著者
趙 善英 松本 芳之 木村 裕
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.313-320, 2009 (Released:2012-03-20)
参考文献数
33
被引用文献数
5 2

This study examined the moderating effect of self-esteem on the relationship between public self-consciousness and social anxiety, and on the relationship between public self-consciousness and exhibitionism in Japan and South Korea. The participants were 213 university students in Japan and 234 university students in Korea. The results of hierarchical multiple regression analyses showed that self-esteem was a moderator of the relationship between public self-consciousness and social anxiety and of the relationship between public self-consciousness and exhibitionism in Korea, but not in Japan. In Korea, public self-consciousness was related to social anxiety for people with low self-esteem, while for people with high self-esteem, public self-consciousness was related to exhibitionism.
著者
永野 駿太 木本 茉莉奈 小杉 考司 小野 史典
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.59-66, 2018 (Released:2018-11-03)
参考文献数
13

This study examined theeffect of knowing the answer as a factor affecting the illusion of transparency. Previous studies showed that people have the illusion of transparency, or a tendency to believe that their internal states are more discernible to others than they actually are. Meanwhile, previous studies showed that people have a tendency to overestimate the extent of easiness of presented tasks when they know the answers. We divided 70 subjects into 3 groups; actors (n=12), observers being taught the answer (n=29) and observers not being taught the answer (n=29). Actors drank five cups of soft drink, including a vinegar-mixed one while pretending to be impassive in front of a video camera, and estimated the number of correct identifiers for the vinegar-mixed one out of 10 observers. Observers being taught the answer estimated the same thing as actors after watching each actors' video. Observers not being taught the answer tried to identify the number of the vinegar-mixed one correctly after watching each actors' video. As compared to the actual number of correct identifiers, actors and observers being taught the answer estimated more correct identifiers. The result implied that knowing the answer is one of the factors affecting the illusion of transparency. Furthermore, the result showed that the magnitude of illusion caused by knowing the answers is approximately 10 percent and the magnitude of illusion caused by subjective experience of this experimental task (“drink vinegar-mixed soft drink”) is approximately 11 percent.
著者
向居 暁
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
巻号頁・発行日
pp.61, 2019 (Released:2019-10-28)

何度も目にしているはずの建物がなくなり,更地になっていたり別の店舗になっていたりするときに,以前どのような建物や店舗がそこにあったのか思い出せないのはなぜだろうか。本研究は,街並みにおける建物の変化に気付いたり,以前の建物を想起したりすることに影響する要因について実験的に検討することを目的とした。その結果,変化箇所には気付いたものの,変化以前の建物情報がわからない状態は,「異業種,建替え,空き地>同業種(異業種>空き地)」となった。異業種間の変化は,以前と同じ建物に異なる業種の店があるという違和感が検出率を高めたのだろう。また,変化以前の建物情報の完全な想起は,「同業種>異業種≒空き地≒建替え」となった。同業種間の変化は,変化自体には気付きにくいが,一度変化箇所に気付いてしまえば,変化以前と同じ建物と業種が建物情報を想起するうえでの強力な手がかりとなることが示唆された。
著者
安藤 彰男
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.4_33-4_46, 2010-04-01 (Released:2010-11-01)
参考文献数
25
被引用文献数
2

臨場感の高い音響を実現するため,様々な音場再生技術が研究開発されている.これらは,心理音響モデルに基づく方式と,物理音響モデルに基づく方式に大別できる.前者としては,5.1サラウンドから22.2マルチチャネル音響に至る様々な方式が提案されている.いずれも,2チャネルステレオの音像制御方式を基本としており,チャネル数を増やすことで,音場再生能力を向上させている.一方,後者は,音の物理量再現を目的とした方式であり,Wave Field Synthesisや境界音場制御法など,音の場の再現を目指す方式と,アンビソニックスに代表される,受音点での音の物理量を再現する方式に分けることができる.本稿では,これらの方式の基本技術を概観するとともに,その背景となる理論を紹介する.
著者
竹ヶ原 靖子 安保 英勇
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.72-78, 2017 (Released:2017-04-25)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

The present study examined effects of predictions made by a help-seeker about the emotions and costs of a helper on help-seeking behavior. We surveyed undergraduate and graduate students who completed a questionnaire and scenario task. The scenario presented that a person would face the trouble. The questionnaire presented a case where a person was troubled. Respondents were required to answer the following questions: (a) whether they would seek help; (b) whether the helper would respond to help-seeking; (c) the helper’s costs; (d) the negative moods of the helper. Covariance structure analysis of 189 participant responses revealed that help-seeker predictions about the helper’s emotions and costs were used to predict the intentions of the helper, which affected the intentions to seek help. We discuss these results with respect to interpersonal cognition in intimate relationships.
著者
鈴木 隆雄 百々 幸雄 西本 豊弘 三橋 公平
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.91, no.4, pp.455-463, 1983 (Released:2008-02-26)
参考文献数
21

