著者
北原 零未
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.45, pp.13-37, 2014

2013年5月,フランスにおいてようやく同性婚法が成立した。一般には,1999年末に成立したパックス(PaCS)をもってフランスは同性カップルを国家的に認知し,法的裏付けを与えたということになっているが,男女のみに許可されている既存の婚姻制度を批判し,婚姻法そのものの改正を求めていた同性愛者たちにとっては,パックスの成立は前進ではなく,むしろフランス国家からの否定的回答であったと言える。 今回の同性婚法成立は,そのこと自体は多様な家族生活,ライフスタイルを認めるという観点からすれば前進と言えるが,しかしその成立直後には,パックス成立時の時以上の反対運動が行われた。そして,そこでは,同性愛のみならず,伝統的家族以外の家族形態すべてが批判され,保守主義・家父長主義回帰が見られたのである。もはや同性婚以前の問題であり,保守的な男女の規範が賛美された。
著者
梅原 明彦 沼田 宗純 目黒 公郎
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.393-396, 2014-07-01 (Released:2014-09-27)
参考文献数
4

東日本大震災では被災地域内の火葬場の処理能力を遥かに上回る死者数が発生し,広域火葬計画の策定が進んでいなかったことや地域防災計画に遺体処理に関する項目を定めていなかったことから,大量の遺体の処理に大きく手間取り,宮城県内では仮埋葬という方法が取られた自治体があったことが分かった.この震災を機に遺体処理計画を検討する自治体が増えたが,その自治体の数はまだまだ少なく,被災地でもこれから検討を始める自治体が多いのが現状である.日本での災害時において犠牲者の遺族となった方々は,平常時よりもより迅速で且つ懇切丁寧な遺体処理を求める.しかし,遺族心情に配慮した方法はまだ十分に確立されていないため,遺体処理業務は防災計画において早急に改善を図らなければならない.
著者
高橋,盛孝
雑誌
日本西蔵学会々報
巻号頁・発行日
no.15, 1968-10-30
著者
中村 和之 小林 淳哉 小田 寛貴 山本 けい子 瀬川 拓郎 八重樫 忠郎 岡 陽一郎
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

奥州藤原氏は、約百年にわたって東北地方を支配した。その富の源泉は砂金である。世界遺産の中尊寺金色堂は、黄金に輝く建物で有名である。瀬川拓郎は、北海道のアイヌが交易品として砂金を平泉に持って行ったとする仮説を立てた。本研究の目的はその仮説の検証である。まず、北海道と東北地方の砂金を分析した。つぎに藤原秀衡の別邸の柳之御所遺跡から出土した遺物に付着した砂金を分析した。両者を比較することにより、北海道の砂金が平泉にもたらされていたかどうかを確認した。これまでの検討では、平泉から出土した砂金は岩手県産のものである可能性が高い。北海道から砂金が持ち込まれたとする仮説は証明できなかった。

2 0 0 0 OA 加藤高明

著者
伊藤正徳 編
出版者
加藤伯伝記編纂委員会
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1929

2 0 0 0 OA 蝦夷風俗彙纂

著者
肥塚貴正 著
出版者
吉川半七
巻号頁・発行日
vol.前編 巻1, 1882
著者
栗山 健一
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.161-167, 2015 (Released:2017-02-16)
参考文献数
27

