著者
リー グレッグ
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.427-441, 2010-03-31

Recent developments in fields such as newborn hearing screening and cochlear implantation have served to ensure that special educational programmes required to meet the needs of children who are deaf or hard of hearing are increasingly diverse and complex. Consequently, a broader range of professional knowledge and skills is required of these children's teachers than at any point in the history of this field. The present article reviews the current situation in education for children who are deaf, and argues that preparation of teachers so that they are able to work across the full range of potential professional roles is neither logical nor possible in this context. A model for initial and continuing teacher education based on a combination of core and specific elective studies is proposed as an alternative to attempting comprehensive education for teachers of children who are deaf or hard of hearing.
著者
古瀬 充宏 豊後 貴嗣
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

副腎皮質刺激ホルモン放出因子、ウロコルチンおよびウロテンシンIは、アミノ酸配列が類似し、哺乳動物の摂食を抑制することが知られていた。ヒナにおけるその作用は、副腎皮質刺激ホルモン放出因子が最も強く、ウロテンシンI、ウロコルチンの順であった。副腎皮質刺激ホルモン放出因子と同様にグルカゴン様ペプチド-1も、ヒナの摂食を抑制することが知られていたが、他の行動に関しては異なる反応を示すことが確認されていた。両者の脳内における交互作用を調べたところ、摂食行動に対して協調しあい、ストレス行動に関しては拮抗しあうことが判明した。内因性のグルカゴン様ペプチド-1が摂食調節に関わっているか否かを調べたところ、採卵鶏のヒナでは関与が認められたもののブロイラーヒナでは関与していないことが明らかとなった。ニューロペプチドYは、ヒナの摂食亢進因子の一つとして認知されていた。ニューロペプチドYの受容体にはいくつかのサブタイプが存在するが、それらに対する選択的な刺激役を投与したところ、ニューロペプチドY-(13-36)を除き他の物はヒナの摂食を亢進することが判明した。哺乳動物において、グレリンは強力な摂食促進作用を持つペプチドであるが、ヒナでは全く逆に強い摂食抑制作用を有することがラットグレリンの投与で明らかにされていた。グレリンの受容体に対する様々な刺激役の効果をヒナで調べたところ、ニワトリグレリンもカエルグレリンもラットグレリンと同様に摂食を抑制した。また、合成リガンドである成長ホルモン放出ペプチドを投与しても摂食は抑制された。L-ピペコリン酸は、必須アノミ酸であるL-リジンの脳内における主要な代謝産物である。その脳内における役割を調べたところ、ヒナの摂食を抑制し、その一方で睡眠を誘発する作用を有することが判明した。
著者
大浦 容子 後藤 克彦
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-10, 1994-03-30
被引用文献数
1

In order to investigate how cognitive skills develop in the course of expertise in Japanese fencing, regular (expert) and substitute (junior expert) players of a men's university varsity team were compared on performances on (I) a paper-pencil test of rules and concepts (Test a), (II) convergent problem solving tasks such as to predict a scorer's winning trick from a video just before it occurs (Test c-2), and (III) divergent problem solving tasks such as to judge players' skill from their postures (Test b-1), and to detect defects in them (Test b-2). Unexperienced college students also participated in the experiment in part. Both the experts and junior experts knew the rules and concepts of Japanese fencing well, and their performances were much better than the estimated baseline. Their performances in convergent problem solving were also equally well. In divergent problem solving, however, the experts were better than either the junior experts or the unexperienced. These results suggest that divergent problem solving skills need a longer time to develop.
