著者
藤井 義博 Yoshihiro Fujii
出版者
藤女子大学
雑誌
藤女子大学紀要 第2部 (ISSN:13461389)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.43-51, 2009-03-31

The Goal of this study was to reevaluate the physical and mental health education conceived by Kaibara Ekken (1630-1714) in the light of the art of regimen (diaita in ancient Greek) practiced by Hippocrates. Kaibara Ekken was a humanist equipped with expertise both as physician with the art of preventing diseases and as educator with the art of correcting deviation of one's natural disposition. The goal of his health education is compatible with the idea expressed by Plutarch on the health framed by the art of regimen: "There is nothing better than to devote oneself to humane deeds if one is in good health." As the developmental model by A. H. Maslow is a bottom-up order of needs towards transcendental self actualization starting from basic needs of autonomous person, Kaibara Ekken's art of education for body and mind is top-down order of needs towards humane deeds starting from the heart of the transcendental person corresponding with the heart of heaven and earth. The scope of Ekken's art of education for body and mind will open a new way for today's health education and Shokuiku (food and nutrition education).
著者
大場 豪
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集
巻号頁・発行日
vol.82, no.734, pp.1109-1114, 2017

 The Arch of Titus, restored in the first half of nineteenth century, is a restoration model in terms of certain distinctions between old and new architectural materials. To comprehend the intervention method, this study examined sources on the restoration and compared with a case study, the restoration of the eastern outer wall of the Colosseum. As a result, this study pointed that the Roman architect Giuseppe Valadier sought architectural unity that denoted for the harmony of the two different types of materials.
著者
鴻野 わか菜
出版者
Japanese Society for Slavic and East European Studies
雑誌
Japanese Slavic and East European studies (ISSN:03891186)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-16, 157-158, 2002

アンドレイ・ベールイの『銀の鳩』には、物語の鍵となるいくつかの船のイメージがあり、作者は船を描くにあたって、様々な文化的コンテクスト、1)ロシア民話、2)聖書、3)ロシア異教、4)西洋文化のシンボル体系、5)ワーグナーのオペラ『さまよえるオランダ人』、6)ピョートル大帝、7)ギリシャ神話のアルゴー船、を用いている。第一に、物語に登場する新興宗教〈鳩の宗〉の教義の中心に、「信徒が集う〈船〉を建造する」というモチーフがある。新興宗教のリーダー、クデヤーロフは、共同体としての船を語る際、船を削る鑿の音を表す擬音語として「Tyap-Lyap」という言葉を用いているが、これはロシア民話で魔法の船を建造する時に使われる表現である。新興宗教のリーダーがこの言葉を使って船の建造を語った時点では、彼の持つ魔術的力について読者はまだ知らされていないが、実はロシア民話の魔法の船のモチーフによって、クデヤーロフの魔術者的性格はすでに暗示されているのである。作者自身語っているように、〈鳩の宗〉は架空の宗教であるが、鞭身派をイメージの源泉としている。鞭身派の信者は、信徒の共同体を〈船〉と呼ぶことが広く知られている。ベールイは、文化学者プルガーヴィン、ボンチ=ブルーエヴィチの著作を通じて鞭身派の教義について知識を得ており、〈鳩の宗〉のイメージ形成にあたって明らかに実際の新興宗教をモデルにしていた。物語にはもうひとつ重要な船のイメージがある。主人公ダリヤリスキーは、婚約者カーチャの邸宅を追放されたことを契機として〈鳩の宗〉に身を投じることになるが、彼は邸宅を追われる際、ふりかえって「船のように飛び去る邸宅」を眺める。ここには、船を愛の住処、幸せの象徴として位置づける西洋のシンボル体系が影響している。また、注意したいのは、ダリヤリスキーにとっては、純情な乙女カーチャの愛も、セクトの魅惑的な教義も、同じ船のメタファーで捉えられていることである。ダリヤリスキーは、救済、幸福を求めて〈船〉を渡り歩く旅人であり、永遠の航海者という点では、ロシア象徴主義詩人の愛好したワーグナーの『さまよえるオランダ人』と重なりあう。ベールイは20世紀初頭、ギリシャ神話のアルゴー船物語に惹かれ、「アルゴナウタイ同盟」というグループを作り「日常の神話化」をめざした。特に1904年前後にこの理想に強く惹かれたベールイは、ギリシャ神話をモチーフにした詩を数多く残しているが(詩集『瑠璃のなかの黄金』)、『銀の鳩』を執筆した1909年の時点では、若き日の理想に苦い幻滅を感じていた。『銀の鳩』で船がセクトの共同体、不幸な「さまよえるオランダ人」の船として登場するのも、アルゴー船へのアイロニーとして捉えることができる。旧来の理想に飽き足らず、新しい救済を求める旅に出ようとするのは、ダリヤリスキーだけでなく作家自身の姿でもある。
著者
榊原 志保 三和 真人 南澤 忠儀 八木 忍
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20
被引用文献数
1

