著者
伊藤 隆 田中 哲朗 胡振江 武市 正人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.3012-3020, 2002-10-15

``しりとり''を完全情報ゲームとして数学的に定義した``しりとりゲーム''を考えると,グラフ上のゲームとしてモデル化することができる.これは完全情報ゲームであるため理論上は解けることになるが,問題のサイズが大きくなるにつれ全探索は困難となる.本論文では,しりとりゲームに関する解析を行い,ゲームを効率的に探索する手法を提案する.この手法は数理的解析,探索の効率化の2つの部分から成っており,数理的解析としてグラフのより簡単な形への変形を行っている.加えて,しりとりゲームにおける先手の勝率に関して実験,考察を行う.

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著者
小松栄 著
出版者
大阪市
巻号頁・発行日
1944
著者
岡村 陽介 武岡 真司
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.6, pp.673-678, 2013-06-20 (Released:2013-08-28)
参考文献数
36

血小板は, 血液凝固系と連動した巧妙かつ複雑な止血機構を有しており, これらすべての機能を人工系で模倣することは非現実的といっても過言ではない. 感染の危険性がなく長期間保存可能な血小板代替物として, 生体投与可能なナノ粒子に活性化血小板を認識できる分子 (フィブリノーゲンγ鎖C末端ドデカペプチド, HHLGGAKQAGDV: H12) を担持させることで, それが血管損傷部位へ特異的に集積して血栓形成を誘導する起点となり, 集積したナノ粒子によって出血部位を充填し止血能を補助できるとの発想に基づいて, 極めて単純な血小板代替物を設計した. さらに, 血小板凝集を惹起するアデノシン5'-二リン酸 (ADP) をリポソームの内水相に封入することで止血能を増幅させることにも成功している.
著者
小久保 博雅 細谷 俊二 市川 雅幸
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.141, no.4, pp.213-219, 2013 (Released:2013-04-10)
参考文献数
18

プルモザイム®吸入液2.5 mg(有効成分:ドルナーゼ アルファ)は,ヒトデオキシリボヌクレアーゼI(DNase I)遺伝子を用いて作製した遺伝子組換えヒトDNA分解酵素製剤で,「嚢胞性線維症における肺機能の改善」の効能・効果として2012年3月に承認された.嚢胞性線維症患者の痰を用いた試験において痰の流動性増加,コーンプレート粘度の低下がみられ,嚢胞性線維症患者に投与後気道分泌物中でDNase濃度と酵素活性が6時間にわたって維持された.気道内分泌物中に含まれている死滅好中球由来のDNA加水分解により,分泌物の粘稠性を低下させ気道からの除去を容易にすることが,肺機能の改善の主たる作用機序と考えられている.努力肺活量(FVC)が予測値の40%以上である嚢胞性線維症患者を対象に実施された臨床試験において,ネブライザーによる本薬吸入(2.5~10 mg 1日2回)は呼吸1秒量(FEV1)の増加効果を示しFVC,呼吸困難,嚢胞性線維症関連症状等,QOLの改善が認められた.また,第III相試験として気道感染の発症率低下とFEV1の持続的改善効果が示され,抗生物質非経口投与の累積日数および累積入院日数が短縮した.安全性については第III相試験において,すべての被験者で,本剤投与の忍容性に問題はなかった.主な副作用は軽度の発声障害と咽頭炎であった.以上のことから,ドルナーゼ アルファはこれまで十分な治療が施せなかった本邦の嚢胞性線維症患者の肺機能改善に寄与することが期待される.
著者
高木 健太郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.474, 1968-06-20

広沢虎造の浪花節,特に石松の渡船の中での「神田の生れさ」というくだりは何回聞いても飽きぬようだつた。神田明神下の生れ,そこで育つたからだろうか。下町の気風が身に泌みこんでおつて,年をとつても上京して按摩をとらせながら,あんまに「旦那は江戸つ子でやすね」といわれるととても嬉しそうだつた。祖父は下山順一郎であつたが,私も想像しか出来ぬが,母方の姓を名乗つて高木となり,自分の父を知りつつ,名乗れぬような家庭事情に育つたので,何だか暗い影があつたような気もする。一高に入つて実父下山順一郎から植物学の講議を受けたが,出欠をとるとき,父の名だけは"高木"と呼び捨てにするので友人が妙だと思つていたという。 生母も他家に嫁し,父もなく,母方の祖父高木昇三郎に育てられたとか。この人の写真はいつも大切にしていた。負けてたまるかという気概はこの幼少の頃の悲しみに萠しているのかも知れない。環境による江戸つ子の勇み肌と家庭の事情による悲哀,孤独と生来の負けん気が一生を貫いたように今の私には見える。江戸は芯から性に会つていたらしく一高を出て,九大に入学するために,関門を船で渡るときは遠く島流しに遇つたようで涙を流したとか。
著者
平林 達也 杉本 秀樹
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.69, no.Suppliment, pp.24-25, 2006-06-02 (Released:2011-02-17)
参考文献数
2

