著者
中島 淳 中村 朋史 洲澤 譲
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.153-160, 2011 (Released:2014-03-07)
参考文献数
48
被引用文献数
2

Examination of the morphological and genetic features of spined loach (Cobitis sp.) collected from the Oyodo River system, southern Kyushu Island, Japan, indicated that they represented a new taxon. The specimens were clearly distinguished from other known Japanese Cobitis species by their mitochondrial DNA sequences. In addition, the shape of the adult male lamina circularis differed to those of the C. sp. ‘yamato’ complex and C. biwae.
著者
井上 太之 鈴木 大 北野 忠 河野 裕美
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.20-024, (Released:2021-02-03)
参考文献数
22

Compared with the other anguillid eel species native to Japan (Anguilla japonica and A. marmorata), very little is currently known about the Japanese populations of A. bicolor pacifica. Three specimens of the latter (652.4–879.1 mm total length), collected in an irrigation channel on Iriomote Island, southern Japan, were examined, and the phylogenetic and morphological characters of the species discussed. The stomach contents of two specimens included a number of frog remains.
著者
河野 吉久 松村 秀幸 小林 卓也
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.206-219, 1994-07-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
18
被引用文献数
3

人工酸性雨の長期暴露実験を行うため, ミスト型降雨装置に代わる半自動走行式の雨滴落下型人工降雨装置を開発・製作した。本装置は, 直径約1mmの雨滴を発生し, 有効降雨面に対して1時間当たり2.5mmの降雨強度で運転が可能である。また, 降雨量の分布や繰り返し精度は10%以下であった。この降雨装置を用いて, 1991年から1993年の3年間に合計46種類の樹木を対象に人工酸性雨の暴露実験を行った。用いた人工酸性雨の組成は, 硫酸, 硝酸, 塩酸イオンの当量濃度比が5: 2: 3となるように, これら3種の酸を脱イオン水に混合して人工酸性雨原液を調製した。人工酸性雨原液を, 脱イオン水で容量希釈して, 人工酸性雨 (SAR) とした。SARの設定pHは, 5.6 (対照区), 4.0, 3.5, 2.5, および2.0であった。なお, SARは, 1週間に20mm (2.5mm×8hr) を3回の割合で暴露した。SARのpHが2.0の場合には, 供試したすべての樹種の葉に壊死斑点などの可視害が発現した。11種類の針葉樹の中では落葉性のカラマツだけがpH2.5以下で落葉したことから, 針葉樹の中ではカラマツが最も感受性であると考えられた。しかし, pH3.0以上のSARを3あるいは4ケ月間暴露しても針葉樹には可視害の発現は観察されなかった。SARのpHが3.0では, 常緑広葉樹14種のうち7種, 落葉広葉樹21種のうち14種に可視害が発現した。また, 落葉広葉樹の7種は, pH2.0の暴露終了時点でほとんど落葉し, 3種は枯死した。しかし, 常緑広葉樹の場合には, pH2.0でも全葉が落葉したり枯死した樹種はなかった。サクラ属のソメイヨシノやアンズは, pH3.0のSAR暴露によって, 早期落葉や壊死斑点部分が穿孔状態となった。しかし, 供試した46種には, pH4.0のSARを3あるいは4ケ月間暴露しても可視害の発現は観察されなかった。これらの可視害発現状況を指標にした場合, 広葉樹よりも針葉樹の方が酸性雨に対して相対的に耐性であった。また, 広葉樹の中では, 常緑広葉樹よりも落葉広葉樹の方が相対的に感受性であると考えられた。
著者
木村 大樹
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.97-107, 2019-11-01 (Released:2019-11-03)
参考文献数
40
被引用文献数
2