【目的】臨床場面における患者様の履物は裸足やバレーシューズ、スリッパと様々見受けられる。しかし、これら履物の違いが臨床場面に及ぼす影響について着目した研究は散見されない。加えてスリッパは高齢者の転倒要因の一つとして挙げられているが、実際に力学的変化を研究したものは少ない。本研究はステップ昇降における裸足、バレーシューズ、スリッパの力学的変化を解析することによって、スリッパによる力学的特性と転倒要因との関係を明らかにすることを目的とした。<BR>【方法】対象は本研究の目的に同意の得られた健常女性12名(平均21歳)である。動作課題は、裸足、バレーシューズ、スリッパの3条件における高さ20cmのステップ昇降とし、それぞれ3回ずつ測定した。また動作を一定にするため、メトロノームに合わせて課題を行った。動作解析は三次元動作解析装置と床反力計を用い、関節角度、関節モーメント、第5中足骨床間距離を測定した。赤外線反射マーカーは臨床歩行分析研究会が推奨する10点に貼付した。尚、第5中足骨マーカーはバレーシューズの場合はシューズの上から、スリッパの場合は第5中足骨周囲を切り取り皮膚に貼付した。課題は二足継ぎ足昇降とし、右脚、左脚の順に行った。統計処理はそれぞれ3回のデータの平均値を求め、一元配置反復測定による分散分析を行った。差の検定は多重比較を用い、有意水準は5%未満とした。<BR>【結果】スリッパの昇段では、右脚は踵離床時の足関節底屈角度(7.4°)が裸足に比べ有意に減少し、最大toe clearance(30.6cm)が裸足に比べ有意に減少した。スリッパの降段では、右脚は床接地時の股関節伸展モーメント(0.2Nm/kg)が裸足、バレーシューズに比べ有意に増加した。同様に足関節背屈角度(10.5°)が2つに比べて有意に減少した。上段左脚支持相の足関節背屈角度(13.6°)と足関節底屈モーメント(1.1Nm/kg)が有意に減少した。<BR>【考察及びまとめ】スリッパによる昇段において右脚の最大toe clearanceが減少したことから、スリッパはつまずき易いことが考えられた。また最大toe clearance時の重心は前方移動するため不安定となり、より転倒しやすいと考えられた。更に踵離床時の足関節底屈角度が減少したことから、スリッパは脱げ易く足先で持ち上げて離床しなければならないと考えられた。しかし各関節モーメントに有意な差は見られず、筋力の差を言及することはできなかった。一方ステップ降段における右脚の接地時に足関節を背屈、膝関節を屈曲することにより衝撃を吸収しているが、スリッパによる降段において足関節背屈角度が減少し、衝撃吸収の役割を果たしていないと考えられた。その代償として股関節伸展モーメントが増加し、衝撃を吸収していると考えられた。上段左脚支持相で足関節背屈角度、足関節底屈モーメントが減少していることから、スリッパは降段制動力を減少させると考えられた。
著者
金光 義弘
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.249-256, 1997

本論文の目的は, 一人の聾唖聴覚障害者が司法の場で裁かれることの妥当性について心理学的な考察を試みることである.主たる問題の所在は次の4点である.(1)訴訟能力を持たない被告人に対する司法的処置の妥当性, (2)17年間という異常に長い裁判の違法性, (3)障害者に対する社会的i援助や教育の欠如性, 最後に(4)心理学者が作成した被告人鑑定書の妥当性と信頼性である.これらに関する心理学的考察を通して以下の2点が結論づけられる.すなわち, (1)日本の司法制度は障害者に対する手厚い援助の手を差し伸べてこなかった.したがって, 障害者に対する現行の司法的手続きは人権保障の観点から問い直されなければならない.(2)心理学は障害者の人権問題に対して, ノーマライゼーションや社会的援助の方向から一層の貢献が期待されている.
著者
山岸 真人 櫻井 敬子
出版者
日経BP社
雑誌
日経Windowsプロ (ISSN:13468308)
巻号頁・発行日
no.106, pp.100-105, 2006-01

