著者
沼形 泰枝 江角 由希子 小原 郁夫
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1217-1222, 1999-12-15
参考文献数
26
被引用文献数
1

市販のミネラルウォーターに対する嗜好性を女子短大生と雌ラットで調べた.ミネラルウォーター中のCa, Mg, NaおよびKの含有量は原子吸光分析法,硬度はキレート滴定法で測定した.次に,正常な味覚感受性である女子短大生を経験者とし,ミネラルウォーター4種と水道水を試料として官能評価を行った.一方,ラットは8週齢雌を用いて二瓶選択法により嗜好性試験を行った.ミネラルウォーターの中のCaおよびMgの含有量はラベル表値よりも低く,NaおよびKは高かった.また,硬度はCaおよびMgの含有量から算出される値の薬1.2倍を示した.官能評価に用いたミネラルウォーターの硬度は11.5, 58.3, 81.3, 332.3, 534.0mg/lであり,水道水は38.3mg/lであった.女子短大生,雌ラットとも硬度58.3mg/lのミネラルウォーターにおいて嗜好性が最も高く,硬度300mg/l以上では嗜好性が低下した.これらの結果は,女子短大生と雌ラットにおけるミネラルウォーターの嗜好性は類似しており,硬度約50mg/lが飲み水として最もおいしいということを示唆した.また,ミネラルウォーターにおいてもおいしさの指標をして硬度が使用できることが確認された.
著者
橋本 鉱市 齋藤 崇德 加藤 靖子 千田 恭平
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.61-86, 2012

The graduate schools in Japan have been expanding since 1990's. In this paper, we focused on the doctoral courses of humanities & social sciences which have been limited in research and analysis as compared with natural sciences and analyzed the employment qualifications in the academic market. To put it concretely, we conducted quantitative analysis of application qualifications by using the data of JREC-IN (Japan Research Career Information Network). Through this analysis, we 1) analyzed the employment situation of doctoral students in humanities & social sciences, 2) investigated the qualifications and employability expected in the academic market, and 3) extracted the prospective problems of the doctoral education in humanities & social sciences.
著者
中村 博一
出版者
文教大学大学院言語文化研究科付属言語文化研究所
雑誌
言語と文化 (ISSN:09147977)
巻号頁・発行日
no.23, pp.256-271, 2010

Ninja is said to be the ancient warrior originated in Japan. Nowadays its transnational emerging has been seen globally, even in Sokoto, northern Nigeria where I have conducted field research for Nollywood kungfu film since 2001. In this article, I trace some transnational process of ninja representation outside Japan and consider ways to transform global image into a localized ninja/ninjoji of Sokoto.
著者
坪口 昌恭
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
no.6, pp.71-87, 2004-12

第一章では、アフリカ土着音楽において特徴的な要素であるポリリズムについて、CDやVTR等の音資料から採集・採譜し、その特徴を分析する。第二章では、アフリカ音楽に特有の音律について、音資料から聴取し十二平均律とのずれや傾向を調べる。それらにより、ジャズやブルースのルーツがアフリカ音楽にあるという通説の音楽的裏付けをおこなう。
著者
江口 聡 EGUCHI Satoshi
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.135-150, 2006-12

本稿では、しばしば倫理的に問題があるとされている「性的モノ化(客体化)」の問題を考察する。カントの『倫理学講義』に簡単に触れたあと、M. ヌスバウムの議論を検討する。続いて「モノ化」の(非)倫理性には哲学的な難問があり、「ポルノや売買春は女性をモノ化するから不正だ」というように簡単に言いきれるものではないこと、また、「自由な同意にもとづいたセックスにはまったく問題がない」とも言い切れないことを示したい。最後にセックスの哲学および倫理学の課題について触れる。In this paper, I shall consider the problem of "sexual objectification". I will examine Kant's position in his Lecture on Ethics and Martha Nussbaum's article "Objectification". I will try to show that "sexual objectification" contains many philosophical problems, and we can not simply insist that pornography and prostitution are wrong because they objectify women. Lastly I will comment upon the main subjects and the prospects of the philosophy and ethics of sex.
著者
南部 陽一郎
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.2-8, 2002
参考文献数
4

<p>20年以上前のことだが, 私の生涯と仕事について物理学会誌に書いたことがある.^<1)>今回またこの機会を与えてくださった編集者の方々に前もって感謝の意を表します.さて私の昔の記事を読んでみたら, 1960年半ばごろまでの私の周りに起きたことごとを述べてあるので, 当然今回はその続編ということになる.しかし新しい読者を考慮し, また社会的背景をも含めたいと思って初めからやり直すことにした.</p>
著者
大森 啓太郎 増田 健一 阪口 雅弘 蕪木 由紀子 大野 耕一 辻本 元
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.851-853, 2002-09-25
参考文献数
13

農林水産省に犬のワクチン副反応として報告された311症例を症状別に分類した.狂犬病ワクチンにより副反応を起こした27症例においては消化器症状が最も多く(26%),次いで呼吸・循環器症状(22%),皮膚症状(11%)であった.狂犬病ワクチン以外の単価,混合ワクチンにより副反応を起こした284症例においては,皮膚症状が最も多く(53%),次いで消化器症状(16%),呼吸・循環器症状(14%)であった.311症例中,11症例(3.5%)においてワクチン副反応による死亡が認められた.
著者
榎本 雅夫 森田 裕司 齋藤 明美 安枝 浩
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.39-44, 2009

