著者
金 相美
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.68, pp.97-114, 2006-01-31

The purpose of this paper is to understand the behavior of simultaneous use of two forms of media. It seeks to analyze the characteristics of people who engage in such behavior and the factors regulating it. This analysis should provide a foundation for a comprehensive understanding of the influence of the new medium of internet on the existing medium of television. The principle source of data for this study was a time use survey. According to this survey, 12.6% of home internet users made simultaneous use of both television and computer internet in the space of their home. The average daily length of time spent in such simultaneous behavior was 10.2 minutes. The main factor correlating with such simultaneous use was length of television viewing : when heavy television viewers also made use of the internet, there was a high likelihood that they would use the internet simultaneously with television. The proportion of people who used mobile internet simultaneously with television was 16.2%, and the average daily time spent this way was 8.2 minutes. Simultaneous use of mobile internet and television was greater among women, and tended also to be greater among younger people and heavy television users.
著者
小畠 時彦 井戸川 徹
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.679-689, 1995-09-01
被引用文献数
2

クラリネットの発音機構を記述するSchumacherの方程式[Acoustica 48,71-85(1981)]の解を計算した。リード変位とリード開口を通過する空気の体積流量に関する微分方程式は台形法を用いた差分方程式で近似した。楽器気柱の反射関数は簡単な負のGauss関数とし、その最小値は往復時間が0.5、1.0、3.4msのところに現れると想定した。3通りの特性インピーダンスの値(2.31、5.00、7.50×10^6kg/m^4s)に対して、吹鳴圧力を0からリード振動が励起される上限の値まで変化させ計算した結果、幾つかの例が得られた。カオス振動解は、上記の往復時間に対して、特性インピーダンスが高く、吹鳴圧力が低い領域で得られた。また、吹鳴圧力を階段状に次第に上昇下降させるとき振動状態の遷移にはヒステリシスが見られた。すなわち、吹鳴圧力以外のパラメータを固定した状態で、吹鳴圧力を上昇下降させるとき、その上昇過程と下降過程において吹鳴圧力が同じ値であっても得られる振動状態が異なる場合があった。
著者
三沢 建一
出版者
一宮女子短期大学
雑誌
一宮女子短期大学紀要 (ISSN:1349936X)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.287-292, 2006-12-21

本稿は保育教材として欠かせない油粘土の制作において、学生の表現力向上を図る目的で取り組んだ授業の実践事例報告である。かつて、生来、目の不自由な児童による粘土作品の展覧会を見た折、技術的には稚拙でも、躍動感溢れた表現に接し胸を打たれた覚えがある。視覚的整合性、合理性というものが表現を狭めていることは無いであろうか。そうした問題意識から、あるクラスの授業の中で、対象物を観察しながらの再現を目的とした表現と、それに引き続いて、アイマスクにより視覚を閉ざした上での表現とを取り上げ、2つの表現の違いを検討した。その結果、アイマスクを着けての制作では、不自由感と視覚的記憶とに支配されたものと思われるが、表現が浅く、のっぺりしてしまう傾向を示した。そこで、別のクラスでは当初からアイマスクを着けさせ、その上で、対象物が何であるかを知らせないままに、手探りのみでの表現を試みたところ、不安、不自由を感じながらも大胆で表情に富んだ表現が見られた。自分の作りつつある作品の出来具合を視覚で確認することができない状態では、触覚的イメージが強調されたと考えられ、今後の粘土制作に一つの方向性を示唆するものとなった。
著者
溝部 明男
出版者
金沢大学人間社会研究域人間科学系 = Bulletin of the Faculty of Human Science, Kanazawa University
雑誌
金沢大学人間科学系紀要 (ISSN:18835368)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.14-40, 2011-03-31

