著者
山崎 航 平石 広典 溝口 文雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.1932-1940, 2006-06-15

多くの現実的なコンピュータソフトウェアは,動的な側面を備えているが,この問題に対して,既存のアクセスコントロールメカニズムでは,十分に扱えないという現状にある.本論文では,動的なセキュリティポリシを扱うためのアクセスコントロールシステムについて述べる.我々が提案する方法は,RBAC(Role-Based Access Control)を基本としており,あらかじめコンテクスト情報と抽象ロールを用いて静的に定義されたルールを用いて,動的に具体的なロールを決定する.ルールを論理型言語による宣言的な表現で記述することによって,ユーザ,ロール,パーミッションに対して,双方向の問合せが可能となる.本論文では,プロジェクトマネジメントシステムのシンプルな例を用いることによって,提案する方法の有効性について議論する.
著者
佐藤 志彦
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.446-448, 2019 (Released:2020-04-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

福島第一原子力発電所事故では大量の放射性物質が環境中に放出したが,チェルノブイリ原発事故のような炉心が直に大気と触れるような事象は発生しなかったため,核燃料を主とした放射性粒子の放出はないものと考えられていた。しかし2013年以降,放射性セシウム(Cs)を取込んだケイ素が主成分の微粒子が報告され,Cs-bearing particle,不溶性セシウム粒子などの名称で放射性粒子の存在が認知されるようになった。この想定になかった未知の放射性粒子に対し,さまざまなバックグラウンドを持つ研究者が,日夜,発生原因の解明を試みている。本稿では不溶性セシウム粒子がなぜ不思議な存在であるか,そしてどうして福島第一原発の廃炉で重要かを紹介する。
著者
横山 昌幸
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.89-97, 2018-03-25 (Released:2018-06-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

EPR効果についての誤解と批判について解説する。1986年に論文発表されてから30年以上が経過し、現在ではEPR効果は日本DDS学会はいうに及ばず、医薬工の関連する学会でも説明なしに引用されるほど広く知られた概念となっている。そんな状況であるからこそ、EPR効果について基本的な誤解が起こり得ると、筆者は考えている。また、誤解はなくとも、どこまでの現象をEPR効果として定義するかについては、議論があるところである。本稿の前半部分では、EPR効果の歴史と定義について記述し、誤解されやすい点について解説を加えた。本稿の後半部分では、EPR効果に対する批判論文を引用し、その内容の要点をまとめて、筆者の意見を加える。筆者の意見の大半は、この批判に反対するものであるが、このような批判を通じて議論を起こすことは科学の発展に不可欠なことと考えている。
著者
中島 理恵
出版者
一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会
雑誌
レギュラトリーサイエンス学会誌 (ISSN:21857113)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.81-89, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
14

製薬企業が行うプロモーションのなかには虚偽や誤解を招く表現を用いているものも存在する. このような状況は最終的には医薬品を使用する患者の不利益につながるため, 第3者による製薬企業の新薬プロモーション活動の監視制度の確立が求められている. 本研究では, 我が国における製薬企業の医薬品プロモーション活動の監視制度の在り方を検討するため, すでに製薬企業の医薬品プロモーションの監視活動を行っている米国FDA (Food and Drug Administration) の取り組みを例示するとともに, 米国における医薬品広告違反の実態をFDAから発行されたwarning letterとuntitled letterを参考にして分析した. FDAでは, 疾病専門領域ごとの担当審査官を設置し, 膨大で専門的なプロモーション資材を効率良くレビューしている. また, 医局や講演会といったFDAの目が届きにくい現場でのプロモーション違反対策として, 現場の医療従事者に向け, 教育と報告窓口の両方の側面をもつBad Ad Programの制度を提供している. 米国においては, 近年電子媒体での違反が増加しており, 今後はFacebookなどのソーシャルメディアからの情報の監視が重要となる.
著者
志倉 興紀 志倉 敬章 内川 竜太朗 山本 昭夫 富田 美穂子
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.385-395, 2020 (Released:2020-10-31)
参考文献数
39

