著者
冨士 仁 古山 恒夫 菅野 文友
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.91-101, 1996-07-15

ソフトウェアのプロジェクトの見積りや管理のために,これまでに様々な特性を測定する試みがなされてきた.プログラムの複雑さの尺度もその一つであり,早期にプログラムの品質を予測する有力な手段となっている.従来は,複雑さの尺度を単独または複雑さの特質ごとに使用している研究がほとんどであり,複合的な尺度は花田らの研究などごく少数しか提案されていなかった.本論文では,従来の制御構造などの特質に関するの尺度の他に,新しくプログラミング・スタイルにも着目した.そして,ソフトウェアの信頼性の指標として,プログラムの欠陥の密度と複雑さの尺度との関係を分析した.すなわち,欠陥の密度と各尺度との相関係数の検定によって,複雑さの尺度が信頼性の指標として有効かどうかを検討した.また有効な尺度について,プログラムの欠陥の密度を少なくするための最適値も検討し,プログラムの作成時およびテスト時の指針として示す.そして,重回帰分析によって有効な尺度を複合化し,プログラム完成時の品質予測を可能にした.
著者
鈴木 仁一 山内 祐一 堀川 正敏
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.292-298, 1977-10-01

β-ブロッカーが循環器系心身症の愁訴改善に有用であるとの報告は1965年にすでになされているが, われわれは, 精神薬理学的実験によって, その作用機序を解明することにした。実験対象は冠不全 5,NCA 5,本態性高血圧症 2,陳旧性心筋梗塞 1 の合計13例で, いずれも発症または経過に心理的要素が重大な影響をもつ心身症例である。これらの患者に, われわれの考案した鏡映描写試験により心理的ストレスを与えると, 動悸, 前胸部不快感などの自覚症状が発生するだけでなく, 血圧の上昇, 心拍数の増加, 心電図上で不整脈, ST-T異常が起こり, しかもその異常は尿中カテコールアミンの排泄増加および血中カテコールアミンの指標としてのFFAの増加と正の相関を示す。そこで鏡映描写試験前にβ-ブロッカーを内服させて前処理をしてみたところ, 自覚症状は発生せず, 血圧上昇, 心拍数増加は推計学的に有意の差で阻止され, 心電図にも異常所見は現われなかった。しかし, 尿中カテコールアミンおよび血中FFAは非処置群と同様に増加していた。以上のことにより, β-ブロッカーは心理的原因によって起こる循環器系異常を, 生体が生理的に反応してくる以前に, β-受容体の段階で阻止できることを明らかにすることができた。
著者
草部 博輝 中森 眞理雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.15, pp.34-46, 2007-10-15

資源制約付きプロジェクトスケジューリング問題(Resource Constrained Project Scheduling Problem: RCPSP)は,多くの古典的スケジューリング問題の一般化されたモデルである.本稿は,利用可能な再生型資源量の時刻による変化と,各アクティビティが要求する再生型資源量の時間による変化を取り入れた,RCPSP/t モデルに,タイムラグの概念を追加した拡張モデル,RCPSP/t+ モデルを取り扱う.本稿において,我々はRCPSP/t+ モデルの解法として,タブーサーチアルゴリズムを提案し,ILOG CPLEX から得られた最適解と比較することにより,解の精度を評価する.Resource-constrained project-scheduling problem (RCPSP) is a general model of several classical scheduling models. In this paper, we suggest the scheduling model RCPSP/t+, which is added the time windows to the model of RCPSP/t having the changing of limit of renewable resources in project term and of requirement of renewable resources in each activity's processing time. We present a tabu search algorithm for the RCPSP/t+ and evaluate the solution accuracy comparing the oplitmal solution of ILOG CPLEX.
著者
安濃 恒友 高梨 良一 斎藤 周一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 工学 (ISSN:0085834X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.327-336, 1966-01-14

This is a report on the Linear-Servomotor, a new control system component, which has been developed in order to obtain the higher speed characteristic for servomechanisms and which has been made to move rectilineally without any mechanism like gear trains. In this study, the Linear-Servomotor is applied to the operating unit of self-balancing instrument, and it is clarified through the experiments that its speed of response is about 0.87[m/sec] and is superior to any recoder of the same type on the market in this country. Furthermore, it is discussed from various points of view that the speed of response may be able to speed up to 10[m/sec].
著者
川崎 晴久
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.994-999, 1981-08-05

