著者
佐藤 真
出版者
市立大町山岳博物館
雑誌
市立大町山岳博物館研究紀要 (ISSN:24239305)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-74, 2016 (Released:2020-10-01)

市立大町山岳博物館付属園では2005年よりキジ(Phasianus versicolor)の飼育を行っている. 本稿では, 性成熟後のメスにおいてオスの形態的・生態的特徴を呈することを雄変と定義し, 当館付属園の飼育下個体における雄変の報告及びその原因と雄変の適応的意義について考察した. 当館付属園では, 主に雌雄同居の平飼いを行っており, これまでに計13羽を飼育し, 自然繁殖によって第2世代までみている. 2014年7月16日に雌雄ペアで飼育していたメス個体の頭部にオス特有の羽装色が見られた. また, 同個体は2013年まで放卵を行っていたが, 2014年以降には放卵は行っていない. 雄変の原因として, 先天性である遺伝子疾患や発現異常なども考えられるが, 少なくとも当館付属園の飼育個体においては, 野生由来の卵から孵化し産卵経験もあるため, 老齢化によって内分泌系やホルモン機能環に異常が生じた可能性が最も高い.
著者
河上 淳一 田原 敬士 宮崎 優 光野 武志 尾池 拓也 曽川 紗帆 宮薗 彩香 桑園 博明 嶋田 早希子 中村 雅隆
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C4P2183, 2010

【目的】我々は第6回肩の運動機能研究会で、投球動作でのボール把持違いによる上肢帯の可動域変化を報告した。結果としては、ボール把持時の母指と示指の位置違いは上肢帯可動域に影響を及ぼさず、ボールと母指の接触面の違いは、3rdTRの可動域に影響していた。しかし、肩関節可動域の変化と投球障害発生は直結するものではない。そこで、今回は投球障害歴の有無に対し、身体的特徴とボール把持項目が投球障害発生にどのような順列で関わるかを検討した。<BR>【方法】対象は、中学生の軟式野球部で、野球歴が一年以上ある65名(年齢13.1±0.8/身長158.88cm±20.42/体重50.39kg±9.75)とした。対象者を、投球障害歴あり群19名(以下:あり群)(肩障害2名/肘障害13名/肩肘障害4名)と、投球障害歴なし群46名(以下:なし群)に分けた。群分けの方法は、過去に病院を受診し、肩または肘に対し投球障害の診断名が下ったものをあり群とし、野球経験の中で肩または肘に疼痛がなかったものや病院を受診しなかったものをなし群と決めた。障害歴に関与する因子、A.個人因子4項目(年齢/身長/体重/野球経験)、B.身体チェック36項目(両側SLR/HBD/HER/HIR/DF/HFT/CAT/2ndER/2nd I R/2nd TR/3rd ER/3rdIR/3rdTR/Elbow-Flex/Elbow-Extension/Supination/Pronation、一側FFD/Latissimus Dorsi)、C.ボール把持8項目(示指と母指の位置関係/母指とボールの接触部位/投球側握力/非投球側握力/母指示指長/母指中指長/示指中指長/ボールと皮膚の距離)、D.ボールの握りに対するアンケート12項目(a.握りを意識するかb.ポジションで握りは変化するかc.ポジションによって握りを気をつけるかd.キャッチボールと守備練習中では握りが違うと感じるかe.指にかかる事を意識しているかf.キャッチボールで縫い目を気にするかg.守備練習中で縫い目を気にするかh.理想の握りがあるか i.ボールを強く投げる時強く握るかj.ボールを強くに投げる時軽く握るかk.握りを習ったことがあるかl.ストレートを習ったことがあるか)を調査した。以上60項目に対し平均値の差の検定はT検定、独立性の検定にはχ二乗検定を行い、群間の有意差を確認した。そこで有意差が認められたものを説明変数とし、障害歴の有無を目的変数に設定した。その変数に対し、多重ロジスティック回帰分析を用いて、どのような順列で判別されるかを確認した。<BR>【説明と同意】本研究はヘルシンキ条約に基づき実施し、同意を得た。<BR>【結果】群間の結果は、A.個人因子では年齢(P=0.0002)、野球歴(P=0.0006)、身長(P=0.014)の3項目で有意差が認められた。B.身体チェックでは有意差を認めなかった。C.ボール把持項目では母指と示指の位置関係(P=0.0008)、母指示指長(P=0.0160)、母指中指長(P=0.0161)、ボールと皮膚の距離(P=0.0249)、投球側握力(P=0.0022)、非投球側握力(P=0.0091)の6項目で有意差が認められた。D.アンケートではa.(P=0.0000)、b.(P=0.0354)の2項目に有意差が認められ、これら計11項目を説明変数に採用した。ロジスティック回帰分析では、変数減少ステップ法を用いP値が0.2000以下になるまで説明変数を減少させた。結果として有意な変数が4項目選択され、P値が低値なものから順に年齢(P=0.0348)、母指と示指の位置関係(P=0.0407)、野球歴(P=0.0502)、アンケートb(P=0.0533)であった。<BR>【考察】一般的に投球障害は、フォームの乱れを持ち合わせたまま、投球を長期継続した結果起こるオーバーワークだと考えられている。本研究においても、オーバーワークの要素となりえる年齢と野球歴の説明変数に高い判別値を認めた。同様の結果が先行研究にあるため、今回の研究の妥当性がうかがえる。ボール把持に関しても、アンケートbと母指と示指の位置関係の説明変数に高い判別値を認めた。そのため、ボール把持は投球障害に強く関与していると考えられる。当院の先行研究をふまえて結果を考察すると、ボールと母指の接触面は上肢帯の可動域に影響を認め、投球障害に影響を認めない。一方で、母指と示指の位置関係は上肢帯の可動域には影響を認めず、投球障害に影響を認める。今回の結果だけではフォームへの影響などは検討できない。そのため、今後は症例数を増やし障害部位別で検討を実施し、ボール把持と身体的特徴との関連性を検討したい。<BR>【理学療法学研究としての意義】本研究は、理学療法場面での遠位運動連鎖を検討する重要性を示唆している。<BR>
著者
山中 浩明 内山 知道
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.469-482, 2008
被引用文献数
2