目的 : 近年, 定期歯科検診を受診する人は増加してきたが, いまだ勤労者の受診率は低い. そこで, 第3次産業勤労者の定期歯科検診への意識と口腔保健行動を調査し今後の啓蒙活動を検討した. さらに, 歯科医師が職場を訪問して実施するブラッシング指導 (TBI : Tooth Brushing Instruction) の効果を明らかにし, 保健指導の対策を考察した. 材料と方法 : 第3次産業の勤労者を対象に業種, 年齢, 性別, 定期歯科検診受診の有無と受診しない理由, 齲蝕の有無, ブラッシングの知識・回数・時間, 補助器具 (歯間ブラシ・フロス) の使用, 定期検診を受診するためのシステムに関する要望, 8020への関心度のアンケート調査を実施し, 定期歯科検診を受診している (検診有群) こととの関連項目を検討した. また歯科定期検診を受診していない群 (検診無群) のなかから抽出した研究対象者を, ブラッシング指導をする群 (TBI群 : 11名) としない群 (コントロール群 : 10名) に分け, 半年ごとに計4回各研究対象者の職場を訪問してPCR (Plaque Control Record) 計測を実施した. そして, 両群の初回と各回のPCR値を比較することでTBIの効果を検討した. 結果 : アンケート総配布数647枚に対して, 回答が得られたのは378枚 (回収率は58.4%) であった. また, 検診有群は107名, 検診無群は269名であり, 定期歯科検診を受診しない主な理由は 「時間がない」 であった. 定期歯科検診に関する希望のシステムは, 検診有群では 「リコールの連絡」 で, 検診無群では 「訪問による検診」 であった. 定期歯科検診を受診していることは, 年齢 (オッズ比1.61), 女性 (オッズ比1.83), 齲蝕なし (オッズ比2.24), ブラッシングの知識 (オッズ比3.62), 歯間ブラシの使用 (オッズ比2.41), フロスの使用 (オッズ比2.09) と有意な関連を示し, ほかの項目とは関連が認められなかった. 職場訪問によるPCRの結果は, TBI群では初回に対して2回目 (p<0.05), 3回目 (p<0.01), 4回目 (p<0.005) の値が有意に低下し, コントロール群においても初回に対して3回目 (p<0.05), 4回目 (p<0.01) の値は有意に低下した. 結論 : 定期歯科検診を受診することは, 「口腔保健に関する知識」 「女性であること」 「40歳以上の年齢」 「補助器具の使用」 が強く関与していた. また, 勤務先へ出向いて実施するTBIや検査は, 口腔清掃に対する行動変容に影響力があることが明らかとなった. 今後, 40歳未満の勤労者や男性の意識改革を強化するとともに, 訪問指導をするなどの歯科医師の能動的なアプローチが重要である.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1911年04月04日, 1911-04-04

2 0 0 0 OA 易経大講座

著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第1巻, 1940
著者
赤荻 栄一 三井 清文 鬼塚 正孝 石川 成美 吉田 進 稲垣 雅春 間瀬 憲多朗 山本 達生 稲毛 芳永 小形 岳三郎
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.483-488, 1994-08-20
被引用文献数
9

原発巣と同側の肺内に転移を持つ肺癌切除67例の術後成績をみて, 同側肺内転移を遠隔転移ではなく腫瘍の局所進展と考えるAmerican Joint Committeeon Cancer(AJCC)新分類の妥当性を検討した.原発巣と同一肺葉内に留まる肺内転移を持つ41例の術後中問生存期問は25.8ヵ月で, 他肺葉に及ぶ肺内転移を持つ例に比べて有意に良好であった.同一肺葉内転移例につき, 肺内転移を除いた病期別にみると, I期11例では42.9ヵ月と他に比べて有意に良好で, IV期5例では9.6ヵ月と最も不良であった.AJCC新分類による中問生存期間は, I期とII期を合わせた4例が48.3ヵ月, IIIA期21例28.3ヵ月, IIIB期34例22.2ヵ月, IV期8例11.1ヵ月であり, リンパ節転移がないかあっても肺門までに留まる例が最も予後良好で, 肺内転移以外に明らかな遠隔転移を持つIV期例は最も予後不良であった.これは, AJCC新分類が, より臨床に即した有用な分類であることを示すものと思われる.
著者
髙田 礼人
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.243-247, 2006 (Released:2015-06-19)
被引用文献数
2

Enveloped viruses have a lipid bilayer (envelope) surrounding viral components including their genomic DNA or RNA. The entry of these viruses into host cells requires membrane fusion between viral envelope and host cell plasma membrane. Envelope-associated glycoproteins bind to the specific receptors and catalyze membrane fusion. Newly synthesized viral proteins and genomic nucleic acids are incorporated into new envelope at the final stage of virus replication, budding. This article reviews the interaction between viral proteins and host cell membrane.
著者
山本 雄大
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.57-60, 2020

