著者
エルバドラウイ ジャマル 山田 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.30, pp.31-36, 2005-04-15

悪条件(Ill-condition)の線形逆問題に「(出力誤差の2乗平均値の最小化を指導原理とする)線形最小2乗法」を適用すると, 「パラメータ推定値と真値との2乗平均誤差」は, 線形モデルの係数行列が持つ"非零特異値"の逆数の2乗のオーダとなり, 満足のいく結果を与えない。1970年にMarquardtは, 雑音モデルが加法性白色雑音と仮定できるとき, 係数行列の低階数最良近似行列の「(Moore-Penrose型)一般逆行列(注 : この行列も低階数行列となる)」を推定行列に用い, 推定精度の大幅な改善に成功している。Marquardtの結果は, 低階数行列の中に最小2乗法に優る推定法の存在を示した点で注目されるが, 『低階数行列全体の中で, Marquardtの推定行列の(統計学的な最適化規範に基づいた)"位置付け"』については, 明確な議論が見当たらない。小文では, 「低階数行列は不偏推定行列にならない」という基本事実に注目し, 低階数行列の「擬似不偏性」という概念を定義する。更に「擬似不偏性」を満足する全ての低階数推定行列の中で「最小の分散値」を達成する推定行列(『最小分散低階数擬似不偏推定行列』)を定義し, その代数的構造を明らかにしている(主定理)。「擬似不偏性」は「不偏性」の自然な一般化であり, 「最小分散低階数擬似不偏推定行列」は, 「最小分散不偏推定行列(Gauss-Markov estimator)」の自然な一般化となっている。主定理は, 加法雑音が白色となる場合に, Marquardtの推定行列が「最小分散低階数擬似不偏推定行列」として位置づけられることも示しており, 「最小分散低階数擬似不偏推定行列」がMarquardtの推定行列の非自明な一般化であることを明らかにしている。
著者
鈴木 生郎
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.15-28, 2008

The paradox of coincidence, a paradox about the relation between a material object and its stuff, has been paid a great attention to in recent metaphysics. In this paper, I compare two influential approaches to this paradox; sortalism and fourdimensional worm theory, and defend sortalism. I give the following two arguments. (1) Worm theory, like sortalism, must introduce sortal concepts to resolve the paradox. So both approaches owe the (almost) same theoretical burden to explain how sortal concepts work. (2) Worm theory, unlike sortalism, introduces sortal concepts in a very problematic way.
著者
山中 大 春山 真一郎 中川 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.302, pp.97-102, 2007-10-25

可視光通信コンソーシアム(VLCC)にて可視光IDシステムの標準化が進行している。また、空間的分離によるノイズ削減、複数情報の同時受信といった利点からイメージセンサが可視光通信における受信機として使用されることが期待されている。可視光IDシステムの通信方式として、変調方式はサブキャリア4PPM(Pulse Position Modulation)、データレートは4.8kbps、サブキャリア周波数は28.8kHzが考えられているが、これに適したイメージセンサは存在していない。そこで私達は、可視光IDシステムの情報を受信するために最適なイメージセンサチップの構成を提案し、実装を行った。今後は設計したイメージセンサチップの評価、更なる改良をしていく予定である。
著者
今泉 和則 原 英彰 伊藤 芳久 田熊 一敞 布村 明彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.6, pp.477-482, 2007 (Released:2007-12-14)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

アルツハイマー病,パーキンソン病を代表とする神経変性疾患は,進行性の神経細胞死という解剖学的所見を共通の特徴とする疾患であるが,その発症原因は不明であり,充分に有効な治療法・治療薬は未だ見いだされていない.また,脳虚血などの脳血管性疾患については,脳血流の低下あるいは再灌流をトリガーとして神経細胞死が惹起されることは明白であるものの,未だ著効な治療法・治療薬は明らかではない.このような背景のもと,これら神経変性疾患および脳血管性疾患に共通する「神経細胞死」という現象に関わる分子機序の解明を通して新たな治療法開発にアプローチしようという試みが,国内外ともに最近の研究の潮流となりつつある.本稿では,第80回日本薬理学会年会において開催された表題のシンポジウムでの講演より,神経変性疾患および脳血管性疾患の病態解明ならびに新規治療法の開発に大きく貢献しうる神経細胞死メカニズムの最先端研究を紹介する.
著者
永野 秀尚 柏野 邦夫 村瀬 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.1179-1188, 2004-05-01
被引用文献数
6

音声が音楽に重畳した音響信号(蓄積信号)中から,参照信号として与えられた音楽が音声の背景に含まれる区間(目的区間)を見つけ出すことを背景音楽探索と呼ぶ.本論文では,この背景音楽探索を高速に行う手法について述べる.背景音楽探索では,探索の目的となる目的区間においても,他の音声の重畳により,その音響信号は参照信号と著しく異なり,参照信号を蓄積信号と直接照合する手法での探索は困難である.そこで,参照信号のスペクトログラムを時間周波数領域において多数の小領域に分割し,これらの小領域スペクトログラムと類似度の高い小領域スペクトログラムをもつ時点を蓄積信号のスペクトログラムから探索し,その探索結果を統合することで,目的区間を探索する手法を提案する.本手法は,参照信号の各小領域スペクトログラムと類似度の高い小領域スペクトログラムのみを,蓄積信号のスペクトログラムから,高速な探索手法を用いて探索することで,背景音楽探索全体を高速に行うことを特徴とする.実験では,各小領域スペクトログラムの探索に時系列アクティブ探索法(TAS)を用いることで,約30分の蓄積信号からの15秒の目的区間の背景音楽探索を1秒未満で行うことができた.
著者
顧 銘
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.34-47, 2002-03-30

