著者
角田 光淳 井上 典子 青柳 康夫 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.18-24_1, 1993-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
18
被引用文献数
6 7

生殖世代期のベニテングタケ中あイボテン酸 (IBO) 及びムシモール (MUS) の濃度 (平均x: ppm) は菌傘部 (IBO x: 519, MUS x: 30) が最も多く, 菌基部 (IBO x: 290, MUS x: 20), 菌柄部 (IBO x: 253, MUS x: 17) の順で, 全体では (IBO x: 343, MUS x:22) であった. 両物質の濃度は子実体の成熟に伴って, 菌傘部は増加後減少し, 菌栖部は漸次減少, 菌基部は増加傾向を示し, 全体ではほぼ一定であった. 孤立子実体中及び群生子実体中の両物質の濃度及び成熟に伴う濃度変化は同じ傾向を示し, 採取地による違いは認められなかった. また子実体の大きさによる濃度への影響も認められなかった. 濃度変動は生育環境による固体差と考えられた. 子実体の重量は成熟に伴い, 菌基部の約5~7倍に増加したが, IBO濃度はほぼ一定であった.
著者
新井 裕
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.124-126, 1978-05-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
大井 優紀 井上 基浩 中島 美和 糸井 恵 北小路 博司
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.112-123, 2012-02-29 (Released:2013-10-18)
参考文献数
20

目的:鍼通電刺激の腱修復能に及ぼす影響について調査する目的で、アキレス腱断裂モデルラットを用いて、組織学的、および力学的に検討した。方法:Wistar系ラット(雄性、12週齢)60匹を用いて、アキレス腱断裂モデルを作成し、無作為に鍼通電刺激群(EA群)と無処置群(Control群)の 2群に分けた。EA 群は、軽度麻酔拘束下にアキレス腱断裂部の内外側に先端部が腱断裂部に接触するようにそれぞれ鍼を刺入し、内側部を陰極、外側部を陽極として間欠的直流鍼通電刺激(刺激条件:刺激幅 5 ms、刺激頻度 50 Hz、刺激強度 20 μA、刺激時間 20分間)をモデル作成日の翌日から各評価日まで連日行った。Control群は麻酔拘束処置のみ行った。評価として、モデル作成後 7日と 10日に修復腱を採取し、設定した関心領域内の全細胞数(HE染色)、TGF-β1、および b-FGF の陽性細胞数(免疫組織化学染色)の計測とそれぞれの染色による組織像の観察を行った。また、モデル作成後 10日には、引張試験による修復腱の最大破断強度を測定した。結果:HE染色では、各評価日とも群間に有意差を認め、EA群で明らかな細胞数の増加を認めた(7日:p<0.05、10日:p<0.001)。免疫染色においては、TGF-β1、b-FGFともにモデル作成後7日のEA群で最も強い発現を認め、他との間に有意差を認めた[(TGF-β1:7日 EA群vs. 10日 EA群:p<0.001、vs. 7日 Control群:p<0.0001、vs. 10日 Control群:p<0.0001)(b-FGF:7日 EA群vs. 10日 EA群:p<0.001、vs. 7日 Control群:p<0.0001、vs. 10日 Control群:p<0.0001)]。モデル作成後 10日における修復腱の最大破断強度は EA群で有意に高い値を示した(pp<0.01)。考察・結語:アキレス腱断裂後早期の検討において、EA群では細胞数の増加と成長因子の発現量増加、さらに腱強度の増大を認めた。これらの結果から、直流鍼通電刺激は腱修復部における細胞増殖と成長因子の発現に有益に作用し、修復腱の力学的強度を高めることが示唆され、腱修復能に促進的に作用する有用な方法となる可能性が考えられた。
著者
工藤 遥 田村 俊明
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.213, 2014 (Released:2014-07-04)

エオリアンハープとは、弦楽器の一種である。共鳴板とそこに張られた弦の間を風が通り抜けることによって音を発する仕組みになっている。様々な形態が見られるが、一般的には箱形の本体に弦が張られた琴のような形をしている。欧米では公園や公共施設に設置されていることが多いが、日本国内では目にできる場所は少なく、知名度も極めて低い。音に溢れた環境の中で時間に追われるようにして生活する現代に、エオリアンハープの音を通して風や自然を意識する暮らしを提案したいと考えた。そのため一般住宅の内に設置でき、風鈴のような気軽さで楽しめるプロダクトにすることを研究の目的として、最適な材質と構造を探った。