&emsp;糸魚川─静岡構造線(以下,糸静線)は,わが国で最も活発な断層帯の一つとされ,M8クラスの地震が発生する可能性があり,その周辺地域では強震動予測が行われている。より精度の高い予測には信頼性の高い地下構造の情報が必要となる。本研究では,糸静線近傍に位置する長野県松本盆地内の8地点において,微動のアレイ観測を実施し,レイリー波の位相速度を求めた。さらに,それらの逆解析から表層から地震基盤までの1次元S波速度構造を明らかにした。また,同盆地内の2地点において70日間微動観測を行い,その上下成分に地震波干渉法を適用し2点間のグリーン関数を求め,そのレイリー波の群速度を求めた。さらに,その逆解析から地震基盤までの1次元S波速度構造を明らかにした。この結果は,微動探査による結果とよく一致しており,松本盆地において地震波干渉法の適用が可能であることが分かった。さらに,微動観測記録の水平成分に対しても地震波干渉法への適用も試み,ラブ波の群速度やレイリー波の楕円率も推定することができた。これらの表面波の特徴も微動探査の結果で説明することができた。<br>
著者
尾崎 正紀 松浦 浩久 佐藤 喜男
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.102, no.2, pp.73-83, 1996-02-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
52
被引用文献数
11 20
著者
松浦 章
出版者
関西大学博物館
雑誌
阡陵 : 関西大学博物館彙報 (ISSN:09131906)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.10-12, 1997-03-30

