著者
小田中 悠 吉川 侑輝
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.315-330, 2018

<p> 本稿では,日常的な相互行為における期待の暗黙の調整メカニズムを,ゲーム理論を軸とした数理モデルによって説明することを試みる.その際,Goffmanが「ゲームの面白さ」論文で提示した,「変形ルール」というアイデアを精緻化することを通して,先行研究とは異なり,次の二点を考慮した上でモデル構築を行った.すなわち,人々によるゲーム状況への意味付与のダイナミクスを捉えうること,及び,経験的な検証可能性を考慮した上で,Goffmanのアイデアをフォーマルに記述することを目指した.そして,カラオケ・ボックスにおける次回歌い手の決定場面を分析することによって,本稿の視座が上述した二点の他にも,たとえば,チキンゲームのような,調整ゲームとは異なる均衡選択場面についても見通しをよくするものであることが示唆された.最後に,本稿のモデルが,公共空間における人々の相互行為を支えるルールの探求について,人々に参照されている「望ましさ」の基準(自らの利益よりも他者や集団の利益を優先するための基準)を捉えられるという点で有用なものであることが示唆された.</p>
著者
葛城 浩一
出版者
広島大学高等教育研究開発センター
雑誌
大学論集 (ISSN:03020142)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.161-176, 2015

本研究は,平成25~27年度科学研究費補助金若手研究(B)「大学大衆化時代におけるアカデミック・プロフェッションのあり方に関する研究」(研究代表者:葛城浩一)による研究成果の一部である。
著者
小野寺 美智子
出版者
拓殖大学人文科学研究所
雑誌
拓殖大学論集. 人文・自然・人間科学研究 = The journal of humanities and sciences (ISSN:13446622)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.16-31, 2018-03-25

本論では,空間を指示対象とする言語表現が時間を指示対象として用いられる概念メタファーにおいてLakoff & JohsonとMooreの分類では説明しきれない事例を取り上げ,Langackerの主体性という観点から分析することの有効性を論じた。特に日本語の時間メタファーである「まえ(前)」と「さき(先)」の用法をもとにMooreの議論を検証した。その結果,主体性の観点から日本語の時間メタファーの特性を説明することの意義が示唆された。
著者
足立 加勇
出版者
学習院大学
雑誌
学習院大学人文科学論集 (ISSN:09190791)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.343-374, 2009

Animated manga films are a form of manga consumption reflecting strong popular demand for this art form. This essay focuses on cyborg comics whose unique defining feature is the heroes' self-negation arising from their selfawareness as monsters. Here, taking representative examples, the original comic and its animated version are compared in an effort to highlight the salient differences between manga and anime genres. In the TV animation series Cyborg 009, produced in 1968 at the end of the first anime boom, the heroes were depicted as pure warriors for peace with no reference to their monster nature, which the original manga had stressed. The antiwar message in the animated series was persuasive because peace was considered a universal value. The animated feature Cyborg 009: Super Galaxy Legend, released in 1980 during the second anime boom, however, emphasized the close bonds of fellows as cyborg rather than universal values. In the manga GUNSLINGER GIRL, which coincided with the third anime boom of the 2000s, it is no longer possible for the heroines to embody universal values; they fight simply for bonds between themselves and the man they love. The original manga contained a perspective exterior to human bonding that was capable of objectifying human ties, but in the animated film version, that vantage point cedes its importance; only actors involved in these close relationships are capable of understanding the protagonists' behavior and true motives. In the animation process, we find a disappearance of universal values in response to societal changes, and a corresponding desire for strong, compelling personal bonds. Through the softening of the heroes' and heroines' monster nature, their self-negation loses its critical power, imparting to the human bonds they form an absolute character. The desire for close personal ties has contributed to the success of animated film versions by providing the motivation for psychologically more complex characters. The extreme nature of these bonds, however, has also produced a more narrow-minded, stereotypical view of human nature, bringing manga animation to a developmental impasse.
著者
長谷 実李 青山 和裕
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.53-58, 2019