2 0 0 0 OA 国史館日録

著者
林鵞峯
出版者
巻号頁・発行日
vol.[15],
著者
松永 俊男 Toshio MATSUNAGA 桃山学院大学文学部
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学人間科学 (ISSN:09170227)
巻号頁・発行日
no.20, pp.139-161, 2000-12

Scientific investigation in early nineteenth century England was based on natural theology. The evolutionary theory of Charles Darwin was also based on natural thelogy. Most contemporary scholars and clergy accepted the evolution of organisms as providential evolution, that is, evolution guided by God. Darwinian theory did not reject the idea of providential evolution. Darwinian theory, however, also has a revolutionary factor, which implies a mechanical interpretation of the adaptation of organisms. Modern biologists acknowledge only this revolutionary factor in Darwinism. But in order to understand properly the historical significance of Darwinism, we must recognize the religious factor in Darwinism. In this article we analyse the theological background of Darwinism and survey the contemporary reception of Darwinism.
著者
殷 晴
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.127, no.12, pp.1-38, 2018 (Released:2019-12-20)

邸報(邸抄・京報・京抄とも呼ばれる)とは、宮廷の動静、皇帝の諭旨、大臣の上奏文を日ごとにまとめて掲載した小冊子である。清代の官僚と知識人、そして中国に滞在していた宣教師や外交官にとって、邸報による中央情報の共有は、社会情勢を把握するための重要な手段であった。 しかし、邸報が実際に如何なる過程を通じ、誰の手によって発行され、流通させられたかについては、不明な点が数多く残されている。本稿では邸報の発行と流通過程を解明し、この過程に見られる清朝中央情報の伝播のあり方を考察した。 『大清会典』における邸報についての規定は、実際には遵守されていなかった。諭旨と上奏文を集めて筆写したのは中央官庁に勤務する書吏であり、邸報の印刷も清朝の約三分の二の時期において、民間の商業出版者に委ねられていた。また、邸報の内容には諭旨と上奏文のみならず、王公の従者が私的に探った非公式の政治情報も含まれていた。中央政府は邸報による情報伝播に対し、内容の編集・審査も、印刷と配達用の資金の提供も行わず、誤報が摘発された際に関係者を処罰するという最小限の関与にとどめる姿勢を貫いていた。中央政府が政令を邸報を通じて積極的に公布しようとしたというよりも、むしろ、書吏と業者は地方官をはじめとする人々の中央情報への渇望に応じる形で、政府内部でやり取りされた情報から邸報という商品を作り出し、中央政府がそれを許容したのである。 19世紀末になると、情報発信に対し受け身の姿勢にとどまっていた清朝中央の従来の方針は、近代化の要請に対応できなくなった。こうした状況の下、中央政府は1907年に『政治官報』を発刊し、さらには1911年にそれを『内閣官報』と改称して、「法律、命令の公布機関」と位置づけた。邸報と近代的な官報とでは、政策意図の面でも、発行と流通の仕組みの面でも、根本的に異なると言える。
著者
宗像 鉄雄 永田 眞一
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.74, no.747, pp.2365-2371, 2008-11-25 (Released:2011-03-03)
参考文献数
6
被引用文献数
4 10

Sodium acetate trihydrate is considered as the promising thermal energy storage material due to its high melting enthalpy at the melting temperature of 58°C. However, incongruent melting (phase separation) and remarkable supercooling are made difficult to use. In this study, solidification process of the sodium acetate trihydrate from supercooled state was both experimentally and numerically investigated. On the experiment, effects of supercooling and sodium acetate concentration on the crystal growth rate were measured by varying the supercooling temperature (-48K) and the sodium acetate concentration (40-55wt%) and obtained an empirical equation. Further, simplified crystal growth model, which is based on the experimentally obtained crystal growth rate, was also proposed and the heat release process, which is important for the thermal energy storage equipments, was investigated.

