著者
松井 知己 吉瀬 章子 宮代 隆平 宮本 裕一郎
出版者
中央大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1.一様な巡回トーナメント問題に関する近似法 本拠地間の距離が一様な巡回トーナメント問題に対し、移動距離(回数)最小化問題に対するトーナメントスケジュールの作成法を、平成18年度国際会議の論文特集号(Lecture Notes in Computer Science)に本年投稿し、採択された。本手法は,カークマンスケジュールと呼ばれる特殊なスケジュールを改変することで,2重総当たり戦の移動回数最小化問題の良質な解を構築する.本手法によって、最適解に非常に近い解が得られることを,理論的に保証した.提案手法により,2重総当たり戦の移動回数最小化問題について,チーム数22,28,34,40,46の場合には既存の世界記録を凌駕する新たな解が得られ,さらに得られた解は最適解であることを保証することに成功した。2.半正定値計画緩和に基づく試合場決定問題の解法試合場決問題について、半正値計画緩和と、形計画緩和に基づく解法の提案を行った。(この結果は、Pacif1c Joumal of Optimizationに採択されている。)両手法について、1重と2重総当たり戦の両方の問題に適用する計算実験を行った。その結果、1重総当り戦では、線形計画緩和に基づく方法は、殆どの問題例において最適解を生成する事が確認された。2重総当たり戦では、線形計画緩和に基づく方法では、劣悪な解しか得られないことが判明した。これに対し半正定値計画緩和に基づく方法は、どの問題例でも高品質の解を生成することが確認された。半正定値計画緩和は、計算時間の短縮が検討課題として残されている。
著者
古旗 賢二
出版者
城西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

カプサイシン含有のトウガラシ品種にカプシエイト生合成能があり、カプシエイト含有品種にカプサイシン生合成能があることを明らかにした。両品種は、カプサイシンあるいはカプシエイトの最終生合成酵素と推定されるアシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を有しており、両品種で同一のものであった。カプサイシン、カプシエイトの最終合成酵素は同一であるが、前駆体としてバニリルアルコールが供給される場合に、カプシエイト蓄積が優位になることが示唆された。
著者
吉瀬 謙二
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

コア融合機能を持つメニーコアプロセッサとして開発を進めているCoreSymphonyとして,効率的で現実的なアーキテクチャを提案し,FPGAをターゲットとする実装をおこなった.この研究プロジェクトの主な貢献は次の通りである.(1)効率的で現実的なコア融合機能を持つメニーコアアーキテクチャとしてCoreSymphonyを提案した.既存のアウトオブオーダ実行のコアをベースにして,アプリケーションのバイナリの互換性を維持しつつ,プロセッサのフロントエンド部分での通信を大幅に排除している.(2)CoreSymphonyを実現するために解決すべきマイクロアーキテクチャ的な問題点を明確にした.(3)マイクロアーキテクチャ的な問題点を解決する洗練された方式を示し,その実装を明らかにした.(4)FPGAをターゲットとし,4コア構成の提案アーキテクチャを実装することで,その実現可能性を明らかにした.
著者
加藤 敏洋 平田 富夫 斉藤 豊文 吉瀬 謙二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.1750-1757, 1995-12-25
被引用文献数
11

本論文では,サイズがN×Nの2値画像のユークリッド距離変換をO(N^2)時間で実行するアルゴリズムを与える.距離変換とは,入力として与えられた2値画像の各画素についてそこから最も近い0画素への距離を求める処理で,ディジタル画像処理における基本的な処理である.このアルゴリズムは,4近傍距離や8近傍距離などユークリッド距離以外の他の距離についてもアルゴリズム中の距離関数を置き換えるだけで距離変換が実行でき,その意味で一般的な距離変換アルゴリズムとなっている.また,p(1≦p≦N)台のプロセッサを用意すればO(N^2/p)時間の並列アルゴリズムが得られ,これまでの並列アルゴリズムより効率が良い.
著者
後藤 和子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