自閉スペクトラム症(ASD)を抱える人やその傾向のある人の多くが,高い対人不安を体験している。本研究は,ASD傾向の高い青年の対人不安の特徴を自尊感情および公的自意識との関連から調べることを目的として,大学生395人に質問紙調査(自閉症スペクトラム指数AQ,対人恐怖心性尺度,自尊感情尺度,公的自意識尺度)を行った。その結果,ASD傾向群(AQ≧33, 32人)は対人不安が全般に高かった。また,ASD傾向群は〈集団に溶け込めない〉悩みの高さが特徴的であり,さらに〈集団に溶け込めない〉悩みに対して公的自意識は関連していなかった。一方で,ASD傾向の高低にかかわらず,〈自分や他人が気になる〉悩み,〈社会的場面で当惑する〉悩み,〈目が気になる〉悩みではやはり公的自意識がかかわっており,自尊感情の低さも対人不安全般にかかわっていた。また,ASD傾向は自尊感情を媒介して対人不安に関連していたが,ASD傾向自体も直接対人不安に関連していた。
著者
福島 徹 濱崎 暁洋 浅井 加奈枝 佐々木 真弓 渋江 公尊 菅野 美和子 幣 憲一郎 長嶋 一昭 稲垣 暢也
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.653-659, 2013-09-30 (Released:2013-10-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1

症例は19歳女性.8歳時に1型糖尿病と診断されインスリン治療開始となった.2012年3月(19歳)にはインスリンリスプロ各食直前14~18単位,インスリングラルギン眠前20単位使用下においても,食事量増加のためにHbA1c(NGSP)が15 %と増悪していた.低炭水化物食による食事療法目的にて同年3月から前院に入院し,リスプロ中止,グラルギン眠前4~8単位/日の施行となった.しかし第2病日深夜から嘔吐が出現し,翌朝の血糖値が532 mg/dlにて糖尿病ケトアシドーシスが疑われ,輸液とインスリン持続静注を開始されるも全身状態が改善しないため,前院から当院への転院依頼があり,緊急搬送入院となった.入院後は輸液とインスリン持続静注を強化して改善し,最終的に強化インスリン療法と食事療法の再調整にて退院となった.本症例から,1型糖尿病患者の低炭水化物食開始時にインスリン量を調整する際は,必要インスリン量の注意深い評価が不可欠であると考えられた.
著者
大堀 淳 纓坂 智
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.2_113-2_132, 2007 (Released:2007-05-31)

本論文では,パターンマッチングとそのコンパイルを系統的に理解するための表示的意味論を提示し,それを基に,パターンマッチング構文を効率よいコードにコンパイルする系統的なアルゴリズムを提案する.まず,パターンを値の部分集合と見なし,パターンマッチング構文を,マッチングの対象項が含まれる部分集合を決定する機構と見なすことにより,パターンマッチングの集合論的意味論を与える.次に,各パターンの表示的意味を表現する木構造を定義し,それに基づきパターンマッチングのコンパイルアルゴリズムを導出し,このアルゴリズムの正しさを証明する.導出されたアルゴリズムは,分岐の選択に関して正しいばかりでなく,実行時の値のテスト回数に関して最適であり,かつ,冗長なパターンや網羅的でないパターン集合を常に正確に検出することが保証されている.以上構築したアルゴリズムは,Standard MLの拡張言語であるSML#言語に対して実装され,SML#コンパイラのパターンマッチングコンパイルモジュールとしての使用を通じてその実用性が確認されている.
著者
河内 明宏 渡辺 泱 中川 修一 三好 邦雄
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.1811-1820, 1993-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
16
被引用文献数
7 7