2 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1932年03月26日, 1932-03-26
著者
下妻 光夫 伊達 広行
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ルチル型TiO_2薄膜は、TiO_2/セラミクス構造の界面相互作用により放射線感知が可能で検出器材料として有力であると報告されている。TiO_2薄膜が放射線センサー材料として十分な特性を持っているなら、現在使われている電離箱型やシンチレータ(固体・液体など)更にGM管のような放射線検出センサーの体積を大幅に縮小でき、また使用電圧の低電圧化等が行える事になると考えられる。特に、医療の分野における生体内埋め込み放射線センサーとして使用が可能なら放射線治療などの同時被爆線量管理に威力を発揮するものと考えられる。そこで申請者らは、TiO_2生成材料としてTiCl_4とO_2を考え、トライオード型プラズマCVD法によりTiO_2膜生成を試み、ルチル型膜生成が出来るかについて実験的に明らかにし、そのTiO_2膜を石英板、セラミック(アルミナ、ジルコニア)、Si基板面に成長させ、それぞれの材料基板に対してどのような堆積条件でルチル型薄膜が生成できるかについて実験を行った。更に、TiO_2膜/絶縁物(石英板、セラミック:数mm角)構造の放射線センサーとしての特性評価を行い、臨床に使用が可能であるかと言う所まで一連の研究を行った。TiO_2薄膜とセラミクス(アルミナ、石英)構造の作成試料において、膜厚1μm程度では、X線、γ線照射による出力信号が暗流に埋もれて放射線センサーとして働かないことがわかった。従って、この構造でTiO_2膜を数百nm厚にすることで暗流を減少させることができ、放射線信号が測定されセンサーとして動作することを確認した。この放射線センサーにγ線、X線の強度を変化させ信号強度を測定することでそれらに線形関係が得られ、放射線センサーとして有望であることが判った。また、TiO_2膜より暗流が少ないSiC膜を使うことでS/N比が大きいセンサーを作成することができることを見出した。
著者
鈴木 圭 鳥居 春己
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.199-205, 2016 (Released:2017-02-07)
参考文献数
29

本報では静岡県浜松市における,2種の外来リス(クリハラリスCallosciurus erythraeusおよびフィンレイソンリスC. finlaysonii)の分布拡大状況を報告する.これまで浜松市では,これらの外来リスの分布域は東名高速道路の南側の緑地に接しており,東名高速道路が外来リスの分布拡大を遅らせる障壁となっていると考えられていた.しかし本調査の結果,外来リスの分布域はすでに東名高速道路を越えて北側まで広がっていることがわかった.その分布域は東名高速道路から北側に約2 km離れた緑地にまで拡大していた.本調査で明らかにされた分布の最前線から連続した山塊まではわずか7 kmしか離れておらず,それらの間に緑地や小さな林が点在していることから,外来リスの分布域は容易に拡大しそうであり,今後山塊に到達する可能性が高い.山塊における外来リスの根絶は困難になることが予測されるため,分布域がこれ以上広がる前に早急な対応が必要である.
著者
佐藤 直之 池田 心
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.64-71, 2017-11-03

花札の「こいこい」ゲームは交互2人零和不完全情報ゲームの一種で,様々な媒体で多くの人に遊ばれているが研究例が少なく,人間の上級者に匹敵する人工プレイヤが開発されたという話も聞かない.そのため我々は強化学習の方策勾配法とNeural Fitted Q Iterationを用いて強い「こいこい」プレイヤの実装を試みた.それぞれ盤面の低級な特徴量268個を入力に用いた人工ニューラルネットワークを状態行動価値の推定に用い,簡単なルールベース人工プレイヤとの反復対戦を通じて適切なパラメータの学習を行った.その結果それぞれ対戦相手から搾取した平均スコアは-0.3点と0.5点となった.
著者
岡本 紗知
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.67-72, 2016 (Released:2018-04-07)
参考文献数
11

科学リテラシーの向上には、『科学の本質:Nature of Science(NOS)』を適切に理解する必要がある。本研究は、国内の大学生が NOS をどの程度適切に理解しているかを把握するために実施した。具体的には、入学直後の国立大学 1 年生、理系・文系の各 2 学部に所属する学生を対象にアンケート調査を実施し、NOS(6 テーマ)の理解度を調べた。さらに、学生の所属学部や高校で学んだ理科科目の違いが NOS 理解に影響を与えるかどうかを調べた。その結果、理系と文系の学生間で、NOS の平均的な理解度に有意差は見られないことがわかった。一方、NOS 各テーマに注目した場合、学部や選択理科科目により、理解度の異なる NOS テーマがあることが明らかとなった。特に、科学に対する社会的および文化的影響や、科学研究における想像力・創造力の役割では、学部間で有意差が見られた。また高校で「化学・物理」を選択した場合、「地学」を選択した場合と比べて、科学の暫定的性質をより正しく理解する傾向があることも明らかとなった。本研究から、理科科目の総学習時間ではなく、選択した科目が、NOS の理解に影響を及ぼすことが示唆された。