著者
山崎 登和子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.21-28, 2012 (Released:2012-04-01)
参考文献数
3

調査業務の質を安定・向上させるために,業務標準書の作成を始め,ヒアリングシートと調査報告書フォーマットの新設,ダイセル版検索式リストの作成に取り組んできた。作成を通して,これらの取り組みが調査担当者のスキルの共有化・伝承にもつながることが見えてきた。また,調査担当者に求められる新たな役割に対応していくためには,個々人のスキルだけでなくチームとしてのスキルを上げていくことが必要である。
著者
宮村 達男
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.277-286, 2009-12-24 (Released:2010-07-03)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

ウイルス感染症との戦いの歴史において,人は天然痘の根絶という金字塔を打ち立てた1).そして(i)病気を正しく知り,おそれる,(ii)伝播様式など病原体の性状を正しく知る,(iii)安全で有効なワクチンを持つ,(iv)正確で迅速なサーベイランスと新しい科学的知見に基づく機敏な戦略をたてることが感染症コントロールの基本であることを知った.ポリオは既にSalk不活化ワクチン2),Sabin生ワクチン3)によって先進諸国ではほぼ完全にコントロールされていたが,World Health Organization(WHO)は1988年,果敢にも6つのワクチンによる予防可能疾患の筆頭として世界ポリオ根絶計画をスタートさせた.
著者
上中 登紀子 森 孝夫 薮野 裕次郎 鷲見 桂一郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.651-654, 2006-12-15
被引用文献数
4

牛レバー,ミノ,センマイ,シマ腸,鶏レバー,砂肝などの家畜内臓肉を安全に生食できるようにするため,高圧処理による殺菌効果を検討すると共に,処理前後の内臓肉の官能評価を行い,以下の結果を得た.<BR>(1)6種類の家畜内臓肉に,大腸菌,サルモネラ,黄色ブドウ球菌をそれぞれ10<SUP>1</SUP>~10<SUP>7</SUP>CFU/gの菌数を接種し高圧処理した結果,最も耐圧性の高い黄色ブドウ球菌でも400MPa・10分,6回の繰り返し処理により検出されなくなった.<BR>(2)細菌を接種していない場合の3種類の細菌は,300MPa・30分の高圧処理で検出されなくなった.<BR>(3)殺菌効果の面でのより安全を見込んで,牛レバー,センマイ,鶏レバー,砂肝を400MPa以上の高圧で処理し,処理前後の内臓肉について生食での官能評価(5%有意水準での有意差検定)を行った結果,400MPaの処理では色は悪くなったが,柔らかさ,美味しさには有意の差は認められなかった.500MPaの処理では色,柔らかさ,美味しさ共に明らかに悪くなった.
著者
江下 雅之
出版者
目白大学
雑誌
目白大学経営学研究 (ISSN:13485776)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.87-98, 2007
被引用文献数
1

インターネットを利用した電子取引のなかで、近年、ネットオークションの取引額が急増している。その規模はすでに巨大流通産業に匹敵しており、個人の消費行動のなかで無視できない影響力を発揮しつつある。本研究では、稀少価値の高い漫画古書に注目し、ネットオークションにおける取引の成立過程のデータを収集、定量的に分析した。分析の結果、ネットオークションにおいて実際に入札者が競合する割合は低く、入札価格の変動を対象とした従来の入札行動は、オークション全体のごく一部の現象しか捉えていないことがわかった。他方、落札に至るオークションの割合は、最初の出品時の落札率によって決定される可能性がデータ分析の上で示された。また、落札に至る入札行動には、オークションの参加者がオークションを通じて蓄積した経験の度合いが強く反映されている可能性も明らかになった。
著者
吉川 徹
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.61-64, 2009

「教育格差」が広く報道され,その原因を家庭の経済力のばらつきが大きくなったことに求める議論を多く見かけるようになった。しかしこのような経済学的な解釈を強調しすぎると,背後にある社会学的な構造への目配りを欠くことになりかねない。私たちは,もともとこのトピックが階級・階層の「教育機会の不平等」という命題と重なりをもつことを想起すべきだろう。<br>こうした目配りをしつつ,家族社会学から「教育格差」を見直すとき,重要なキーワードとなるのは母親学歴である。なぜならば,これが子育ての志向性,ジェンダー,文化資本,女子就労などの多くの「戦略的」な概念の結節点にある変数だからである。とくにいま,この母親学歴の分布が,過去の高学歴化の帰結として大卒・非大卒に二極化しつつある現状には注目する必要があるだろう。要するに「教育格差」という現象は,近年の母親学歴の分断に起因する部分と考えることができるのである。
著者
山田 秀樹
出版者
北海道東海大学
雑誌
北海道東海大学紀要 芸術工学部 (ISSN:02884992)
巻号頁・発行日
no.19, pp.9-15, 1999

