著者
小早川 光郎 山本 隆司 太田 匡彦 山本 隆司 太田 匡彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、2004年に行われた行政事件訴訟制度改革に対して、理論的側面及び実際的側面から検証を加えた。理論的側面からの検証の主たる成果として、原告適格、義務付け訴訟、差止訴訟を中心に、その理論的基礎及び法的問題点等を明らかにした。かかる理論的側面からの検証の成果を前提として、主として2004年改正後に出された裁判例の分析を行い、処分性、原告適格、義務付け訴訟を中心に、制度改革による実際的影響を明らかにした。
著者
永瀬 和彦
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

阪神大震災で脱線又は重大な損傷を被った車両が在線した箇所は気象庁が発表した震度階級7の被災地域とほぼ一致することがわかった.被災箇所の割合を高架,地上及び地下で区分したところ,地下在線中の車両の被災割合が最も少なく,高架橋在線中の車両の被災割合は圧倒的に高くほとんど全ての車両が何らかの被害を被っていた.よって,地下に在線する車両の耐震性は他の線区のものに比べ高いといえる.脱線の状況を調査した結果,激しい地震動により軌道が全く損傷していないのに飛び上がり脱線した車両があり,走行又は停止中の車両の心皿がが激しい上下動により脱出して心皿の脱出防止用コックが破断した事例も複数確認された.このような信じがたい激しい揺れに遭遇した列車は,どのような手段を講じても脱線を防止出来ない.幸いなことに,このような深刻な事態が発生した場合でも列車が崩壊した橋梁や高架橋に高速で突っ込む可能性は高くはないと判断できる事実を見いだした。土木構造物が重大な損壊を被るような激しい地震動に遭遇した場合,列車は全軸脱線し,非常ブレーキで減速するよりはるかに高い減速度で急停車しているからである.他方,構造物の崩壊や陸橋の落橋は列車が停止した時点以降に発生したと指定される事例がほとんどだったからである。従って,一部で提案されている脱線防止用レールを積極的に架橋橋上の軌道に敷設して震災時の脱線を防止しようとの考え方は必ずしも最善の策とは言えない。走行列車が激震に遭遇した場合に考えられる最も大きな人的被害の一つは,地下鉄内で高速走行する列車が揺れによりトンネル側壁に設置されたトラフや信号機に激突して側窓や側扉が大破するケースである.かような事態を回避するために地下鉄内の工作物はなるべく電車側窓に対応する高さを避けて設置することが望ましい.
著者
落合 功
出版者
広島修道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、近世中後期に見られる国益思想について、歴史的意義を明らかにした。具体的には砂糖国産化に尽力した武蔵国川崎領大師河原村の名主池上幸豊を素材に、従来の五穀中心の増産思想=封建思想から、甘蔗砂糖を始めとした商品作物育成を奨励する思想=国益思想へと転換することを明らかにした。また、この国益思想を支えるネットワークとして、実学者、国学者、そして政治家の三つのグループが存在したことを明らかにした。
著者
小嶺 徹
出版者
久留米大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

