著者
松村 武 稲見 俊哉 道村 真司 松岡 英一 椎名 亮輔 谷田 博司 世良 正文 伊賀 文俊 鈴木 博之 大坪 亨
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

強相関電子系物質におけるスピン・軌道の複合自由度が低温で示す様々な新奇秩序現象を研究する上で極めて強力な実験手法である共鳴X線回折実験を,最低温度0. 6 K,磁場8Tの環境で行うことができるシステムをSpring-8の日本原子力機構ビームラインBL22XUに構築した.典型3物質Ce0. 7La0. 3B6, PrPd3S4, DyPd3S4について実験を行い,いずれもf電子の多極子自由度が密接に関与した秩序を形成していることを観測した.
著者
中村 聡史
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,人間とコンピュータ上のコンテンツとの関わりをより自然なものとするため,生活の中で人間がすでに慣れ親しんでいる紙の表裏の関係に注目し,板状コンピュータの両面に直接操作可能なタブレットディスプレイを備えた両面ディスプレイシステムを実装した.また,その上で動作するアプリケーションの可能性,コンテンツの可能性などを明らかにした.本年度は特に,これまでに実現し動作環境を整備したタブレットPC(A4サイズ)サイズ,PDAサイズの両面ディスプレイに加え,iPod touchによる両面ディスプレイも構築した.さらに,その上で実際に動作する未来のアプリケーションを模索し,表では通常のウェブ閲覧,裏では別の操作を行えるような仕組みを実現した.実際に実現した仕組みは,編集操作によりウェブページの閲覧性を向上させる仕組み(Editable Web Browser),ウェブ検索の再ランキングを行える仕組み(Rerank-by-Example),ブラウジングとウェブ検索を融合する仕組み(WeBrowSearch),コンテンツの信憑性を診断する仕組みなどである.また,両面を利用して並列検索および並列再ランキングを行う仕組みも実現した.こうした研究を実際にユーザベースで評価を行うことにより,その有用性と可能性を明らかにした.また,美術系の大学生に両面ディスプレイを利用したコンテンツ作成を依頼し,その可能性を模索した.特に,表と裏のコンテンツがそれぞれ独立でストーリーとして成り立つものの,各シーンで相互に干渉しあっており,表裏を切り替えながら楽しむコンテンツは興味深く,多くの利用者に評価された.以上のように,本研究は非常に意義深く重要性の高いものであった.
著者
肥後 芳樹 宮崎 宏海 楠本 真二 井上 克郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.9, pp.1727-1735, 2010-09-01

これまでに様々なコードクローン検出手法が提案されているが,ギャップ(不一致部分)を含むコードクローンを検出できる手法は少ない.本論文では,ギャップを含むコードクローンを検出できないコードクローン検出手法の出力結果に対して後処理を行うことで,ギャップを含むコードクローン情報を生成する手法を提案する.提案手法は,グラフマイニングアルゴリズムの一つであるAGMアルゴリズムを用いており,効率的にギャップを含むコードクローン情報を生成することができる.提案手法を検出ツールCCFinderのポストプロセッサとして実装し,複数のオープンソースソフトウェアに対して適用したところ,多数の興味深いコードクローン情報を得ることができた.しかし,提示する必要がないと思われるコードクローンも生成してしまうことがあった.本論文では,この実験の結果について述べ,また,上記の問題に対する解決策についても考察する.
著者
榎田 一路 J・J ラウアー
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ネットワーク経由の購読型音声配信(ポッドキャスティング)を利用した英語学習システムを構築し,その効果と継続的学習のあり方を検証した。2007年度の予備調査を経て2008年度から週1回の配信を開始し,2009年度末までに教材87本を開発・配信した。教材はすべてウェブやiTunesを通じて一般に公開している。また同教材を授業等で使用し,学習の絶対量を確保する手段としての効果を検証した。
著者
藤沢 法義 梅村 匡史 曽我 聰起
出版者
札幌国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、授業映像の簡便な撮影・編集・配信用システムを安価に構築することである。平成18年度は、(1)授業映像撮影方法への影響要素による授業分類法の検討整理、(2)ワイヤレスマイクを利用した授業映像撮影法の有効性の検証、(3)編集作業無しでビデオカメラ2台撮影映像のPinP合成を可能にするSMILジェネレータの改良を実施した。ただし、授業中に教室内を広範囲に移動する教員をカメラマン無しで撮影する方法など、適用可能な授業形態範囲を拡大する課題を残した。平成19年度は、先ず授業担当教員一人で撮影できる授業形態範囲拡大のために市販の自動追尾撮影用機材能力を評価した。その結果、超音波送信器の方向にパン動作する自動追尾回転台の性能に良好な結果を得た。ただし、被写体である教員の動作によってはパン動作が不適切になるため授業中の教員が適宜自身の動作で対応する必要があることも判明した。次に、安価、簡便に授業映像を編集してインターネット配信する手段、方法について検討を加えた。Podcastを利用したビデオ配信環境が整備され盛んに利用されている現状とモバイル機器を学習機材として利用できる可能性を重視し、授業映像をPodcast配信する手段、方法などの実証試験を実施した。その成果として、省力化可能なビデオカメラ映像ファイル保存形式やファイルコンバータ、映像編集ソフト、Podcast配信支援ソフトなどの組合せを提示した。近年、OCWやiTunes Uなどで授業映像を組織的に公開している大学が増加している。公開の有無に関係なく、特別な組織や設備が無くても教員が手軽に自身の授業映像を学習支援やFDなどに活用できる手段のひとつを本研究が提供できた。
著者
岩居 弘樹 久保田 美生
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