本研究の目的は, スキーとスノーボードのイメージを測定することである。イメージを測定するために, 18項目から成るSD法尺度を用いた。調査対象は, 407名の大学生である。因子分析の結果から, 4因子が抽出され, それぞれにfashion因子, delight因子, freedom因子, difficulty因子と命名した。スノーボードのイメージは, 流行感の方向を示し, スキーのイメージは, 快感と解放感の方向を示した。男性, 女性のスキーとスノーボードに対するイメージは, ほぼ同様の傾向を示した。スキーレベル別の比較では, fashion因子, delight因子, freedom因子とdifficulty因子に有意な差が認められた。スノーボードレベル別の比較では, fashion因子とdelight因子に有意な差が認められた。
著者
Tanaka Hiromitsu Hirano Tomoo
出版者
Elsevier
雑誌
Cell Reports (ISSN:22111247)
巻号頁・発行日
2012-03
被引用文献数
49

新実験手法による記憶の分子機構の可視化. 京都大学プレスリリース. 2012-03-23.
著者
岡田 和子
巻号頁・発行日
2006

筑波大学博士 (文学) 学位論文・平成18年3月24日授与 (乙第2191号)
著者
新見 槙子
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.66, pp.81-126, 2011

原著論文【目的】本研究の目的は, 1990年代以降から現在までを中心とする, アメリカの学部学生用図書館のサービスと概念の変化の検討をとおして, 学部学生用図書館の変遷を明らかにすることである。【方法】まず, 既往文献をもとに従来から指摘されている学部学生用図書館の変化を整理した。その後, 2009年に学部学生用図書館を設置していた全23大学を対象とする現状調査を行った。調査方法は, ウェブサイトと文献を利用した文献調査とし, 1990年代以降のサービスの内容と実施の背景(理由やプロセスなど)を調査した。顕著な変化があった4大学, 学部学生用図書館を新設した2大学の事例を記述した後に, 1990年代以降の学部学生用図書館の傾向, 変化の背景をまとめた。最後に, 既往文献の整理と本研究の調査結果をもとに, 学部学生用図書館の概念の変化を検討した。【結果】1990年代以降の学部学生用図書館において, 1)サービス面での変化として, a)サービスの集約化, b)教育への関与の強まり, c)学生の学習成果への関与が見られ, 2)実施体制面での変化として, a)図書館システム内での協働, b)教員や他部署との協働が見られた。学部学生用図書館の概念は, 従来の「研究大学における学部学生のための図書館とその図書館によるサービス」から「図書館システム全体による学部学生に対するサービス」に変化した。さらに現在では, 図書館の枠を超え, 「研究大学における学部学生に対するサービス」に変化しつつある。この概念の変化は, 図書館の取り組みが大学全体の取り組みのなかに組み込まれるようになった, あるいは図書館が大学全体というなかに自らの存在を位置づけるようになった現れであるといえる。
著者
内田 隆三
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、(1)探偵小説のテクストの成立において、大都市のセンセーショナルな消費文化と膨大な群衆の出現という社会性の場の変化が本質的な媒介要因としてはたらいたことを見出し、探偵小説登場の歴史的な過程を明らかにした。(2)探偵小説のテクストの基本構造を分析し、探偵と犯人(殺人者)という二人の登場人物のあいだに構造的な類似性と同時に奇妙な差異からなる「双数性」(duality)の関係を見いだし、テクスト分析のツールとして概念化した。この「双数性」の構造は、探偵と犯人の同型性と同時に非対称性を担保するものであり、探偵小説のテクストを構成する基本的な要素として機能している。このようなパースペクティヴから探偵小説の歴史を見ると、ふたつの重要な「転回点」があることがわかる。第一の転回点は1920〜30年代の探偵小説の本格化・形式化の時期に当っており、第二の転回点は1980年代の異常犯罪を描いた作品群が人気を得るとともにはじまる。第一の時期は高度な消費社会が成立しはじめたときで、近代的な主体の意識が自我=アイデンティティの不安の念に駆られ、それが探偵雄小説の形式化をもたらしたが、その不安な空洞を埋めるために、人間的な動機の理解に焦点を置くコナン・ドイルの『緋色の研究』型の言説が補填された。第二の時期には人間的な動機の実定性や有効性が消去され、犯人を異様なモンスターとして同定する科学的捜査の微視的な過程に焦点を置く新しいタイプの言説が生み出されるようになった。このように、本研究による重要な貢献は、探偵小説のテクストの構造的変化と消費社会の論理との相関関係を歴史的に明らかにし、また、これまでの探偵小説の研究や解釈にはみられなかった独自の系譜学的な展望を与えたことにある。
著者
大貫 義郎
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.503-547, 1991-03-20
被引用文献数
1
著者
小川 修三
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.90-94, 1996-02-05
参考文献数
14
著者
長尾 秀夫
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