近年,抗ヘルペスウイルス剤の普及により症状の軽減及び期間の短縮がはかられてきた.しかし、抗ヘルペスウイルス剤の投与は抗体の産生にとって不利になると予想される.そこで,久留米大学医学部口腔外科を受診した(1987年1月から1995年4月)初感染と考えられるHSV-1感染症患者のうち,ペア血清の得られた43名の血清(抗ウイルス剤投与群37名,非投与群6名.)でIgG・IgM抗体並びに中和抗体価を測定した.すなわち,エンザイグノスト単純ヘルペスIgGおよびIgMはELISAでまた,中和抗体価の測定はマイクロ法によった.回復期の中和抗体で有為な上昇が認められなかったものは11症例であった。このうち,抗ウイルス剤を投与したものが11例中9例で、投与群全体に占める割合は、38例中9例の23.6%であった。また、未投与であったものは2例で未投与群での割合は、5例中2例の40%で抗ウイルス剤の投与が抗体産生を阻害しているという結論は得られなかった。そこで、15才未満の小児(7例)と成人(36例)に分けてみると、成人での抗体上昇の見られなかったものは、36例中10例の27.7%、逆に小児は、7例中1例の14.2%で,成人例で抗体価が上がりにくい傾向が伺えた。また抗ウイルス剤の投与を行なった初感染2症例の潜伏ウイルスの再活性と抗体価の変動についての長期経過観察によると,小児例は約2カ月後,成人例では約6カ月後に中和抗体価の有意な上昇を示しており,従来の2週後には上昇を示しておらず,これも抗ウイルス剤投与の影響と考えている.
著者
佐々木 陽一 LAMPRECHT G. SYKES A.G. 馬越 啓介 市村 彰男 永澤 明 SYKES A.Geoffrey SAYSELL Dabi 阿部 正明 今村 平 LAMPRECHT Ge MCFARLANE Wi A.GEOFFREY S
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本研究の目的は,レニウム錯体について,酸化状態の違いと配位子置換反応性の関連および金属間の相互作用と酸化還元反応性の関連を明らかにすることである。レニウムは周期表の中でも最も多くの酸化状態をとる元素であり,これらの反応性を調べるのに適している。本研究は,日本側で研究に適した新レニウム錯体の合成,英国のSykes教授の研究室でそれらの反応性の速度論的研究という大まかな役割分担で行なった。また,2年間に英国よりSaysell博士,南アフリカよりBotha博士がそれぞれ3ケ月間北海道大学を訪問,精力的に研究を行ない理想的な共同研究成果をあげた。Re(V)錯体のキレート環形成過程を,N,N,N,O型の4座キレート配位子およびN,N,O型の3座キレート配位子を用いて調べた。Re中心へのキレート環形成過程を,中間過程の化学種を単離,構造決定することにより明かに出来た。これにより高酸化数に伴うオキソ基の配位が多座配位子のキレート環形成過程に及ぼす効果を視覚的に明かに出来た。これは,置換活性な金属イオンでは不可能な成果であり,レニウム錯体以外にも広く適用できる重要な知見である。レニウム(III)六核錯体の特異な反応性が明かとなった。硫黄架橋レニウム(III)六核骨格,Re_6S_8は最近機能性物質や,生体内鉄硫黄クラスター骨格の基礎的な構造モデルとして,注目されつつあるものであるが,その基礎的な反応性はほとんど調べられていなかった。主にRe-Re間に多重結合をもつ複核錯体を新たに合成し,その構造や酸化還元反応性を明らかにした。本研究では,この化合物を,レニウム金属間結合を持つ典型的な化合物と捉え,配位子置換反応性と酸化還元反応性を調べた。その結果,異常に置換不活性であることと,これまでの見解に反し,酸化還元活性であることとが明かとなった。Re複核錯体ではその酸化数が,(III,IV)および(IV,IV)の二つの状態の錯体の構造解析により,両者のRe-Re距離の比較から,金属間結合に関わる結合軌道の性質を初めて明かにした。
著者
本荘 晴朗 神谷 香一郎 佐久間 一郎 児玉 逸雄 山崎 正俊 荒船 龍彦
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

多階層生物現象である心臓興奮伝播を高分解能光学マッピングを用いて定量的に解析し、そのダイナミクスが心筋イオンチャネル機能と細胞間電気結合および組織構築の相互作用により規定されることを示した。また、旋回性興奮(スパイラル・リエントリー)では興奮波の形状が興奮伝播を規定する重要な要因であることが明らかにした。スパイラル・リエントリーは細動や頻拍など頻脈性不整脈の基本メカニズムであり、旋回中心の不安定化が細動や頻拍の停止を促す不整脈治療戦略となることが示された。
著者
小山 省三 羽二生 久夫 宮原 隆成 芝本 利重 重松 秀一
出版者
信州大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1997

