著者
直田 健 今田 泰嗣 小宮 成義
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

クリーンで遠隔操作可能な有機流体の流動性制御や物質配列による機能発現を目的として、メカノストレスを外部刺激として用いる洗濯ばさみ型パラジウムおよび白金錯体の分子集合の精密制御法の開拓を行った。環状二核パラジウム錯体を用いる分子集合において、超音波感受性のコントロール方法を検討し、溶媒、超音波照射時間及び構造異性体の添加等の因子により、ゲル化速度や構造のモルフォロジーを制御できることを明らかにした。さらに、対応する白金錯体の超音波応答性分子集合による発光増大現象において、超音波照射時間に依存する発光強度制御に成功した。
著者
松井 孝雄
出版者
中部大学
雑誌
人文学部研究論集 (ISSN:13446037)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.181-189, 2008-01

空間認知研究において,地図の記憶にもとづいて方向判断などの空間課題を遂行した場合には方向によって結果が異なるのに対し,移動経験にもとづく場合にはそのような性質はみられないとされることが多かった(Evans & Pezdek,1980; Presson & Hazelrigg,1984など)。しかし松井(2006)では,大学キャンパス内の地点を用いた方向判断課題の結果を参加者の描いた手描き地図の向きを基準に分類したところ,手描き地図での上方向と課題の基準方向が一致していると誤反応が少ない傾向があるという整列効果がみられ,移動経験による記憶でも異方性が生じることが示された。本研究では規模の異なる大学を用いて同様の実験を行ない,この現象に再現性があることを示した。
著者
藤田 真弓
出版者
新領域創成科学研究科 環境学研究系 社会文化環境学専攻
巻号頁・発行日
2007-03-22

報告番号: ; 学位授与年月日: 2007-03-22; 学位の種別: 修士; 学位の種類: 修士(環境学) ; 学位記番号: 修創域第2269号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科社会文化環境学専攻
著者
井上 正康 佐藤 英介
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本申請者は、不安定で短寿命の活性酸素やNOのクロストークが、循環エネルギー代謝、感染防御、発生分化、組織リモデリングなど、種を越えて生物の生存を保証する危機管理スーパーシステムを構築することを世界に先駆けて報告してきた。本研究は、本システムの全容解明とその特異的代謝制御法の開発により各種病態の予防治療法確立を目的として進められた。本研究により、短寿命の活性酸素やNOを個体レベルで組織特異的に代謝制御するシステムがが確立できた。例えば、虚血組織、血管内皮細胞、肝細胞、腎尿細管細胞、白血球や網内系細胞などをその特異的ターゲットとするSOD群、長時間循環型のアスコルビン酸オキシダーゼおよびチトクロムcなどの検出分子系の開発などがその例である。これらを利用し、活性酸素NO系のスーパーシステムが抵抗性血管と所属組織のミトコンドリアエネルギー代謝・活性酸素代謝系を総合的に制御している分子機構が判明し、高血圧やショック病態がその代謝の歪みである可能性も判明した。さらに、ミトコンドリア内膜分子群に対する本スーパーシステムの作用機構を明らかにし、その特異的制御によりアポトーシスのコントロールが可能となった。さらに、本スーパーシステムが細胞の増殖制御や昆虫の変態現象にも関与することが判明した。後者は、感染症との関係で変態時期を認知実行する機構を形成していることも明らかになった。これに関連し、NO代謝を主軸とする活性酸素スーパーシステムが両棲類(オタマジャクシ)、及び昆虫(クワガタ虫やカイコ)の変態(プログラム細胞死と組織リモデリング)、および神経筋疾患の発症の時期や進行速度を統御していることが明らかになった。また、ミトコンドリア依存性細胞死を抑制するカルニチンがミトコンドリア病態を介する神経・筋萎縮性病態の進行を抑制することが判明した。さらに、組織特異的な活性酸素代謝制御による抗ガン剤の副作用(特に腎と消化管上皮細胞のミトコンドリア依存性アポトーシス)の特異的抑制法が可能であることも判明した。
著者
木崎 昌弘
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

白血病の治療は抗癌剤による化学療法が主体であるが、時として致命的な合併症や副作用が問題となる。近年、白血病に対す分子標的療法が注目されているが、本研究においてはより侵襲の少ない新たな白血病に対する分子標的療法の確立を目的とした研究を展開した。緑茶成分EGCG は活性酸素(ROS)を産生し、ミエロペロキシダーゼ(MPO)を介して最終的にはDNA 障害活性の強いヒドロキシラジカルを産生することでヒト骨髄性白血病細胞のアポトーシスを誘導した。そこで、白血病の治癒を目的として、CD34 陽性CD38 陰性分画より、ヒト白血病幹細胞(LSC)を単離し、EGCG によるヒトLSC に対する効果を検討し、白血病に対する新たな分子標的療法確立のための基礎的な検討を行った。
著者
板野 理 斎藤 淳一
出版者
慶応義塾大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

