著者
豊田 和弘
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

植物に固有の細胞壁が病原体による感染を未然に防ぐ物理的な障壁となることは周知の事実であるが、外界からの生物的あるいは化学的な情報を受信(認識)し、それらを正確に伝達して細胞あるいは組織全体の防御機構を成立させる動的な小器官であることが最近の申請者らの研究によって明らかとなってきた。本研究は、細胞の外側で行われる高次の情報処理システムの分子基盤について、病理学の視点からメスを入れ、細胞(組織)の統御と恒常性の維持を図る植物細胞壁の新たな機能に迫るものである。
著者
豊田 雅士 梅澤 明弘 五條 理志 板倉 陽子 上 大介 三好 俊一郎 肥田 直子 井上 麻油
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

幹細胞移植医療における安全性や有効欧の検証として、前臨床研究としての中大動物実験が求められる。本研究ではヒトで心筋分化能が高いとして期待される羊膜細胞をブタ羊膜から樹立しヒト細胞と比較した。さらにブタの心不全モデルを作製し、そこに細胞を移植し評価した。その結果、ブタ羊膜細胞はヒトと同等な特性を有しており、移植により心機能が改善し、移植した細胞は生着後心筋への分化が認められた。
著者
豊田 紀章
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

Ar等から形成されたメゾスコピッククラスタービームを用い、ピックアップセルを用いた混合クラスター形成や、荷電状態、クラスターサイズ、照射中雰囲気ガスなどを変化させて有機材料のダメージフリー・ナノ加工を行った。損傷評価には主としてGCIBと真空一貫で接続された光電子分光分析装置を用いた。その結果、低イオン化電子電圧による多価クラスターイオン生成の抑制や、クラスターサイズ制御、水蒸気等の雰囲気ガス制御を行うことにより、低損傷で有機材料の加工が可能であることを示した。
著者
宮下 純夫 木村 学 MELINIKOV M. ROZHDESTVENS SERGEYEV K.F 榊原 正幸 石塚 英男 岡村 真 木村 学
出版者
新潟大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

サハリン島は地質学的に日本列島の延長であり,環太平洋造山帯の一部を担っている.本研究では,サハリン南部の詳細な調査をおこない,サハリンにおける沈み込み・付加テクトニクスについて解明するとともに,日本での結果とあわせ,環太平洋造山帯のテクトニクスに迫ることを目的としている.これまでの成果は以下のように要約される.1.アニバ岩体:アニバ湾の北部及び東海岸には白亜紀付加体ーアニバ岩体が露出している.本岩体は緑色岩類が卓越する点で,白亜紀付加体の典型である四万十帯とは異なる.北部海岸の岩体は構造的・岩相的に二つのユニットに区分される.上部ユニットでは玄武岩から陸源砕屑物に至る一連の層序が観察され,下部ユニット上に衝上している.下部ユニットは主に玄武岩とメランジェからなり,石灰岩ブロックもしばしば含まれる.構造は,沈み込み帯における初生的な構造を表していると考えられる.スラストシ-トが繰り返す東フェルゲンツ構造を示す.アニバ湾東海岸ではメランジェが卓越しており,石灰岩のブロックを多数含むという点でやや異なる.構造的には,北部海岸と同様の覆瓦構造を示す.石灰岩とチャ-トの互層の出現は,本地域の付加体が海洋島などから由来していることを示唆している.2.ススナイ帯:本帯は神居古潭帯の延長に位置する高圧変成帯で,サハリン東海岸の50Kmにおよぶ調査により,南へ向かって各々が多数のスラストシ-トからなる5つのドメインが識別された.ドメイン1は緑色片岩ーチャ-トー泥質片岩と緑色片岩の互層から,ドメイン2は玄武岩質岩ーメタチャ-ト,泥質片岩と緑岩片岩ないしメタチャ-トの互層,泥質片岩からなっている.ドメイン3の最下部はメランジェから,上部は砂質岩を伴う泥質片岩からなる.ドメイン4は玄武岩が大量に出現することで特徴づけられ,上位は石灰岩ないしチャ-トを含む玄武岩質堆積岩,黒色頁岩によって覆われている.ドメイン5は黒色頁岩と珪質片岩の互層からなっている.緑色岩やメランジェが出現しない点で異なっている.変形作用は3時相が識別された.D1時相は東ないし北東方向のL1線構造とS1片理面の形成,D2時相は全域に発達する,北東走向の非対称褶曲,シ-ス褶曲,北西方向の線構造などによって示される.センスは南方を示す.D3時相は直立した褶曲軸面をもつ開いた褶曲で,褶曲軸は北東走向で水平に近い.D1ーD2時相はダクタイルな変形であるが,D3時相はブリットルな変形を示している.変成作用は塩基性岩の鉱物組み合わせに基づいて,パンペリ-石ーアクチノ閃石帯(ドメイン3,4,5)とパンペリ-石ーエピド-トーアクチノ閃石帯(ドメイン1,2)の二つに分類される.前者に出沼する青色片岩はNa角閃石ーNa輝石ー緑泥石ーヘマタイト,後者の青色片岩はエピド-トーNa角閃石ーNa輝石ー緑泥石の組み合わせを示す.Na角閃石はマグネシオリ-ベカイトでありNa輝石はジェ-ダイト成分に乏しいエジリン輝石ないしエジリン普通輝石である.最高変成条件は200ー300℃,4ー5Kbarと見積られる.また,変成作用の時期はD2時相と考えられる.3.玄武岩類の岩石学的特徴:主要成分・微量成分分析に基づいて,アニバ岩体とススナイ岩体に大量に出現する玄武岩類には,NーMORB,TーMORB,EーMORB,OIT,アルカリ玄武岩にわたる様々な岩石が存在していることが明かとなった.大局的な傾向としては,アニバ岩体はアルカリ玄武岩とOITが,ススナイ岩体ではTーMORBが卓越しているという特徴がある.これらのことから,アニバ岩体の多くは海山ないし海洋島に,ススナイ岩体は海台に由来する可能性が強い.4.化石年代:アニバ岩体のチャ-トや灰緑色頁岩からチトニアンとコニアシアンを示す放散虫が確認されている.5.今後の展望:現在,化石年代や岩石の放射年代,鉱物分析などが進行しつつある.これらのデ-タが得られて全体的な検討が進むと,海洋地殻物質の付加・上昇過程が解き明かされ,サハリン南部は付加体の形成を解明する世界的な典型となることが期待される.また,そのためにはさらに広域的な調査が求められる.
著者
増本 純也
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

