著者
佐藤 秀樹
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.151-156, 2016

<p>バングラデシュ・クルナ市では,「ウエイスト・ピッカー」と呼ばれるインフォーマルセクターの労働者が街のごみ集積場や最終処分場で有価廃棄物を収集し生計を立てている。手袋や長靴を身につけない人が多いため, 彼らの約70%は皮膚そう痒の疾患を患っている。彼らの労働衛生の環境改善に関する必要性は指摘されてきたが,能力向上を図るための衛生教育は十分でない。そこで,本研究では彼らの衛生教育の必要性と教材開発の内容に関する方向性を考察した。その結果,視覚教材開発や体験学習を通じて,「ごみ」,「安全管理」,「健康」の視点から,彼らの生活環境やメンタルケアを含めた教育の重要性が認識された。</p>
著者
糸井 重里 東 昌樹
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1889, pp.74-79, 2017-05-01

ウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』を運営し、手帳などのオリジナル商品を販売する。3月16日の東証ジャスダック上場時、「問われているのは株価ではない」と静観する発言が"反利益主義"だと話題を呼んだ。発言の裏にある真意は──。
著者
山内 啓之 小口 高 村山 祐司 久保田 光一 貞広 幸雄 奥貫 圭一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

これまでにGIS教育の充実のために、科学研究費を用いた複数のプロジェクトが行われ、基本となるコアカリキュラムと講義用教材が整備された。しかし、実習に関する検討は少なかった。GISを活用できる人材の育成には、大学の学部や大学院等における実習を通じた教育が重要である。<br> そこで、GISの実習用教材を開発し、公開するプロジェクトを平成27年度より開始した(科学研究費基盤研究A「GISの標準コアカリキュラムと知識体系を踏まえた実習用オープン教材の開発」、平成27~31年度、代表者:小口 高)。本プロジェクトでは、学部3~4年生の実習授業や自主学習を対象とした教材の開発と試験公開を行い、一般公開に向けて修正と改良を重ねてきた。本報は、これまでに整備してきた教材とその公開についてまとめたものである。<br> 今回整備した教材は、日本独自の地理情報科学の知識体系を教科書として編集した『地理情報科学 GISスタンダード』(浅見ほか編, 2015)の章構成に基づいている。GISの操作手法の解説には、無償のソフトウェアとデータを用いた。ソフトウェアは、様々な実習環境に対応できるQGISを主に用いた。QGISはバージョン更新が頻繁であるため、長期的にリリースされていた安定版のQGIS2.8を基本とした。しかし、リモートセンシング・データの解析、空間データベース、ネットワーク分析などの基礎的な内容や、空間統計学的な内容を含む教材においては、QGISのみでの対応が困難なため、GRASS GIS、PostGIS、CrimeStatなど複数のソフトウェアを組み合わせて使用した。<br> 教材で用いるデータは、国土数値情報やオープンデータなどとし、背景地図が必要な場合は、地理院タイルを利用した。以上のソフトウェアやデータを活用して、『地理情報科学GISスタンダード』の中で、実習の内容を含む6章~23章と26章に対応した教材を整備した。<br> 教材は、PowerPointファイルと記述が容易なMarkdownファイルでまとめ、GitHubにアップロードし、WEBで試験公開した。その後、編集や管理のしやすいGitHub上で、修正や改良を重ねた。GitHubでの公開は、Pull Request機能やIssue機能による低コストでの教材管理を目的としたものである。教材編集に一般利用者が参加できることから、ソフトウェアのバージョン更新に対応できるソーシャルコーディング的な教材運用も期待できる。 <br> 教材は、GitHubとGitBookを連携させ、閲覧しやすいWEBページで公開する。GitBookは、Markdownファイルの表示や閲覧に特化したサービスである。GitHubリポジトリのMarkdownファイルを読み込むことで、両リポジトリ間での双方向的な編集と表示が可能になる。また、簡易なコメント投稿機能や複数のファイル形式でのダウンロードなど、利用者に便利な機能が標準で用意されている。 <br> 教材には、クリエイティブコモンズに基づいて、CC BY-SA 4.0のライセンスを付与した。表記は &copy; GIS Open Educational Contents WG, CC BY-SA 4.0とした。これは、表示-継承の条件下において、幅広い用途での自由な利活用を認めることを意味する。<br> 本プロジェクトの成果は、大学等でのGIS実習や、学生や市民の自主学習に利用できるようにインターネットで一般公開する。今後は、公開した教材の運用とともに、一般利用者からPull Requestを受けつつ教材を更新していく仕組みの構築や、インターネットを活用したWEB GIS教材の整備等について検討する予定である。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コミュニケーション (ISSN:09107215)
巻号頁・発行日
no.398, pp.136-141, 2003-09-08

インテグレータ各社は現在,企業ネットワークを構築・強化する様々なソリューション・サービスを提供している。しかし,ソリューションは機器とは違い,サービスの差が見えにくい。本コラムでは1年間にわたり,各種ソリューションとその料金体系を紹介する。第1回は,LANやWANの構築前のコンサルティング・サービス。
著者
中野 幹生 島津 明 小暮 潔
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.45-46, 1996-03-06
被引用文献数
2