<p>本研究の目的は,じゃんけんの強さ(弱さ)とその人の性格特徴には相関性があるのか調査し,明らかにすることである。本稿ではその調査方法として,心理検査法として公的にも利用されているYG性格検査を用いて調査協力者の検査結果とじゃんけんの勝ち数を総合し分析し,その結果からじゃんけんと性格特徴にはどのような相関性があるのか検討・考察する。調査の結果,ノンパラメトリック検定の1つであるクラスカル・ウォリス検定を行ったところ,YG性格検査で分類される5つの性格型の各群におけるじゃんけんの勝率に有意差は得られなかった。今後,別の条件を設定したじゃんけんや,他の心理検査法の結果によって異なる結果を得られる可能性があるため,更なる調査が必要である。</p>
著者
三田村 仰 武藤 崇 ミタムラ タカシ ムトウ タカシ Mitamura Takashi Muto Takashi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.57-68, 2012-12-15

研究動向本稿の目的は,わが国での「エビデンスに基づく心理学的実践(evidence-based practice in psychology:EBPP)」の普及を目指し,英国や米国を中心に,どういった問題意識の基に,実証に基づく心理学的実践という考え方が生まれたのかについてその概要を示すことであった。また,その中で,わが国におけるEBPP の普及を目指しておこなわれたアクセプタンス&コミットメント・セラピーのセラピスト養成プログラムの実践を紹介し,わが国でのEBPP の普及の課題と展望を論じた。
著者
関東ローム研究会
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
no.54, pp.32-39, 1961-05-03

表題に示すとおり,これは関東ローム研究の1959年現在の知識を総括したものである.これを要約するとつぎのとおりである.1."関東ローム"の名称には批判があるが,このつかいなれたことばを,"関東地方の洪積世火山灰層"と定義する.2.関東ローム層は,4つの層序的単位,すなわち上から,立川・武蔵野・下末吉および多摩の各層にわけられ,その段丘面上の産状は第1図のようである・3.南関東では関東ローム層は上記のようにわけられるが,北関東の宇都宮付近では,上からA_1・A_2・A_3およびA_4の4層に,前橋付近では,上中および下層にわけられる.これらのローム層の起源は,関東平野の西ないし北西周辺部の火山,すなわち,箱根・富士・赤城・榛名および浅間火山にもとめることができる・4.南北関東のこれらの層序関係は,浮石層・暗色帯・クラック帯などを追跡することによって明らかにされた.これにより,岩宿文化,不二山文化など無土器文化層の層位がたしかめられた.5.ローム層に関連する地形面,堆積物および化石層などの対比により,海面変化の様子がわかった.屏風ガ浦・下末吉および有楽町海侵は,氷河性海面変化と考えられる.6.結論を総合したものが第4図の編年表であり,これは日本の第四紀編年の基準となるものであろう.'(関東ローム研究グループの仕事は永い間にわたり,その成果は,火山灰による第四紀層序学としては,かなり典型的なものである.そのような意味で,本論文は外国向けに,その成果を紹介しようとしてかかれたものである.原稿が完成したのは1960年5月であったが,事情があって印刷されず,今回,地球科学に掲載のはこびとなったものである).
著者
邊 姫京
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.79-94, 2010-10-01

秋田,東京,大阪,兵庫,熊本の5地域を対象に,10歳代から80歳代の話者を含む音声資料(2006-2007年収録)を用い,無声化の生起要因及び無声化生起率の年齢的変化についての考察を行った。分析の結果から無声化生起率はどの地域も音環境の影響を強く受けていること,無声化生起率と音調との関係については兵庫,大阪でもアクセントよりも音環境の影響が大きいことが確認された。無声化生起率にはほぼ全国的に世代差があることをすでに報告したが(邊姫京2007),本稿では,世代間の断層が秋田では60代と50代の間,熊本と大阪では40代と30代の間にあり,兵庫も40代と30代の間に断層がある可能性があること,しかし東京では明確な年齢的違いはないことが確認できた。また,20年前の資料との比較から同一コーホート(同年出生集団)の無声化生起率は,ほぼ同じであることが明らかになった。
著者
宮永 孝
出版者
法政大学社会学部学会
雑誌
社会志林 (ISSN:13445952)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.226-141, 2012-07