著者
藤原 宣夫 西廣 淳 佐藤 寿一 井本 郁子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.215-218, 2001-08
被引用文献数
2

ポーラスコンクリートを用いた河川護岸上に植生を成立・維持させる上で配慮すべき点を明らかにするために, 施工後2〜4年が経過したポーラスコンクリート河川護岸15箇所において, 成立している植生を調査し, 工法や護岸場所の条件などの影響を検討した。その結果, 頻繁に冠水する低水護岸では, ポーラスコンクリートの表面が平滑な場合には植物は生育していなかったが, 表面に凹凸構造があり土砂が堆積しやすい形状の場合には植物の生育が認められた。またほとんど冠水しない高水護岸では, 播種や張芝などの緑化工が施された場合のみ, 植生の成立が認められた。ポーラスコンクリート河川護岸に植生を成立させるためには, 対象箇所の冠水頻度に配慮して, 適切な形状の基盤, 緑化工法を選択する必要があることが示された。
著者
伊藤 毅
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
no.380, pp.p125-134, 1987-10

Tenma Honganji Jinaimachi was consisted of Honganji Temple (the Gobo) and its town. Hongariji Temple was considered to be located on the eastern part of the Jinaimachi, and the circumference around the Jinaimachi was not permitted to be fortified by Hideyoshi. Such a construction cannot be regarded as the regular style of Honganji and it symbolically shows the change in quality of Honganji Jinaimachi under the severe control of Hideyoshi. Honganji Jinaimachi was in turn compelled to remove to Kyoto in 1591. After the removal, Tenma district didnot go to ruin, but continued as the town. Tenma-kumi (one of the regional community of Osaka in the Edo era) came into being laying the foundation of Tenma Houganji Jinaimachi.
著者
小林 丈芳 跡部 紘三 松川 徳雄 福岡 登
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.21-30, 2001-03-31

原子力・放射線教育の在り方を考えていくために,地域の生活環境が青少年の原子力等の知識やイメージにどのような影響をもたらすかを明らかにする目的で,徳島県と原子力発電所のある福井県敦賀市の中学生・高校生を対象に「エネルギー・原子力等に関するアンケート調査」を行なった。その結果,彼らの原子力・放射能・放射線に対する知識やイメージ等に関して次の点が明らかになった。現代社会において,徳島県の生徒は「火力」,敦賀市の生徒は「原子力」を最も重要なエネルギー資源と考えているのに対し,21世紀の社会では両地域の生徒共に「太陽熱・太陽光」を重要であると考えている。(2)同地域の生徒の多数が原子力・放射能・放射線についての知識をマスメディアから得ている。徳島県の生徒は「中学校」,敦賀市の生徒は「博物館・展示会」「家庭」から得たと回答した割合が高い。(3)原子力・放射能・放射線の知識に関して,徳島県の生徒は「原子爆弾」,敦賀市の生徒は「原子力関連施設」や「核燃料」に関連した用語や知識の回答が多い。また,敦賀市の生徒は,原子力等に対して「危険」とイメージする傾向にある。(4)エネルギー資源として女子は「太陽熱・太陽光」を重要であると考えている。また,原子力等の知識やイメージにおいて,男子は「危険」,女子は「原子爆弾」「有害」「恐い」「レントゲン」などを回答する傾向にある。これらの要因として,男女の知識量や感性の違い,胎児への悪影響に対する意識の違いなど教科教育以外の要因が考えられる。(5)(2)(3)より,知識の習得に関して,徳島県の生徒は中学校における平和学習,敦賀市の生徒は自治体や企業による啓発活動の影響を強く受けているものと考えられる。
著者
諫早 直人
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

今年度も韓国、日本の諸機関において実地調査を遂行した。とりわけ韓国に関しては、これまでにおこなってきた清州新鳳洞古墳群出土馬具や高霊池山洞古墳群出土馬具に対する調査成果について、前者は共同、後者は単独で公表することができた。また、新たに嶺南大学校博物館が所蔵する慶山林堂古墳群出土遺物、そして昌原大学校博物館が所蔵する蔚山中山里遺跡出土遺物について、それぞれ韓国人研究者との共同調査をおこなった。その概要についてはすでに一部発表をおこなっており、今後も引き続き調査を継続する予定である。また、日本の宮崎県六野原古墳群出土馬具についても所蔵先の研究者と共同で報告をおこなった。以上のような実地調査やその共同報告作業の成果にもとついて、雑誌・学会発表をおこなった。とりわけ今年度は日本列島古墳時代の馬具にづいて検討をおこなった。具体的には初期轡について検討をおこない、それらの製作技術と系譜について明らかにした。さらには轡だけでなく初期馬具全体に対する検討結果について口頭発表をおこなった。また東アジアにおける鉄製輪鐙の出現について検討をおこない、現状では日本列島に世界最古の鉄製輪鐙が存在することを明らかにした。このような今年度の成果をこれまでに進めてきた中国東北部や朝鮮半島の研究成果と総合し、博士学位論文『古代東北アジアにおける騎馬文化の考古学的研究』を京都大学大学院文学研究科に提出した。これによって、本研究が課題として掲げた騎馬文化と王権の関係、そして古代国家形成における馬の果たした役割についてモデル化を試み、騎馬文化東漸の歴史的メカニズムを解き明かす、という所期の目標を達成することができた。
著者
中野 晃生 西原 昇吾
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.177-179, 2005 (Released:2006-12-27)
参考文献数
12