2 0 0 0 IR 片山潜

著者
立川 健治
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.p234-265, 1983-03

個人情報保護のため削除部分あり本論でわたしは、片山潜の思想と運動を「文献的」に解釈するのではなく、それへの執念を生みだし支えていたものが一体何であったのかという観点から片山をみていく方法をとった。このように考えたとき、片山の一八八四~九六年(二五~三七歳) の「在米生活」は、生涯の軌跡を決定したといってよいほどの意味をもっている。なぜならそこで片山は、 「欧米社会」のもっている圧倒的な重量を「先進(優越) 性」ととらえることによって「日本社会」の「後進(劣等) 性」を、いいかえれば「日本の現実」を棚上げあるいは欠落させることによって「欧米の先進(優越) 性」を手に入れたからである。そしてこのことが片山の場合、日本の健全かつ合理的な「近代化」のためには、欧米の「進歩的」な社会思想と運動を日本に移殖することが不可欠であるという「情念」と結びついていったからである。片山の生涯の軌跡から夾雑物をとりさってみれば、その根底には常にこの「情念」があり、それこそが片山の思想と運動の実体だった、というのがわたしの考えである。In this paper I do not analyse Katayama Sen's ideas and movements on the basis of documentary records and interpretations but try to grasp him by considering what made him cling to such ideas and what drove him to such movements. Seeing him from the viewpoint, his experience in the United States from 1884 to 96 (from his twenty-five years of age to thirty-seven) proves to count so much that it might be said to orient his future career. There in the United States he took the colossal massiveness and affluence which Euro-American societies seemed to him to show off in every respect for the forwardness (senshinsei) 先進性 and accepted it and acted as if he owned it, while he failed to put into question or shelved the backwardness 後進性, actual conditions, of Japanese society. This, in his case, led to the passionate obsession that, for the sound and rational modernization (kindaika) 近代化 of Japan, it was indispensable to transplant the advanced social ideas and movements of Euro-American societies in Japan. Taking away odds and ends from his career, there always remains the obsession. And it is the substance of his ideas and movements.
著者
林 知代 梶原 麻世
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s57-s60, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
7

本稿では、書作品の鑑賞における展示会の意義をアンケート調査により明らかにし、360度パノラマ画像による展示会のデジタルアーカイブ化による書道鑑賞の充実を試みた。書道を学ぶ学生へのアンケート調査の結果、書作品の鑑賞は書道展が重要な役割を果たしており、書作品の雰囲気、構成、書き振りが感じられるデジタルアーカイブが必要であることが明らかになった。360度パノラマ画像の記録し、VRコンテンツを制作し、検証したとこと、展示会の雰囲気を味合うことはできたが、作品の雰囲気を味合までには達することができなかった。詳細なデータ記録をすることで、VR技術を用いた書作品の鑑賞を現実的なものとすることができると考える。
著者
中村祐基 中島裕聡 高木正則 山田敬三 佐々木淳
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.863-865, 2014-03-11

近年,大学生の就職活動と企業の採用活動のミスマッチが問題となっている.学生は大企業志向の傾向が強く,普段あまり目につかない業種や中小企業に目を向けて採用先を探しきれていない.本研究では,企業が求める人材像と学生の適性とのマッチング支援を目的とし,就職活動支援システムを提案する.本システムは,学習成果物と学生のスキル向上過程の気づきを記録するeポートフォリオと,企業の採用ページから特徴語を抽出し,その特徴語とeポートフォリオに蓄積された学生の能力(社会人基礎力等)スコアとの適合性に基づいて,マッチング度合を提示する機能から成る.本稿では,本システムの概要とプロトタイプシステムの開発について述べる.
著者
杉原 邦夫 山本 隆 河村 洋二郎
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.463-468, 1977-09-30 (Released:2010-10-28)
参考文献数
3

ラットを用い, 各種界面活性剤, ならびに, これらの界面活性剤を配合したモデル処方歯磨の味覚に対する作用を, 電気生理学的手法により検討した。蕉糖脂肪酸エステル (SE) それ自身では鼓索神経に著明な反応を生じさせず, また, 四基本味質の反応に対しても何ら影響をおよぼさなかった。ラウロイルサルコシンナトリウム (LS) 自身による神経反応はラウリル硫酸ナトリウム (SLS) と類似していたが, 弱く, SEと等モル混合することによりさらに減弱した。四基本味質反応に対する抑制作用もLSはSLSより弱く, 回復性の早いものであり, SEとの混合によりその作用は減弱した。SEおよびLSを配合したモデル処方歯磨の作用はSLSを配合したものに比べ, 四基本味質反応に対する抑制作用は弱く, 回復性の早い作用であり, 味覚への影響は少ないものと考えられる。
著者
西口 栄子 鈴木 幸江 山口 和美 神部 芳則
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-12, 2001-03-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