現在、胃癌に先行して、大腸癌の臨床検体を用いた研究を継続中である。大腸癌新鮮手術切除検体25例の癌部、非癌部のゲノムDNAを抽出し、RLGS法を用いて、各々のprofileを作成した。(板野、斎藤)二次元電気泳動により得られた各profile上でのスポットの変化を、癌部と非癌部間で比較したところ、いくつかの共通スポット変化をみとめた。その内訳は、非癌部のみに出現するスポットが4種、癌部のみに出現するスポットが2種であった。最も高頻度にみられたスポット変化は癌部のみに出現するスポットで、25例中19例(76%)にみとめた。そのDNA断片をゲルからクローニングするために、制限醇素Not I siteのみを描出するtrapper methodを用いた。クローニングはtrapper施行後のprofileから、目的とするスポットを直接打抜き、DNAを抽出した。DNA量の確保のため、プラスミドに押入し、大腸菌を用いて形質転換を行い、増幅させた。さらにダイデオキシ法にて、塩基配列を決定した。今回のクローニングで得られたDNA断片の塩基配列は、ヒト脂肪酸合成酵素遺伝子(FAS)と69%の相同性を認めるものであった。(板野)今後は,得られたDNA断片をprobeとし、該当する癌関連遺伝子の同定を試みる予定である。以上の手法にて、他の変化スポットも1種ずつクローニングしてゆくことで、未知の癌関連遺伝子同定が進んでゆくと考える。また、各profile間のスポット変化と臨床病理学的特徴を解析することで、特定の遺伝子変化に対応した病態が解明される可能性がある。
著者
マッカーティ スティーブ
出版者
大阪女学院大学・短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:03877744)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.1-21, 2006

この論文は「コースキャスティング」(学期の授業のレクチャーの部分をデジタルに録音し、インターネット上のポッドキャスティング・ブログにアップし、学生・その他の関係者に、復習などのためにコンピュータやiPodで聞くように提供するような情報技術)を研究し、実際のバイリンガル教育という専門展開群の科目をコースキャスティングにする試みとその学生よりのフィードバックを報告する。教育的ポッドキャスティング全般の役立つところについての著述を調べる。iTunesUという新世代のLMSも調べる。分析した証拠に基づき、コースキャスティングがいろいろなふうに役立つという仮説を考察し、積極的に結論する。
著者
奥村 治彦 内田 龍男 金子 節夫 下平 美文 内池 平樹 服部 励治 中西 洋一郎 山崎 映一 中本 正幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J92-C, no.8, pp.433-453, 2009-08-01

2002年には,金額ベースでは,FPD全体の市場がCRT市場を超え,特に成長が著しくFPDの活躍の場である携帯電話を中心としたモバイル市場はもとより,最近になって,CRTの最大市場であるテレビ受像機市場でも逆転現象が発生するまでにFPD市場が急成長してきた.このような中,本論文では,中心的な役割を果たしてきたCRTと,その主役を引き継ぐFPD(LCD,PDP,EL,FEDに分類)について,ここ40年のそれぞれの技術進化を振り返り,将来を展望する.
著者
渡辺 重佳
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J92-C, no.8, pp.467-476, 2009-08-01

本論文では現在の半導体メモリ市場の主流製品であるDRAM,フラッシュメモリと今後の大きな市場が期待される FeRAM ,MRAM,PRAM, ReRAM 等の新型メモリの過去40年の歴史とその将来展望に関して述べる.DRAMではメモリセルの構造とメモリセルサイズの縮小が重要であり,その高速性のため,パソコンの主記憶等に使われる.マルチメディア情報の記憶媒体として使われるフラッシュメモリは不揮発性特性と低コスト技術が重要であり,低コスト化のため多値化,積層化が進められている.新型メモリは近い将来は各メモリ固有の研究開発状況に合わせた製品化が重要だが,将来はDRAMとフラッシュメモリの特性を併せ持つユニバーサルメモリの実現が期待される.
著者
榎本 忠儀
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J92-C, no.8, pp.477-487, 2009-08-01