創造的産業、日本ではコンテンツ産業が、今後の都市経済を牽引する重要な産業であることは異論のないところであろう。しかし、日本のコンテンツ産業を分析した経済産業省の報告書(2007年9月,2008年1月)は、その未来が決して明るいものではないことを指摘する。報告書は、日本のコンテンツ産業は、現在、世界第二位のシェアを占めているが、それは国内市場規模の大きさを反映したものであり、貿易に関しては輸入超過となっていること、輸出は各分野で減少していると指摘する。重要なのは、この報告書では、コンテンツ産業は「文化」と「産業」の2つの側面を有するが、敢えて、産業としての側面、文化を経済価値にどう結びつけていくかに焦点を合わせたと述べていることである。しかし、創造的産業とは、非営利的で創造的な活動と、営利的で単調なビジネスとの契約による結合であり、その契約が不完備契約であることが、産業組織の構造を規定している側面がある。そのため、日本のコンテンツ産業の問題を本格的に分析しようと思えば、文化と産業の結節点を分析する必要があるし、政策化にあたっても文化政策と産業政策の両面から、あるいはその結節点に新たな光を当てて検討する必要がある。本研究では、創造性へのインセンティブに焦点を合わせ、創造的産業の産業組織の国際比較を行い、その容器である都市政策との関連を探った。インセンティブとしての著作権の配分や税制(タックス・インセンティブ)、産業組織構造の国際比較により、日本の創造的産業の特徴が浮き彫りになるとともに、欧州では、創造的産業政策が、文化部局と経済部局、都市空間部局の密接な連携のもとに行われるようになっていること等が分かった。
著者
三好 章
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
中国研究月報 (ISSN:09104348)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.51-53, 1995-08-25
著者
塚本 明廣
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1 ピラミッド・テキスト全文を、ゼーテ底本およびフォークナー補遺に基づき、聖刻文字手書本文から、一定の書式に従ってローマ字化翻字本文に書換え、言語学的情報を付加して入力した。2 この翻字法は、文字の転移・簡略表記・同一語の多様な表記・語境界を跨ぐ音声連続の1文字表記・碑文の欠損・欠落が多いピラミッド・テキストに対応して、筆者の従来の翻字法を改良して、有効性を検証したものである。同時に、入力作業の一層の軽減を図った。3 言語学的情報を付加して入力した単一のファイルから、転写本文・復元箇所明示転写本文、狭義の翻字本文、語形総索引を、指定に従って自動的に出力する方式を確立した。出力本文は、ゼーテの底本同様、行毎の異文校合が可能である。4 本データベースに統語情報を付加し、文構造を表示することに拡張できるかを否かを探った。統語情報をかなり絞り込めば、この書式のままで利用できる。一方、相当に議論の多い文法解釈をデータベースに盛り込むことが躊躇されたため、統語分析用の書式例および付随ファイル類を提供するに止める。5 プログラム(バッチ・ファイルとスクリプト)類のモジュール化(部品化)を図り、一部のプログラムの変更が、関連する一連のプログラム類に自動的に反映できるようにした。これにより、一部修正のたびに他の関連プログラムを逐一照合しながら書換える無駄が解消された。6 王毎に出現節が異なるピラミッド・テキストの出入りを自動表示するプログラムを作成した。7 これらの成果の一部は、ピラミッド・テキスト・データベースとして、ウェブ上に公開された。
著者
鈴木 靖民 佐藤 長門 酒寄 雅志 石見 清裕 田中 史生 酒寄 雅志 石見 清裕 佐藤 長門 田中 史生 馬 一虹 王 海燕 葛 継勇
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

『入唐求法巡礼行記』を中心として古代の東アジア世界における交流・交通の諸相を研究することを目的として、第一に『入唐求法巡礼行記』自体の詳細かつ丹念な検討を進め、諸本の校訂を経て、データベースを作成した。また、『入唐求法巡礼行記』の記載と円仁の行程を追跡し、具体的な交通路を復原することを目的に現地調査を行った。それらの成果は研究会やシンポジウムで広く社会に公開し、その一端を『円仁とその時代』として一書にまとめた
著者
桑原 陽子
出版者
福井大学
雑誌
福井大学留学生センター紀要 (ISSN:18805876)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-27, 2006-03-01

本研究では、入門期の日本語学習者を対象に、4ヶ月に渡って単語クイズを実施し、得点の分析を行った。クイズは、主として、絵や英語単語を見てそれに対応する日本語を筆記再生する形式であり、新出単語クイズと既習単語クイズの2種類が並行して行われた。調査の結果、新出単語と既習単語クイズの成績には差がないこと、新出単語クイズの得点変動は学習者間で似た傾向が観察されたのに対し、既習単語クイズの得点変動の傾向はそれぞれの学習者で大きく異なることが示された。結果から、新出単語クイズの難易度が高く、既習単語クイズによる復習の重要性が示唆された。また、新出単語クイズ得点の推移については、単語クイズの難易度や、文法学習項目の難易度と併せた考察を行った。
著者
小林 太郎 武部 純 似内 秀樹 古川 良俊 石橋 寛二
出版者
Japan Prosthodontic Society
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.10-15, 2006-01-10
被引用文献数
3 2

症例の概要: 患者は54歳の男性. 1992年6月に左側口底部の腫瘤に気づき, 岩手医科大学歯学部附属病院口腔外科を受診した. 同年9月に下顎左側口底癌の診断のもと, 腫瘍摘出術が施行された. その後, 左側下顎骨放射線性骨壊死と下顎骨骨折が認められたため, 1993年3月に左側下顎骨区域切除が行われた. 術後経過は良好であったが再建は行われず, 1996年2月に補綴的機能回復を目的として第二補綴科を受診した. 下顎の患側偏位により上顎との咬合接触関係が失われていたため, 下顎顎義歯装着後, 1997年11月に下顎顎義歯ならびに下顎歯列との咬合接触部を設けた口蓋床を製作し装着した. 2001年4月に下顎顎義歯とこれに咬合接触する口蓋床を再製作後, 患側への偏位の抑制と咀嚼機能の改善が認められている.<BR>考察: 下顎の偏位の防止と咀嚼機能の回復を目的として, 口蓋部の咬合接触域にパラタルランプを付与した口蓋床を装着した. その結果, 咀嚼筋のバランスを保つことができ, 下顎の患側への偏位の抑制を図ることができた. 咀嚼機能と構音機能の改善程度を評価したところ, 下顎顎義歯とこれに咬合接触する口蓋床の装着により摂取可能食品の増加が認められた. また, 狭まったドンダーズ空隙を広げることにより, 構音機能の改善も認められた.<BR>結論: 下顎骨非再建症例における下顎顎義歯と, これに咬合接触する口蓋床の装着は, 下顎の患側への偏位の抑制と咀嚼機能の回復に有効であることが示された.
著者
武部 純 石橋 寛二 伊藤 創造
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

