著者
笹月 健彦 上川路 信博 MCMICHAEL An JONES Sarah 木村 彰方 白澤 専二 MCMICHEAL An
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

HLA多重遺伝子族による「免疫制御」の分子機構の解明を目的に、ヒトにおける免疫応答のモデルとして、B型肝炎ワクチン接種者における免疫応答性の個体差、アレルギー性疾患のモデルとしてスギ花粉症、さらに分子レベルでの制御機構の解明のためにHLA結合ペプチドの解析を行い以下の知見を得た。B型肝炎表面抗原(HBsAg)上の2個のT細胞エピトープ、HBs16-31とHBs81-99を、合成ペプチドおよびHBsAg特異的T細胞株を用いて同定した。HBs16-31は高いまたは低い抗体価を示したワクチン接種者から得られた5個のHBsAg特異的T細胞株全てに認識された。一方、HBs81-99は高い抗体価を示したワクチン接種者に由来する2個のT細胞株によってのみ認識された。HBsAgに対する抗体価は、ワクチン接種者のHBs81-99に対するPBLsの増殖反応に強く相関したが(r=0.47)、HBs16-31対するPBLsの増殖反応との間には有意の相関が認められなかった。従って、HBs81-99は、HBsAgに免疫されたヒトにおいて、抗HBs抗体産生に重要な役割を担っていると考えられた。スギ花粉症は、スギ(Cryptomcria japonica)花粉によって引き起こされるI型アレルギー疾患である。これまでに、PCR-SSOP法によるHLA-DNAタイピングを行い、本疾患とHLAクラスII対立遺伝子との相関を解析した結果、HLA-DPA1^*02022、及びDPB1^*0501対立遺伝子によってコードされるHLA-DP5抗原の頻度が、スギ花粉症患者集団において有意に増加していることを明らかにした。さらに、HLA-DP5抗原が、本疾患の病因に直接寄与しているか否かを検討するために、HLA-DP5(DPA1^*02022/DPB1^:0501)陽性の3名の患者より、スギ花粉抗原(CPAg)特異的T細胞株を樹立した。このスギ花粉抗原特異的T細胞株が、HLA-DP5により抗原提示を受けているかを、HLA-DP5抗原を発現したL細胞トランスフェクタントを用いて解析し、患者末梢血中に疾患と相関のあるHLA-DP5拘束性のCPAg特異的T細胞が存在することが明らかとした。さらに、主要スギ花粉アレルゲンであるCrj1の全長をカバーする32種のオーバーラッピングペプチドを合成し、その中にHLA-DP5拘束性のTh2を誘導するペプチドを1種同定した。これらの結果より、HLA-DP5は、CPAgに対するIgE抗体産生をヘルプすることにより、本疾患の病因に直接寄与していることが示唆された。主要組織適合性複合体(MHC)クラスI結合ペプチドが、MHCクラス1分子における-アミノ酸残基の違いにより如何に影響されるかを調べるために、3つのHLA-A2サブタイプ(HLA-A^*0204,A^*0206,A^*0207)分子に結合したペプチドを抽出し、そのアミノ酸配列をアミノ酸配列分析機により解析し、昨年度までに、各アリル特異的結合ペプチドモチーフは第2および第9残基目の主要なアンカー部位において大きく異ることを明らかにした。さらに、上川路がD.Hunt教授を訪問し、個々のHLA結合ペプチドの解析に必須の質量分析を用いた微量ペプチドの分析法に関する最新の情報を得て、質量分析機により各アリルにおける18の自己ペプチドのアミノ酸配列を同定し、それぞれの相対的なシグナル強度は、正確にこれらペプチドモチーフを反映していることが確認された。ペプチドモチーフの違いとHLAクラスI分子一次構造の違いとの関連を理解する為に、既に報告されているHLA分子の結晶構造をもとにcncrgy minimizationによるペプチド-HLA複合体のコンピューターモデリングを行った。これにより各アリル間のペプチドモチーフの違いはHLA分子の高次構造の違いにより説明できた。また、McMchacl教授らとの共同研究として、HLA-B27サブタイプの結合ペプチドの構造を解析を行った。強直性脊椎炎との強い相関の認められるHLA-B^*2704と相関の認められないHLA-B^*2706に関して、結合ペプチドの解析を行い、HLA-B^*2704結合ペプチドが、やはり強直性脊椎炎との強い相関の認められるHLA-B^*2705と同じく、2残基めがアルギニンである事が明らかになった。これらの結果は、HLA結合ペプチドレパートリーのサブタイプ間における精妙な違いを示すと共に、サブタイプ間での疾患感受性の差異の分子レベルでの理解を可能とし、今後、これらのHLAと相関のある疾患の抗原ペプチドの予測に大きく寄与すると考えられる。
著者
天野 みどり
出版者
日本語文法学会
雑誌
日本語文法 (ISSN:13468057)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.3-19, 2008-03
著者
嘉悦 康太
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.51-75, 2009-10-01