細胞内病原体受容体のNOD蛋白質の変異による自己炎症性疾患の病態を解析することで、炎症を制御するインフラマソームの機能を詳細に描き出すことができ、その制御の異常によって自己炎症性疾患が発症することが裏付けられた。今回の研究でインフラマソームの果たす炎症制御への役割が類推できたことで、炎症性疾患の予防や治療への応用が可能になると考えられる。
著者
塙 晴雄 小玉 誠
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

IL-1阻害薬は炎症が関わる疾患の治療薬として期待される。我々は、IL-1受容体アクセサリー蛋白(Acp)-免疫グロブリン(Ig)とIL-1RタイプII(IL-1R2)-Igのヘテロダイマー(Acp-Ig/IL1R2-Igヘテロダイマーと呼ぶ)を作成し、そのIL-1阻害作用を既存のIL-1阻害薬と比較検討した。Acp-Ig/IL1R2-Igヘテロダイマー(ラット,IC50=1.95pM;ヒト,IC50=0.14pM)はIL1RA(ラット,IC50=1,935pM)やAcp-IL1R type I(IL1R1)-Igホモダイマー(ラット,IC50=73.7pM;ヒト,IC50=4.48pM)、Acp-IL1R2-Igホモダイマー(ラット,IC50=72.8pM)よりも強力にIL-1を阻害し、それはIL-1αおよびIL-1β共に強く阻害した。
著者
佐藤 淳 佐藤 幸男
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、カメラ画像から得られる対象物の位置や形状の情報を音の位置で表現する方法や、視覚情報と音響情報との3次元的な整合性を取る方法を探求した。まず、ステレオカメラが復元した3次元画像空間と、音響制御装置が持つ3次元音響空間と、ユーザが持つ3次元聴覚空間の関係を調べた。ステレオカメラが校正されていない場合、カメラにより復元した空間は3次元射影変換の不定性を持つ。また音響装置が校正されていない場合には、3次元音響空間にはやはり3次元射影変換の不定性が存在する。さらにこのインターフェイスを使用するユーザの聴覚感覚には個人差があるが、相対的な位置感や相対的な距離感が保存されると仮定すると、ユーザの聴覚感覚の個人差は3次元アフィン変換により表せることが明らかになった。そこで、ステレオカメラと音響装置との関係を3次元射影変換で直接表現し、基底音をユーザに与えてこの3次元射影変換を求めることにより、聴覚の個人差を吸収しつつ、カメラで撮影した物の位置を音の位置で表現する方法を開発した。次に、得られた視覚音響弱校正理論を複合現実感に応用し、視覚情報と聴覚情報との3次元的な整合性を取ることにより、より臨場感を増強する手法の開発を行った。この時、複数のカメラ同志がお互いに投影しあうカメラの相互投影の情報を積極的に用いることにより、視覚的3次元情報の計算安定性を格段に向上させることが可能であることを示した。このような視覚的3次元情報を聴覚的3次元情報と結びつけることにより、複数ユーザが存在する状況下において、それぞれのユーザごとに視覚情報と聴覚情報の3次元的整合性を取る手法を示した。実際に音と映像を用いた仮想対戦システムや仮想楽器を実現し、視覚的3次元情報と聴覚的3次元情報との幾何学的な整合性を取ることの重要性を明らかにした。
著者
無名氏
出版者
フレーベル會
雑誌
婦人と子ども
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.26-28, 1902-04
著者
奥乃 博 中臺 一博
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.131, no.3, pp.159-163, 2011-03-01 (Released:2011-03-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本記事に「抄録」はありません。
著者
辻 朋子
出版者
Japan Management Diagnosis Association
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18834930)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.9-14, 2008
被引用文献数
1

