著者
永田 素彦 杉万 俊夫
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.48-64, 1993

"Conflict analysis", a kind of meta-game theory, was applied to a conflict which occurred in the development of the Kyoto terminal building. Through a review of relevant newspaper articles and a series of intensive interviews with the players involved (i.e., Kyoto Station Building Development Co., Ltd., Kyoto Buddhism Association, an anti-development citizen's group, and a collection of ordinary citizens), the options available to each player and their preference for possible outcomes were determined. The most plausible solution to the conflict was then predicted in terms of equilibrium solutions. The results show that conflict analysis can be a valuable method for examining the macrostructure of a conflict situation.
著者
天川 葵 川原崎 淑子 玉巻 十紀子
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-10, 1977-12-20

焼肉の前処理として, 鶏肉を清酒, 味淋に浸漬した場合の調理効果を総合的に検索するため, 重量, 乾物量, 粗脂肪, グリコーゲン(多糖類)たんぱく及びフォリン陽性成分の測定を行い, 可消化性ならびに光顕レベルでの形態変化を調べた。(1) 乾物量は, 対照, 清酒, 味淋浸漬の順延多く, 焼肉重量の減少とほゞ逆比例の関係を示した。(2) 粗脂肪量は対照, 味淋, 清酒浸漬の順に加熱による減少量が大きかった。(3) グリコーゲン(多糖類)量は, 清酒浸漬群では変化なく, 味淋浸漬で20時間に約7倍に増加し, 味淋中からのいちじるしい浸透を示唆した。(4) 水に不溶性の蛋白は大きな変化を示さなかったが, 水溶性両分中蛋白, ペプチドを除くフォリン陽性成分は清酒, 味淋浸漬で増加し, 特に時間経過と共に味淋浸清でいちじるしい結果を得た。(5)可消化性は, 清酒20時間ならびに味淋1時間, 20時間の浸漬で増加した。(6) 清酒浸清により, 細胞間隙が狭く, 細胞質の密度が高くなり, 筋線維内部に加熱によって生じた細かい切断が見られた。味淋浸清20時間では, 細胞サイズが生肉に近く回復し, 弾性の低下によって加熱の結果生じた線維の切断が見られた。
著者
大島 明秀
出版者
雅俗の会
雑誌
雅俗 (ISSN:13437577)
巻号頁・発行日
no.12, pp.33-47, 2013-07

20140715誤字修正版。全国に散在する志筑忠雄「阿羅祭亜来歴」(「魯西亜志附録」)写本を収集し、その書誌と異同を検討し、書名の原題を特定し、現時点で志筑原本に最も近いと推察される写本を同定した。その上で、志筑の蘭書原典からの翻訳姿勢を検討したところ、排外的な色彩を帯びた後年の訳述書「鎖国論」とは異なり、「阿羅祭亜来歴」においては、原本に忠実に訳出していたことを突き止めた。
著者
有村 達之 小牧 元 村上 修二 玉川 恵一 西方 宏昭 河合 啓介 野崎 剛弘 瀧井 正人 久保 千春
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.259-269, 2002-04-01
被引用文献数
4

本研究の目的は,アレキシサイミア評価のための改訂版 Beth Israel Hosoital Psychosomatic Questionnaire構造化面接法(SIBIQ)の開発である.SIBIQはアレキシサイミア評定尺度である改訂版BIQの評定に必要な面接ガイドラインと評定基準を含む半構造化面接である.心療内科を受診した45名の患者にSIBIQを実施し,良好な内的一貫性(α=0.91)と評定音間信頼性(ICC=0.82)を得た.また,アレキシサイミア評価の質問紙であるTAS-20との間に正の相関(r=0.49)があり収束妥当性が支持された.因子分析では(1)アレキシサイミア,(2)空想能力の二因子が抽出された.
著者
松田 亮三
出版者
日本医療経済学会
雑誌
日本医療経済学会会報 (ISSN:13449176)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.3-12, 2014-12-01

医療機構へのグローバル化の影響は医薬品等の限定的な範囲でもっぱら議論されてきた。しかし、メディカル・ツーリズムの急激な台頭や包括的自由貿易協定の拡大にあるように、各国医療機構・体制へのグローバル市場の影響はより深くまた大きくなっていく趨勢にある。本論文はグローバル化が医療政策にどのような影響をもたらすか、各国の医療機構・政策がどのような課題に直面しているか、について概観した。まず、グローバル化を地球規模の相互依存性が増大する過程として把握した上で、その過程において福祉国家は動揺しつつも、基本的には存続しており、医療はその重要な構成部分であり続けていることを指摘した。次いで、グローバル化の医療への影響を、金融、労働、医薬品、医療サービス、知識・情報、理念について検討し、それらの多様で複雑な影響を考察した。最後に、グローバル化の中で特に競争の激化や国際的規制環境の変化により、グローバルな議論と圧力をふまえつつ各国の医療政策を形成することがより強く求められるようになってきている点を指摘した。
著者
ラマハン・アブ・ジャイエット・モハマッド・サリクール 粟田 高明 跡部 紘三 アブズル アワル カーン
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学学校教育研究紀要 (ISSN:18806864)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.113-117, 2005