戦後の高等教育は昭和22(1947)年制定の教育基本法および学校教育法に基づいて新制大学制度が発足し、2 年後の昭和24(1949)年私立学校法が制定されたのを期に本格的に行政が開始された(『文部科学白書(平成15 年度版)』より)。高度成長期には、高等専門学校の発足(昭和37(1962)年)や短大の恒常化(昭和39(1964)年)、専修学校の制度化(昭和51(1976)年)など、増え続ける高等教育進学者の受け皿として、結果的に戦後における高等教育の枠組みを完成させる一連の政策実行がなされた。平成3(1991)年の大学設置基準の大綱化以降はいわゆる大学改革が全国で進み、18 歳人口の減少と相まって、大学間競争が激化した。その後、私立学校法の一部改正(平成16(2004)年)、教育基本法(平成18(2006))及び学校教育法(平成19(2007)年、最終改正)が改正されるなど、21 世紀に入って戦後の高等教育を取り巻く環境は一変した。本稿では、終戦直後まで遡り、各年代別に戦後日本の高等教育にまつわる文科行政及び、教育分野全般の行政改革と規制緩和の状況を概観することで、高等教育を巡る今日的問題を考察する際の「座標軸」を提供することを目的としている。教育関係の法令や規則及び文部科学行政に関する政府関係書類等、すでに公になっている公文書をテキストにした文献解題に基づく政策のディスコース分析を主たる方法論とする。
著者
忍頂寺務 編
出版者
忍頂寺務
巻号頁・発行日
vol.第11冊, 1926
著者
忍頂寺務 編
出版者
忍頂寺務
巻号頁・発行日
vol.第1冊, 1926

3 0 0 0 清元研究

著者
忍頂寺務 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1930
著者
河野 裕美 水谷 晃
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.108-118, 2015-03-20 (Released:2017-03-20)
参考文献数
20
被引用文献数
3

カツオドリSula leucogasterは,世界の熱帯から亜熱帯海域に4亜種が分布する.本種は島嶼間の移動が少なく,遺伝的交雑が低いと考えられてきた.しかし,東太平洋海盆を挟んで西側に生息する亜種カツオドリS. l. plotusが東方へ,東側に生息する亜種シロガシラカツオドリS. l. brewsteriが西方へそれぞれ分散して繁殖した例が報告されている.さらに,西部太平洋に位置する琉球列島南部の仲ノ神島において,2009年5月17日に頭部から頸部が白色の亜種シロガシラカツオドリの成鳥の雄1羽が飛来した.その後,2014年まで,同じ場所で同個体と思われる雄が断続的に確認され,2012年から2014年まで仲ノ神島個体群の繁殖スケジュールと同調して,亜種カツオドリと思われる雌と繁殖し,雛を巣立たせた.さらに2011年以降には,同島の別の場所で白色頭部の雄1羽が断続的に記録されるようになった.この雄は雌に対する求愛を行ったが,2014年までつがいは形成されなかった.本観察により亜種シロガシラカツオドリの日本における繁殖行動が初めて確認され,同時に別亜種の繁殖地に飛来した個体によるつがい形成から繁殖までの過程を記録できた.
著者
Anil Kumar Meher Yu-Chie Chen
出版者
The Mass Spectrometry Society of Japan
雑誌
Mass Spectrometry (ISSN:2187137X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.S0057-S0057, 2017-03-18 (Released:2017-03-24)
参考文献数
147
被引用文献数
4 15

Generation of analyte ions in gas phase is a primary requirement for mass spectrometric analysis. One of the ionization techniques that can be used to generate gas phase ions is electrospray ionization (ESI). ESI is a soft ionization method that can be used to analyze analytes ranging from small organics to large biomolecules. Numerous ionization techniques derived from ESI have been reported in the past two decades. These ion sources are aimed to achieve simplicity and ease of operation. Many of these ionization methods allow the flexibility for elimination or minimization of sample preparation steps prior to mass spectrometric analysis. Such ion sources have opened up new possibilities for taking scientific challenges, which might be limited by the conventional ESI technique. Thus, the number of ESI variants continues to increase. This review provides an overview of ionization techniques based on the use of electrospray reported in recent years. Also, a brief discussion on the instrumentation, underlying processes, and selected applications is also presented.
著者
松本 明生 平岡 恭一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.88.16323, (Released:2017-05-10)
参考文献数
26