Color images recorded on photographic films are inherently vulnerable to aging regardless of their highly cultural or historic values. Their colors inescapably fade away in storage. A totally analogue method utilizing the masking technique of tri-color separation is developed and proposed here in below to perfectly restore faded original color film images.
著者
張 允貞
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.361-377, 2012-11-25 (Released:2017-06-15)

日本は石油資源に恵まれない国で,海外石油の確保は戦前期を一貫して日本にとって重大な懸案事項であり続けた。とりわけ,1930年代後半に入るとアメリカ石油の安定的輸入の見通しが不透明になる中で,日本にとっては蘭印石油の確保が喫緊の課題となった。そこで,日本政府はこの問題を解決すべく,1940年9月に「日蘭石油交渉」に乗り出した。本稿の課題は日蘭石油交渉を蘭印側の立場から検討し,その対日石油輸出方針を明らかにすることである。本稿での分析の結果,明らかになったことは次の2点てある。第1に,交渉開始以前において蘭印政府は,日本向けの石油輸出増加に前向きな判断を示しており,その方針は決して消極的なものではなかった。第2に,交渉過程における蘭印側方針の特徴は,状況の推移に応じて方針の変化はあるものの,常に日本に対する一定の配慮を忘れていないことである。蘭印側は航空燃料につき「皆無」の回答を提出した代わりに,日本側の要求していない品目を自ら進んで提示してきた。交渉における成約量はそれ以前の蘭印の対日石油輸出量に比べれば,例年より3〜4倍の輸出増加を意味するものであった。
著者
松永 浩昌 中野 秀樹 石橋 陽一郎 中山 健平
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.178-184,277, 2003-03-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
15
被引用文献数
3 5

日本におけるサメ類の種別・漁法別水揚量を明らかにする目的で,主要な漁港で市場伝票整理に基づくサメ類の水揚量調査を行なった。製品重量では1992-98年の漁法全体で年平均19,600卜ン,延縄で15,000卜ンの内,ヨシキリザメが11,600トン(59%),11,000卜ン(73%)であった。更に生体重量に換算した結果,全漁法で年平均28,700卜ン,延縄23,400トンとなり,同様にヨシキリザメが18,800卜ン(66%),17,800卜ン(76%)であり,何れの場合も6~8割程度がヨシキリザメで占められていた。ヨシキリザメ以外ではネズミザメ,アオザメが10%前後,オナガザメ類が5%程度と,比較的多く水揚されていた。また,これら主要種の水揚量が減少しているような傾向は見られなかった。
著者
本図 愛実
雑誌
宮城教育大学紀要
巻号頁・発行日
vol.42, pp.193-203, 2007

The purpose of this paper is to make clear that constitution of school lunch system and consideration of meaning and issues on school management concerning dietary in school. We can see two prominent movements on dietary in school. One is that dietary education is more introducing to public schools. The other is that some parents refuse to pay school lunch fee while they can afford to pay. These are why the purpose of this study is set. The school lunch system consists of three elements; explicit aims, implicit function and beneficiary evaluation. Explicit aims contain poverty relief, industry protect and secure nutrition. Implicit function has uniform way inside school and making good relationship among the people who have lunch together. Beneficiary evaluation depends on individuals feeling, for example, good taste. Those factors also connect to the mass consumption and supply system. The uniform way inside school brings some stress to teachers, children and parents. However, Jiyu Gakuen, a private school founded in 1921, puts dietary education in the center of school management and attains good education results while it is under uniform way. We should notice public school lunch system is far from the content of The Law of Dietary Education and public schools will have to treat two contradicted things on dietary in schools. Improving the condition for dietary of teachers is also an important issue. It is possible to gain some devices for changing the school lunch system by referring to the dietary education at Jiyu Gakuen.
著者
中林 雅 ハミッド・アブドゥル アハマッド 幸島 司郎
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.116, 2013 (Released:2014-02-14)