この研究では、1991年からの学習困難児に対する教育支援の研究を発展させて、極低出生体重児の学習困難、特に(1)不器用、(2)算数の学習困難、(3)集団参加の困難に対する超早期教育支援を行い、子どもがもつ課題の発見法と支援モデルの雛形を作りました。また、遠隔地の教育支援のために遠隔双方向ビデオ会議システムを定期的に使用し、その効果的な活用法を明らかにしました。
著者
矢作 友行
出版者
環境社会学会
雑誌
環境社会学研究
巻号頁・発行日
no.10, pp.117-130, 2004-11-30

近年,不確実性という事態に注目してこそ的確に把握しうるような環境問題が増加している。不確実性が焦点となる環境問題は,因果関係の不確実性に注目すれば,「原因の不確実性が主要な焦点となる問題」「結果の不確実性が主要な焦点となる問題」「原因の不確実性と結果の不確実性の両者が焦点となる問題」という3類型を区別できる。本稿では,原因と結果の不確実性が同時に焦点となっている杉並病問題を事例として取り上げて検討した。まず,準備的作業として,不確実性が焦点となる環境問題にアプローチするために「原因の不確実性/結果の不確実性」「原理的過誤/経験的過誤」「第1種の過誤/第2種の過誤」といった基礎概念枠組みを提起した。次に,杉並病問題の概要を紹介するとともに,原因と結果の不確実性の両面から杉並病問題の特徴を整理した。その上で,経験的過誤の諸類型として「基準主義の過誤」「対策時期の過誤」「問題設定の過誤」「便宜主義の過誤」を析出しつつ,杉並病問題が未解決状態にある要因連関を解明した。最後に,本稿の到達点の理論的含意と実践的意味についてまとめるとともに,今後の研究課題を示した。
著者
久保 知義 中川 成男 近藤 健次郎
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.140-150, 1971

さきに, 皮革の製造工程における皮組織を偏光顕微鏡によっても十分に観察し得ることがわかった。それ故に, 本実験では, 未鞣製皮, ならびにクロム革, ジルコニウム革, 植物タンニン革および植物タンニン再鞣クロム革の線維構造の観察を行ない, また, これらの皮革を比較的高温熱処理を行なった場合のコラーゲンの結晶構造の変化を複屈折性について観察した。1. 皮および種々の鞣製革を偏光顕微鏡で観察すると, 未鞣製皮のコラーゲン線維束の直径は比較的小さく, クロム革あるいはジルコニウム革の鞣剤低含量革のそれは未鞣製皮とほぼ同じであった。しかし, 鞣剤含量がより増加すると, コラーゲン線維束の直径は大となり, 鞣剤を結合することによって線維密度は大きくなり, 多孔性が失われる傾向があった。2. 種々の皮革を比較的高温で処理することによって, 網様層のコラーゲン線維束の直径は減少する傾向が認められ, 熱変化がさらに進むと, 未鞣製皮ならびに鞣製革の鞣剤含量の少ない場合, コラーゲン線維は複屈折性が全面的に, あるいは部分的に失われた。この現象は, 未鞣製皮ならびに植物タンニン革とジルコニウム革において同じ様な傾向で認められ, 水分約30%, 熱処理温度, 130℃以上において認められた。しかし, クロム革はこれらよりきわめて安定であった。3. コラーゲンの結晶構造の熱処理による変化, すなわち複屈折性の変化は, 鞣剤の種類, その量および水分の量によって影響を受けることから, コラーゲンの非結晶部分への鞣剤の結合様式が, コラーゲンの結晶構造にもある程度影響を与えるものであることを示唆している。