iPhoneやiPadのような小型情報端末はコンピュータ環境のない教室でもICT活用アクティブ・ラーニングを効果的に実現できる。従来型のCALLシステムの機能に機動性と創造性を備え、外国語学習環境を大きく変える可能性があることが明らかになった。小型情報端末は単なる電子教材の提示やビデオ・音声の再生装置ではなく、ビデオ撮影や編集、ナレーション付きスライドショー作成などの課題制作、学生自身による外国語音声の確認、学生との双方向コミュニケーションなどを実践しその効果を確認することができた。
著者
佐々木 整
出版者
拓殖大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の成果は大きく5つに分けることができる。1つめはスマートフォン向けの学習支援アプリケーションを開発し、2つめは形態素解析を用いた教育用コンテンツのひらがな化を実現した。また、3つめは小テスト用Googleガジェットを開発し、4つめとしてAR技術を利用した新しいeラーニングコンテンツの試作を行った。さらに5つめでは専門用語のDBを作成するとともに、Twitterを用いて検索や登録のための仕組みを開発した。
著者
三輪 譲二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.470, pp.199-204, 2009-02-28
被引用文献数
1

本報告では、ユビキタス環境における漢字学習支援システムの運用評価結果について述べる。このシステムは、連合学習支援、手書き漢字入力を用いた辞書検索支援、漢字文章読解支援の3つの支援機能を、世界の漢字学習者に無料で公開している。このシステムは、Webベースのため、パソコンばかりでなく、iPhoneなどのユビキタス環境でも利用できる特色をもっている。また、連合漢字学習支援のページでは、約1年間の公開運用実験の結果、iPhoneやiPod Touchからの利用が約16%あり、ユビキタス環境での学習支援システムが益々重要になってきていることが分かった。
著者
千明 守 松尾 葦江 坂井 孝一 佐々木 孝浩 吉田 永弘 牧野 淳司
出版者
國學院大學栃木短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

平家物語の成立に関して、現在、読み本系諸本に属する延慶本の存在が注目されているが、語り本系諸本の中で最も多く古態性を留めていると考えられる屋代本(國學院大學図書館と京都府立総合資料館に分蔵)の本文がその延慶本と比較してどのような性質の本文を持っているかを明らかにした。書誌学的調査から本書の成立年代を明らかにし、本文の周辺本文の比較調査からその本文の特質と成立過程を推測した。
著者
前川 禎通 森 道康 家田 淳一 安立 裕人 高橋 三郎 大江 純一郎
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、磁化運動に伴う電圧生成の新原理「スピン起電力」に関する量子論的基礎を確立し、現象の解明と新機能を有する磁気デバイスの開発を目的とする。主な成果として、スピン起電力の数値計算アルゴリズム開発を行い、強磁性体中の局在磁化ダイナミクスとスピン起電力の関係を明らかにした。特に、磁気渦運動によるスピン起電力の解明、非一様磁性細線中の磁壁移動を用いた外部磁場印加不要なスピン起電力の解明、強磁性共鳴を用いたスピン起電力の連続発信、スピン起電力を用いた磁気ヘッドの発明などを行った。
著者
曲山 幸生 工藤 成史
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會誌 (ISSN:00214728)
巻号頁・発行日
vol.103, no.984, pp.752-755, 2000-11-05
被引用文献数
5
著者
三好 健文
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