本大会では,マレーシア・ボルネオ島に生息する食肉目ジャコウネコ科パームシベットの採食生態について発表を行う.【背景と目的】パームシベットは,発達した犬歯,裂肉歯,短い消化器官等,食肉目に共通する形質を有しながら,果実が食物の 70%以上を占める果実食傾向が強い食肉目である.パームシベットは,消化を阻害する大きな種子を飲み込み,果実を十分に消化しないまま排泄する等,食肉目特有の形態が果実の利用を不利にしているように見え,長い進化史において果実食に適応してきた果実食者とは異なる採食戦略を採ることが考えられる.そこで,パームシベットの採食戦略を明らかにするために,以下の観察を行った.さらに,パームシベットが選択する果実の特徴を明らかにするために,果実中の化学物質の分析を行った.【方法】2012年 12月から 2013年にかけて,結実木で,パームシベットを含む果実食者の採食行動を観察した.観察項目は,結実木を訪れた種,結実木での滞在時間(分),採食時間(秒),果実選択時間(秒)である.また,同一結実木内において,パームシベットが選択した果実と,標準果実の化学物質の組成を,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析し,比較した.【結果と考察】結実木での観察の結果,パームシベット 2種(Paradoxurus hermaphroditus, Arctogalidia trivirgata)の他にサイチョウ(Anthracoceros albirostris)とカニクイザル(Macaca fascicularis)が観察された.パームシベットは,結実木での滞在時間,採食時間,果実選択時間すべてにおいて他の 2種よりも長かった.このことは,パームシベットが利用可能な果実は限定されていることを示唆している.また,パームシベットによって選択された果実は,標準果実よりもグルコース量が有意に多かった.その他の化学物質についても分析を進め,得られた結果を基に考察を行う.
著者
小野 展克
出版者
嘉悦大学研究支援・論集編集委員会
雑誌
嘉悦大学研究論集 = Kaetsu University research review
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.1-17, 2014-10

本研究では、昭和金融恐慌を当時の新聞が、どのようなキーワード、キーセンテンスを使用して報じたのかを分析した。具体的には、片岡直温蔵相の失言に端を発した東京渡辺銀行の取り付け騒ぎを東京朝日新聞、読売新聞、中外商業新報がどのようなキーワードを使って記事化したのかを分析した。昭和金融恐慌は、この東京渡辺銀行の取り付け騒ぎ、鈴木商店の経営不振による台湾銀行の信用不安、台湾銀行の休業という3つの波があり、片岡直温蔵相の失言は、その幕開けとなった事件として注目される。また、先行研究として金解禁をめぐる新聞論調の変化を追った中村宗悦や経済報道のゆらぎ現象の増幅効果を指摘した駒橋恵子らの考察を踏まえ、報道が昭和初期の政策決定に与えた影響も考察した。
著者
磯野 直秀
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
慶應義塾大学日吉紀要 自然科学 (ISSN:09117237)
巻号頁・発行日
no.29, pp.55-65, 2001

江戸時代の日本では独自の博物誌が花開いたが,その軸の一つは薬品会・物産会といわれる展示会であった。その嚆矢は宝暦7年(1757)に江戸で田村藍水が主催した「薬草会」だったが,数年後には大坂や京都でも同様な会が開かれるにいたる。やがて,展示物も薬品以外の動植鉱物に広がるとともに,専門家以外の庶民にも観覧の機会が与えられるようになった。開催地も,のちに名古屋が第四の中心地となる。 ところが,従来は薬品会の年表が無く,いろいろな点で不便を感じることが少なくなかったので,6年ほど前に「薬品会・物産会年表」を作成した(磯野直秀,科学医学資料研究,247号,6-14,1995年)が,その後,それに漏れていた会が相当数あることがわかり,他方では訂正を要する事例もいくつか出てきた。そこで,前報を増訂したのが以下の年表である。残念ながら,江戸・京都・大坂・尾張以外の各地については新しい知見がまったく得られなかったが,その資料発掘は今後に期したい。