デュルケムとウェーバーの「社会」と「行為」についての概念化を、パーソンズは「社会システム論」を使うことでうまく統合し、社会学理論を前進させた。パーソンズの「構造-機能主義」の隆盛は、冷戦期におけるアメリカの優位とソ連の劣勢を理論的に説明しえたことによる。パーソンズ以降の社会学理論に残された課題は、(1)グローバリゼーションの現状と「境界維持システム」概念が乖離していること、(2)「コントロール・ハイアラーキ―」概念は「価値・規範要素」を偏重しているので、現実の集団・組織の作動や社会変動の発端を考える上で問題があること、(3)行為の能動性と社会的拘束の両立性という問題。ルーマンの「オートポイエシス」論はこの第2 の課題、ギデンズの「構造化理論」はこの第3 の課題をのり越えようとする試みであろう。 The purpose of this paper is to critically analyze the basic concepts of T. Parsons' sociological theory in relation topreceding classical sociological theories and social system theory. The reason why his theory was influential in themid 20th century was that his structural-functional theory could explain the dominance of USA over the Soviet Unionin the cold war period from the theoretical viewpoint.After Parsons remain three theoretical issues, which are: (1) the gap of the globalization currently in progress andhis conception of "boundary maintaining system", (2) his tendency to give excessive stress on "normative elements"in his "control hierarchy" theory (ex. the Fall of Berlin Wall in 1989 could not be explained according to his "controlhierarchy" theory) and (3) incompatibility of agency and structure, or that of the integration theory and the conflicttheory.Luhmann's theory of autopoiesis is considered to be an attempt to get over the second theoretical issue andGiddens' theory of structuration an attempt to solve the third one.
著者
宮本 佳明
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

前年度に構築した大気・海洋結合モデルを実現象の再現実験に適用できるように改善を行った.ここで,当初構築する予定であった大気・波浪境界層(Wave Boundary Layer : WBL)・波浪・海洋の結合モデルは,前年度のロードアイランド大学滞在中に得た知見を基に,WBLモデルの構築,及び,波浪モデルの組み込みを取り止めた.その理由は,両モデルは計算負荷が大きい欠点を持ちながら,顕著な精度向上が見込まれないためである.つまり,現在までに得られている波浪・WBLの物理過程に関する理解では,長時間のコーディング作業をせずに,多少近似が強いながらも最新の観測結果を踏まえた手法を取った方が良いと判断した.そこで,大気-海洋間の結合が物理量のフラックスによって行われると考え,既存の大気モデルで良く用いられているバルク法を用いて以下のようにモデル化した.海面フラックス(モデル最下層における応力項に対する下端境界条件)は,WBL上端の風・海面上とその高度間の変数の勾配に比例するとして,2005年・2008年の観測・室内実験結果に関する先行研究(Donealn et al. 2004 ; Zhang et al. 2008)からその比例係数を決定した.ここで,WBL上端の高度はモデル変数から診断できないため,大気安定度に依存した対数分布を仮定して高度10mにおける風速を基に勾配を決定した.次に,海洋モデルに日本付近の海底地形データの導入し,過去に顕著な災害をもたらした台風の再現実験を行った.そして,海洋モデル及び最新の実測値を基にした海面フラックスの定式化を行うことによるインパクトを調べ,熱帯低気圧の数値モデル内での再現におけるそれらの重要性を示した.
著者
長尾 真
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.1056-1059, 2011-08-15
著者
宇田川 真之
出版者
(公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

2010年8月9日に発生した台風第9号による、兵庫県佐用町における洪水の際の住民の避難行動などを調査した。そして、避難行動の有無に影響する要因として、災害因の認知、個人的なリスク認知、避難行動への効力感、避難の効果評定、避難によるコスト感、規範意識などについて考察をおこなった。
著者
東野 陽子 神沼 克伊
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.190-195, 1998-07

1998年3月25日03時12分(UT)頃, 南極プレート内の62.876°S, 149.712°Eで, M_s8.0の巨大地震が発生した。昭和基地(SYO : 69°00′S, 39°35′E)からの問い合わせに対し, フランスのDumont d'Urville基地(DRV : 66°40′S, 140°01′E)では全員が揺れを感じ, 落下物もあったと言うから日本の気象庁震度階でIII∿IVに相当する。昭和基地では4時間にわたり連続して地震動が記録された。DRVの震央距離は670kmであるから, 日本の関東地震(1923年, M=7.9)を岡山付近で感じたことになり, 有感半径が700kmの関東地震と同じ規模かそれ以上の大きな地震だったことが分かる。この地震は南極プレート内で起こった初めてのM8クラスの地震であり, 南極大陸での初めての有感地震であった。
著者
杉山 広 森嶋 康之 亀岡 洋祐 荒川 京子 川中 正憲
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.927-931, 2004-08-25
被引用文献数
7