北海道縄文時代後期末葉に属すると考えられる三ツ谷貝塚出土人骨において,成人および小児の上顎洞内に極めて特徴ある骨増殖像が認められた。この所見は,臨床耳鼻咽喉科学上,いわゆる"遊離骨片"と診断されるものであるが,本症例のように巨大な骨塊を呈するものは臨床的にも,また古病理学的にも比較的稀なものである。今論文はこの"遊離骨片"について,その形態,古病理学的診断等について述べるとともに本症の病因や遺伝的素因についても若干の考察をおこなった。
著者
鈴木 裕美
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.386, pp.22-24, 2007-07

自家製の果実酒をお客に提供していたペンションが税務署から酒税法違反を指摘され、没収・廃棄処分を通告されたニュースが波紋を呼んでいる。酒税法が現状に即していないとして、改正を求める動きも強まりそうだ。「自家製果実酒を没収する」突然、税務署がやってきた 4月17日、北海道・ニセコのペンション「ふきのとう」を2人の男性税務署員が訪れた。
著者
藤原 秀行 飯沼 和樹 坂本 有希
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.57-62, 2012 (Released:2018-04-07)
参考文献数
2

中学 1 年の光の屈折の学習では,屈折が起こるしくみを扱わない。そのため,異なる媒質間の入射角と屈折角の関係を暗記する学習にとどまることが多い。そこで坂本は,屈折現象の理解を深めるために,光の速さが媒質によって異なること,それにより屈折が起こることを授業で扱った。これを受け,科学部員の藤原,飯沼は様々な屈折現象への関心が高まり,光の曲がり方をコントロールできないかと考えた。本研究は,藤原らが,砂糖とアガーという身近な素材を用いて平面レンズを作るという試みである。水と砂糖水を接触させて境界面に濃度勾配を作り,それを利用して光を曲げる。種々の濃度の砂糖水を用いて光の曲がり方,最適な凝固剤を明らかにし,レンズ中で光が曲がる砂糖水-アガーレンズの作成に成功した。
著者
志村 俊昭 小山内 康人 豊島 剛志 大和田 正明 小松 正幸
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 = THE JOURNAL OF THE GEOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.11, pp.654-665, 2006-11-15
参考文献数
57
被引用文献数
2

日高変成帯は,第三紀の火成弧の地殻断面であると見なされている.シンテクトニックなトーナル岩マグマは地殻規模のデュープレックス構造のフロアースラスト,ランプ,ルーフスラストに沿って迸入している.このトーナル岩マグマは露出していない最下部地殻のアナテクシスによって生じた.<br>日高変成帯北部の新冠川地域には,含輝石トーナル岩類(最下部トーナル岩体)が分布している.このトーナル岩体には,斜方輝石の仮像や,アプライト脈などの様々な冷却過程を示す証拠を見ることが出来る.これらの組織から,このトーナル岩体の冷却過程が明らかになった.シンテクトニックなトーナル岩体と,変成岩層の<i>P</i>-<i>T</i>-<i>t</i>経路は地殻の上昇テクトニクスを示している.一方,デラミネーションを起こした最下部地殻の<i>P</i>-<i>T</i>-<i>t</i>経路も推定することが可能である.<br>
著者
佐藤 哲 片岡 智美 篠 道弘 西崎 久純 安達 勇
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.216-220, 2008 (Released:2008-06-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

がん性疼痛の中でもオピオイドが奏効しにくい神経障害性疼痛に対してNMDA受容体拮抗作用を持つケタミンの有用性は高い. 今回, ケタミン内服液を使用した31症例を対象に投与量や継続期間などについて検討した. 治療効果が認められ継続投与された症例は22症例であった. 継続された症例における開始時の服用量は平均107.3mg/日, 服用期間は平均63日であった. 効果はあったが, 有害事象が観察されたため中止となった症例は7症例(嘔気・嘔吐4症例, 傾眠3症例)であった. 十分な効果が認められなかった症例は2症例であった. 神経障害性疼痛に使用して有効だった症例は18症例中14症例あり, ケタミンの内服液は神経障害性疼痛の緩和に有効であることが示された. Palliat Care Res 2008; 3(1): 216-220
出版者
川流堂
巻号頁・発行日
1908
著者
与那覇 恵子
出版者
名桜大学
雑誌
名桜大学紀要 (ISSN:18824412)
巻号頁・発行日
no.21, pp.29-40, 2016-03