本研究は,不可視のサービス機能の変容を通して,共同体を閾値の突破に向けていかにファシリテートするかの試みである。まず,触媒機能を持つヒトや組織を"セレンディピティ"とし,これを共同体に組み込む支援を通して不可視サービスの可視化過程を導く。次にそうした,一連のプロセスはゆらぎとしての混沌から秩序が形成されるオートポイエーティック・システムであり,これが自己組織化の本質であることを論証する。結論として仕事を分割するための分業が支配する"不幸せなコミュニティモデル"に対し,補い合うための協働から創発されるのが"幸せなコミュニティモデル"であり,それを誘発させるのがファシリテータの役割であることを示す。
著者
高岡 充 上平 拓弥 西崎 博光 関口 芳廣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.142, pp.51-56, 2010-07-15

本稿では,人間とロボットの対話を円滑にするための,対話ロボットが話題とは無関係な発話を聞き流す機構の構築方法を述べる.まず最初に,話題と関係ない発話を人間が聞き流す機構を被験者実験で調査した.その結果,人間は話題からキーワード群を推測し,認識・理解しているということが分かった.この聞き流しモデルを音声認識のための言語モデルに適用し,カードゲームのための音声対話ロボットに組み込んだ.音声認識実験により,提案された機構を取り入れた言語モデルは,効果的に話題外発話を棄却できることが分かった.
著者
松山 洋一 藤江 真也 齋藤 彰宏 XU Yushi 小林 哲則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.221, pp.7-12, 2010-10-01

通所介護施設において,人同士の会話に介在させ,コミュニケーションを活性化するロボットについて報告する.本研究では,具体的なタスクとして高齢者通所施設で行われている難読ゲームを取り上げる.難読ゲームは,司会者の存在する複数人対話の一形態だと考えることができる.ここでロボットは,複数人会話における制約を満たしながら,会話を活性化させるための行動選択を行う必要がある.本論文では,既に人同士で行われているコミュニケーションを妨害せずに活性化を実現するため,会話における参加者の役割や,参加者間が共有する話題を推定しながら,様々な場面において適した行動を取るフレームワークを提案する.
著者
鹿島 みづき
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.1-10, 2004-08

メタデータはインターネットとその周辺技術の進化と共に、益々図書館にとって意味深い存在となった。メタデータを応用した技術は次世代目録や図書館ポータルの構築になくてはならないものだからである。そして、メタデータにおいても質の高い主題アクセス重要性が"ベイツレポート"など世界の動向からうかがい知ることができる。本稿は国立情報学研究所(NII)メタデータ・データベース共同構築事業でメターデータのメリットを確認することで、世界標準であることの有用性がもたらすLCSHの可能性を考察する。
著者
農 鋒
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
アジア經濟旬報
巻号頁・発行日
no.541, 1963-06-01