著者
小澤 正直
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.945-951, 1988-12-05

現代論理学とも, 数理論理学とも呼ばれる数学基礎論は, 19世紀末に現れた数学の危機を救うために生まれた数学理論であり, 計算機科学がこの数学基礎論から派生したことはよく知られているが, 近年になって, 科学のもっとも基本的な問題にいくつかの応用が発見されるようになった. ノンスタンダード・アナリシスは, 数学基礎論のモデル論の応用として生まれ, 無限小概念の合理化というライプニッツ以来の問題を解決することに成功した. 無限小の合理化は, 単に微分積分学の書き直しにとどまらない, 奥行きの深いものであって, 新しい自然記述の方法を我々に解放したように思われる. 論理学と物理学の間に生まれつつある, この新しい接点を探ってみたい.
著者
村田健史 岡田 雅樹 阿部 文雄 荒木 徹 松本 紘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.115-130, 2002-12-15
被引用文献数
5

現在,宇宙開拓科学や地球環境科学の様々な分野において,広域観測が進められている.我が国では,観測データの取得・蓄積は諸外国と比較して進んでいるが,データのネットワーク上での公開・発信は不十分な点が多い.広域観測データは,観測グループ独自のデータ較正方法やデータ公開ルールがあり,データ管理・公開が機関ごとに独立に行われる傾向がある.一方,データ解析者は,これらの分散管理されているデータを一元的に利用したい.しかし,米国の米国宇宙科学データセンター(NSSDC )のような統合的データセンターの実現は容易ではない.本研究では,広域宇宙地球観測の1 つである,太陽地球系物理(STP )観測データのための分散データベースを提案する.提案する分散データベースでは,データファイルおよびデータ利用者のメタ情報を抽出し,メタデータベース化する.各観測グループはメタデータベースを独自に管理することで,データの管理権限を保護することができる.一方,分散データベースシステムによって各データに対して透過的にアクセスすることにより,データ解析者は一元的にデータを利用することができる.本稿では,分散データベースのシステム設計を行い,実際に試験データを用いたデータベースを構築した.その結果,提案する垂直分散型分散データベースによって,実用上有効なアクセス速度でメタ情報取得が可能であることが分かった.Due to the development of computer performance and information networks,we can now easily access to observation data for large-scale Solar-Terrestrial Physics (STP)through the Internet.However,for integrated studies with help of a variety of observation data together, we need to a distributed network database system with which users are able to access to any observation data with high transparency.It is widely said that distribution systems and facilities for STP data are inferior to observation and storage systems in Japan. However, it is diffcult to construct a central data management center for huge amount of data because of financial,political,and technical reasons.We herein propose a distributed database system for STP data.In the presented database system,index information of both observation data files and access users are stored and managed as a meta-detabase.Through the access to the meta-detabase,users obtain information of the observation data:not only datasite addresses, directory names and ?le names of the data,but authorization of the data.One's authorization to access one data is provided by the team or mission responsible for the data.This suggests that the ownerships of observation data to each team/mission are preserved though the present meta-database seems to be only one from user side.
著者
岩淵 隆
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.306-309, 1985-06-01
著者
工藤 綾子 稲冨 惠子 佐久間 志保子
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.458-467, 2007-09
被引用文献数
1 1

目的:本研究は訪問看護師ならびに施設責任者の在宅医療廃棄物処理の現状を把握し,訪問看護ステーションの適正処理に関する教育的課題を明らかにすることを目的とした.対象:訪問看護師703名,施設責任者345名.方法:対象者には質問紙による郵送法調査を行った.調査内容は,(1)在宅医療廃棄物の処理状況,(2)医療廃棄物取り扱いに関する指導内容と方法,(3)感染性医療廃棄物に関する意識と取り扱い,(4)行政・企業・施設に対する要望などであった.調査結果:(1)訪問看護師が施設に持ち帰る廃棄物は注射器・注射針,点滴セット,血糖測定時のテステープ・カット針などであった.(2)医療廃棄物に関する講習会への参加経験がある訪問看護師は25%であった.(3)職員を講習会に参加させている施設責任者は34%であった.(4)施設に対しては医療廃棄物に関するマニュアル作成,感染症に対する学習の機会を要望していた.(5)行政・企業への要望は訪問看護師・施設責任者ともに知識の普及であった.結論:講習会参加については参加させている施設責任者,参加経験のある訪問看護師ともにその効果を認めているものの,職員を講習会に参加をさせている施設責任者は少なく,訪問看護師の在宅医療廃棄物に関する知識の普及と各市町村ならびに施設の廃棄システムを踏まえた感染性医療廃棄物の取り扱いマニュアルの作成が急務な課題であることが明らかになった.
著者
百崎 英
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
no.10, pp.17-28, 1998-09-30