著者
葉 せいい
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は植民地支配下における社会関係/権力関係が、いかに都市空間構造の形成過程に関与していたかについて、特にジェンダーと権力との関係に焦点をあてて分析を行った。植民地における権力関係は、支配者と被支配者というきわめて自明な二項対立的なとらえ方からとらえらえることが多いが、しかし必ずしもその関係は明瞭なものではなく、また支配者と被支配者という二つのカテゴリーだけが存在しているわけでもない。支配者の中にもまた被支配者の中でも階層化がされており、それが織り成す複雑な関係のなかに植民地社会は成立しているのである。その関係性の中で、女性がどのように位置づけられ、どのように権力関係に関与しているのか、またその関係が空間的にどのように反映されているのかを本研究では検証した。植民地における公共空間における権力関係において、女性は積極的に関与してはいなかったが、しかし実際には植民地権力による同化=日本化の過程に女性は深く関係した。すなわち植民地権力は、学校教育を通じて、同化政策や皇民化政策を実践的にもまた精神面からも協力に推進しようと試み、女性に対しては、同化=「日本化」した女性(妻となり母となる)を育成することによつて、家庭における「日本化」を浸透させようとしたのである。公共空間での公式な同化政策と家庭における、家族による同化の推進を図ったのである。学校教育を受けた女性は伝統的家族規範から解放されたが、しかし植民地社会の権力関係の中に絡みとられていた。一方、学校教育を受けなかった女性は台湾人居住区の私的空間や近隣空間の中で、伝統的な生活様式や規範に従って生きていた。複雑な権力関係が張り巡らされた植民地都市空間において、彼女たちは同化や皇民化などの権力支配の間隙に生活していたのである。植民地都市空間の権力の狭間で、彼女たちは伝統文化を継承し、アイデンティティを保持し続けた。それは寡黙でありながら、植民地権力に対する強力なレジスタンスであった。植民地都市空間における私的空間は、一方で植民地支配の媒介的空間となり、一方で強力なレジスタンスな空間として機能した。そしてそこは女性の支配する空間であった。
著者
西原 京子 堀内 成子 内田 直
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、産褥期うつ状態の母親の睡眠を知るためには、産褥期に適応している母親の睡眠の構造を検討する必要があった。適応群の睡眠の特徴は、以下のとうりである。1、産褥早期(1週から6週)では、母親の平均睡眠時間は、322分であり、睡眠率は77%と低いが、それは子供の世話による覚醒時間の増加によるもので、中等度の深さの睡眠が減少するが、深い睡眠やREM睡眠は減少せず、効率のよい睡眠をとっていることが明確となった。さらに、母親の中途の覚醒は、子供の動きとよく同期していた。2、子供の概日睡眠覚醒リズムができる9,12週では、Interrupted sleepとNon-interrupted sleepが存在した。、Interrupted sleepは、産褥早期の睡眠に類似するが、Non-interrupted sleepは、非妊娠女性と比べると大差がなく、むしろ深い睡眠が増加し、Interrupted sleepからくる断眠の回復睡眠をとっていた。すなわち適応している産褥婦は、眠れる時には良質の睡眠をとっていた。一方、産褥期うつ状態の生理学的研究は、症状が出ている時に患者から同意を得ることは、かなり困難であったが、睡眠ポリグラフィで1名、アクティグラフィで1名の協力を得られた。共通の知見として、第1点は、眠っていても睡眠の自覚的評価は低いこと、2点目は、子供の動きへの対応が遅いことであった。これらの所見は、例数が少ないので今後さらに例数を増やして検討する予定である。本研究でもう少し睡眠ポリグラフィに協力を願えるかと推測したが状況は厳しく、途中より方法を検討した結果、actiwatchを母子に装着する方が簡易で、被験者の協力を得ることができた。アクティグラフィが、今後、産褥期うつ状態の精神生理学的研究の有力な武器になるであろう。
著者
西尾 由里 宮本 節子
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

(1) 日本人の場合、大学生と小学生の発達段階に関わらず、英語の知覚・産出・読みはモーラを単位としている。(2) モーラに基づく母語の影響は、アクセント表示の工夫や音声・文字の同時提示などの訓練により、音節分節に変換・改善しうる。小学生の場合、英語学習経験が有効に作用する。本研究の知見は、早期英語教育の教材作成に大いに貢献できると考える。
著者
武村 重和 バビリオ・ウマンカ゛イ マ 池田 秀雄 小原 友行 小篠 敏明 中山 修一 溝上 泰 MANZANO Virgilio U.