複合材料は人などの生活空間に用いる際には勿論のこと、腎不全、心不全、肝不全等の生体の機能不全を改善する目的で利用されるさいには、これらの複合材料による生体側の防御反応としての、免疫アレルギィー反応を含めた炎症反応の出現の有無が、それらの素材開発と応用に重要な要因となることは当然のことである。しかしながら、それらの複合材料を受け入れる生体側での反応性に関して古典的であるにもかかわらず炎症防御反応の根源的な検討が、同一施設において、比較検討された報告は少ない。本研究では、各種のピッチ状活性炭(FL-1)をマウスの皮下に埋没し、6ヵ月間にわたって免疫リンパ球の変動並びに病理組織学的な反応形態の変化を検討し、複合素材としての活性炭の生体防御系に対する妥当性についてアスベストと比較検討した。実験には4週齢系統std:ddYマウスを3群に分けた。実験に用いた活性炭はピッチ系活性炭繊維のうち直径が通常のものの約10分の一である極細系のFC-1を用いた。またアスベストを比較材料として用いた。本年度成績ではアウベストの生体適合性は極めて悪く、皮下に埋没後1ヵ月後にはすでにラングハンス細胞の出現や慢性炎症所見を示すとともに、免疫担当血液細胞のバランスもすでに1ヵ月後には変化していた。さらにこの慢性炎症所見は時間の経過とともに進行性であり、生態的合順応とは逸脱した生体反応を時間変遷とともに発現していることが推察される。すなわち、また、新規な炭素素材であるFC-1の生体適合性を検討したが、6ヵ月間の観察経過で組織炎症反応の発現は究めて軽度であり、進行性の慢性炎症所見はいずれの期間においても認め難いことが特徴的な所見であった。今後、予想することができる生産から廃棄までの生産者側の環境要因、また不確定多数の利用者側の状態要因に対応した生体適合性の検討が逐一なされるべきであることを本年度研究のまとめとして指摘しておきたい。
著者
早川 美徳
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

大変形したゴム膜と粘性流体層との複合的な系を構成し、そこで見られる音速に較べて十分に遅い破壊現象を解析した。この系では、歪みの量によって、蛇行する亀裂と直進する亀裂のパターンの転移が存在することを見いだした。こうした亀裂の不安定性は、従来の線形破壊力学では説明できない現象であって、その起源が、大変形に伴う非線形弾性にあることを、実験と数理モデルのシミュレーションの両面から理由付けた。
著者
松岡 數充 MERTENS Kenneth MERTENS Kenneth N
出版者
長崎大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

温度と塩分の異なる条件でProtoceratium reticulatumシストの発芽を試みたが成功せず,この種は温度と塩分の異なる条件に順応不可能であったと考えられた.このために,発芽実験用標本は形態的に類似した隠蔽種(cryptospecies)ではないかとの仮説の基に,天然シストを詳細に観察し,かつP.reticulatumのプランクトン細胞とシストのrDNA塩基配列を調査した.その結果,プランクトン細胞とシストの対応関係を得た.この実験結果は従前のP.reticulatumプランクトン細胞とシスト対応関係を支持していた.すなわちOperculodiniun centrocarpum sesu WallとされてきたシストはP.reticulatumであった.カナダ(東部: バフィン湾,西部: バンクーバー島)(日本;北海道,九州),デンマーク;カテガット)など異なる地点から採取したプランクトン単細胞と単一のシストのSSU,ITSおよびLSU塩基配列を明らかにした.その結果,ITS領域では配列に顕著な違いがある事が判明した.これが隠蔽種であるのか否かが今後の検討課題となった.北太平洋表層堆積物中のP.reticulatumシストの刺の長さの変化を詳細に計測した.平均刺の長さは毎年の海水密度と逆相関を示した:σt annual=1000+(-0.8476 x average process length+29.094)(R^2=0.84). Effingham Inlet in British Columbiaでのセディメント・トラップ試料では海水密度変化と平均プロセス長さの変化は北太平洋と同じ関係を示した.バルト海-スカゲラク海峡地域では平均の刺の長さ変化は海水密度と以下の関係式で示された.σt annual=1000+(3.5184 x average process length-6.686)(R^2=0.87). それぞれの関係式は一致しなかった.それは海水密度や栄養塩環境に地域特性があり,それに適応した隠蔽種が存在するか,あるいは他の未知の環境要因が寄与している可能性があるのかが今後の検討課題として残された.
著者
青柳 悦子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

アルジェリアの現代文学状況について、アルジェリアの歴史、社会背景、文学史的背景、出版状況、作家の現状、作品内容、研究状況などからその特徴を把握した。文献研究と現地調査とを平行しておこない、生きた文学状況を照らし出すとともにその問題点の析出に努めた。アルジェリアの主要な作家のなかからとりわけ重要と思われるムルド・フェラウーンの作品を分析して、これまで指摘されていなかった価値を明らかにするとともに、アルジェリア文学研究をめぐる問題を指摘した。
著者
鹿園 直毅 梅野 宜崇 原 祥太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,炭化水素燃料を用いた究極の発電効率を実現するために不可欠な固体酸化物形燃料電池(SOFC)を対象とし,その経時劣化において大きな課題となる燃料極Niの焼結挙動を解明することを目的とする.そのために,第一原理計算,分子動力学法,レベルセット法を用いて,物性値情報を共有させたナノからミクロンスケールまでの連成数値シミュレーション手法を開発する.実際のSOFC燃料極構造データおよび実験結果を用いつつ,世界に先駆けて開発する数値シミュレーション技術を駆使することで,SOFC燃料極のNi焼結挙動の解明を行った.
著者
上林 千恵子 山下 大厚
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