話し言葉により人間と自然に会話できる計算機を作るためには,自然な対話文を解析して,意味を求める方法を構築する必要がある.そのためには,まず,対話文が書き言葉の文とどのように異なるかを調べる必要がある.そこで,問い合わせや仕事の依頼の電話対話,野球中継,ラジオ電話相談の書き起こしデータを分析し,対話文特有の現象の調査を行っている.これらの対話は,あらかじめ状況を設定して行われたものではなく,自然に行われた対話である.次に,発見された現象を分類整理し,個々の現象について対処法を考える必要がある.この時,どのように現象を分類するかが問題となる.現象の分類と対処法の構築は分離して行えるものではなく,処理の枠組をどうとるかに応じて分類が決まる.話し言葉には,一見規則がないように見えるが,よく観察すると,一定の規則性が見られる.我々は,書き言葉の文法を構築しなおすことによって話し言葉を扱う立場で分析を進めている.竹沢らは,状況を設定して行われた対話の調査を基にして,対話特有の現象を扱う音声認識用の文法を構築しているが,網羅的であるかどうか,また,どのように意味関係を求めるのか明かでない.本稿では,文法枠組として,統語構造と意味表現の関係が明確な単一化文法を用い,この観点からの対話文特有の現象の整理を試みる.文法の拡張法として,語彙項目の追加,素性制約の緩和,句構造規則の追加,文の概念の拡張の四つを考え,これらの拡張を書き言葉の文法に施すことにより対処できる現象について述べる.今までに調べられている現象は,これらの四つに分類が可能である.
著者
岩野 優樹 山内 慎 上村 匡敬 金田 忠裕 西 高志
出版者
大阪府立工業高等専門学校
雑誌
大阪府立工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:0387365X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.57-63, 2006-07-30

本校システム制御工学科において4年生で展開する「基礎研究」は,学科設立当初より「ものづくり」教育の一環として,ロボット製作を主テーマに課題を設定し,種々のロボットを製作してきた.2005年度は,ここ数年世界各地で大小様々な災害が多数発生しているという社会情勢を踏まえ,災害現場の情報収集を行うことを主目的に「小型飛行機による災害監視システムの製作」とした.本稿では,2005年度に実施した「基礎研究」を紹介し,各班の成果を事例に挙げ,その教育的効果について述べる.
著者
福田 隼登 藤井 晴行
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.709, pp.559-567, 2015
被引用文献数
1

The objective of this study is to represent the characteristic of the experience of space, such as a building or a garden, by the graphical expression of the schema framing the space. Particularly, we pay attention to the relations between the space and the person who experience there. The extracted characteristic of the experience of space would be able to be applied to new space design. And, we should be able to understand and explain the experience of space by the schema. This paper proposes a method of schematizing the characteristic of the experience of space and the schemata that are extracted from the experiences of the cozy garden sequence by using this method.
著者
手塚 亜聖 砂田 保人 李家 賢一
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 = Journal of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.57, no.665, pp.258-265, 2009-06-05
参考文献数
20
被引用文献数
5

In the Reynolds number region lower than approximately 1.0 × 105, which corresponds to the Reynolds number region of a Micro Air Vehicle, thinner and sharper leading edge airfoil performs better than thicker and blunter one. This research focuses on the difference in flowfields which are clarified by means of streamline calculation and surface pressure distribution measurement. Numerical studies were performed to the blunt type NACA0012 airfoil and both numerical and experimental studies were performed to the thinner type 4% cambered-plate airfoil. The performance of the NACA0012 airfoil is deteriorated with decreasing Reynolds number, whereas that of the 4% circular arc cambered-plate airfoil is not affected. The deterioration of the NACA0012 airfoil performance is mainly due to the laminar boundary layer separation near the trailing edge; such phenomena are not essential to the performance in the cambered-plate airfoil results. This paper also demonstrates that the flow separation at the trailing edge can be estimated from the temporal amplification factor of the oscillatory mode which is calculated by the global linear stability analysis.
著者
坂田 拓司 岩本 俊孝 馬場 稔
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;特別天然記念物であるカモシカ <i>Capricornis crispus</i>の生息状況を把握するために,文化庁は 1980年代から調査を実施している.九州においては大分・熊本・宮崎 3県にまたがる九州山地を中心に生息しており,3県合同の特別調査がこれまでに 4回実施されている.特別調査では糞塊法による生息密度の推定に加え,死亡要因の把握や植生調査等を実施し,カモシカの生息状況と生息環境の総合的な把握に努めている.1988・89年の第 1回特別調査よって九州における本種の生息状況が初めて明らかになり,分布の中心となるコアエリアとそれらを結ぶブリッジエリアが連続していることが明らかになった.1994・95年の第 2回では九州全体で約 2000頭と推定され,いくつかの課題はあるものの増加傾向にあると評価された.ところが2002・03年の第 3回で大幅に生息密度が減少し,推定頭数は約600頭と激減した.さらに分布域が低標高化した.2011・12年の第 4回では低密度化と低標高化に変化は見られず,絶滅の危機は継続していると評価された.本報告では過去 4回の結果を概観し,九州におけるカモシカ個体群の変遷とその要因,併せて絶滅危機回避に向けた展望について述べる.<br>&nbsp;カモシカ分布域が人里に近い低標高地に散在することが明らかになった現在,これまでどおりの保護政策では対応できなくなっている.カモシカ個体群は,近年のシカ個体群の増大による様々な間接的影響を受けており,シカ個体群のコントロールが急務である.しかしながら特定種の対策に限るのではなく,国有林における潜在植生への更新を進めるなど,生態系全体を見渡した保護管理が求められている.
著者
井上 晋 新美 修
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR BACTERIOLOGY
雑誌
日本微生物學病理學雜誌 (ISSN:1883695X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.184-189, 1942

