著者
湯田 厚司 宮本 由起子 荻原 仁美 服部 玲子 大久保 公裕
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.124-132, 2009

【背景】花粉症に対する舌下免疫療法は,本邦では試験段階として成人例での有用性が報告されている.本法は痛みがなく,通院回数が少ないので,特に小児例で利点が多いと考えられるが,小児スギ花粉症での検討はない.【方法】スギ花粉症患児10例(男児4例,女児6例,平均8.5±2.2歳)に標準化アレルゲンエキス「スギ花粉」(トリイ社製)で舌下免疫療法を行った.投与方法は成人例と同じとし,2000JAUで週1回維持した.初年度の臨床症状を検討した.【結果】全例で安全に在宅投与ができた.初年度スギ花粉飛散期の症状は,全期間で軽症であり,スコアの最大は鼻閉の1.3点であった.救済薬の使用は少なく,10例中3例が無投薬無症状で,2例が5日以内の頓服服用であった.5cm尺度のvisual analog scaleも1cm程度と極めて良好であった.アンケートによる治療の印象は全例良好であった.【結論】少数例でのpilot open studyであるが,小児スギ花粉症にも舌下免疫療法が有効である可能性が示唆された.
著者
丹羽 展男
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2001, pp.19-24, 2001-09-11

SIプロジェクト開発は, 規模が大きくなればなるほど全体が見渡せなくなり, 各リーダー任せに成ってしまう場合が多い。プロジェクトもうまく進んでいる時はいいが, スケジュールが遅れてきた時にどこがおかしくなっているのかを見つけるのは, 大変な作業となってしまう。開発要員も多いと, 成果物も多くなり, それが全て必要な物かどうかの判断も一概に出来る物ではない。特に, 上流工程では, 下流工程のプログラムやモジュールやテストケースと言った誰にでも目に見える標準化された成果物が少ないので, その作業の管理も一層難しく成ってくる。さらに, 上流工程では進捗が遅れていても, 遅れている事自体が判らずに, そのまま下流工程に引き継がれた時に, あれもこれも決まっていない事が判り作業のやり直しが発生し, 大幅なプロジェクトの遅れになる事がよくある。当論文では, DOAのDFD手法を使って作業を明確に定義することで, スケジュール管理を成功させた方法を紹介する。
著者
川畑 愛義 高木 公三郎 勝部 篤美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.28-32,54, 1960

A comparative study between Group A (those who have attempted suicide) and Group B (those without attempt) among 999 of senior (second grade) boys and girls was conducted to investigate how such factors as personality, environment, etc. are related to their suicidal attempts. Emotional stability and social maladjustment were noticed in Group A as to the personality difference, and no marked difference was discriminated as to the environmental difference observed in family construction in this study. Farther reports will be made in II and III under the same study.
著者
川畑 愛義 高木 公三郎 勝部 篤美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.91-95, 1960

The authors studied how such factors as personality, environment, family status ,etc. were related to sucidial attemps in 999 senior high school students. There were some relations between environment, family status, personality and their sucidial attemps, but no relations with economical status of theier family.
著者
川畑 愛義 高木 公三郎 勝部 篤美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.139-143,3, 1960

A comparative study between group A (those who have attempt) among 999 of senior (second grade) boys and girls was conducted to investigate how such factors as personality, environment, are related to their suicidal attempts. In .the first report, emotional instability and social maladjustment were noticed in group A as to the personality difference, and no marked difference was discriminated as the environmental difference observed in family construction in this study. In the second report, there were some relations among environment, family status, personality and their suicidal attempts, but no relations with economical status of their family. In this report (3), there were several problems to investigate etc. which has remained in (1) ~ (2) reports, and as result, there were a pretty difference between group A and group B.
著者
日比野 朔郎
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.61-66, 1972-10-31

Inquiring into the movement of tendency to suicide in Japan from the sex and the age. I explain the special feature of suicide in Japan with regard to problems of suicide in each stages of children, examinees, undergraduates and the old age compared with those of the other nations. I express my view of this problem from the sociological and the educational points of view.
著者
粟野 宏
出版者
山形大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