外国人技能実習制度は成立後ほぼ12年を経て、受け入れ人数を増加し、その性格も変化してきている。当初の緊急的な労働力不足への対応策から、3年間に亘って安定的に雇用を確保できる派遣労働力という見方を企業がとり始めてきた。3K労働だから外国人労働力に任せる、という側面も確かに残っているが、それと同時に、派遣・請負労働が広く普及し利用されるようになったことを踏まえ、派遣労働力の一つの形態としてこの研修生・実習生をみなす企業も出てくるようになった。しかし他方、技能実習制度の創設経緯に生じた問題はいずれも残されている。技術移転の問題をどう解決していくかは未解決である。技術移転を建前でなく実質化していくのか、あるいは韓国のように,研修制度を雇用許可制度の中に解消して、単純労働者受け入れ制度に一元化するのか。またローテーション方式の問題は、技能実習制度の限らず、外国人受け入れ制度すべてに関係する大きな問題である。パスポートの取り上げ禁止、雇用主による強制貯蓄の禁止、研修手当て・賃金からの管理費の控除禁止など技能実習制度の運営主体である国際研修協力機構(JITCO)は様々な指導を受け入れ団体と受け入れ企業に行っている。あるいは失踪者が多く出た受け入れ団体には、将来の受入れを認めないという罰則もある。研修生・実習生への失踪防止が足止め策として、彼らの労働者としての権利を侵害する恐れがある反面、失踪者の増加は不法就労者の増加へと確実につながり、二律背反の問題となっている。以上、技能実習制度を検討すると、これが十全に機能した場合でも制度としての矛盾を抱えていることが分かる。今後、外国人労働者を合法的に受け入れる制度としてこの技能実習制度が活用されるとするならば、技術移転の問題、ローテーション方式(失踪予防)の問題、受け入れ先企業の変更の問題、などについてより明確な合意形成が必要とされよう。
著者
渡邊 弥生 小林 朋子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、大きく4つの成果を得た。1つめは、ソーシャルスキル教育をいかに学校に導入すればよいか、またその際の教師の生徒のアセスメント能力の向上方法について、いくつかの研究に基づいて示唆を得ることができた。2つめは、アメリカの研究者と共同でゲームタイプのアセスメントツールの開発を行い、日米での生徒のソーシャルスキルの文化差を確認することができた。3つめは、教師の介入の仕方がソーシャルスキル教育の効果に影響を与えることを明らかにした。最後に、感情リテラシーの育成に関する基礎研究を実施し、感情リテラシーをどのようにカリキュラム化すればよいのかについて知見を得た。
著者
川端 猛夫
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

有機合成化学は官能基変換の化学として発展してきた。本研究ではこれまで培ってきた官能基変換の化学を基盤とし、例えば糖類などの多官能基性化合物の位置選択的官能基化を標的とした『分子全体を見据えた分子変換の化学』への展開を目的とし、以下に示す従来困難であった分子変換を達成した。(1)糖類の触媒的位置選択的アシル化を利用する配糖体天然物の全合成、(2)ポリオール天然物の晩期官能基化、(3)電子チューニング型ニトロキシル酸化触媒、(4)σ-対称ジオールの遠隔位不斉非対称化、(5)トポロジカルキラリティーを持つラセミ体ロタキサンの速度論的分割、(6)触媒制御型vinylogous aza-MBH反応。
著者
近藤 フヂエ 武田 光一 山本 眞也 郷 晃 佐藤 哲夫 丹治 嘉彦
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度は、地域文化の活性化に資する表象芸術の在り方を究明するために、新大アートプロジェクト2003「うちのDEアート」を実施し、また、各地域での同種の活動の取材と意見交換を通じて、本研究に関する資料を得たが、平成16年度は、それを用いてメンバーの専門領域の立場から考察した。たとえば近藤は、美術史の立場から、芸術表象の地域性について、イメージ信仰に時代を超えた特質を見出すことができるとする解を得た。教育の立場から佐藤は、アートプロジェクトと美術教育がホモロジカルな関係にあるとする視点から、その課題を明らかにし、柳沼は、具体的に小・中学校との連携による表象芸術の意義を示した。また、実際に関わったプロジェクトとの関係で、橋本は、パブリックスペースという環境を問題にし、アートやデザインの可能性を示した。郷は、街づくりに果たす彫刻シンポジウムの役割を示した。丹治は、2003「うちのDEアート」に、最も深く関わった経験などを通して、表象芸術が地域においてどのような意味を持つのかについての一つの結論を導いた。武田は、加茂市若宮神社の天井画という新出資料について、地域における江戸後期の書画愛好の気風を明らかにした。山本は大学所有の屏風絵の模写を通じて技法研究を行い、社会的な模写の意義と効用について明らかにした。また16年度も15年度に引き続き、種々地域に根ざしたアートプロジェクトを実施した。新潟県の豊栄市の早通地区のコミュニティーの活性化のために、「光のロータリー ロウソクを灯して」等。震災を乗り越えて「元気出そう新潟県」の趣旨による、小・中・大の児童、生徒、学生による造形ワークショップ・「虹色アトリウム-光の壁画をつくろう-」など、多数の活動を行った。引き続き、本研究で得られた成果をもとに、新大アートプロジェクト2005「うちのDEアート」の実施に向け、活動を行っている。
著者
木下 一彦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