出版者
広島大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

本研究では、オ-ストラリア、ニュ-ジーランドの文部省の担当官の要請と協力で、両国の11ー15歳の児童・生徒を対象に、日本の児童・生徒向きに作成された日本の文化・社会、科学技術、日本人の生活様式などの視聴覚メディアを、解説しながら視聴させ、学校レベルでの国際理解の推進を図ることをねらいとした。さらに、日本に関する教育用教材として何が求められているかを調査し、ニ-ズアナリシスを行うこににより、これからの海外向けの教育用視聴覚ソフト開発の基本方針を究明することを目的にした。小篠敏明は、「異文化コミュニケ-ションに関する教育情報とソフト教材」について、オ-ストラリアのカンベラのテポベア・パ-リ中学校、ブリスベンのケドロン中学校の生徒たちに視聴したい日本文化の内容を調査した。5月5日、3月3日の子供の日、忍術使い、柔道、剣道などの武道、相撲、茶道、華道、歌舞伎、盆栽、四季、桜、武士道、伝統音楽、日本食、着物、日本建築、生活様式、宗教、祭り、庭、舞踊、文化行事などをあげている。日本の現代については、交通、通信、電子・電気機械、コンピュ-タ-産業、自動車・カメラ産業、建築、スポ-ツ、学校、家庭生活、若者の日常生活、食べ物、余暇の利用、婦人の社会進出、両親と子供の関係、日本の近代化の過程、教育、田園生活、環境問題、文化の保存、東京、旅行、ビジネス生活、新旧生活スタイルなどをあげている。教育委員会の職員や教師たちは、日本の急速な、社会、文化、経済、科学技術の変化に注目し、日本人の現代の生活様式の変化に関する視聴覚教材に関心をもっていることがわかった。画面については、カラフルで、美しく、自然と人間の調和があり、言葉少なく、適切な英語で興味・関心を持続するものがよい、という意見が多かった。武村重和は、オ-ストラリアのカンベラとメルボルンで教育関係者や一般人にインタビュ-を行い、国際理解の教育で視聴覚教材の編集の視点を導き出すことに努めた。その結果、(1)自然、歴史、社会、文化、生活、言語、宗教、価値観などの自国と他国の違いの理解と尊重、(2)国家間の対立・環境汚染、人口増加、富の遍在、などの国際問題の把握と解決への協力参加、(3)国際化によるコミュニケ-ションと交流の活性化、(4)貿易等による相互依存関係と共存の認識、(5)平和、自由、平等、人権、正義、人類愛などの世界共通の思想や地球共同社会という世界意識の育成に関する教材こそが、国際理解に通じるという視点を得た。溝上泰らの社会班は、ニュ-ジ-ランドの10〜17歳の児童・生徒及び小・中学校の教師を対象に、日本で作成された市民生活、歴史や伝統文化、生活様式などを中心に日本の都市・広島市の社会生活を紹介するビデオ教材を視聴させ、日本学習に関する経験の有無とその内容、ビデオ教材に関する興味・関心の程度とその内容、異文化理解に関する実態、日本学習に求める内容と方法などを調べる調査を行い、解答を得た。調査の集計結果に基づいて、児童・生徒及び教師はどのような日本学習を求めているのか、日本学習に関する教育用教材として何が求められているのか、ニュ-ジ-ランドにおけるニ-ズアナリシスを行った。その結果、日本の歴史、伝統文化、人間生活、日本と海外の国々との関係などの教材化の要請が強く、気候、自然、宗教、観光、産業などの日本の実情については小中学生・教師の間で関心が低いことがわかった。さらに、事実認識やデ-タ・情報の提供だけを意図したものではなく、現状や問題点の背景にある条件や原因を究明するような、また、問題解決のための判断を行うような問いを発見することができる教材の開発を要求した。さらに、貿易や文化やスポ-ツなどの相違点や共通点の両面を取り入れた教材の要請があった。また、日本人の立場から日本の社会や文化を理解させたいという教材が現地に少ないことがわかった。池田秀雄は、海外向けの環境教育用視聴覚教材ソフトを開発する目的で、英語版のビデオ環境教材を持参して、多面的な調査を11〜15歳の生徒に行った。その結果、特定地域の環境汚染に目を向けることだけではなく、グリ-ンハウス効果、オゾン層の破壊など全地球レベルで理解、ロ-カルな環境問題に各国相互の共通理解の必要、環境破壊や保全の社会的、歴史的背景の理解が重要である。
著者
犬飼 義秀
出版者