本研究は, リニアサーボモータ駆動によるキャリジ送り機構の高速位置決めに関するものである.高速化に伴い, キャリジ送り機構には案内・支持機構の剛健に起因する縦揺れが生じる.一方, リニア位置センサの検出信号には, キャリジの移動情報と縦揺れの情報とが含まれ, それらの割合はリエア位置センサの垂直方向取付位置によって異なる.そこで, 位置検串器を含めた系の動特性を解析および実験により検討した.その結果, 垂直軸に関し, センサ取付位置と推力作用点がキャリジの重心をはさむ構成にすると糸は不安定になること, 位置整定時間を最小とする最適センサ取付位置が存在することを明らかにした.また, モータ最大電流に制限のある場合の位置整定時間を明らかにし, 実験によって確認した.
著者
Rikitake Tsuneji
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.283-289, 1957-01-30

Magneto-hydrodynamic oscillations of a simple mode are studied in relation to the stability condition of the earth's dynamo. The influence of the Coriolis force is found to be considerable. The previous result, that the toroidal magnetic field would not be large in order to have a stable dynamo, should be abandoned when we take the earth's rotation into account. It seems acceptable that strong magnetic fields which have been suggested by E. C. Bullard exist in the earth's core.
著者
黒木 幹人 永田 守男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.98, no.635, pp.1-8, 1999-03-05

情報システム開発の要求分析工程において、分析者がユーザの要求を正確に把握することは、ユーザと分析者の知識や経験が異なるため非常に困難である。分析手法としてオブジェクト指向が注目を集めているが、既存の方法論は実装側に偏っているため、ユーザ側で理解しにくいという問題点がある。本研究では、「ユーザと分析者とのコミュニケーションツール」としてユーザ自身が業務内容を表現できる業務フロー図を提案し、これからオブジェクト図を自動生成するシステムを提案することにより、オブジェクト指向システム開発の上流工程を支援する。本研究の分析手法の有効性を確認するために、試作システムを用いた評価実験を行った結果、役割分担に基づく業務フロー図とオブジェクト図自動生成の枠組の有効性を確認した。
著者
原 史朗
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.375-381, 2008-06-10 (Released:2008-06-22)
参考文献数
12

We developed an Encapsulated Production System (EPS) composed of the human space and the product space. The product space is isolated from the human space in protection from penetration of particle and gas in the human space. Concentrations of oxygen, particle, and dissolved oxygen in solutions in the product space are of 5 orders of magnitude lower than those in atmosphere. As an experimental application of the system to the control of semiconductor surface and interface, we formed Schottky barrier diodes of Al/Si(111) interface in the EPS system and investigated diode leakage currents. It was found that electrically-ideal interfaces with no leakage current and no fluctuation of Schottky barrier heights were formed in the system.
著者
森 茂子 佐藤 和夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.149-150, 1996-03-06

クリーンルーム手法は,高信頼性ソフトウェアの開発が可能な手法として,注目を集め,その適用事例も紹介されている.しかし,本手法はバージョンアップの場合の対処のしかたには明示的にはふれていない.また公表された事例は,バージョンアップ対象となる製品の設計を,クリーンルーム手法の設計で全て書き出す作業を前提とし,その作業に多大な費用と時間を要するものであった.今回,日本の金融機関向ミドルウェアのバージョンアップに際し,クリーンルーム手法を適用するために,現実的な費用と時間で実施可能な設計方法を,新たに提案した.既に存在している,保守資料を有効利用しながら,修正,変更を行う.修正,変更項目ごとに,関係するデータおよびモジュールを洗いだす.それに対してのみ,クリーンルーム手法を適用する.テストは,従来通りの方法で行う.実際に,従来ウォーターフォール型のプロセスで開発されてきた,上記ミドルウェアでこの提案を実施の結果,信頼性については約5.6倍の改善と予測される結果を得,効果を確認した.生産性は約8%向上し,開発期間は従来と同程度であった.これにより,現実的な費用と時間で実施可能で,しかも高信頼性を得られる,バージョンアップのための設計方法であることを確認した.