Impulsivity has been linked to traffic safety problems in many prior studies. However, it is not clear whether impulsivity, defined by the rate of discounting delayed monetary rewards, relates to drivers’ problematic behavior. We investigated the relationship between the discounting of hypothetical monetary outcomes and near accident (i.e. hiyari-hatto) experiences during driving among occupational drivers. A total of 189 occupational drivers (160 men) completed the delay discounting questionnaire and hiyari-hatto experiences scale. In completing the delay discounting questionnaire, participants were asked to perform the two delay-discounting tasks, in which they chose between ¥100,000 or ¥5,000 available after some delay (from 1 month to 5 years) or a lesser amount of money available immediately. Subjective equivalence points were obtained from participants’ choices on delay discounting questionnaires, from which the areas under the curve (AUC; Myerson et al., 2001) were calculated. The results indicated that the rate of discounting (AUC) was negatively correlated to near accident experiences. We discuss the need for future research on impulsivity, delay discounting, and traffic safety.
著者
富永 健
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.22-23, 1988-12
著者
松井一乃 金髙一 池部実 吉田和幸
雑誌
マルチメディア、分散協調とモバイルシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.772-778, 2013-07-03 (Released:2013-12-24)

現在広く利用されているspam対策技術のひとつにgreylistingがある.greylistingは「spam発信MTAは再送をしない」との仮説に基づき送信者に対して一時エラーのレスポンスコードを返し,再送をうながす対策手法である.greylistingはspam排除の効果は高いが,適用する全てのメールに再送要求をするため,通常メールにも大きな遅延が生じる.そこで大分大学ではmilter managerを導入し,S25R,SPFの判定結果によってメールをgreylistingに適用するかを決定している.SPF,S25Rを用いて通常メールとspamを判断することで, SPF,S25Rによる検査のみで受信できるメールが増え,greylistingによる再送遅延を軽減できる.また,SPF,S25Rによって誤検知された通常メールはgreylistingによって救済することが可能となる.milter manager導入後,通常メールのうち約70%はSPF及びS25Rが処理しているため,greylistingを適用せずに受信できるようになった.また,受信した通常メールに対するgreylistingの再送要求割合を比較すると,milter manager導入前と導入後では43.1%から12.4%まで減少していた.このことから,milter managerを導入することで配送遅延がかかる通常メールが減少したといえる.
著者
山田 和彦 永田 靖典 高橋 裕介 莊司 泰弘 鈴木 宏二郎 今村 宰 秋田 大輔 石村 康生 中篠 恭一
出版者
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、超小型衛星に搭載可能な姿勢センサ群を開発し、ISSから放出される超小型衛星EGGを利用し、大気の影響を無視できない超低高度軌道での軽量膜面を有する宇宙機の挙動の実測を行った。超小型衛星EGGの運用において、希薄気体中における軽量な膜面に働く大気抵抗の影響により軌道が変更することを確認するなど、そのダイナミクスを理解するためや解析ツール開発の参照となる貴重な実測データを得ることができた。これらのデータは、運用終了時の衛星を非デブリ化する技術等、将来、超小型衛星にとって重要な技術開発のために役立つと期待される。
著者
浅見 泰司
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は、不動産鑑定士の行う画地の鑑定評価の中で形状評価の部分をニューラルネットワークなどを用いて予測式を構築し,形状評価構造を求め,また画地評価の部分的なシステムの構築を行うというものである。最終年度である本年度では、前年度に得られた画地評価システムのプロットタイプをもとに、東京都世田谷区の詳細な地価データによって評価関数の精緻化作業を行ない、精度の高いシステムのあり方を求めた。具体的には、2つの重要な成果を出した。一つは、世田谷区の画地形状、立地条件、周辺環境などの詳細データをもとに、それらの評価値を適切に組み合わせた精度の高いヘドニック地価評価関数を推定した。これにより、今までは困難であった敷地細分化の外部経済効果や公園の設置効果などミクロな住環境の費用・便益を貨幣単位で評価できるようになった。特に、緑地の効果と土地利用混合の効果は、評価画地の規模に応じて異なり、面積の大きな画地については、(敷地外)緑地効果は小さく、周辺土地利用混合効果は大きくプラスにきくことか判明した。本モデルは、地区計画レベルでの都市計画・権利調整支援システムとして用いることができ、今後適切な街区の適切な画地割問題にも応用できる。もう一つの成果としては、鑑定評価における特に類似地選定の適切なあり方を明らかにした。適切に類似地を選択することによって、単純なヘドニック回帰式よりも精度の高い地価推定が可能となることを示し、鑑定評価で行われてきた取引事例比較法の妥当性を実証するとともに、類似地選定に際して、どのような要素に着目して選択をしぽるぺきかを定量的に求めた。分析の結果、最寄駅距離、都心乗車時間、角地や袋地などの画地形状の条件を特に合わせるよう配慮すぺきことが示された。
著者
松井 一乃 金高 一 加来 麻友美 池部 実 吉田 和幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.2498-2510, 2014-12-15