岡山県立短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本年度は、前年度の「児童期における社会性の発達」「仲間集団における社会性の発達」に関する諸理論を、子供の日常生活に求めた。まず、平日・土曜日・日曜日の生活時間および、家庭学習、塾・習い事、テレビ視聴、遊び、スポ-ツ活動等について650名の小学生(4〜6年生)を対象に調査を実施した。その結果、塾通いや習い事が日常化しており、友人仲間それぞれのスケジュ-ルが異なり、共通して遊べる時間あまりなく、集団的な遊びが弱体化している。現代の子供達の遊びは、全体として(1)室内において、(2)少人数で、(3)活動量の少ない、(4)商品化された物を相手に、(5)受動的な遊びが多くなっている。しかし、一方では外遊びと家の中での遊びとでは、外遊びを好み、遊ぶ人数では、より多くでの遊びを好んでいる。このように戸外で多人数の遊びを求めながら、家の中での遊びが中心であることは、子供達が友達と遊べなくなったというよりも、遊べなくなったという深刻な問題がある。このように、遊び活動の衰退は、仲間集団の形成を阻害し、形成されても脆弱化する。次に、こうした仲間集団の具体的状況を、子供スポ-ツ集団の事例的研究に求めた。その結果チ-ムメイトは、クラス内においては好きな友達として上位に選択される。しかし、チ-ム内における相互選択では、レギュラ-はレギュラ-を、イレギュラ-はイレギュラ-を選択するというスポ-ツ集団における層化した人間関係の構造が存在する。さらにレギュラ-同士の人間関係は強いが、イレギュラ-同士の関係は弱い。二層分化したレギュラ-とイレギュラ-を結ぶ関係が弱いことは、集団全体の課題達成や統一維持にとって問題である。レギュラ-・イレギュラ-という層化した人間関係の構造は、地位構造・勢力関係にも反映されている。レギュラ-間における地位ランクは、技能、活動に対する知識水準の高い者と、キャプテンというオ-ソライズされた地位付与者が上位にある。このことは、レギュラ-成員は、活動や勝利という課題達成の遂行者を上位にランクしていることがわかる。一方、イレギュラ-間の地位ランクは、レギュラ-で自分たちとの人間関係の強い者が上位にランクされている。地位ランクの上位者は、スポ-ツ集団におけるリ-ダでもある。リ-ダ-シップ機能には、集団の目標達成機能と統一機能とが見られる。レギュラ-間においては課題達成機能が、イレギュラ-間では統一維持機能がより重要視されている。特に、イレギュラ-は、やさしく・親切な成員をリ-ダ-の選択基準にしている。このように子供スポ-ツ集団の内部に、二層分化の構造が生まれる背景には、過度な勝利志向と技術的上達を求める監督・コ-チの指導態度が強く関係している。今回対象にした子供の発達段階からすれば、親の庇護を離れて仲間の世界へと入っていき、仲間との共通の基盤の上に立ち、大人への全面依存からそれを断ち切り精神的自立の達成を課せされた時期である。現代の子供の人格発達のゆがみは、基本的には子供集団と子供文化が存在していないこと、その中での能動的な活動が保障されていないことから派生されている。学校の週休2日制を前に、地域における子供集団とその文化の再生についての検討が必要である。
著者
斉 光
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

報告者は,平成21年度に実施した研究成果は以下のとおりである。(1)2009年6月20日~25日,北京市にある中央民族大学歴史学部・モンゴル学部を訪問した。(2)6月26日~29日,甘粛省夏河市に所在するゲルク派チベット仏教寺院ラブラン寺に赴き,該寺院が保管している清代青海ホシュート部右翼の有力王公チャガン=ダンジンと彼の子孫・王妃らのお墓,ダライ=ラマが授与した印章,遺物などを調査した。(3)6月30日~7月4日、青海省海南チベット族自治州河南モンゴル族自治県〓案館に行って、清代青海ホシュート部に関連する史料,及び右翼の右力者チャガン=ダンジンと彼の子孫らが使用していたダライ=ラマ授与の印章を収集した。また、河南モンゴル族自治県地方誌を購入した。該自治県は、清代では青海ホシュート部右翼4旗の領地であり,その首長層はほとんどチャガン=ダンジン一族であった。該旗における現地調査から、清朝と青海ホシュート部右翼間の境界線が非常に近くて、康煕・雍正年間において、清朝の軍事牽制策が容易に施行できる状況であったことが明らかになった。(4)7月6日~9日,青海省徳令哈市にある海西モンゴル族・チベット族自治州〓案館に行って,清代青海ホシュート部に関連する〓案史料を収集した。該自治州は清代青海ホシュート部左翼の領地であり,北部のチャイダム盆地ガス地帯はジューン=ガル部に通る軍事的要衝であった。(5)10日,青海湖南部のチャガン=トロガイという地に赴き、清代青海ホシュート部の首長らが会盟して湖神を祭っていた場所を確認した。(5)7月11日~17日,北京にある中国国家図書館善本部・北京大学図書館善太室に赴いて,清代モンゴル年代記・アラシャン=ホシュート旗行政区畫図を収集した。(6)2009年12月9日,筑波大学大学院東洋史研究演習において,博士論文構想発表を行なった。