歯磨剤, 洗口剤の安全性を検討する目的で, 市販されている歯磨剤, 洗口剤の多くに含まれているラウリル硫酸ナトリウム (SLS) とglycerineの各種ヒト細胞に及ぼす影響を検討した。ヒト歯肉上皮細胞に各種濃度のSLSを作用させて細胞の形態を観察した結果, 細胞は, SLSの濃度依存的に変化した。0.01% SLSを作用させた場合, 作用直後細胞が小型化し, 1分後にはほとんどの細胞が溶解した。0.001% SLSを作用させた場合,作用後3分で細胞が小さくなり始めたがその程度は弱かった。ヒト赤血球に各種濃度のSLSを作用させると,赤血球は,SLSの濃度依存的に形態が正常の円盤型から外方突出型の金平糖状に変化し, 0.004%以上では作用後1分で溶血した。ヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)に各種濃度のSLSを作用させると, 0.0022%以上では作用後1分で変化が起こり, 5分ではほとんどの細胞が溶解した。諸細胞にglycerineを作用させた場合, glycerineによる細胞の障害は低濃度, 短時間では大きいものではなかった。ヒト赤血球を用いてSLSの作用点を観察した結果, 膜蛋白質の関与が観察された。これらの結果から, SLSやglycerine, 特にSLSは, 微量で, 短時間の作用でも諸細胞に障害を与えるため,使用に際しては十分な注意が必要と考える。

2 0 0 0 藍香翁

著者
塚原蓼洲著
出版者
高橋波太郎
巻号頁・発行日
1909
著者
Joya Yui Satomi Okano Hitomi Nishizawa
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.717-721, 2021 (Released:2021-10-13)
参考文献数
29
被引用文献数
4

[Purpose] Blood lactate reduction helps in understanding muscle recovery. Although light exercise and stretching are known interventions to reduce its concentration, the impact of skeletal muscle mass on blood lactate clearance is unknown. This study aimed to determine the relationships between blood lactate reduction and skeletal muscle mass following exercise. [Participants and Methods] Healthy non-athletic males performed squat jumps for 1 minute and 30 seconds. Blood lactate level was measured before and immediately after the exercise and then every 2 minutes for a period of 20 minutes. The decrease in blood lactate level was estimated as the difference between the minimum and maximum values. The rate of decrease was calculated by dividing the decrease in blood lactate level by time. Blood lactate level was measured using Lactate ProTM 2, while skeletal muscle mass was assessed using InBody 430. [Results] There was a significant positive correlation between skeletal muscle mass, the amount of blood lactate level reduction, and the rate of reduction of blood lactate level. [Conclusion] Our results demonstrated that greater skeletal muscle mass enabled a greater decrease in blood lactate level, suggesting that skeletal muscle mass may be involved in the reduction of blood lactate level after a squat jump. Interventions to increase skeletal muscle mass may promote more efficient lactate metabolism and muscle fatigue recovery.

2 0 0 0 OA 自叙伝の試み

著者
和辻哲郎 著
出版者
[和辻哲郎]
巻号頁・発行日
vol.19-23, 1958
著者
武田 素子 千葉 朋美
出版者
国際交流基金
雑誌
国際交流基金日本語教育紀要 = The Japan Foundation Japanese-Language Education Bulletin (ISSN:13495658)
巻号頁・発行日
no.15, pp.39-54, 2019-03

国際交流基金が運営している日本語学習のためのプラットフォーム「JFにほんごeラーニングみなと」では、日本のことばと文化を総合的に学ぶ「まるごと日本語オンラインコース」を開講している。本稿では、初年度はA1のみであった「まるごと日本語オンラインコース」にA2のコースを追加するにあたり、ユーザーがいつでもオンライン上で気軽に受けることができ、自身の日本語能力にあったコースを選ぶための目安となるよう開発した「おすすめコース診断テスト」の開発過程について述べる。本テストは「もじとことば」「かいわとぶんぽう」「ちょうかい」「どっかい」の4セクションで構成され、問題はCEFRを参照し、各コースで扱われているCan-doから出題するのに相応しいものを選定しながら作成した。本テストの受験者7307名のデータを分析した結果、高い信頼性が得られ、ユーザーにとってコース選びの一助となり得ることがうかがえた。