一般の小学生と幼稚園児2,033名を対象として, 正常児および夜尿児の膀胱容量, 夜間尿量と夜尿を含む夜間の排尿行動を, 質問紙法により調査した. 正常児の朝, 昼の膀胱容量と夜間尿量は, 年齢との間で直線回帰式にて表せる, 有意な相関関係を示した. また体の成長との関係においては, 身長, 体重および体表面積の3者の内で, 体重との間で最も良い相関関係を示した. 夜間尿意覚醒時の膀胱容量と朝, 昼の膀胱容量を比較すると, 朝の膀胱容量が夜間の膀胱容量に近い値を示し, 夜尿を論じる際の膀胱容量は朝起床時の膀胱容量を重視すべきであると思われた. 夜尿児の朝の膀胱容量は, 正常児と比較して, 6歳までは小さいが, 7歳以上では逆に大きいと考えられた. 正常児の間でも10~15%に夜間多尿であると思われる児童が存在し, これらは覚醒機能が正常で, 夜間尿意覚醒するために夜尿とならないと考えられた. 夜尿児の頻度は全体で14%であり, 9歳までは男が多かったが, 10歳以上ではほぼ同じ頻度であった. 過去に夜尿があった児童の調査結果より, 夜尿の平均自然消失年齢は7.3歳であり, このことより8歳以降持続する夜尿は積極的治療の対象になると考えられた.
著者
小柳 陽光 青山 一真 大村 簾 谷川 智洋 廣瀬 通孝
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.78-85, 2020 (Released:2020-03-31)
参考文献数
21

In recent years, a service industry is becoming to core of market economics. However, amount of worker are decreasing due to decreasing birthrate and aging population. To hire and train new human resources takes temporal, monetary and human cost. Previous studies have developed training simulator to resolve this issue. However, there is no research that focus on hospitality industry, as long as we know. Hence, we developed Virtual Reality training simulator for ground staff in airport. Specifically, on the basis of theory into practice, we developed a training simulator that can do training repeatable in a short time to maintain a motivation for a job. This system scans user’s facial expression and body movement, and convey to other user via an avatar. We were able to develop training simulator that gives us the feeling of a social presence from grand staff’s comments.
著者
Kentaro Araki Teruyuki Kato Yasutaka Hirockawa Wataru Mashiko
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.8-15, 2021 (Released:2021-01-29)
参考文献数
48
被引用文献数
33

This study investigated characteristics of atmospheric environmental fields in the occurrence of quasi-stationary convective bands (QSCBs) in Kyushu, western Japan during the July 2020 heavy rainfall event. We performed case studies of extreme rainfall subevents in the Kumamoto and Kagoshima prefectures on 3-4 July (2020KK) and northern Kyushu on 6-7 July 2020 (2020NK), compared with two heavy rainfall events in northern Kyushu in 2017 and 2018.Nine QSCBs were objectively extracted during the July 2020 heavy rainfall event, causing hourly precipitation amounts exceeding 100 mm twenty times. In 2020KK, the environmental field with extremely large precipitable water due to low-level and middle-level humidity was affected by the upper-level cold airflow, which resulted in favorable condition for the deep convection development. Consequently, the lightning activity became high, and cloud tops were the highest in comparison to previous events. QSCBs in 2020KK and 2020NK were located along a low-level convergence line/zone associated with an inflow that had extremely large water vapor flux on the south side of the mesoscale Baiu frontal depressions. In most of the QSCB cases in 2020, mesoscale depressions were observed and enhanced horizontal winds, which led to extremely large low-level water vapor flux to produce short-term heavy rainfall.
著者
佐々木 良一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-10, 2017-04-01 (Released:2017-04-03)
参考文献数
4

民事訴訟の増大などに伴い,種々のインシデントが発生した際に,将来行われうる裁判で証拠として使用できるようにするための電磁的記録の収集や分析の技術およびその手順であるデジタル・フォレンジックが重要性を増している。本稿では,デジタル・フォレンジックの定義や手順の概略を最初に記述する。次に,内部からの情報の流出事案を例にとり事前準備段階,データの収集段階,データの復元段階,データの分析段階,報告書の作成段階ごとにその方法を解説する。そして,多様なデジタル・フォレンジックの分類軸を示し,全体像を示すとともに,データ復元技術等について少し詳しく説明する。最後に,ネットワーク・フォレンジック技術等,今後重要性が増すと予想される技術に言及する。
著者
坂本 穆彦 逸見 正彦 田﨑 和洋 橋本 優子
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.528-531, 2014 (Released:2015-01-30)
参考文献数
19

