著者
中川 哲 山口 良文
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3-4, pp.51-56, 2022-03-31 (Released:2022-04-22)
参考文献数
19

哺乳類の冬眠は,体温保持のためのエネルギーコストが増加するにも関わらず食料が不足する寒冷環境を生き延びるための生存戦略である.冬眠の際には熱産生と熱反射を能動的に抑制することで,環境温度付近まで体温が低下した低体温・低代謝状態となる.哺乳類の中で冬眠を行うものを冬眠動物と呼ぶ.冬眠動物は,ヒトやラットなど,冬眠しない哺乳類には備わっていない,低温耐性,季節特異的な脂質代謝増強機構,筋萎縮耐性,概年リズムといった,興味深い性質を数多く備えている.こうした性質は先天的なものと,季節に応じて誘導される後天的なものとに分けられることが近年の研究から明らかになりつつある.本稿では,冬眠の基本的背景を解説するとともに,分子機構解明に向けたモデル冬眠動物であるシリアンハムスターを用いた私たちのアプローチを紹介する.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1939年04月17日, 1939-04-17
著者
藤田 尚 平野 浩彦
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.175-182, 1999-03-31 (Released:2014-02-26)
参考文献数
18
被引用文献数
1

江戸時代の古人骨99個体を資料とし, 壮年者と高齢者の齲蝕の病態にどのような相違があるかを検討した。その結果, 江戸時代においては, 高齢者全体の齲歯率18.8%は壮年者全体の齲歯率7.0%よりも有意に高いこと (P<0.001) 。ほとんど全ての歯種で, 高齢者の齲歯率が壮年者よりも高い傾向があること。前歯部の齲蝕は壮年者にはほとんどみられないが, 高齢者では一定の割合で認められること。壮年者と高齢者の齲歯率の相違の程度は, 下顎歯よりも上顎歯でより顕著であること。齲蝕発症部位として, 高齢者では歯頸部齲蝕・根面齲蝕が全体の66.4%を占あ, 歯頸部齲蝕・根面齲蝕は加齢とともにその割合が増加する一方, 咬合面齲蝕は壮年者よりも減少すること。縄文時代人に多く見られた頬側面齲蝕の減少は, 江戸時代には歯磨きの習慣が広まっており, 歯磨きによって頬側面の衛生がある程度保たれたと考えられること。高齢者では上顎歯の喪失歯率が下顎歯の喪失歯率よりも有意に高く, 歯周疾患がその原因として考えられること, などが確かめられた。高齢社会にあたって, 高齢者の齲蝕病態の歴史的変遷を把握することは, 将来の口腔衛生の指針作りや予防歯科学の領域においても有益と思われるので報告する。
著者
岩井 優祈 松井 圭介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.68-81, 2022 (Released:2022-04-26)
参考文献数
41
被引用文献数
5

本稿は茨城県鹿嶋市における中心商業地を事例に,店主の経営をめぐる意識を明らかにしたものである.鹿島神宮に隣接する中心商業地では,地元客に加えて観光客の来訪がみられる.そのため本研究では,店主が重視する客層に着目しながら,彼らの経営をめぐる意識を分析した.その結果,店主の大半は依然として地元客を重視しており,その主たる背景には店主の高齢化および人手不足が関係していたことが判明した.一方で観光客対応に積極的な店主は,年齢が比較的若く,大型店の郊外進出に伴う中心商業地の衰退への危機感を抱いていた.観光客の往来が多い通りに店舗が立地することも,観光客対応を促進させる一因であった.一方,創業当時から地元の常連客を重視する店舗では,観光客の来訪は必ずしも望まれていなかった.商店会長らの経営をめぐる意識も踏まえると,鹿嶋市中心商業地では観光客よりも地元客に向けた経営が今後より一層優勢になると予想される.
著者
小田 桂吾 大垣 亮 廣野 準一 山田 恵子 宮川 俊平
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.207-211, 2021-04-30 (Released:2021-08-19)
参考文献数
18

本研究は,国内大学女子バスケットボール選手を対象に1シーズンの前向き傷害調査を行い,その実態を明らかにすることを目的とした. 発生した傷害は延べ13件で,傷害発生率は1.36件/1000 player-hoursで、受傷部位は,足関節が6件で最も多かった.全傷害のうち,復帰まで29日以上を要する重症度の高い傷害が84%を占めていた.先行研究と比較して,競技復帰まで長期間であったことから,今後,傷害発生予防に向けた取り組みの必要があると考える.
著者
佐藤 年明 Satou Toshiaki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:03899225)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.171-183, 2006-03-31