sWindowsネットワークに無線LANを導入することで,社内のクライアント・ユーザーの利便性を高められる。ただし,セキュリティを確保しておく必要がある。s従来からあるSSIDやMACアドレス・フィルタリングではなく,WEPやWPA,WPA2といった暗号方式を採り,なおかつRADIUSサーバーを設定することで,高度なセキュリティを実現できる。
出版者
亜細亜大学
雑誌
亜細亜大学経営論集 (ISSN:0388662X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.203-210, 1984
著者
Watanabe Yuhei Iriyama Takahiro Morii Masakatu
出版者
一般社団法人 情報処理学会
雑誌
Journal of Information Processing
巻号頁・発行日
vol.25, pp.288-295, 2017

<p>WEP has serious vulnerabilities, and they cause various key recovery attacks. Although a more secure protocol such as WPA2 is recommended, according to each research by IPA and Keymans NET, WEP is still widely used because of the lack of knowledge about security of the wireless LAN. On the other hand, it takes large costs to replace a wireless LAN equipment in large-scale facilities. They need a secure method which can be used on their equipment by updating the firmware of WEP. In 2011, Morii, one of us, et al. showed IVs which prevented the Klein attack, the PTW attack, and the TeAM-OK attack. However, they did not present how to obtain such IVs and evaluate security of them. This paper shows the secure method of WEP and how to use it as fast as WEP. We show an IV which prevents the establishment of previous key recovery attacks. Moreover, we show how to use our IV efficiently on the operation of WEP. Our method requires about 1.1 times the processing time for the encryption than WEP. As a result, our method can prevent previous key recovery attacks and realize communication as fast as WEP.</p>
著者
中野 匡子 金成 由美子 角田 正史 紺野 信弘 福島 匡昭
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.535-543, 2002-06-15
参考文献数
16

<b>目的</b> 医学教育の中で地域指向型教育の重要性が指摘されている。我々は,医学部 4 年生の公衆衛生学実習において,小人数グループでの地域指向型教育を 3 年間実施し,実習の教育的効果の評価を試み,今後の実習の方向性を検討した。<br/><b>方法</b> 1. 実習の概要:医学部 4 年生(70~80人)は小人数(2~3 人)グループに分かれ,福島市周辺の保健・医療・福祉・教育等関連施設で週 1 回(約 4 時間),計 3 回実習した。学生は施設の事業に参加し,体験実習の中から,解決すべき健康問題を把握し,施設の取り組みと今後の課題を検討した。施設実習後,学生は,報告会を行い,グループごとの報告書と,個別の自由記載の感想文を提出した。<br/> 2. 評価:平成11年度 4 年生73人(男42人,女31人,平均年齢23.6歳)について,実習の教育効果の評価を行った。1) 報告書の中で学生が挙げた「解決すべき健康問題」と,自由記載の個別の感想文を分類し,実習目的の理解度をみた。2) 社会意識の測定方法である ATSIM (Attitudes Toward Social Issues in Medicine)質問表を用い,実習前後の得点の変化を検討した。ATSIM 質問表は 7 群(社会因子,医療関係者間の協力,予防医学の役割,医師-患者関係,政府の役割,進歩対保守主義,社会への奉仕に対する意識)から構成され,得点が高いほど社会意識が高いと評価される。<br/><b>結果および考察</b><br/> 1. 報告書の中で取り上げられた健康問題は,精神障害者の社会復帰のための環境整備,難病患者の在宅支援,学校での養護教諭と担任らの連携,知的障害児の地域生活のための環境整備などであった。また,個別の感想文においては「現場を体験・実感できた(73人中60人,82.1%)」,「医師として地域の人々や施設とどう関わるか考えることができた(26人,35.6%)」,「予防の必要性に気づいた(4 人,5.5%)」,「回数の増加を望む(5 人,6.8%)」等の意見がみられた。<br/> 2. ATSIM の得点は,7 つの群の各々および総計の平均点に,実習前後で有意な差はみられなかった。<br/><b>まとめ</b> 学生は施設での体験の中から地域の健康問題を把握した。個別の感想文では実習の意図を理解し実習に肯定的なものもみられた。ATSIM 質問表で測った社会意識には,実習の前後で有意な変化はみられなかった。今後,施設の選定,実習時間,学内での討論方法,評価法などに修正を加え,「公衆衛生の精神を体得した」医師養成のために,より有効な教育形態としていきたい。