プログラム中の様々な粒度の並列性を有効に活用し効率良く実行することを目的とし,(1)静的な細粒度自動並列化,(2)動的最適化のためのタスクスケジューラ実現手法,(3)タスク間の依存制約の静的解析とプロファイル情報に基づく動的解析を組み合わせた共有リソースの有効利用手法,および,(4)実行する演算に対する動的最適化の負荷と効果の評価方法についての研究を行った.また評価環境としてシミュレーション手法の研究を行った.
著者
乾 健太郎
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

商品やサービスなど, 指定されたトピックに関連する個人の経験の記述をWeb文書集合から収集し, 述語項構造に基づく表現形式に構造化するとともに, 事態タイプ(ポジティブ/ネガティブな出来事・状態, 入手・利用等の行為など)や事実性情報(当該事態の時間情報とそれに対する話者態度)といった意味情報を解析する経験マイニングを開発した. 20年度の具体的成果は次の4点である.(1)評価極性知識獲得の大規模実験 : 事態タイプのうち, とくに「遅刻する, 炎症が治まる, 錆が出る」など, 評価極性を持つ出来事に関する知識の獲得に注力し, 大規模なWeb文書コーパスからこれを獲得する実験を行った. その結果, コーパスのサイズを大きくすると, 獲得できる知識の精度, カバレッジともに劇的に向上に, 最終的に1.6億文のコーパスから75以上のカバレッジを85以上の精度で獲得できることが確かめられた.(2)事実性解析モデルの洗練 : 事実性解析については, 2007年度の成果をベースに, 事実性タグ体系の見直しと訓練データの拡張を行った. また, 文中で隣接する事態表現の事実性の間に依存関係があることに着目し, これをFactorial CRFでモデル化することによって解析精度を向上させることができた.(3)公開デモサイト「みんなの経験」の開発 : 以上の成果を利用し, 文書集合から実際に経験情報を抽出し, データペース化するシステムを開発するとともに, これを最近1年半分のプログ記事(約1億5千万記事)に適用し, 約5千万件の経験情報からなる経験データベースを構築した. このデータベースは, 今年度新たに開発した公開デモサイト「みんなの経験」で検索できるようになっている. 同サイトは, プログデータの利用契約の締結に時間を要したが, 2008年12月上旬に無制限一般公開できる運びになっている.(4)民間への技術移転 : 大手Webポータルサイト「@nifty」を運営するニフティ株式会社と連携し, 同社のサービス業務に経験マイニングの技術を導入する準備を進めた.
著者
Shiojiri Kaori Ozawa Rika Kugimiya Soichi Uefune Masayoshi van Wijk Michiel Sabelis Maurice W. Takabayashi Junji
出版者
Public Library of Science
雑誌
PLoS ONE (ISSN:19326203)
巻号頁・発行日
vol.5, no.8, 2010-08-17
被引用文献数
118

植食者特異的かつ植食者密度依存的な植物揮発性成分の誘導:正直なシグナル?それともオオカミ少年シグナル?. 京都大学プレスリリース. 2010-08-18. http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2010/100818_1.htm
著者
信田 聡 齋藤 幸恵 STAVROS Avramidis
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

木材中の正確な水分状態を測定する方法としては全乾法による破壊的方法があったが、操作が簡単な非破壊的方法が望まれていた。本研究では近年、コンピュータによる画像処理など性能向上が著しいデジタル軟X 線マイクロスコープを用いた水分分布の非破壊計測法の開発を試みた。水分状態を知りたい時点の木材に軟X 線を照射し透過したX 線量を画像の濃淡として捉え、さらに全乾状態時に得られる同画像の濃淡の差分値をパソコン上で求めて水分分布を知る方法を確立した。またこれを用いて乾燥中の水分分布、異なる環境状態に置かれる建築材料内部の水分状態の把握などを試み、材料内部の水分拡散の解析に応用した。