関東地方における大平肺吸虫陽性カニの検出は,千葉県内を流れて太平洋に注ぐ河川に限られていた.そこで埼玉県・東京都を流れて東京湾に注ぐ荒川を選び,下流にある東京都の7つの区に12の調査地区を定めて,カニの採集と肺吸虫の検出を試みた.その結果,検査したクロベンケイガニ922匹のうち177匹(19%)から肺吸虫メタセルカリアが検出された.寄生率は葛飾区四ツ木地区が最多(89%)で,陽性カニ1匹当たりのメタセルカリアの平均寄生数(32.9個),および最大寄生数(190個)も最多を示した.メタセルカリアは楕円形を呈するものが大部分で,大きさ(内嚢の外径)は302μm×232μm(50個の平均値),口吸盤背縁に穿棘を,体肉内に赤色顆粒を認めた.試験感染ラットから得た成虫は,卵巣が複雑に分岐し,皮棘は群生していた.このようなメタセルカリアと成虫の形態学的特徴から,虫体を大平肺吸虫と同定した.メタセルカリアを検索材材料として得たリボソームDNA・ITS2領域の塩基配列からも,この結論が支持された.カニからの大平肺吸虫メタセルカリアの検出は,東京都ではこれが初めての報告となる.
著者
田崎 雄一郎 福原 知宏 佐藤 哲司
雑誌
情報アクセスシンポジウム2011
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.17-22, 2011-09-07

新聞からスクラップブックを作成するというように,Web 探索においても複数の情報源から情報を集約することは多い.それぞれの Web ページ中には利用者にとって必要な情報と不必要な情報が混在しており,利用者は要不要の判断を繰り返しながら情報を収集する.収集を行いながら情報を把握することは難しく,探索中に収集した一連の情報の把握を支援するための情報集約手法が必要である.本論文では Web ページ中の部分毎の情報 (部分領域) を対象とした情報探索・集約手法を提案する.提案法は,ページ中の部分領域を単位とした探索を行いながら,利用者自身が情報を集約する.提案手法を実装したシステム評価実験を行い,部分領域を対象として情報の探索と集約を行う本手法により,利用者が十分有効に情報を収集できることが確認できた.今後は従来手法との比較を行い,従来手法に比べた提案手法の有効性を確認する.
著者
柳瀬 利彦 廣木 桂一 伊藤 昭博 柳井 孝介
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.621-637, 2011 (Released:2011-07-20)
参考文献数
34

We propose a computing platform for parallel machine learning. Learning from large-scale data has become common, so that parallelization techniques are increasingly applied to machine learning algorithms in order to reduce calculation time. Problems of parallelization are implementation costs and calculation overheads. Firstly, we formulate MapReduce programming model specialized in parallel machine learning. It represents learning algorithms as iterations of following two phases: applying data to machine learning models and updating model parameters. This model is able to describe various kinds of machine learning algorithms, such as k-means clustering, EM algorithm, and linear SVM, with comparable implementation cost to the original MapReduce. Secondly, we propose a fast machine learning platform which reduces the processing overheads at iterative procedures of machine learning. Machine learning algorithms iteratively read the same training data in the data application phase. Our platform keeps the training data in local memories of each worker during iterative procedures, which leads to acceleration of data access. We evaluate performance of our platform on three experiments. Our platform executes k-means clustering 2.85 to 118 times faster than the MapReduce approach, and shows 9.51 times speedup with 40 processing cores against 8 cores. We also show the performance of Variational Bayes clustering and linear SVM implemented on our platform.
著者
紅林 幸子
出版者
訓点語学会
雑誌
訓点語と訓点資料 (ISSN:04546652)
巻号頁・発行日
vol.118, pp.30-42, 2007-03