(1) イオンチャネルの手動開閉チャネルコンダクタンスが高く単一チャネル電流の測定が容易なBKチャネル、広く研究されており開閉が電位だけで制御されるシェーカーチャネル、などを対象として、捕捉効率の高い操作用ハンドルの導入を試みた。すでに、チャネル配列の電位センサー部に外来たんぱく質を挿入することにより、そのたんぱく質自身の存在がチャネルの開閉を制御することを示したが、このたんぱく質の位置をさらに外力で操作できれば、より明確な解釈が可能になる。そこで、この外来たんぱく質のチャネルと反対側に、アビジン結合部位を導入することを試みている。また、つい最近発表された、高効率で膜電位を計測できる蛍光プローブを、チャネルに融合させる試みも開始した。いずれも、基盤研究(S)に引き継ぐ。(2) F1-ATPaseのATP加水分解および燐酸解離のタイミングの決定どちらのタイミングもすでに分かったつもりになっていたが、最近の研究により振り出しに戻った感がある。そこで、加水分解しにくいATPアナログ(蛍光性)や、解離が遅くなることが示唆されている燐酸アナログを用いて、再検討をはじめた。基盤(S)に引き継ぐ。(3) Reverse gyraseの反応機構DNAの螺旋をさらにきつく巻き上げる酵素reverse gyraseにつき、酵素を助けるつもりで磁石によりDNAを巻き上げたところ、酵素はそれを戻してしまうようである。まだ予備的な結果なので、継続する。
著者
岡田 玲子 太田 優子 宮西 邦夫 豊嶋 英明
出版者
県立新潟女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、青年期女子を対象に保健行動の変容をめざして、指導型・学習参加型を含む健康教育システムを設定し,その有用性を1年間の介入効果によって検証したものである。本システムは、健康教育セミナー(受講後に感想・自己評価記録の提出)(6回)、健康・生活習慣・食事の診断(3回)、診断成績の個人別記録;「Health Paassport」の懇切な説明による還付(4回)等によって構成された。その成績は以下のように要約される。1)BMI、肥満度、体脂肪率への影響は殆どなく、歩数、消費エネルギー、運動量は僅かながら低下した。2)TC、LDL-C、TCが介入前に比べて高かったものの、同時にHDL-Cも有意に上昇し、その程度は寧ろ前3項目の変化に比べて大きいことが認められ、特にHDL-Cの改善には効果的であった。また、Lp(a)はHDL-Cの増加に伴って高くなる可能性が示唆された。なお、HDL-C値の改善にはカロリーカウンターによる運動量の影響は認められなかった。3)自覚症状訴え数が有意に減少した。このことは本セミナー出席率の高い群において特に顕著に観察された。自覚症状改善度上位者からは、健康教育による食行動の改善とその維持を窺わせる応答が得られた。4)食事の評価においては、(1)緑黄色野菜の摂取頻度・充足率の有意な増加、(2)本セミナー出席率の高い群ならびにHDL-C改善度の高い群において、食事診断得点の改善度が有意に大きかった。(3)介入後に穀類エネルギー比の有意な増加、動物牲脂質比、Na/K比、食塩摂取量(g/l,000kcal)、飽和、一価・多価不飽和脂肪酸摂取量の有意な減少がみられたが、これらの変化量との血清脂質値の変化量との相関性を見いだせなかった。(4)LDL-C低下の大きかった群ほど近代型食事(豊川の食物消費の二次元空間図による)の傾向が弱まる方向への変化が有意に認められた。5)エゴグラムにおいては、保健行動の変容に自我状態の関与を示唆する所見が得られた。以上より、本健康教育システムは健康意識の啓発の動機づけやその維持に効果的であったと考えられる。今回は多様な要因の中で、より望ましい方法を模索した研究デザインであったが、健康教育セミナーへの継続的参加を促すためには、対象者の生活時間の変化を配慮した開催日時の調整、保健行動の変容にマイナスの自我状態を有する対象者への対応等についてさらに詳細な検討を重ねる必要がある。本研究により得られた知見と反省を活かして、より実践可能な健康教育システムの開発に今後とも努力したい。
著者
杉本 陽奈子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

