著者
坪口 昌恭
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報研究 = Journal of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:18825370)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.21-39, 2018-03-31

バリー・ハリスのメソッドは、平均律12 音のクロマチックスケールを大前提とし、それを二つに分けたホールトーン・スケール、三つに分けたディミニッシュ・コードがビバップ・ジャズにおけるDNA だというとらえ方からスタートする。これはドミナント7thコードを捉える上でもっとも根源的かつシンプルな法則であり、1950 年代までのジャズ・サウンドを表現する上で欠かせない要素である。一方ダイアトニックコードはオープン・ヴォイシングで習得することで、ジャズ特有の響きやアプローチがしやすくなる。また、主要なコードを6th コードとして捉えることもバリー氏の特徴であり、ディミニッシュ・コードと組み合わせることにより、コードネームやスケールだけでは表現できない、味わい深い音の動きを作り出すことができる。ここでは主にピアノでの演奏を想定したコードに対する様々な音の動かし方を紹介する。
著者
貞包 英之
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 社会科学 = Bulletin of Yamagata University. Social Science
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.93-110, 2013-02-15

In this paper, we elucidate how suicide related to life insurance has played a crucial role in the social life of Japan since World War II. In particular, since Japan’s period of high economic growth, it has been observed that suicides by middle-aged men, who tend to have higher life insurance subscription rates than other people, have drastically increased and that economic problems have occupied a more important role as the cause of such suicides. This transformation has a significant connection with the rapid spread of life insurance, which has been caused by the growth of the finance systems of small- and medium-sized enterprises, as well as the development of the nuclear family during the postwar period. Life insurance has supplied a large amount of capital for these enterprises and has enabled families to survive after a loved one’s death. As a result, suicide in connection with life insurance has been deeply imbedded in contemporary Japanese life. This reason for suicide has been utilized as a major means of donation to others and a symbolic challenge to the wealthy. Although it is estimated that suicide in connection with life insurance is now decreasing due to the transformation of economic conditions since 2000 and the changes in life insurance agreements, this sociological significance of suicide has not been lost.
著者
上原 哲太郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.380-385, 2019-04-15

改元が和暦を用いる情報システムに対して与える影響を考える.標準的OSやライブラリは西暦で処理されているため,和暦の処理はライブラリやOSの機能に頼らない場合が多く,その場合の改元対応は2000年問題と同様にプログラムの解析から始めざるを得ない.ライブラリ等の更新で対応できる場合においても,年度表記の曖昧さが残る問題,合字問題,元年表記問題などにより,やはりコード改修が皆無とはいかない場合がある.Excelなどのアプリケーションにおける新元号対応が不具合に繋がっている例もあり,新元号対応はそれほど大規模でないにせよ社会の随所で情報システムの混乱をもたらすと予想される.
著者
中村 博一
出版者
文教大学大学院言語文化研究科付属言語文化研究所
雑誌
言語と文化 = Language and Culture (ISSN:09147977)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.256-271, 2011-03-01

Ninja is said to be the ancient warrior originated in Japan. Nowadays its transnational emerging has been seen globally, even in Sokoto, northern Nigeria where I have conducted field research for Nollywood kungfu film since 2001. In this article, I trace some transnational process of ninja representation outside Japan and consider ways to transform global image into a localized ninja/ninjoji of Sokoto.
著者
國武 悠人
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2021-HCI-193, no.20, pp.1-4, 2021-05-25

VR 空間内での擬似感覚は,VRChat 等の VR プラットフォームの普及により身近なものとなり近年注目を浴びつつある.本研究では落下感覚に焦点を当て,HMD 利用経験の有無によって VR 空間にて感じる落下感覚に差が生まれるのかを検証するため,継続的に HMD を利用したことのない 31 名と,継続的に HMD を利用している 31 名を対象として実験を行った.その結果,HMD 利用経験の有無により感覚の回答に差があることが明らかとなった.近年,VR プラットフォームでの実験が被験者の集めやすさから注目されているが,本研究によって HMD 利用経験の有無により回答が異なることが示されたことから,そのような擬似感覚に関する実験の手法について再検討の必要性が示唆されたといえる.
著者
谷口 るり子 Ruriko Taniguchi
出版者
甲南大学マネジメント創造学部HSMR編集委員会
雑誌
Hirao School of Management review = Hirao School of Management review (ISSN:21860165)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.53-68, 2019-03-31