NMDA 受容体部分作動薬である D-サイクロセリン(DCS)および HDAC 阻害剤であるバルプロ酸(VPA)は恐怖記憶の消去学習を促進することが動物研究で確かめられている。我々はヒトにおける DCS および VPA の消去学習促進効果を,視覚刺激と指先電気刺激を条件づけるパラダイムを用い検討した。さらに,恐怖記憶学習は睡眠中に強化・固定化プロセスが促進されることから,DCS およびVPA の消去学習促進効果と睡眠依存性記憶強化プロセスとの交互作用を検討した。DCS および VPA のいずれも,恐怖消去の即時学習に影響を及ぼさなかったが,消去学習翌日の学習効果に有意な差が生じた。特に,再強化刺激として指先電気刺激を再曝露した直後の恐怖再燃反応において,対照群に比し有意に低い反応が示された。また,DCS は恐怖条件づけ消去学習に続く覚醒区間中の遅延学習を促進したのに対し,VPA は睡眠中の遅延学習を促進した。本結果は,恐怖回路障害の曝露型認知行動療法に併用することで治療者・患者双方の負担を減じ,治療効果の増強を示唆する。さらに DCS と VPAは異なる作用機序,時間生物学的作用点を有することを示唆している。
著者
小原 裕輝 中沢 実
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.246-253, 2021-01-15

単体のレーザレンジファインダ(LRF)を用いた人の検出手法は,貨物運搬ロボットなどに使われる.これらの検出では,入力が検出対象であるかどうかの判定に,hand-crafted特徴量と正であるか偽であるか分類する1クラス分類モデルを使用した手法が適用されている.本論文では,1クラス分類モデルへの入力をhand-crafted特徴量ではなく,深層学習モデルによって生成された特徴量に置き換えた手法を提案する.実験では,hand-crafted特徴を使用した手法との検出率の比較を行い,パフォーマンスが一部向上したことを示す.また,ロボットの利用など実応用のために,Jetson Nanoを使用して提案手法の処理速度の評価を行い実用可能性を評価した.
著者
糠明珊
雑誌
日本教育心理学会第58回総会
巻号頁・発行日
2016-09-22

目 的 台湾では,携帯電話という撮影機器が入手しやすくなるため,いつでも誰でも簡単に撮影できる生活になっている。それに伴い,盗撮のニュースもしばしば流れ,ほとんどが常習犯である。盗撮が絶えないのは,おそらく人々の意識にかかっているだろう。というのは,盗撮が発覚されないのは勿論,盗撮が発覚されても,摘発しないことも考えられる。それは,盗撮の多発につながり,女性にとってますます不安全な環境になっていくだろう。 盗撮事件に対する意識を調査することで,大学生の態度を把握でき,盗撮事件の対処がどんな影響を及ぼすかについての検討を含め,より安全な環境作りに役立つだろう。方 法 2015年12月に大学生44名(男性36名,女性8名)を対象にアンケート調査を行った。まず,盗撮事件及び立件するまでのパス図を説明してから,アンケートに質問を答えてもらった。 台湾では,盗撮は親告罪なので,被害者から告訴しないと立件されない。図1に示した通り,盗撮が発覚され,被害者に知らせ,さらに告訴しない限り,立件が成り立たない。盗撮が立件されなけらば,被害者がますます増えていくだろう。それで,盗撮が立件するためには,事件にかかわる(犯罪現場または盗撮写真,ビデオの目撃など)人々の協力は不可欠である。本研究は異なる立場の質問を設定し,調査と共に,多角から盗撮事件を考える機会を与え,教育の役割も果たしていく。結果及び検討事件設定:ある場合に,A大学のAさんがトイレで,Bさんを盗撮したことが知らされた。 問1の結果に示した通り,どの立場も告発する傾向が高い。盗撮者が知り合いであれば,告発に迷う回答が多くなった。具体的には,友達にチャンスをあげたい,友情に支障をきたされたくない,告発に面倒などの理由が記述された。 問2の結果に示した通り,Bさん及び恋人,家族の答えの一致性が現れ,告発の期待度が高く,その理由に,被害者であるBさんの知る権利が強調された。 問3の結果に示した通り,告訴する答えが一番多かった。告訴しないのは,Bさんの二次被害の危惧が主な理由であった。
著者
戸塚 唯氏
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.7, pp.49-58, 2014-02