所謂沈降素量 (Präcipitingehalt) 及沈降素價 (Präcipitintiter) ノ兩方面ヨリ沈降素受働免疫ヲ觀察セリ.<BR>沈降素受働免疫ニ於テ<I>Uhlenhuth</I>氏法ハアル場合ニハ恰モ量的關係ヲ明うカニスルガ如キ觀ヲ呈シ, 又アル場合ニハ全然之ト無關係ナル結果ヲ呈シ不可解ナルハ既ニ述ベシ所ナルモ, 木村ハ緒方氏法ニ依ル免疫體稀釋法ヲ以テスル時ハ正確無比ニソノ量的關係ヲ明ラカニスルモノナリト云ヘリ.<BR>沈降素量ノ多寡ト沈降素血清ノ種屬特異性ハ抗元注射回數ニ至大ノ關係ヲ有スルモノニシテ, 抗元1回注射ニヨル沈降素血清ハ沈降素量少ナキモ特異性強ク, 抗元注射回數多キニ從ヒ沈降素量増加スルモ特異性ハ次第ニ失ハレルモノナルヲ以テ, 反復血清注射抗血清ハ特異性少ナク海〓血清トモ亦作用スルヲ以テ稀釋スルハ妥當ナラズトハ佐藤ノ唱フル所ナリ.<BR>沈降素量80, 沈降素價5120ノ沈降素血清3.0cc, 7.0cc, 12.0cc注入ノ各例ニ就テ見ルニ第1例血清3.0cc注入例ハ免疫直後ニ沈降素價320, 沈降素量2ヲ示シ第1, 第2日ハ血清原液ニノミ320陽性沈降素量ハ1トナリ, 第3日ニハ既ニ反應陰性トナレリ. 第2例, 、血清7.0cc注入例ハ免疫直後ハ沈降素量4沈降素價640ニシテ第1, 第2, 第3日ト同ジク沈降素量ハ2トナリ沈降素價ハ320ヲ持續シ第5日ニ沈降素量ハ1トナリ第6日ニハ陰性トナレリ.第3例第30, 血清12.0cc注入例ヲ見ルニ注入直後ハ沈降素量8沈降素價1280ヲ示シ, 第1日ニ沈降素量ハ4ニ減ジ沈降素價モ又610トナリ第2, 第3, 第4日ト同價ヲ持續シ, 第6日ニ及ビ沈降素量ハ2トナルモ沈降素價ハ同ジク640ヲ保持シ第10日迄ハ變化ナク, 第11, 第13日ト沈降素量ハ1トナルモ沈降素價ハ同ジク640ニシテ第14日ニ陰性トナレリ.<BR>以上沈降素價ハ免疫血清注入量ニ應ジテ最高320,640, 1280ヲ示シ, 沈沈素量ノ2, 4, 8ニ似テ甚ダ合理的ニ見ユルモソノ消失スルヤ320或ヒハ640ヨリ急速ニ陰性トナルハ不可解ナル點ニシテ沈降素量トハ全ク經過ヲ異ニセル所ナリ.
著者
ステファン カレン デニス マギー 久保田 浩司
出版者
一般社団法人日本時計学会
雑誌
マイクロメカトロニクス (ISSN:13438565)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.94-102, 2001-12-10

1960年代後半に, 日本, スイスおよびアメリカ合衆国でそれぞれ別個に作業していたエンジニアのチームは, 完全に新しく創造された電子コンポーネントを用いてリストウオッチを再開発する.これらのチームが開発した製品は時計産業にグローバルな革命を刺激し, 総ての人に, 必要かどうかに係わらず, これまでは科学者と技術者だけが使用した正確無比(秒以下)を受容するかどうかを問うた.この時間測定の急激な変革は, 機械技術から電子の世界への劇的な移行の先駆けと歴史の盛り上がりによるものだった.三つの技術者チームによる成果の検証をこの論文は比較アプローチの手法でどのように文化, 経済, 経営の仕組み, 技術知識入手の容易さなどの地域の相違が完成品のデザインとユーザーの受容に作用したかを提言する.