spam対策技術の1つであるgreylistingは「spam発信MTAは再送をしない」との仮説に基づき送信者に対して一時エラーのレスポンスコードを返し,再送をうながす対策手法である.greylistingはspam排除の効果は高いが,適用するすべてのメールに再送要求をするため,通常メールにも大きな配送遅延が生じる.我々が運用しているメールサーバにおいても通常メールを受信するまでに平均1時間15分の遅延が生じていた.通常メール送信者をwhitelistに登録すれば,そこからのメールの配送遅延は回避できる.しかしすべての通常メール送信者をwhitelistに登録するのは不可能である.そこで2012年2月にmilter managerを導入し,SPF,S25Rの判定結果を用いてgreylistingを適用するかを決定するメールシステムを構築した.SPF,S25Rを用いて通常メールとspamを分類することで,SPF,S25Rによる検査のみで受信できるメールが増え,greylistingによる再送を抑制できる.milter manager導入前と導入後の通常メールに対するgreylistingの再送要求割合を比較し,43.1%から17.0%まで減少していたことを確認した.このことから,milter managerを用いてmilterを組み合わせることで,通常メールに対する配送遅延を軽減することに成功した.Greylisting is a type of anti-spam measure. Greylisting works by assuming that contrary to legitimate MTA, a spam sender will not retry sending their junk mail after a temporary error. Greylisting is a low cost method with high detection rates, but it introduces a delay into legitimate mail delivery. In fact, the average delay of e-mail delivery was 1 hour and 15 minutes after sending in our mailing system. Although to put ham MTAs in whitelist reduces e-mail delivery delay, it seems impossible to register all ham MTAs. Therefore, we designed a new mail delivery system using milter manager in February 2012. The mail system uses the results of SPF and S25R in order to apply greylisting to mail classified as spam by either of those milters. As a result, legitimate mail is receivable without the delay from greylisting from before. We compared the retransmission request rates by greylisting before and after the introduction of the system. As a result, we have successfully reduced the retransmission request ratio of greylisting from 43.1% to 17.0% in our system. We succeeded in reducing the average delay of delivery of legitimate mail by the combination of the milters through milter manager.
著者
江畑 冬生
出版者
新潟大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

平成25年度には,トゥバ語コーパス資料の作成およびトゥバ語現地調査のための予備調査を行った.(1) 『トゥヴァ語基礎例文1500』およびインターネット上で公開されているトゥバ語新聞記事をもとに,トゥバ語のコーパス資料を作成した.(2) 2014年2月に8日間の日程でロシア・サンクトペテルブルクを訪問し,母語話者でもあるアルジャーナ・シュリュン博士の協力のもとトゥバ語の予備調査を進めるとともに,文献資料の収集を行った.本年度の研究成果として,日本エドワード・サピア協会第28回研究発表会(聖心女子大学),国研名詞化プロジェクト研究会(筑波大学),韓国アルタイ学会(ソウル大学),NINJAL Typology Festa 2014(国立国語研究所)における口頭発表を行った.さらに,『人文科学研究』第133輯,Tomsk Journal of Linguistics and Anthropology 第3号,『北方人文研究』第7号,『北方言語研究』第4号,『日本エドワード・サピア協会 研究年報』第28号に論文が掲載されることになった.
著者
鈴木 博之
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 = Journal of the Society of Biomechanisms (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.199-204, 2005-11-01
参考文献数
26
被引用文献数
2

夢が睡眠中のいつ起こっているかという疑問に対し,REM睡眠中に起こるという解答が既に得られていると一般的には考えられている.しかし,NREM睡眠時の夢の存在を主張する研究者も多く,夢発生のメカニズムに関しては未だ議論が続いている.従来の夢研究には,報告された夢が目覚める以前のいつ起こった体験か確認することが出来ないという方法論的問題点があった.そのため,夢とREM・NREM睡眠の明確な対応関係は検討されてこなかった.この問題点を解決するために,我々は20分間の睡眠区間を40分間の間隔をおいて78時間連続して繰り返し,各睡眠区間後に得られた夢と20分間の睡眠状態の関係を検討した.その結果得られたREM・NREM睡眠時それぞれの夢の特徴と,今回初めて明らかになった夢発生の概日変動について解説する.