本年度は、古典期アテナイの外人の商業活動について、ネットワークという観点から研究をすすめた。まず、紀元前4世紀アテナイの銀行家について、史料を網羅的に分析することでさらに考察を深めた。先行研究では、預金や貸付といった銀行業務の具体的内容が主たる論点とされてきたため、銀行家に対する社会的認識についてはほとんど論じられていない状況にある。そこで、この問題に関して法廷弁論の分析をすすめたところ、次の二点が浮かび上がった。すなわち、アテナイ社会では銀行家に対する特定のイメージが形成されていたということ、さらには、弁論の話し手が自らの主張を強化するためにそのイメージを積極的に利用していたということである。この研究成果については、学会で口頭発表を行った。また本年度は、海上交易商人のネットワークと裁判とのかかわり方についても検討を加えた。法廷弁論の中では商人の協力関係への言及がしばしば確認されるが、先行研究はこれらを組合や連帯責任という観点から論じてきた。しかし、これらの研究にはそうした言及が行われたコンテクストに注意を向けていないという問題点がある。そこで、関連する法廷弁論を網羅的に分析した結果、次のような結論が導き出された。第一に、商人は自身と他の商人との協力関係を強調することで、信頼獲得を得ることができたとみられる。第二に、商業裁判の場では、訴訟相手とその支持者の協力関係を「共謀」という形で攻撃することによって、自身の主張の説得力を高めるという手法が用いられていたと考えられる。すなわち、協力関係への言及は、肯定的機能・否定的機能の二種類を有していたとみることができるのである。
著者
白井 裕泰 小野 泰 林 英昭 藤田 香織 栗子 岳大 奥山 智也 大西 裕也 大関 貴史 榎本 将紀 佐々木 雄也 菊池 智也 清水 元紀 山田 悠人 谷川 弘子 齋藤 嘉一 朝光 拓也 高橋 定信 高橋 和弘 高橋 直弘 千葉 恒介
出版者
ものつくり大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

阮朝フエ王宮における昭敬殿の上部構造を以下の方法によって復原した。①昭敬殿と隆徳殿の柱間寸法の比較および基壇構造の比較によって昭敬殿が隆徳殿と同一規模、同一形式であることを明らかにした。②昭敬殿の復原は、隆徳殿の寸法計画、建築技法、細部意匠を踏襲することによって実施した。③隆徳殿と同様に復原設計に倣って原寸図を作成し、その寸法を基準に施工した。④昭敬殿の基壇は、地盤の地耐力を考慮して、隆徳殿基壇修理と同様に、各柱礎石下にレンガ積独立基礎を新設した。⑤昭敬殿の軸部および屋根の組立は、隆徳殿の施工に倣って行われた。⑥昭敬殿復原の参考資料として、復原図、基壇詳細図、原寸図、竣工写真などをまとめた。
著者
相良 かおる 小野 正子 鈴木 隆弘 小木曽 智信 高崎 光浩 浅原 正幸 外山 健二
出版者
西南女学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

標準化された用語がないまま、電子カルテシステムは普及し、電子医療記録文書が蓄積される中、我々は医療記録文書で使われる用語77, 775語を収録した辞書ComeJisyoを作成・公開し、また、語種と字種の分布を明らかにした。ComeJisyoは、電子医療記録文の単語分割の解析精度を90%以上に向上させ、複数の解析結果の比較(メタ分析)を可能とする。また、ComeJisyoに付加されるヨミガナは、音声への変換や仮名漢字変換等に活用できる