動画像符号化プロセッサLSI(符号化LSI)が世界で初めて開発されたのは1987年であった.その後飛躍的な発展を遂げ,現在のディジタルマルチメディア時代が築かれた.本論文では,まず符号化LSI開発の歴史を振返る.次に符号化LSIの高速化・高性能化・低電力化を実現するために開発された各種技術を解説する.更に, MPEG-2 符号化LSI, MPEG-4 符号化LSIのチップアーキテクチャ,機能,特徴,H. 264/AVCのチップ応用を詳述する.最後に,将来に向けた符号化LSIの低電力化技術に言及し,符号化LSIの将来を展望する.
著者
斎藤 馨 岩岡 正博 藤原 章雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)無電源地に太陽光発電システムを設置し、定時伝送システムに24時間電源供給を実現した。(2)無電源地でブナ林、2次林、人工林の森林景観と気象データを、携帯電話データカードを用いて、毎日定時に伝送するシステムを開発設置し、運用を続けている。(3)森林映像インターネット配信サーバの稼働を開始した。日々データカードで伝送蓄積している景観データについては、インターネットを使い、(a)PodcastによりPCとiPodに日々配信、(b)ブログによりPCと携帯電話への配信システムを開発し、運用を続けている。(4)過去13年間の高品質映像データから、紅葉期についてデジタル化し、配信サーバにデータベース化して組み込んだ。(5)環境学習教材開発と検証実験を行った。上記の(3)、(4)を用い、森林映像による過去13年間の紅葉期の季節変化と、定時伝送システムとインターネット配信により日々送られる紅葉期の映像データを用いた、環境学習プログラムを開発した。プログラムは、(a)映像による季節区分クイズ、(b)13年間の紅葉期映像パンフレットによる解説、(c)カエデ類の実物の葉の配布、(d)紅葉実験キットの説明と配布とした。(6)小学生とその家族を含む約100名による検証実験を行ない、アンケートを行った。(7)紅葉期が終わった後に、伝送映像と別に、高精細な映像を編集したDVDを制作し、郵送配布しアンケートを行った。(8)(5)でのプログラムでは、(a)が最も良かったと回答され、プログラム実施後に携帯電話やインターネットによる日々の配信映像を見てもらえることが分かった。また(7)では、ブログと携帯電話での視聴者が最も多く、森林景観の日々の様子を映像により観察する場合、重要なメディアであることが示された。
著者
宮城 俊作
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.205-220, 1990-02

本研究では関西地方に存続する6つの歴史的市街地を対象として,宅地割の形態にみられる特徴から抽出される宅地のタイポロジー,その基準となる形状寸法,「にわ」の存在形態,家屋を含めた敷地平面構成,の4点を検討した結果,以下の諸点が考察された.(1)抽出された住戸敷地の形態は,宅地割のオリジナル形態にみられた形状と標準規模を何らかのかたちで継承している.(2)「にわの配列は,宅地の形状と規模の基準値によって想定される敷地条件によく呼応し,間口3〜4間,奥行9間が「にわ」1単位の存在条件となっている.(3)「にわ」の単位と別棟の複数化は,敷地規模,特に奥行が増大することによって生じる.これによって敷地後部に「にわ」と家屋がヴァリエーションを持って配置されることになり,街区内部の空間に街路側とは異なった多様化が担保されることを示す.
著者
平山 勉 後藤 明史 竹内 英人
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、初任者教師の授業実践能力育成支援のため、「ユビキタス映像記録視聴システム」を活用することを目指した。配信用の携帯ディバイスをiPod touchから大画面のiPadに改良した。SNSの非公開会議室を利用し、学生同士の意見交換に利用し成果があった。卒業生の授業を配信・活用し、教職課程履修生の授業実践能力育成に資することができた。愛知県総合教育センターと授業映像記録の活用について共同研究をスタートした。
著者
村松 浩幸 田所 慎也 安達 一寿 城台 隆光
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.15, pp.66-67, 1999-11-11

校内のWebサーバーを利用して、会議室や掲示板などが難しいプログラムの知識なしで手軽に構築できるようなWebアプリケーションシステムを開発し、イントラネットワークを利用した学習環境を構築した。また各教室においた旧型DOS機からも情報共有に参加できるようなシステムにした。
著者
小林 大祐
出版者
大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻
巻号頁・発行日
2007-02-02

報告番号: ; 学位授与年月日: 2007-03- ; 学位の種別: 修士; 学位の種類: 修士() ; 学位記番号: 修第号 ; 研究科・専攻: 情報理工学系研究科電子情報学専攻
著者
平田 成
出版者
会津大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

小惑星イトカワの探査データを, 不規則形状小天体の解析のための地理情報システム(GIS)で取り扱い可能なマッピングデータとして整理した, また, 本ソフトウェアを用いて小惑星イトカワ上に存在する衝突地形の抽出を行うとともに, 小惑星上でのクレーター形成過程についての研究を進めた.また, クレーター形成と連動して生じる表層の物質移動と宇宙風化の進行度との関係についての研究も進めた. これらの研究成果をもとに, 小惑星イトカワの進化履歴が明らかになったほか, 小惑星の地質学的プロセスについての理解が進展した.