バングラデシュ人民共和国の中等理科教育における,女子生徒の「理科」に対する忌避傾向の理由を調べるために,バングラデシュの中等学校の生徒および教師に対してアンケート調査を行った。アンケート調査は,グレード9および10(中等学校)の270名の生徒および87名の教師を対象に,選択式および自由記述式の項目を用意して行った。必要に応じて生徒の両親に対しても,インタビュー形式で同様の調査を行った。アンケート調査の結果から,バングラデシュの文化的および社会的な背景が,女子生徒の理科に対する忌避傾向に強く影響していることがわかった。また科学技術分野で活躍する女性の科学者や技術者がバングラデシュに極端に少ないこと,理科を学習する女子生徒に対する十分な家族のサポートが期待できないこともあり,そのようなことが女子生徒の理科に対する意欲を失わせていることが判明した。これらの女子生徒の理科に対する忌避傾向をなくすためには,女子生徒に対する理科の学習意欲の向上,両親達の良心の向上などが不可欠である。また女子生徒に対する奨学金の充実や,関連する科学技術分野への登用などの政策立案も加えて必要である。
著者
渡部 正路
出版者
「古代史の海」の会
雑誌
古代史の海 (ISSN:13415522)
巻号頁・発行日
no.75, pp.25-29, 2014-03
著者
片平 理子 池田 とく恵 橘 ゆかり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目 的】 管理栄養士養成教育内容が高度化する中で、食事の基本について学ぶ調理学等の科目の割り当て時間は限られる現状にある。本研究では、食事作りの理解のために「調理を習慣化させる」ことを最終目標として、「野菜を切る操作を含む料理を作る」という条件のみを設定し、学生が自宅で行う実技課題を課した。昨年度の本大会では、課題が学生の食生活に対する関心、調理に対する意欲や自己効力感に及ぼした影響について報告した。今回は、課題実施内容の傾向を分析し、課題の妥当性、難易度、実行可能性を考察し、調理初学者に対する効果的な指導方法を検討した。【方法】管理栄養士養成課程1年生前期の開講科目「調理実習」において、自宅で「野菜を切る操作」を含む調理をする課題を出した。課題は週に1度のペースで前期授業終了までに合計5回課した。全課題終了後に各課題後に提出した料理のレシピを元に、実施内容の詳細と感想・意見をまとめ、ファイル書式で提出させた。提出物から課題の実施状況と課題に対する学生のとらえ方を整理した。【結果】学生が一度の課題に費やした時間は、「30分以内~2時間以上」(頻度が高かったのは、30分~1時間)、使用した野菜は「1~8種類」(同、2~4種類)、行った切り方の種類は「1~6種類」(同、1~3種類)の範囲であった。一方、作った料理は「家の定番」の中から「食べたい料理」を選択する頻度が高く、調理法別では、炒め物・汁物が高く、蒸し物・揚げ物は低い傾向があり、カレー、丼物のような主食・主菜一体型の料理の調理頻度が高かった。調理習慣の無い学生が調理行動を学習するきっかけを提供するという点では、意義のある課題であったと考えられる。調理を学び始めた学生に、効果的に食材や調理法等の知識を広げさせ、様々な技術を習得させるためには、課題各回の目標を設定し、系統的に学ぶ流れを提示する必要があることが示唆された。
著者
山崎 裕二
出版者
日本赤十字看護大学
雑誌
日本赤十字武蔵野短期大学紀要 (ISSN:13461907)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.75-99, 1997

日本赤十字社は, 日清戦争の救護経験から男性看護要員(準備看護人)を本社や支部で養成し戦時に備えることにした。養成期間は10カ月で, 前期5カ月は本社病院や支部養成所(あるいは依託した公私立病院, 陸軍衛戍病院)で看護法や包帯法など学科の教授が行われ, 後期5カ月は陸軍衛戍病院での実務教習が行われた。戦争が起きた場合, 準備看護人には戦地で患者輸送など軍衛生部門を幇助することが求められたため, 生徒には軍の規律や風紀を守ることが厳しく教えられた。卒業後の準備看護人の動向は, 救護法の復習や現況調査のための点呼召集への応召や, 陸軍行事への救護参加, 災害救護への参加, 日赤関連行事への参加, 磨工資格や医術開業免許の取得, 精神病院への就職, などであった。準備看護人生徒の中には, 行政機関の衛生事務などへの就職斡旋を日赤指導層に要望する者もいたが, 日赤は看護婦外勤部の開設のような就職斡旋事業を準備看護人に対しては行わなかった。