<p>「NUMBERS3」というくじは一般の宝くじとは違い当せん確率は一定なのに対して当せん口数が違うことから,人によって選ぶ数字に偏りがあり,数字に対する投票数の分布が一様でないことが予想される。また,一回の抽せんに対して,約500,000の投票が行われているため,当せん金額に数十万の投票が含まれており,それを数千回集めた当せん金額はビッグデータだと考えてよい。つまり,「NUMBERS3」は,「当せん金額が高くなるようにするにはどんな番号を選べば良いか」という課題から、ビッグデータを扱い、当せん番号を推測するという統計的に問題解決ができる教材だと考えた。本稿では,生徒がビッグデータを扱うことに教材として扱うための大きな課題があったため,生徒がICTを用いて、自由な発想で検証することで今回の課題を解決できるようなツールを同時並行で開発した。その上で3000回の当せん金額を分析した結果、誕生日に関わるような番号を除くなど,高い当せん金額を得られる当せん番号の傾向を多面的に分析することができた。</p>
著者
乾 直輝 須田 隆文 千田 金吾
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第35回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.12, 2007 (Released:2007-10-12)

肺および気道における免疫機構の特色は、豊富な血流を介した抗原のみならず、外来性の病原微生物や異物などの吸入抗原に対しても効率的に免疫反応を働かせる必要があるため、気道粘膜における免疫機構が発達してきた点にある。今回の発表では、気道粘膜免疫の誘導組織としての気管支関連リンパ組織(bronchus-associated lymphoid tissue : BALT)およびその構成成分であり強力な抗原提示細胞である樹状細胞(dendritic cell: DC)に焦点を当てる。 BALTは,細気管支粘膜下にみられるリンパ濾胞で,抗原特異的な分泌型IgA 抗体産生細胞を気道に分布させるための誘導組織として気道の粘膜免疫の中心的な役割を担っている。このBALTの発生,過形成には持続する外来性の抗原刺激と感作Th2細胞から産生されるIL-4などのサイトカインが重要であり、BALTが発生・顕在化すると、IgA循環帰巣経路の誘導組織として吸入抗原を積極的に取り込み、抗原特異的なIgA抗体産生を誘導する。我々は健常ヒトでは存在しないBALTが,びまん性汎細気管支炎,慢性過敏性肺炎,膠原病関連肺疾患において顕在化することを明らかにし、病態との関連性を解明した。 また、抗原に対して効率的に免疫応答が働くために、DCが集積し活性化され、T細胞へ効率的に抗原提示を行う必要がある。肺では大部分のDCが肺胞および気道上皮直下間質に存在し、他の細胞と協調しながら免疫応答を進めているが、我々は肺DCが脾DCや他の抗原提示細胞と比較し強力なIgA誘導能を持つことを示した。呼吸器疾患や病態におけるDCの存在と機能を検討では、びまん性汎細気管支炎で細気管支領域の粘膜下組織に主として成熟したDCが集族し、small airwayにおける抗原提示に中心的な働きをしていた。またBCG誘導肺肉芽腫病変では、肉芽腫周囲にBCG投与14日まで増加するDCが観察され、更にこのDCはnaive及びBCG特異的T細胞刺激能を有した。
著者
高橋 丈博 田中 利和 渋谷 昇 伊藤 健一 高橋 康夫
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
サーキットテクノロジ (ISSN:09148299)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.314-319, 1992-09-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
7

プリント配線板における配線設計を行う上での設計指針を与えることを目的とし, ビアをもっ配線板で信号伝送測定を行い, 配線ビアの信号伝送波形への影響を調べた。この結果, 立ち上がり1ns程度の波形に対して, 伝送波形はほとんど変化せず, ビアの個数やクリアランスの大きさを変えても波形はほとんど変化しなかった。ビア部分の特性インピーダンスを測定したところ, 特性インピーダンスはクリアランスの大きさに依存し, 配線部の特性インピーダンスから20%程度違っていた。しかし, 伝送波形の計算を行い, ほとんど影響を与えないことが計算でも確認された。つぎに, 信号の立ち上がり時間, ビアの特性インピーダンスとの波形歪と関係を計算し, 立ち上がり時間が速くなってくるとビアの影響が波形に現れてくることを明らかにした。