著者
"高野 恵亮" "タカノ ケイスケ" Keisuke" "Takano
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.61-73, 2007-10-31

本稿は野党期自民党の議員立法を分析対象としている。自民党は1955年の結党以来、1993年から1994年の一時期を乃増手政権の座にあり、「野党期」といわれる時期は極めて短い。それにもかかわらず敢えてこの時期の議員立法を研究対象とするのは、官僚機構の協力を得られにくくなる野党の立場としての、いうなれば「素のままの」自民党の政策形成能力を測りたいがためである。政策形成に関する議論においては戦後から長期の間、官僚主導論が占めていたが、1980年代後半からは逆に、政官関係でいうところの「政」の側、特に自民党の政策形成能力の再評価、すなわち自民党の長期一党支配の中で「族議員」と呼ばれる特定の政策分野に精通した議員が出現し、従来官僚主導と言われた政策形成の場面において、それらをしのぐ能力を発揮しているという議論が出てきている。しかしながら、野党期自民党の議員立法、そして自民党を離党した「族議員」の野党所属期における議員立法を検討すると、自民党がそうした能力を持ち合わせているかということに対しては疑問が生じる。そこには常々「責任政党」を標榜してやまない自民党の「素のままの」政策形成能力が現われていると言っても過言ではない。
著者
大熊 榮
出版者
筑波大学現代語文化学系
雑誌
言語文化論集 (ISSN:03867765)
巻号頁・発行日
no.60, pp.83-120, 2002-09-04

この論文の目的はサルマン・ルシュディの処女作『グリマス』Grimus(1975)を取り上げ、彼がSFの方法によって「複合自我」を表象するようすを見届けるとともに、ホルへ・ルイス・ボルヘスからの色濃い影響を ...
著者
田中 康子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.338-344, 2016-07-01 (Released:2016-07-01)

近年,裁判所がウエブサイト上で判決文を公開するようになり,誰でも気軽に判例情報にアクセスできるようになった。またここ数年,食品や飲料等なじみのある製品や,後発医薬品に関する特許侵害訴訟のニュースを目にする機会が増えている。判例情報は,学術文献や特許文献とは異なる特殊な文書であるため,法律や訴訟制度になじみのない特許情報利用者にとっては扱いにくい側面があるかもしれない。本稿では,企業・大学等の図書・情報部門で情報を扱う業務に携わる方々,並びに製薬・化学企業で特許情報を扱う業務に携わる方々に向けて,判例情報の種類や判決文の構成を簡単に説明し,判例情報の入手方法と活用方法について解説する。
著者
渡邊 由紀子 合田 美子 山田 政寛 益川 弘如 兵藤 健志
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は,研究や教育のためのリソースが集約されている大学図書館が授業外学習支援を積極的に行うために,大学図書館員の専門性を図書館情報学だけではなく,教育工学及び学習科学の観点を含めて再構成し,それに基づいた教材と学習システムを開発し,効果を評価することにある。そのため,学習支援を担当する大学図書館員を対象としたeラーニングの学習教材を開発し評価するとともに,それらの教材を通じて学んだ知識やスキルの転移を支援できるように,学習科学の研究知見であるアンカードインストラクションを活用したストーリーベースのビデオ教材を開発し評価した。
著者
中村 尚 万田 敦昌 川瀬 宏明 飯塚 聡 茂木 耕作
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

我が国の豪雨の発生や季節性に周辺海域の海面水温分布が重要な影響を与えることが研究代表者らの最近の研究から示されている。そこで、精緻化の進む領域大気モデルによる地域的な豪雨・豪雪事例の予報精度に対し、大気モデルの下方境界条件として与える日本周辺海域の海面水温データの時空間分解能が及ぼす影響を、近年の多くの顕著な豪雨・豪雪事例に対する予報再現実験から定量的・包括的に評価することを本研究課題は目指している。平成29年7月九州北部豪雨事例において、6月下旬の梅雨前線帯の北上に伴う東シナ海の水温の急激な上昇が重要であることを示す実験結果を得た。梅雨前線の北上が日射の強化を伴い、水温が上昇し、海面からの蒸発が強化して、九州に流入する対流圏下層の気塊が多湿に維持され、対流不安定性を強化していた。梅雨末期の集中豪雨は梅雨前線帯の南側で発生することが多く、梅雨前線帯の北上に伴う東シナ海上の日射の強化がその一因であるとの示唆が得られた。なお、東シナ海の海面水温の季節進行と表層塩分成層の変動との関連に着目して、海洋客観解析データに基づく解析にも着手した。一方、平成25年8月の秋田・岩手豪雨事例においては、領域大気モデルの水平解像度を1kmに向上させるとレーダー雨量と同程度の雨量強度が再現されるようになることが確認できた。また、初期値や領域の設定にも強い感度が見られたが、海面水温に対する感度は水平解像度3kmの実験と定性的には同じで、領域大気モデルの実験設定も依然として重要であることが分かった。さらに、領域大気モデル実験に与える高解像度の海面水温データに対する時間及び空間平滑化が夏季降水量に及ぼす影響を調査した。積算降水は空間平滑化のみに影響されるのに対し、豪雨事例に対しては時間・空間どちらの平滑化にも影響が見られ、夏季豪雨の予測に対して時間・空間両方の高解像度化が重要であることが見出された。
出版者
巻号頁・発行日
1605
著者
岸 泰子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.79, no.695, pp.237-242, 2014-01-30 (Released:2014-07-10)

The ceremony of the Emperor's death in the late middle age were set up according to precedent.In contrast, after the death of the Emperor in the Meiwa period, the shimenawa were hung across the naishi-dokoro where the Shinkyo (one of the Imperial Regalia) was placed. This purpose of the sanctification of the naishi-dokoro was to succeed to the sacred throne. And, at the same time, it was made clear that the Emperor's death was unhallowed as Shokue which mean the pollution caused by physical contacts with the dead body.