著者
海野 徹也 長澤 和也 小路 淳 斉藤 英俊
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

放流事業によって漁獲量が著しく回復した広島湾のクロダイについて、産卵場、卵分布、稚魚の分布、成長、食性などの初期生態を解明した。クロダイの主産卵場は広島湾の湾口部に形成され、産卵は夜間であり、卵は幅広い水深に分布した。卵密度と稚魚の日周輪解析より、産卵ピークは5月下旬から6月中旬であり、着底は7月上旬から中旬にピークを迎えることがわかった。稚魚の主食はヨコエビ類、カイアシ類、であったが、生息環境に応じ柔軟性を示していた。
著者
パッソス アンデルソン 竹内 康人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.107, pp.11-15, 2009-06-19
参考文献数
5

非可聴つぶやきなどの体内を伝搬する音を検出する事に関して、従来思考の接触型マイクロホンより、超音波ドプラシステムを変位検出器ないし振動検出器として援用する事の方が諸般お点において優れている事を紹介している。
著者
小澤 紀美子 松村 祥子
出版者
東京学芸大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

日本はきわめて高度な高齢社会に移行していくために、高齢者が自立して暮らせるためのケア付き住宅やソ-シャルケアなどのサ-ビスシステムの開発が緊要な課題となっている。そこで本研究は3年間にわたって調査を進め、次のような成果を得た。1住宅及びケアサ-ビスを受けている程度によって高齢者の住まい方を5カテゴリ-に分類し、7施設居住および在宅高齢者110人に面接調査を実施した。その結果、社会的・文化的要因や家族関係及びライフヒストリ-、地域社会の差異によるサ-ビス受容レベル、供給レベルの実態と住居の形態別のサ-ビスへの要求、生活の自立の程度に差がある等、高齢者のかかえる問題点等を明らかにした。2社会福祉関係者、福祉行政関係者、学識経験者、一般住民61人への面接調査により、高齢者福祉に必要な30項目の相互関連性を調べ、DEMATEL法によりソ-シャルサ-ビスシステムの問題構造を明らかにした。さらに日本型ソ-シャルサ-ビスシステムの問題解決のための方策を検討した。3以上の調査結果、及びフィンランドの研究成果の概要、研究担当者がこれまで調査した住民への意識調査結果から、日本型ケアサ-ビスシステムとそのサポ-トのための組織づくりへの課題を検討し、その方策の提案を行った。
著者
中迫 昇
出版者
近畿大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究では、もともとの変動が有限な範囲内に留まっていたり、(飽和型非線形系の)計測器のダイナミック・レンジなどの存在により有限な範囲内の値を示す実際的な場合において、非定常入力を伴う系の応答解析を最終目標としている。今回は研究の初期的段階にあることから、特に飽和型非線形系における非定常変動観測時の雑音対策を、システムの物理メカニズムと直結するパワースケールとの関連で考究した。すなわち、有限レベル変動範囲のダイナミック・レンジをもつ観測データを用いて、任意分布型の外来雑音に汚された未知非定常信号(特に、パワースケールのような正の物理量)を、動的に推定してゆく推定アルゴリズムをベイズ定理に基づき開発した。具体的には、飽和の影響を受ける前の任意変動の観測値と任意非ガウス型変動を示す未知信号間の線形・非線形の各種相情報を階層的に反映した新たな信号復元法を、広義ディジタルフィルタの形で見い出した。更に本研究で得られた理論的結果を、シミュレーションデータや残響室内における暗騒音混入下の実音響データに適用し、その有効性を検証した。本研究で得られた理論の特長を列挙すると以下のとおりである。1)本手法は、外来雑音の混入とダイナミックレンジの存在に整合している。2)実システムが本質的にもつ非ガウス性、非線形性に対応できる。3)推定アルゴリズムが実用的である。すなわち、観測レンジ内では従来のベイズフィルタを形式的に採用し、観測レンジの上限、下限では確率密度の集中を簡易的に考慮している。4)スペシャルケースとして、ダイナミック・レンジが十分広い場合には、従来のベイズフィルタを理論的に包含している。本研究をもとに、今後、非定常な確率現象と計測における有限性を伴うあらゆる実分野への適用とその成果が期待できる(たとえば、機械振動、地盤振動、道路交通騒音などにおける非定常揺らぎの評価や解析など)。