スギ花粉症の有病率は,日本の「国民病」といえる程に高い.一般的な治療には,マスクやメガネなどを使用したスギ花粉の回避によるセルフケアと第2世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬を用いたメディカルケアがある.しかし,医療機関を受診せず,いわゆる健康食品を利用した「セルフメディケーション」を行っている患者も多い.その1つに,スギ花粉をカプセルに詰めたものがある.2007年2月に,そのカプセル服用後に,アナフィラキシーショックを呈した49歳,女性を経験した.この症例の特異的IgE抗体やヒスタミン遊離試験はスギ花粉に対して陽性であった.内容物に含まれる主要抗原のCryj1量は少なかったが,この製品に含まれるスギ花粉以外にアナフィラキシーショックの原因は考えられず,服用後行ったテニスによる運動誘発アナフィラキシーショックと考えるのが妥当と結論した.
著者
古川 忠延 阿部 修也 安藤 剛寿 岩倉 友哉 志賀 聡子 高橋 哲朗 井形 伸之
雑誌
研究報告 デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.1-6, 2011-10-01

本研究では,センサーや統計等を通じては獲得できない社会的事象の抽出と活用の可能性調査を目的として,犯罪情報を対象に Twitter 投稿の分析をおこなった.分析を通じ,(1) Twitter 上の犯罪関連投稿には,投稿者自身の犯罪の目撃や被害に関する投稿,公共・公的機関が発表した情報等を引用した投稿,ニュース記事の引用という3種類が存在すること,(2) それらの間で記述されている犯罪種別傾向の違いから,Twitter からのみ抽出できる犯罪情報が存在していること,が分かった.また,犯罪関連投稿を自動抽出する実験結果についても報告する.We analyzed criminal Twitter posts. The purpose is to investigate the possibility of extraction of various social phenomena which can not be acquired by a sensor or statistical prediction. Through the analysis, our findings are: (1) There are three types of criminal tweets: user's experience, announce by public institution, and cited news article. (2) By analyzing the difference between these three types of criminal tweets, there may be criminal information existing only on Twitter. We also show the result of an experiment to extract criminal tweets automatically.
著者
小柳 美樹 Yoshiki Koyanagi
雑誌
淑徳大学人文学部研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
no.6, pp.17-27, 2021-03-15

明暦三年(1657年)、吉原遊廓は奥浅草(現在の台東区千束)で新たに誕生する。この地は洪水から江戸城下を守る堤防(日本堤)が築かれる一方で、寺社地や墓地、刑場、ゴミ集積場などが配置された場所であり、江戸城下町の再開発が進む中で遊廓が組み込まれたことが確認できる。発掘調査による地層堆積状況を確認すると、吉原遊廓は後背地砂州上の微高地に立地していることが確認できる。わずか4ヵ月足らずの短期間での造成地業、遊廓完成の要因のひとつとして地理条件を加えることができる。
著者
村井 吉敬
出版者
上智大学
雑誌
上智アジア学 (ISSN:02891417)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.110-128, 1992-12-26

上智大学アジア文化研究所創設10周年記念号
著者
清水 圭介 椙村 憲之
出版者
山梨大学教育人間科学部附属教育実践研究指導センター
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:13454161)
巻号頁・発行日
no.6, pp.101-111, 2000

近年"遊び"を動機とした未成年者による凶悪な事件があいつぎ,その増加はTV ゲームの普及率と著しく一致していることが認められており,凶悪犯罪の影にあるTV ゲームの存在は否めない。しかし,今日これほどまでに家庭に普及したTV ゲームをただ単に「犯罪の温床になるから」という理由だけで完全に抹殺してしまって良いものであろうか? 本研究は,TV ゲームが子供たちに与える心理的影響を検討しつつ,今後の課題としてTV ゲームの持つ魅力を教育あるいは心理療法へ生かす道を探る。子供のゲーム感覚には,両親のTV ゲームに対する意識がかなり大きく左右する。ゲーム自体に慣れた子供では,短時間でもかなり優れたリラクゼーション効果を示す反面,内容が残酷でゲーム設定のかなり細かい箇所まで現実性を追求したソフトでは,使用後に抑鬱感や怒り感情を高める傾向がある。また反復使用により暴力に対する感覚や感受性を麻痺させるソフトもあった。
著者
神田 文人 高澤 美子
出版者
敬愛大学・千葉敬愛短期大学
雑誌
環境情報研究 (ISSN:0919729X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.15-36, 2000-04

この論文は,戦後千葉県各地で入植・開拓が行われ開拓農業協同組合が全県下で113ケ所も組織されたが,それらを総体として取り上げるのではない。三里塚の御料牧場に入植した沖縄県出身者の入植時の非常なる苦労やその組合の推移を辿り,かつその中心となった久米島出身者との関係を追跡したものである。沖縄県人は伝統的に海外や日本本土への移民が多かったが,久米島もその例外ではなかった。その一人に与世盛智郎のようにハワイで薬剤師として活躍していた人材も存在した。その与世盛が戦争最末期以後,日本本土に在住していたので,郷里に帰れなくなった県人とくに久米島出身者を集めて御料牧場の開放に着手し,開放に成功した。与世盛が組合を去った後,組合の経営は娘婿の上江洲智泰ら同じ久米島出身者に委ねられ,ようやく生活の安定が得られたとき,全く突如として成田空港問題が発生し,立ち退きを余儀なくされたのである。この論文は全体の構成を打ち合わせた上で主として神田がまとめたが,その際,数回の聞き取り調査については高澤の協力を得た。とくに沖縄本島での石川友紀・上江洲智泰氏との,久米島での喜久永正・上江洲智隆氏との面談については細部にわたる点検を経て作成されたものである。