米軍初期占領下の沖縄において,壊滅状態となった沖縄の政治経済,教育文化の復興に携わった米軍政府の米軍将校,兵士がいる。彼らは海軍のエリートであり知識人であり,「軍政要員」として訓練された人々であった。「軍政要員はどのようなキャリアや考えをもち,初期占領下の沖縄においてどのような役割を果たしたのか」が本論のリサーチ・クエスチョンである。その問いに答えるため,軍政要員の中でも特に名前が知られているハンナとワトキンスに焦点を当て,彼らの人物像,考え方,沖縄における活動について沖縄側,米軍側両者の資料を基に調査した。高学歴の研究者である彼らは占領地となる地域の歴史文化をよく理解していた。その任務は住民と共に戦後の地域復興に従事し,占領環境を整備するというものであった。彼らの活動は沖縄の初期占領が基地の島沖縄としての本格占領に続く環境を整備するという米軍にとっての役割を果たした。しかし,地域住民と共に戦後復興を助けるという役割をも果たした彼らは,その人柄,考え方,沖縄への理解など,軍人的視点よりも文化人的視点をもち,初期占領下沖縄の指導者にとってアメリカの良心的存在であった。
著者
大北 葉子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.86, 2013

本研究は空書と非漢字圏日本語学習者の漢字学習との関係を考察する。被験者は日本人9人と初級非漢字圏学習者9人であった。被験者はモニター画面上の視覚刺激が正しい漢字かどうかをキーボードを押して判断した。視覚刺激は五種類で、正しい漢字、曖昧漢字(図形的な間違いがある)、偽漢字(部首と旁の組み合わせが存在しない)、誤漢字(部首の場所が倒置されている)、ハングル文字であった。日本人2人と非漢字圏日本語学習者6人に空書が見られた。すべての被験者は漢字とハングル文字の区別ができた。空書なし3人の非漢字圏日本語学習者は漢字と漢字様刺激(曖昧漢字、偽漢字、誤漢字)の区別ができていなかった。これは空書なし非漢字圏学習者は漢字の細部構造に注意が払われていないことを示唆している。空書なし非漢字圏学習者は漢字練習時に単に書き写しているだけだったかもしれない。空書は漢字学習の内在化の深さの指標になるかもしれない。

2 0 0 0 決意新たに

著者
安井 義人
出版者
The Japan Institute of Metals and Materials
雑誌
まてりあ (ISSN:13402625)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.442-442, 2010
被引用文献数
1
著者
佐藤 了子 佐藤 恵
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.39, 2007

<B>目的</B> 通学時及び学内で制服着用を義務付けられていた女子短大生が、制服の廃止により旧制服に持つイメージをどのように捉えていたかを中心に、ファッションスタイルの嗜好、およびファッションスタイルの受容についても明らかにすることを目的とした。<BR><B>方法</B> 質問紙法によるアンケート調査。調査対象者は女子短期大学生1年生99名。有効回答数は96であった。調査期間は平成15年11月。調査内容は出身高校、旧制服の所有状況、旧制服に持つイメージ(SD法、5段階評価)、ファッションスタイルの嗜好(20項、5段階評価)、及び着装の受容(20項、4段階評価)についてである。<BR><B>結果</B> 旧制服の着用状況は、着用しないが52%、いつも着用する17%、着用することが多い21%、時々着用する10%であった。着用する理由として私服を選ぶ面倒がないから61%が最も多く、毎日の通学に私服を選ぶ必要がないという理由から旧制服を着用しているようであった。旧制服に持つイメージで平均点の高かった項目は、清潔な、清純な、上品な、知的なイメージであり、低かった項目は、個性的な、派手な、活発な、人目を引くなどの項目であった。ファッションスタイルで好まれているものは、気軽で自由なスタイル、シンプルなスタイル、若々しいスタイルで、好まれないものは、ロマンティックなスタイル、アダルトなスタイルであった。着装の受容については、抵抗感が少ないものは、ミニスカート、パンツとスカートの重ね着、破れたジーパンなどであり、抵抗感のあるものはへそ出しルック、シースルーの服、胸の大きくい開いた服を着るなどであった。現在流行の着装は受容されているが、体がでる着装には抵抗感があることが示唆された。