2011 年 3 月に発生した東日本大震災による東京電力 (株) 福島第一原子力発電所の事故後, 放射性ヨード (I-131) をふくむ種々の放射性物質が環境中に放出された. この中でもチェルノブイリ原発事故によるデータを参考にすると, 放射性ヨードによる小児甲状腺癌の誘発が危惧された. そのため, 政府ならびに県は福島県立医科大学を拠点とする福島県県民健康管理調査事業の柱の一つに甲状腺検査を設定した. すなわち, 原発事故発生時に 18 歳以下であった全県内居住者約 36 万人をその対象としてスクリーニングのための甲状腺超音波検査をスタートさせた. このうち, 精密検査が要請された場合には, 甲状腺穿刺吸引細胞診が行われる. 2014 年 3 月までに 1 巡目の検査が先行調査として行われ, その後は 5 年ごとの本格調査に移行する. 現在は先行調査が進行中であるが, すでに 75 人が細胞診にて悪性ないし悪性の疑いと判定された. このうち手術をうけた 34 名中 33 名に乳頭癌が見出された. これらの乳頭癌が放射線誘発癌か否かは現段階では判断は困難であり, 今後の推移の中で考察される. 本稿では原発事故に対してとりくまれている健康管理調査の中で甲状腺細胞診が果たしている役割について紹介する.
著者
須田 健一 橋本 俊彦 江藤 知明
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.941-945, 2006 (Released:2009-01-19)
参考文献数
9
被引用文献数
2

症例は55歳男性.2型糖尿病に対しメトホルミン内服中であった.普段より1日焼酎2合程度の飲酒習慣があった.4日間にわたるアルコール多量摂取の後,多呼吸・嘔吐・吐血を主訴に救急車にて来院,検査にて著明な乳酸アシドーシス(pH 6.850, 血中乳酸値250 mg/dl)および高度の肝腎障害を認めた.血液透析などによりアシドーシスは改善し,入院後に一過性の血小板減少および凝固能の延長を認めるも,経過に問題なく15日目に退院となった.乳酸アシドーシスは一度発症すると短時間で急激な臓器障害をきたすため,迅速な診断および治療が必要である.また,ビグアナイド剤はその優れた薬効および安価であることより多くの糖尿病患者に使用されており,これらの患者への多量飲酒の警鐘も込めて報告する.
著者
Sho Toshino
出版者
The Plankton Society of Japan, The Japanese Association of Benthology
雑誌
Plankton and Benthos Research (ISSN:18808247)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.327-333, 2020-11-18 (Released:2020-11-12)
参考文献数
34

The order Coronatae is a unique group, with the following characters distinguishing them from other scyphozoans: a coronal furrow, a coronate pedalium, and oocytes that develop without accessory pigments. Coronatae polyps are enclosed in chitinous tubes and produce multiple ephyrae via polydisk strobilation. So far, eleven described species of Coronatae have been reported in Japanese waters: Atolla wyvillei, Atolla vanhoeffeni, Atolla russelli, Atorella vanhoeffeni, Atorella japonica, Nausithoe punctata, Palephyra pelagica, Periphylla periphylla, Periphyllopsis braueri, Stephanoscyphistoma corniformis and Nausithoe racemosa. The present study reports detailed observations of the morphology of one species newly recorded in Japan: Linuche draco. Development from ephyra to mature medusa was observed and recorded. Additional investigations are needed to understand the diversity of the order Coronatae in Japan.
著者
田中 優大 阿部 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.97-100, 2019 (Released:2019-07-22)
参考文献数
15

1960年代、京都市では高度経済成長による都市問題の解決や行政運営の効率化に向け、総合計画の作成を試みた。本研究は、その総合計画の試行過程における都市像の変遷と経緯を整理・概観し、1960年代の京都市における都市計画の思想の一端を明らかにすることを目的とする。京都市では、1960年代に三度総合計画の作成が試みたが、各総合計画で構想された都市像は、動態著しい社会構造の変化や市政の変化を受け、形を変えた。その過程では、大規模な事業を行い、都市構造を根本から転換させようとする壮大な都市像も構想された。当時構想された都市像は、その後の京都市における都市像に大きく影響を与えている。