本稿は、日本教育方法学会第41回大会における筆者の自由研究発表「思春期の性教育における男女別学習と男女合同学習の意味‐スウェーデン王国の事例を参考に‐」(2005年10月2日、鹿児島大学教育学部)の発表時配布資料を一部修正、加筆したものである。社会における男女平等、男女共同参画社会の推進の流れの中で、わが国の小中学校における性教育についても、かつての小学校における女子のみの初経指導と男子の放置という貧弱な性教育の実態への反省もあって、学級において男女合同で性に関する学習を行なうことが望ましいと考える関係者が多いのではないかと思われる。しかし、思春期特有の性に関する強い羞恥心と児童生徒の自らの性のprivacyを守りたいという正当な要求に配慮するならば、学習過程で男女別学習を組み込むことが効果的である場合もある。このことを日本とスウェーデンの実践事例の検討を通じて考察した。但し、性の学習における「男女」という二区分は、性自認や性志向におけるマイノリティの立場にある児童生徒がクラスに存在する場合には、却って弊害をもたらす場合もあり、当事者との協議を含む慎重な対応が必要である。
著者
Mai Shimoda Shunsuke Shimoda
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.28-33, 2021 (Released:2021-10-16)
参考文献数
12

This study examined how self-affirmation influences people’s intention to improve health behaviors after reading messages about health risks from physical inactivity. A usual physical activity level, measured by a smartphone app, was used as a moderator. Participants (103 Japanese undergraduates) reported their usual physical activity (average walking and running distances) measured by a health management app. They then completed a writing task, in which they affirmed (or did not affirm) important personal values. After the task, they read health risk messages about physical inactivity and reported their intention to increase their daily physical activity. The results revealed that participants with low physical activity levels displayed a significantly stronger intention to increase their daily physical activity when they self-affirmed than when they did not. Conversely, participants with high levels of physical activity did not show a significant effect of self-affirmation. These results suggest that the effect of self-affirmation on improving physical inactivity is moderated by the level of usual physical activity, highlighting the significance of the relevance of the health messages.
著者
椎塚 久雄 橋爪 絢子
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第4回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.8, 2011 (Released:2012-03-14)

キャラクターの“おもしろさ”や“親しみやすさ”はどこからくるのか。どのような要素を持ったキャラクターが指示されヒットするのか。このような疑問は大方の人々が抱いているであろう。つまり、ヒットするキャラクターは、それを創るクリエーターの経験とか勘だけで創造されるものと思われている。もちろん、経験則から得られるある種の法則は存在するのは事実である。一方、キャラクターは、いわゆる「人工物」が発する何らかの情報を受け取ることで、われわれが、そこから受ける認知体系の反応の結果であると考えられるが、これは必ずしも人工物である必要はない。例えば、それが「人間」であってもかまわない。つまり、その人個人が発するキャラクターである。よく言われるように、「あの人は良いキャラだ」などというのは、人のキャラクターを意味している。 本稿では、まず、ヒットキャラクターを概観し、それらの持つ特徴について述べる。そして、キャラクターのインタラクティブ性について議論している。キャラクターの持つインタラクティブ度を決定づけている要素は、そのキャラクターが持っている物語性に関係していることを示している。そして、さらに「かわいさ」と「インタラクティビティ」について考察している。
著者
肥後 時尚
出版者
関西大学史学・地理学会
雑誌
史泉 (ISSN:03869407)
巻号頁・発行日
vol.130-131, pp.A1-A15, 2020-01-31

Ꜣ : 古代エジプト語学のアレフ῾ : 古代エジプト語学のアイン
著者
佐藤 悠介
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ナノ粒子によるがん組織への核酸送達においては、ナノ粒子ががん組織に到達後に組織深部まで浸透できずに標的のがん細胞へ到達できないというがん組織内動態の制約が大きな問題となっている。本研究では上記問題を解決するため、脂質ナノ粒子の粒子径を小さく高精度に制御するための新規脂質様材料の開発および粒子化手法の検討を行った。加えて、脂質ナノ粒子の小型化に伴って核酸導入効率が低下するという問題を解決するため、その原因の解明を行った。
著者
太田 祥一郎 河田 隼季 牟田 将史 益子 宗 星野 准一
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-172, no.10, pp.1-8, 2017-02-27

近年では,年間に放送されるアニメ作品は 200 本を超え,関連グッズなどのコンテンツを含めた広義のアニメ市場規模は 1 兆 8250 億円に昇る.しかし,アニメ作品と市場の発展に伴い,数多くのアニメ作品の中からユーザが自分の嗜好に合った作品を見つけ,それらの関連コンテンツの全容を把握することは困難となっている.そこで本研究では,ユーザの潜在的嗜好を反映した,アニメ作品や関連コンテンツを横断的に推薦することができるアニメ作品推薦システム “AniReco” を提案する.本システムは,アニメの視聴回数とジャンルや声優などの指標によって分類したアニメ作品情報を用いてユーザの嗜好を算出し,ネットワーク図による視覚化を通した推薦を行う.システム利用姓,推薦内容の検証を目的とした評価実験を行った結果,提案システムがユーザの嗜好に合ったアニメ作品を推薦可能であることを確認した.

2 0 0 0 OA 三代関 2巻

出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],