether they felt it as animate or inanimate. We compared ERPs when they performed reaching actions for the objects that they felt as animate with those when they performed reaching actions for the objects that they felt as inanimate. As well as in Experiment 1, we found that the amplitude of ERPs in left infero-frontal region was significantly higher in the former condition than in the latter one. In conjunction with the results in Experiment 1, this result suggests that the activation of mirror system takes a role in subjective attribution of animacy to objects.
著者
持田 邦夫 小林 浩之 横山 保夫
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

ゲルマニウム-ゲルマニウム結合を骨格とする新しいσ共役系ポリマー(ポリゲルマン)を合成し、その薄膜における有機感光体としての評価を行った。以下、成果をまとめる。(1)σ共役系ポリゲルマンおよびその関連化合物の合成…従来のジクロロゲルマンのナトリウム金属還元法の他、ヨウ化サマリウム(II)による還元法や触媒による開環重合法の開発、さらにはπ系の置換したゲルマニウム-ゲルマニウム結合を骨格とする新しいポリマーの合成にも成功した。(2)ポリゲルマンは薄膜の物性研究…合成したポリゲルマンの可視・紫外吸収極大(300-350nm)やイオン化ポテンシャル(5-6eV)の物性研究を行った。(3)キャリヤ-輸送能力の検討…TOF法を用いて、その値が10^<-4>-10^<-5>cm^<-2>/V.sであることを見いだし、感光体として従来にない能力を有することがわかった。(4)イオンラジカルの研究…キャリヤ-輸送を理解するため必要なポリゲルミル陽イオンラジカルの研究を放射光を用いて行なった。発生した陽イオンラジカルの吸収極大は可視・紫外部に存在し、その分子量が伸びるに従い吸収極大が長波長にシフトをすることを見いだした。(5)ポリゲルマン薄膜の光、熱分解特性…溶液状態と比較しながら検討した。
著者
管原 正志 田井村 明博 中垣内 真樹 上平 憲 中路 重之
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、暑熱・寒冷環境下での脊髄損傷陸上および水泳競技者に対する運動ストレスが体温調節反応、ホルモン反応、免疫反応に及ぼす影響を明らかにすることである。被験者は、研究の主旨を十分に説明した上で同意を得た、脊髄損傷の男子車椅子長距離競技者5名(車椅子陸上競技者)及び脊髄損傷の男子水泳競技者5名(脊髄損傷水泳競技者)、健康な男子大学長距離競技者5名(大学陸上競技者)及び男子大学水泳競技者5名(大学水泳競技者)である。測定時期は、2007年9月及び12月~2月と2008年9月~12月、2009年は9月と12~3月である。測定条件は、2007年は28℃、60%RHの人工気象室で運動負荷した。2008年は28℃、60%RHの人工気象室でコントロールチュービングスーツ内の温度負荷を15℃の冷水及び42℃の温水を循環させる条件下で運動負荷した。2007年および2008年の運動負荷は、arm crankingエルゴメータを用い60%Vo2maxで60分間実施した。2009年は、400m陸上競技場及び50m室内プールで実施した。夏季の環境温度は、陸上競技場が気温27℃、WBGT29℃、室内プールが水温30℃、WBGT28℃であった。冬季の環境温度は、陸上競技場が気温12℃、室内プールが水温32℃であった。陸上運動は10,000m走を車椅子陸上競技者が25分以内、大学陸上競技者が45分以内、水泳運動は1,000mを自由形で脊髄損傷水泳競技者、大学水泳競技者ともに40分以内で終了するようにした。測定項目は、体温調節系(発汗量、食道温、平均皮膚温、浸透圧など)、ホルモン(カテコールアミン)、免疫(好中球の活性酸素産生能)である。結果は、以下に示した。A.暑熱順応下(夏季)における運動負荷では、体温調節系反応、ホルモン反応において、車椅子陸上競技者及び脊髄損傷水泳競技者と大学陸上競技者及び大学水泳競技者の各群間に差異がなかった。しかし、免疫反応は、陸上運動で車椅子陸上競技者が大学陸上競技者より亢進傾向が示された。寒冷順応下(冬季)における運動負荷では、各群間に差異がなかった。B.全身をコントロールチュービングスーツで15℃(冷水)と42℃(温水)暴露下での運動負荷での体温調節系、ホルモン、免疫の各反応は、冷水において各群間に差異を認めなかった。温水では、車椅子陸上競技者及び脊髄損傷水泳競技者が大学陸上競技者及び大学水泳競技者より体温調節系反応が劣る傾向にあった。免疫反応は、群間に差異がなかった。C.競技形態下での夏季の体温調節系反応は、車椅子陸上競技者が脊髄損傷水泳競技者より劣る傾向であった。冬季において各群間に差異がなかった。以上の結果は、脊髄損傷車椅子運動競技者の夏季や高温下での運動の際に発汗機能低下による熱障害が危惧され、その対策として冷却ジャケット等での対策が望まれる。また、脊髄損傷車椅子運動競技者の発汗機能障害の程度を知ることが重要である。
著者
木下 浩作 雅楽川 聡
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

敗血症から多臓器不全への進展には神経内分泌免疫系の破綻と全身性血管内皮傷害の関与が示唆される。体温が上昇した環境での高血糖が血管内皮細胞に与える影響についての検討はない。本研究結果から高温・高糖環境が血管内皮細胞における炎症性物質(炎症性サイトカイン:IL-6)産生を増加させることが明になった。この反応はエンドトキシン存在下で促進される。従って、高体温患者にみられる高血糖は、血管内皮細胞からのIL-6産生などの炎症反応を増大させ、二次性組織傷害を悪化させ、多臓器不全進展の危険因子となり得ると考えられた。高体温の敗i血症患者では、早期からの血糖管理と体温管理が重要な管理項目と考えられた。