1980年代以降中国の図書館情報学界において,コンピュータの発展に伴い,コンピュータ技術,情報検索や情報処理といった情報学要素が徐々に伝統的な図書館学の中に浸透し,図書館情報学という用語が用いられるようになった。こうした動向の下で,各大学は図書館学教育の中に情報学要素を取り込み,図書館学教育は図書館情報学教育へと移行した。さらに,1990年代に入ると,中国の急激な社会的・経済的変動に伴い,図書館学は情報学との相補性を図りながら経済学の関連知識も多く導入し始めた。こうした変革の中で,各大学は図書館学と情報学とを統合しながら,市場ニーズに対応できる人材養成を目指して,専攻を新設したり,科目を増設したため,カリキュラムが目まぐるしく変容してきた。こうした背景を踏まえて,本稿では,北京大学と華東師範大学の2つの代表的な事例を通して1980年代以降の中国における図書館情報学教育の改革を考察する。
著者
Hirano Yasushi 平野 靖
雑誌
情報連携基盤センターニュース (ISSN:13478982)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.122-141, 2005-05 (Released:2005-10-04)
著者
Hirano Yasushi 平野 靖
雑誌
情報連携基盤センターニュース (ISSN:13478982)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.33-46, 2005-02 (Released:2005-10-04)
著者
下山 重幸
出版者
大東文化大学
雑誌
環境創造 (ISSN:13468758)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.31-42, 2006-07-31

1997年にクローン羊、ドリーが誕生して以来、クローン技術の発展には目覚しいものがある。これに対して、クローン技術のヒトへの応用については、各国ともに厳しく規制しており、我が国も「クローン規制法」が制定された。クローン人間に対する危惧から、治療用クローン技術までも否定してしまうことは科学の発展の阻害になる虞が懸念されている。それだけでなく、不妊治療の最終手段としてのクローン技術の利用は、憲法一三条の自己決定権によって保障されていると考えることも不可能ではないと考える。
著者
斎藤 環
巻号頁・発行日
1990

筑波大学医学博士学位論文・平成2年3月23日授与 (甲第783号)
著者
西塔 宏二 岩谷 幸雄 鈴木 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.247, pp.1-6, 2004-08-13
被引用文献数
4

ヘッドホンを用いた頭部伝達関数(HRTF)合成型の聴覚ディスプレイは,ヘッドホン特性を打ち消し利用者本人のHRTFをただみ込むことで個人化され,優れた定位感を得ることができる.しかし,ヘッドホンの特性とHRTFの測定は,一般に大がかりな測定系を必要とするため厳密な個人化は非常に困難である.そこで本報告では,さまざまなHRTFをただみ込んだ移動音像の定位感を勝抜き戦方式によって評価し,聴覚ディスプレイシステムを個人化する手法について実験を行い,その選択傾向等を考察した.
著者
太田 貴久 増山 繁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.594, pp.37-42, 2006-01-26
被引用文献数
6

近年の情報技術の発達により,レポートの剽窃が非常に容易なものとなり問題となっている.本研究ではSmith-Watermanアルゴリズムを基礎とした,さまざまな「類似」を検出できるレポート類似部分発見法を考案した.そして,現実に提出されたレポートを含めた文書集合に対して実験を行った結果,F値=1となり,完全に剽窃レポートを検出することに成功した.
著者
久米 徹 新田 義彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.959-969, 1994-05-25
被引用文献数
6

日本語解析の基礎である形態素解析においては,考え得る多数の解の中から何らかのゆう度基準に従って適切な解を選択する必要があり,多くの研究がなされてきた.しかし,これらの研究知見の蓄積を統合的に分析し,更に高度なゆう度基準を発見・構築するためには,次の2者が必要と考えられる.すなわち,(1)ゆう度基準を記述するための見通しよい枠組みと,個々のゆう度基準から独立した汎用アルゴリズム,(2)ゆう度基準の性質を比較できるデータ.これに対応すべく,我々は(1)「最ゆう解=最小コスト解」の対応による一般的なゆう度基準記述法と動的計画法に基づく汎用解析アルゴリズムを構築し,これらに基づき(2)4種のゆう度基準の比較データを得た.(1)のアルゴリズムは最小からN位のコストまでに対応する解を導出でき,計算効率はO(nNlog_2(1+N))のオーダである.また,このアルゴリズムが通常のビームサーチ法よりも優位である点も示した.ゆう度基準の比較は,このアルゴリズムを利用し6種類の指標を導入して行ったが.その結果,文節数最小法を若千群細化するだけで,簡易かつ高精度のゆう度基準が得られることを示せた.
著者
石井 抱 石川 正俊
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J81-D2, no.8, pp.1920-1926, 1998-08-25

直線や円などの特定の形状に基づく画像特徴は,環境に対応したロボットの視覚制御を行う場合に有効なものであり,ハフ変換などのアルゴリズムの高速化が重要となる.特に,従来のビジョンシステムの限界であったビデオ信号(30Hz)を大幅に上回る高速なフレームレートを実現する超並列・超高速ビジョンチップの開発が進むにつれ,画像のフレームレートの高速性を生かしたアルゴリズムが実現可能となる.本論文では,フレームレートが高速なビジョンの特徴を用いることにより単純化された直線抽出法を提案し,超並列・超高速ビジョンチップシステム上においてμsオーダで高速に処理可能であることを示す.
著者
明仁親王
雑誌
魚類学雑誌
巻号頁・発行日
vol.14, pp.167-182, 1967
被引用文献数
1