本研究の第1の目的は、恋人の性格特性に関する許容範囲について検討することである。第2の目的は、ある性格特性をある水準で持っている個人は同じ特性に関して同じ水準を恋人に望むのかについて検討することである。 調査参加者は日本人大学生212名(男性119名、女性93名)である。彼らに対して特性リストを呈示して、そこに掲載されていた性格特性がどの程度自分に当てはまるかを回答させた。これが現実自己得点である。また、それらの性格特性を恋人にどの程度持っていてほしいか(理想点、上限点、下限点)について回答させた。これが理想得点、上限得点、下限得点である。 分析の結果、許容範囲はほぼ全ての性格特性において男女で差がなかった。一方、特性ごとの許容範囲の広さは異なり、比較的許容範囲が広い特性(例えば「頭の良さ」)や狭い特性(例えば「意志の強さ」)があることが明らかとなった。また、現実自己得点と理想点、上限点、下限点について相関係数を算出したところ、男性データの「言葉づかい」、女性データの「言葉づかい」と「おしゃれ」でのみ中程度以上の相関が見られ、その他の特性については無相関、あるいは弱い相関しか見られなかった。
著者
小林功介 辻本拓也 安本匡佑 羽田久一 太田高志
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.207-208, 2013-03-06

2012年10月の就職内定率が6割を切り、就職難と叫ばれて久しい。多くの就職活動生(以下就活生)は、いくつもの企業の選考を受けてもなお内定を獲得することができず、その代わりに数多の「不採用通知メール(通称 お祈りメール)」を受け取っている。 本研究では、お祈りメールが就活生に与える虚しさに着目し、これを題材にしたインタラクティブコンテンツを開発することで、就職難という昨今の世相の皮肉的な表現を試みている。神社の参拝を模したお祈りのジェスチャーに反応して、映像と音楽に併せて加工したお祈りメールの文面を提示する作品である。 なお、このコンテンツは今年10月30日から1週間に渡って開催された東京デザイナーズウィーク2012に出展され、閲覧者の好意的な反応を多数得た。
著者
ブルサット S.
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.58-67, 2015-07

ティラノサウルス・レックス(T. レックス)は1世紀以上前に化石が発掘されて以来,恐竜界の王者だ。その半面,この巨大肉食獣のグループがいつ,どのような種から進化したのかは謎のままだった。
著者
二川 健
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.180, 2020

<p>寝たきりや宇宙フライトなどの身体に無重力ストレスが加わる状態においては骨格筋の萎縮が進展することが知られている。当研究室はこれまでの研究で、無重力ストレスによってユビキチンリガーゼCbl-b の発現が増大し、それがIRS-1 のユビキチン化、分解を誘導しIGF-1 シグナルが阻害され筋萎縮が発生することを明らかにしてきた。しかし、細胞が無重力ストレスをどのように感知しCbl-b の発現を亢進しているかは依然として不明なままであった。そこで、我々はこの細胞による重力の感知機構を明らかにするため、国際宇宙ステーション宇宙実験、地上の模擬微小重力培養装置である3D-Clinorotationを用いた検討を行った。まず、Myolab 宇宙実験において、1 週間無重力空間で培養した宇宙サンプルのメタボローム解析を行った。その結果、細胞中の酸化ストレス蓄積量とエネルギー代謝に関連したミトコンドリアに局在するタンパク質の発現に変化が見られた。3D-Clinorotation による実験でも、宇宙サンプルと同様に細胞内の酸化ストレスの上昇が見られること、この上昇した酸化ストレスによってミトコンドリア内のエネルギー産生に重要な酵素アコニターゼの機能が低下すること、さらにミトコンドリアの形態に異常が引き起こされていることが明らかとなった。また、siRNA を用いたアコニターゼノックダウン実験では、3D-Clinorotation を行った際と同様のミトコンドリアの形態変化が引き起こされた。これらの結果は、アコニターゼをはじめとしたミトコンドリアの構成タンパク質が細胞の重力感知の初期応答に重要な働きを担っていることを示唆している。</p>