石川県珠洲市の農業用水池で駆除されたオオクチバス Micropterus salmoides の胃より得られた小型哺乳類は, ヒミズ Urotrichus talpoides と同定された. 含まれていたものは, 下顎骨, 表皮と前肢, 後肢及び尾であった. また, ヒミズが摂食された過程について考察した.
著者
有田 豊 木村 正明 大和田 守
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.189-192, 2009-09-30

チュラスカシバ(新称)Paradoxecia chura Arita,Kimura&Owada,sp.nov.本部半島乙羽岳で9月に性フェロモン・ルアーに誘引された雄1頭が採集されている.腹部2-7節の各節に幅広い黄帯があることで,同属の種と区別できる.Paradoxeciaは亜熱帯アジアから12種が知られているが,日本からは今まで記録がなかった.クロスカシバ(新称)Nokona nigra Arita,Kimura&Owada,sp.nov.腹部が黒く,黄帯を欠いているので,同属の種とは容易に区別できる.沖縄島ヤンバル地域で6月と9月に採集されている.
著者
放地 宏佳 三好 健文 入江 英嗣 吉永 努
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.11, pp.1-8, 2011-11-17

スマートフォンや情報家電といったネットワーク接続可能なデバイスにより実世界の多種多様な場面で情報処理を活用できるようになった.それに伴って,多種多様な用途を対象としたアプリケーションが求められるようになっている.そこで,多様化するアプリケーションをユーザ自身が開発できるよう,プログラミングに慣れていないユーザであっても,自らのアプリケーションへの要求を自らで満たすことが可能なマッシュアップフレームワーク IDUMO を提案する.IDUMO フレームワークでは,マッシュアップに必要不可欠な機能である,(1) 統一的な入出力インタフェースの定義,(2) プログラム実行モデルの差異の吸収,(3) 容易な開発方法,を提供する.本論文では,IDUMO フレームワークの設計について述べ,アプリケーション開発のケーススタディにより有用性を示す.As smartphones and information appliances are widely used, we can employ information processing in all areas of day-to-day lives. Based on this, various applications are required for each of our activities. In order to make users to develop such required applications easily, a mashup framework IDUMO is proposed. IDUMO framework provides three features to support mashup; 1)unified interfaces for input/output data, 2)adaptability for various program execution models 3)friendly implementation method. In this paper, the design of IDUMO framework is described and the availability is shown by several case studies to implement application with the framework.
著者
岸田 和明
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.17-28, 2001-08-31
被引用文献数
1

本稿の目的は, 索引作成支援システムを応用目的とした文献の自動分類あるいは自動索引作成のための統計的手法についての諸研究の整理を試み, その全体像を明らかにするとともに, 個々の手法の特徴を論じることにある。まず, 図書館情報学およびそれに関連した情報検索分野における自動分類法と自動索引法の概要を論じる。そして, 自動分類法と自動索引法とが方法論的には密接に関連していることを確認した上で, それらの方法の大部分が, 標題や抄録中に含まれる語と分類信号(またはディスクリプタ)との関連度を, その語の文献中の重みを加味して加算した計算式に帰着することを示す。そして, その関連度の計算方法および重みの計算方法の設定の違いという観点から, 各手法の体系的な整理を試みる。
著者
下川 潔
出版者
中部大学
雑誌
人文学部研究論集 (ISSN:13446037)
巻号頁・発行日
no.2, pp.123-154, 1999-07
著者
岸田 泰則 猪又 敏男
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.49-51, 1993-08-30

著者らはボルネオから未記録のリボンマダラガ科に属する1新種を見出し,記載した.リボンマダラガ科Himantopteridaeは,マダラガ科Zygaenidaeに近縁な小さな科で,後翅が細長い棒状をなすか後翅の一部が同様に変化した特異な外形を有する種群で構成される.アジアとアフリカに分布し,アジアでは広義のヒマラヤ地域とミャンマー,ジャワ,スマトラに2属4種2亜種が知られる.今回記載したボルネオ産は,アジアでの同科5つ目の種となる. Himantopterus nobuyukii Kishida & Inomata, sp. n.インド東部のナガ丘陵から記載されたH. dohertyi Elwesおよびジャワから記載されたH. fuscinervis Wesmaelに近縁であるが, donertyiとは前後翅の形状が異なる他,頭部,胸部,および腹部の色調の違いで区別され,またfuscinervisとは前翅の色が薄墨色で橙黄色とはならないことで区別できる.種小名は,本種を採集され著者らに研究をゆだねられた川崎市の小林信之氏に因む.