東アジアは,木版印刷術のみならず,活版印刷術においても先駆的で輝かしい業績を誇っている.グーテンベルク革命にさきだつこと4世紀,西暦1040年ごろ,中国の畢昇は陶磁製の活字(膠泥活字)をつくり,人類史上初の活版印刷をはじめた.1314年,中国の王〓は,木活字をつくり印刷をした.朝鮮では早くも1234年に銅活版印刷がはじめられた記録があり,以後東アジアとしては例外的に活版印刷術がさかんにおこなわれた.活版印刷術は,16世紀末,2つのルートによって日本にもつたえられた.1つは,豊臣秀吉による朝鮮侵略のさいに,朝鮮から銅活字がもたらされ,徳川家康が17世紀はじめにかけて銅活字や木活字の利用に道をひらいた.もう1つは,16世紀後半に西欧の印刷術がイベリア半島からもたらされた.それは「きりしたん版」とよばれる.このように,西欧の活版印刷術にくらべて,東アジアに活版印刷術が登場したのは時期的に早かったが,東アジア中に普及したとはいえない.グーテンベルクの技術体系が,またたくまに西欧世界にひろまってそれを変革してしまったこととは,あまりに対照的である.そのおもな要因として,しばしば表意・象形文字としての漢字に代表される複雑な文字体系が指摘される.しかしここでは,それにとどまらない技術に内在する要因について考察した.東西の活版印刷術を比較したときに,もっとも大きなちがいは母型による活字の複製である.グーテンベルクの技術体系では,母型から低融点金属の鋳造により活字が大量生産されるのに対し,東アジアの活版印刷術ではそうではなかった.木活字では,一つずつ手で彫刻されるので,複製としてはきわめて低水準といわざるを得なかった.銅活字にあっても,融点が高いことに加えて,母型には砂型が用いられたので,作業性も鋳造精度も著しく劣る.こうした活字の複製のための母型の事実上の不在が,技術に内在する要因とみることができる.
著者
宗政 五十緒 寺谷 隆
出版者
龍谷大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

1・円光寺(京都市左京区一乗寺)の現存する木製活字の調査・研究を行なった。その結果は『円光寺の文化財ー伏見版木製活字などー』(円光寺.1991年5月刊)の「円光寺木製活字とその付属品」(『円光寺所蔵 伏見版木活字関係歴史資料調査報告書』[京都府教育委員会.1991年3月発行]の再録)の論文として発表した。これに引つづいて、本年度は円光寺現存木製活字(以下、円光寺活字と略称する)と、伏見版以外の活字版との関係について,研究を進め,これにより,円光寺活字のもつ近世初期の文化史上の意義が解明できることになった。円光寺活字と最も関係の深いものは徳川家康が駿河で出版を行なった駿河版(金属製活字を使用した活字版)との関係である。この金属製活字は鋳造活字であるので、鋳造するための字母を必要としたはずである。この字母は木製で、円光寺活字を彫造した慈眼・台林・半右衛門らによって製作されたものあると、私は推定する。2・諸種の古活字版を調査するに、東福寺版に円光寺活字を使用したのではないかと推測されるものが存する(例えば,『十九史略通考』)。また、片仮名活字はこれまで、伏見版に使用された例が発見されていないが、円光寺現存の片仮名活字は確かに使用されたと推測できることから、伏見版以外の活字版を製作した際に貸出されて使用されたことが考えられることになった。片仮名交りの『東鑑』などと考えあわせて、今後、更に調査・研究が行なわれねばならない。3・本研究によって、古活字版の出版者が、軍一の形態の活字のみならず、複数の形態の活字を所有していて、注文主に応じて,所在活字をさまざまに利用して、出版物を製作していたことが明瞭に把握できることになった。その一例は、円光寺活字の彫字工台林の出版活動である。彼が刊行した『課抄』はその具体的なものである。