国・地方における行政の情報化は、1998年には、二つの意味で新たな局面を迎えることになると考えられる。一つは、政府が1997年末に、これまで進めてきた行政情報化推進基本計画を全面的に改訂して新たな五か年計画を閣議決定し、これが本年4月からスタートしており、もう一つは、自治省がこれまで検討してきた住民基本台帳ネットワークシステム構想を実現するため、先の通常国会に住民基本台帳法改正案を提出し継続審議となっているが、これが成立すれば、同構想が本年からスタートすることになるからである。本稿においては、政府の行政情報化のこれまでの進捗状況及び今回改訂された推進基本計画の新たなポイントを6項目取り上げて若干のコメントを付しながら紹介するとともに、住民基本台帳ネットワークシステム構想の概要及び同構想について筆者の考える三つの画期的な意義、即ち、(1)地方公共団体の全国ネットワークの構築、(2)ネットワーク上の本人確認システムの構築-一台帳コード制、(3)広域的な行政サービスの全国展開について述べ、最後に、今後、国・地方を通ずる行政情報化を進めるに当たって解決すべき課題のうち、特にワンストップサービスを実現するための制度上の課題を中心に論ずることとした。
著者
佐々木 政司
出版者
一宮女子短期大学
雑誌
一宮女子短期大学紀要 (ISSN:1349936X)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.55-62, 2006-12-21
被引用文献数
1

個人の組織社会化過程において、組織参入前に抱いていた期待と組織の現実の間のギャップから幻滅を感じ、離転職行動に繋がることが多いが、この問題に対し、心理的リアクタンス理論と現実的職務予告の観点からアプローチし、新たにリアクタンスモデルを提出し、その妥当性について検討した。その結果、現実的職務予告による参入前の期待の低減効果が確認されなかったが、幻滅を感じたときに喚起された心理的リアクタンスが離転職傾向を高めることや、上司との垂直的な交換関係の構築によって職務満足度が高まることによりその傾向を緩化することができることが見出され、当該モデルの妥当性が確かめられた。また、リアクタンスによって賃金などの周辺的な要因に対する期待が高まり、離転職傾向を高めることも確認された。現実的職務予告については従来からの期待を低減し幻滅を感じさせないようにするのではなく、幻滅を感じたときにそのショックを緩和するように機能する可能性が示唆された。
著者
T. Obara K. Koga Y. Kimoto H. Matsumoto S. Sasaki N. Yamada S. Muraki T. Doke T. Goka
出版者
CODATA
雑誌
Data Science Journal (ISSN:16831470)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.IGY76-IGY84, 2010-03-04 (Released:2010-03-04)
参考文献数
4
被引用文献数
3

The Space Environment Data Acquisition equipment (SEDA), which was mounted on the Exposed Facility (EF) of the Japanese Experiment Module (JEM, also known as "Kibo") on the International Space Station (ISS), was developed to measure the space environment along the orbit of the ISS. This payload module, called the SEDA-Attached Payload (AP), began to measure the space environment in August 2009. This paper reports the mission objectives, instrumentation, and current status of the SEDA-AP.
著者
宮地 充子 近澤 武 竜田 敏男 大塚 玲 安田 幹 森 健吾 才所 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.176, pp.43-52, 2006-07-14
被引用文献数
9

情報社会の進展に伴い,安全な社会システムの構築が産官学において進められている.情報セキュリティ技術の国際標準化活動は,安全な社会システムの構築にとって重要な役割をもつ.ISO/IEC JTC1/SC27/WG2では,情報セキュリティのアルゴリズム及びプロトコルに関する国際標準化規格の策定を進めている.本報告書は,現在,ISO/IEC JTC1/SC27/WG2で審議事項を解説すると共に,特に今年の5月に行われたマドリッド会議に関して報告する.
著者
児玉 ひろみ
出版者
淑徳大学短期大学部
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.85-93, 2004-02-25

ホウレンソウを茹でる際、加熱後の食味に影響する要因として、湯量、湯温、湯の食塩濃度、水さらし等が挙げられる。本研究では食味が異なる夏期と冬期のホウレンソウについて湯量の条件を、3、5、7、9倍に設定し、官能評価によって適切な湯量の検討を試みた。また、調理の簡便性を考慮し、湯の繰り返し使用および冷蔵保存の可否の検討も行った。湯量については、夏期では7倍以上、冬期では3倍以上で評価が高かった。湯の繰り返し使用3回までの範囲では、繰り返し使用による食味への影響はみられなかった。茹でたホウレンソウを冷蔵保存する場合、湯量9倍以上で茹でたものは、保存後のテクスチャーの評価が有意に低くなった。