我々は、純チタン表面へ陽極酸化と水熱処理を行うことで陽極酸化皮膜表面上にハイドロキシアパタイト(HA)を析出させる表面処理(SA処理)法について検討してきた。その結果、SA処理インプラント体表面では初期の骨形成能が高く、口腔インプラント治療への有用性が示唆されてきた。しかし、SA処理チタンインプラント表面上での骨形成メカニズムについては不明確であることから、平成16、17、18年度の3年間に渡る研究プロジェクトでは、骨伝導性に関わるSA処理表面性状・構造の解析、骨形成関連遺伝子マーカーを用いた遺伝子レベルでの解析を行った。SA処理を施すことで表面の陽極酸化皮膜は多孔質化となるとともにHA結晶が析出する。SA処理により析出したHA結晶は、結晶性の高い六方晶系であること、六方晶系を呈するHA結晶の特徴であるa軸・c軸の分極による生体内体液のPとCaイオンの吸着現象の促進化、陽極酸化皮膜表面構造のぬれ性の向上と極性・表面エネルギーなどの向上など、種々の骨伝導能を促進させる因子を有する特徴があることが明らかとなってきた。一方、骨芽細胞培養モデルを用いた細胞外基質生成と石灰化形成の過程においては、SA処理により析出したHA結晶形態、HA結晶内部のPとCaの結合エネルギー、HA皮膜の構造に変化は認められないことが示された。さらに未処理チタンに比較してSA処理チタン上での骨基質形成関連遺伝子の発現は高まる傾向を示し、さらに遺伝子発現パターンも異なっていることが推察された。SA処理表面の陽極酸化皮膜から析出したHA結晶を含むHA皮膜の微細構造(表面形状・性状)は骨芽細胞内のシグナル伝達系に作用することで骨芽細胞の分化調節機構を活性化させ、その結果、骨芽細胞の分化・機能は促進されて骨伝導能を高める要因となり、早期のオッセオインテグレーションが獲得されるメカニズムとなっていることが推察された。
著者
石井 満
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-12, 2007-03-31

テレビジョン放送におけるクイズ番組を、その出題傾向から分類すれば、知識を問う知識指向タイプと、謎掛けに近いパズル指向タイプに分けることができる。後者の番組内でなされる出題の映像表現には、言語とイメージのレヴェルを跨いだ多様なテクスト表層での記号表現が行われているものが見られる。その修辞技法の記述の試みとして、映像表現技法の修辞について事例に則した考察を行った。これらのクイズは、修辞学的に捉えれば、解答が規範表現で、対応する問いが、或る隔たりを設定した逸脱表現であると見ることができる。主に、解答となることばを音韻レヴェルで別の意味を成すことばに分節した後、転義的なイメージを付加的に配列したものである。イメージ記号の性質は、記号表現と記号内容が分節しがたい個別性を持っているが、ここでは言語に対応する抽象的な記号として用いられている。その修辞的技法は、映画芸術において詩的な叙述が成されていると指摘される場合の事例と非常に似た表現傾向を示す。
著者
日野 資純
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤大學研究紀要 (ISSN:0452361X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.221-235, 1959-03
著者
挽 文子 伊藤 克容
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

企業においては複数の管理会計システムが運用されているが、それらは環境、経営理念、経営哲学、組織風土および経営戦略などの要因と相互作用の中で機能している。そのため、個々の管理会計システムあるいはその総体からなるトータルシステムとしての管理会計の機能の仕方は同じではない。本研究は、北米進出日系企業を研究対象として、上述のような関係性のなかで管理会計がどのように進化してきたのか、その進化の過程を解明した。
著者
早川 文代 神山 かおる 佐々木 朋子
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

テクスチャーの官能評価において、「かたさ」「サクサク感」など評価項目に用いる用語は重要な役割を担う。しかし、用語選定は労力と時間のかかる過程である。そこで、本課題では、官能評価に有効なデータベースを作成し、官能評価の迅速化に資することを目的とした。テクスチャー用語はすでに収集した445語を用いた。文献調査、質問紙調査および官能評価によって、935品目の食物名を選定し、コレスポンデンス分析によって、用語間の関係、用語と食物名との関係、食物名間の関係の数値化を行い、食物からも用語からも検索できるデータベースを作成した。