公園は誰もがくつろげる空間でなければならないはずである。しかし、都市公園への指定管理者制度等の導入が可能になり、都市公園の商業化が進み、公の役割が軽んじられつつある。本研究では、大阪城公園を例に、大規模な都市公園の現状を調べた。その結果、指定管理者制度を導入してからの3年の間に、多数の商業施設が公園内に建設されたこと、その前に約1,200本の樹木が伐採されたこと、憩いの場としての公園の機能が低下したこと、行政・指定管理者・市民の間の話し合いの場が無いこと、大阪市にとって収支は大幅な黒字になったが、指定管理者制度を導入していなくても全国的な訪日外国人数の増加により黒字になっていたと考えられること等が分かった。 これらを踏まえて、大規模都市公園の運用・あり方に対し3つの提言を行った:指定管理者制度等を導入し民間管理にするのであれば、少なくとも行政と管理者と住民との間の話し合いの場を設け妥協点を探るべきである、都市公園の商業化が果たして住民のためになるのかを考え直すべき時期に来ている、都市公園を公園として守るには住民自身が都市公園の問題に関心をもち行政をチェックする必要がある。
著者
渡辺 和子
出版者
リトン
雑誌
死生学年報
巻号頁・発行日
vol.12, pp.167-180, 2016-03-31
著者
神山 美奈子
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 人文・自然科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; HUMANITIES and NATURAL SCIENCES (ISSN:03850056)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.31-43, 2019-07-31

本論文は,世界女子キリスト教節制会(World Woman’s Christian Temperance Union)という同じ母体から設立された日本キリスト教婦人矯風会と大韓基督教女子節制会の敗戦後(1945年以降)におけるキリスト教宣教理念を考察する。両団体は朝鮮が日本によって植民地化されていた1939年に合併し敗戦と共に合併を解消させた背景があるが,その後の活動や宣教理念についてはこれまで比較研究されてこなかった。敗戦後に両団体がキリスト教宣教理念においてどのような差異をみせたかについて明らかにする。
著者
黒岩 将 安本 慶一 村田 佳洋 伊藤 実
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.47-56, 2013-03-12

合コン(お見合いパーティ)では,できるだけ多くのカップルを成立させたいという要求が発生する.本論文では,合コン結果から,カップルが成立しやすい男女の属性情報の組(好相性と呼ぶ)を,進化計算を用いて求めることで,理想的な合コンメンバ(合コン参加者名簿)を決定するシステムを提案する.提案システムでは,男女の属性情報の組を進化計算の解集団(初期個体群)としてシステムに持たせ,合コンでのカップル成否を解の評価値(適応度)としてフィードバックしながら,好相性を表現する準最適解集団の獲得を目指す.提案システムの実現には,複数の好相性の同時探索,様々な参加者による多数の合コンの実施が必要である.これらの課題を解決するため,進化計算の新しい選択法,過去の合コン結果の新たな解評価への再利用法を考案した.提案システムを評価するため,カップルになった男女の属性情報を解としてそのまま利用する比較手法を用意し,計算機シミュレーションにより比較を行った.結果,提案手法が,比較手法に比べて,半分の合コン実施回数で,約2倍のカップル成立数を達成できることを確認した.
著者
中村 宙正
出版者
尚美学園大学スポーツマネジメント学部
雑誌
尚美学園大学スポーツマネジメント研究紀要 = Bulletin of sport management, Shobi University (ISSN:24358231)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.57-66, 2021-12

モントリオール五輪クレー射撃日本代表 麻生太郎 選手は、フリーランスで国家や組織に属さず自身が納得出来る仕事だけを請けて完璧にやり遂げる道に進むのではなく、地元飯塚の青年会議所に第二の人生を求め、個人競技からチームワークに転身することを実現された。国立大学を飯塚に誘致する活動に成功し、九州工業大学情報工学部の創設が大蔵省から認可されるなど若き日の実績がある。自民党宏池会に所属し、ご縁があり結婚もあり、総務大臣、外務大臣をつとめ、第92代内閣総理大臣となる。池田勇人通産大臣の当時の秘書官は、後の宮澤喜一副総理兼大蔵大臣であったが、消費税による財源確保と円高是正を重視する指針は、麻生太郎副総理兼財務大臣も同じく貫いた財政論であった。日本円と日本国債が信認される大切さと、長期的な円高圧力の背景・理由を知っている。ラムゼールールとアベノミクスを組み合わせる手腕が、第92代内閣総理大臣の財政論として確立された。ソート・リーダー(実践的先駆者)、ベスト・アンバサダー(最高の大使)として技を生かし、母の心を大切に、人間社会を結ぶため、市場関係者地域通貨、公債市場補完制度による財源確保の方法を提案することができる。
著者
将基面 貴巳
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.63-72, 2017-05-31

現在、欧米のみならず日本でも学会を揺るがせている問題のひとつに「人文学の危機」がある。ネオ・リベラリズムの席巻に伴い、人文学のような、国民経済に直接的に貢献しない学問は「役に立たない」という議論が横行するようになっている。その結果、人文学系学部・学科は各国政府やメディアからの攻撃にさらされつつある。いわゆる「日本研究」の分野に属する研究の多くは人文学的なものである以上、「人文学の危機」という問題を傍観視するわけにはゆかないであろう。実際、日本国内外を問わず、人文学系の研究者たちは、人文学の意義について積極的に発言するようになっている。しかし、そうした発言の多くは、ネオ・リベラル的潮流への批判であり、人文学の自己弁護に終始し、人文学的研究と教育の現状を再検討する視点が総じて欠落している。