著者
中迫 昇
出版者
近畿大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、我々の生活と切り放すことができない音環境システムに特に着目し、その信号処理を目指して、多変量解析の分野で公知の主成分分析法と因子分析法の拡張を試みた。まず、特に音環境における確率評価量(例えば、Lx、Leq)間での双方向変換関係を見いだす目的で、公知の主成分分析法を理論的に拡張した。具体的には、線形関係および自乗誤差評価(すなわち、線形相関を利用)のみに基づく従来の手法とは異なり、非線形モデルの導入や、高次相関情報の誤差評価への利用などを行なった。さらに、公知の回帰分析法と対比させながら提案手法を実測データに適用し、良好な結果を得た。この成分分析の拡張手法には次のような特長がある。すなわち、1)実現象ごもつ複雑さや各変数間の非線形性に対応できる、2)多変数間の線形相関情報のみでなく非線形相関をも利用できる、3)従来の主成分分析法をスペシャルケースで含んでいる、4)2変数のみでなく、3変数以上の場合のもそのまま本手法が拡張できる、などである。ついで、音環境における複雑な多数遮音システムを、暗騒音に埋もれた出力観測のみから同時に同定したり、その出力応答を(騒音評価量とも関連し)揺らぎ分布全体において予測する目的で、特に実用的な立場から因子分析法の考え方を拡張した。具体的には、共通因子と独自因子に実体的メカニズムをまず反映させて、それぞれ騒音入力インテンシティ、各観測点での暗騒音インテンシティとして捉え、インテンシティスケールでの線形モデルに基づきシステムパラメータとして因子負荷量を推定した。この結果を用いて、暗騒音の影響がない場合、すなわち入力騒音のみに対する出力騒音の分布予測を行うことができる。さらに、本手法を実際の音環境データへ適用することによりその有効性を実験的にも確認できた。この因子分析の拡張手法は次のような特長を持っている。すなわち、1)複数システムを同時に扱える、2)入力および暗騒音が未知でも適用できる、3)計測において入出力間の同期をとる必要がない、などである。
著者
得津 愼子
出版者
関西福祉科学大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

1.平成14年度の作成した家族レジリエンス尺度(Family Resilience Inventory,FRI)の調査・分析を下に、平成15年度家族心理学学会第21会大会において「家族レジリエンスの家族支援の臨床的応用に向けて」の口頭発表を行った。これについては「家族支援に有用であると思われる家族レジリエンス概念を用いた家族機能尺度の作成」という原稿にまとめた(掲載は未定)。2.平成14年度に行った「家族の危機と回復」についての聞き取り調査の分析を進め、「家族レジリエンス尺度作成に向けて」『関西福祉科学大学紀要』Vo17(2004,3月刊行予定)に発表した。3.平成15年12月に、中途障害者とその家埠から聞き取り調査を行い、家族の持つ家族レジリエンスが働くため、医療ソーシャルワーカ」や支援システムの充実が不可欠であることが考察された。4.FRIは臨床に使用されることを目的としている。今日、家族療法においても、社会福祉方法論においてもナラティヴアプローチがもはやメインストリームとなっている感もある。自記式調査であれ、聞きとり調査であれ、家族員が家族の危機的状況を新たに思い起こし、「語る」ことは極めて臨床的な行為である。ゆえに、家族レジリエンス尺度の自己活用の可能性が示唆された。5.調査の対象者が「家族」を語るときの家族は、対象者の時系列的に異なる複数の「家族」であったり、その故に、同じ家族からの同時の聞き取り調査であっても、その対象とする「家族」は異なっている場合がある。また、絶えず変化生成する家族システムの特徴からも、家族の「今、ここ」での資源としての有用性に焦点化することに意義があるのではないかと考察された。6.本家族レジリエンス概念は、従来のコーピング概念や家族ホメオスタシス概念と混同されやすいが、家族は個人と同様に家族内の相互作用のみならず、外部システムとの相互作用も含めて動き、家族レジリエンスは外部システムからの刺激によっても促進されるものである。ゆえに、単に家族解体を避けるためというよりも、一層機能的なシステムとなるためには、家族レジリエンスが働くための外部システムやその相互作用に注目すべきである。家族レジリエンス概念を盛り込んだ新たな支援システム作りについて一層調査、研究を深めたい。