著者
遠藤 新
出版者
工学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

米国都市におけるリンケージデザインには3つの現代的課題がある。第一に総合的なオープンスペース計画の策定(Comprehensive Open Space Plan)、第二にグリーン・インフラストラクチャーの計画と整備(Green Infrastructure)、第三に都市内大公園の整備(Great Urban Parks)である。先進的取り組み等を行っている都市群において、これら3つの課題は連動している。特に古くから空洞化に悩んできた旧工業都市では、市内に分散する空地・未利用地の再生(未利用地マネジメント)が総合的オープンスペース計画の主要課題であり、グリーン・インフラストラクチャーの整備や都市内大公園の整備がそのパイロットプロジェクト的な役割を果たしている。
著者
藤井 晴行 古川 聖 諏訪 正樹
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

デザイン知の形成と適用のプロセスを創造的認知プロセスとして解明すること,デザイン研究の方法論を構築することを目的とし,デザインの内部観測と外部観測の融合によって,従来の科学では捉えられないデザイン知を浮き彫りすることを試みた.デザイン主体の会話記録やインタビュー記録を資料とし,概念空間の遷移を創造的認知プロセスの現れとして分析した.概念空間を提示して創造的認知のメタ認知を促進し,概念空間の遷移に現れる影響を考察した.避難行動を生存のためのデザインとみなし,避難行動の証言の構成的構造を抽出した.概念空間を表現する手法の構築,「一人称」的デザイン研究の方法論を構築した.
著者
滝澤 紗矢子
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

第一に、Oliver Wendell Holmes, Jr. "Common Law" 第6講 'Possession'の中で、ホームズがどのように19世紀後半のアメリカで隆盛していた自然権的思考と対峙し、私的取引に対して競争政策の観点から政府規制を行う道を切り開いたかを、具体的に検討した。第二に、ホームズが、裁判官として、どのように自らの法思想を実現していったのかを、Dr. Miles Medical Co. v. John D. Park & Sons Co., 220 U.S. 373 (1911) におけるホームズ反対意見を通じて具体的に検討し、その今日的意義を確認した。
著者
竜岡 久枝
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

新生児期以降の乳児期における児とその母親を対象とし、児のお昼寝・夜寝の睡眠パターンの変遷過程と栄養との関連性について明らかにすることを研究目的とした。乳児の睡眠覚醒リズムは生体時計25時間周期のフリーランリズムを経て発達する(Kleitman, 1953)。その後、視交差上核にある体内時計本来の25時間周期は、明暗周期や母親の生活リズム等の環境要因の影響(time cue)を受け、覚醒・睡眠時間が分岐し夜間の睡眠が統合されて24時間周期の1日リズム(サーカディアンリズム)に発達する(Moor, 1985)。その乳児の睡眠覚醒リズムの発達メカニズムは、上記の脳幹網様体賦活系による睡眠-覚醒サイクルや、松果体でのメラトニン分泌の概日リズムの関与が考えられている。メラトニンは生物の概日リズムを形成するホルモンであり、その合成は外界からの光刺激と中枢の内因性リズムによって調整され、概日リズムを形成している(生山,1995)。メラトニンは血漿、唾液、尿等といった生体物質中に存在し、それらは高速液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフ質量分析、及び放射性免疫検定法により定量可能である。生体試料によっては放射性免疫検定法による報告のみで、測定者への生体侵襲のない測定方法は報告が見あたらない。そこで今回、母親の生体試料中のメラトニン量の測定方法を確立することを課題とした。ELISA法による測定方法について検討したので報告する。メラトニン測定は測定キット(IBL社製)を使用した。生体試料からのメラトニン抽出およびメラトニン誘導体の生成はM.KollmanやH.Kimata等の方法を参考にした。メラトニン標準濃度をサンプルとして既知濃度をトレースし、測定可否を検討した。先行研究から生体試料中のメラトニン濃度は5.2pg/mLであることから、キットの検出限界および検量線から検出限界を測定すると、測定に必要な検出限界は3pg/mL、定量限界は300pg/mLとなった。また、測定に必要なサンプル量は5-10mlとなった。
著者
川口 義弥
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では膵細胞分化における転写因子ptfla発現量の役割を明らかにする目的で、Ptfla遺伝子下流領域を欠失したptfla cbllアリルとptflaにcreをノックインしたptfla creアリルを用い、ptfla (wt/wt), ptfla (cre/wt), ptfla (cbll/cbll), ptfla (cre/cbll)マウスを解析した。胎生12.5日のptfla発現量はそれぞれ1:0.55:0.32:0.14であった。出生時の膵サイズはwt/wtとcre/wtでは差がなかったが、cbll/cbllとcre/cbllは小さく、生後はその順番で発育遅延を生じた。ptflaはdose dependentに膵上皮の増殖を促進し、低発現マウスでは胎生期の膵管様上皮のbranchingと外分泌細胞分化が遅延したが、内分泌細胞分化は正常のタイミングで起こった。lineage tracingでは、一部のptfla低発現細胞は十二指腸上皮細胞と胆管上皮細胞へと運命変更していた。以上で、ptfla発現量が、(1)膵前駆細胞と胆管・十二指腸前駆細胞のレベルと(2)膵内分泌・外分泌細胞分化のレベルで、2段階の運命選択を担う事を示した。興味深いことに、内分泌細胞分化が正常のタイミングで起こるにもかかわらず、cbll/cbllとcre/cbllマウスではインシュリン産生細胞数が少なく、生後糖尿病を発症した。インシュリン産生を開始する時点でptflaの発現は無くなることから、前駆細胞プールの減少が原因と考えられる。この事は、ptflaのSNIPがヒト新生児糖尿病の原因となり得ることを示唆している(論文投稿済・revise中)。
著者
川嶋 四郎 上田 竹志 園田 賢治
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

世界および日本社会における高度情報化の進展につれて、現在、司法の領域とりわけ民事訴訟・民事手続の世界でもICT 化が急速に進展しつつある。しかし、行政・医療等の領域でICT 化が加速度的に進行しているのに比べ、司法領域では、「民事訴訟・ADR 手続のICT 化」はほとんど進捗していなかった。そこで、本研究では、研究者のこれまでの研究成果を踏まえて、法的救済システムとICTシステムとを総合し、統合的な新システムの構築に努めた。2001年の『司法制度改革審議会意見書』での提言の具体化であり、その研究成果は、理論的実践的な評価を加えつつ逐次公表を行ってきた(後掲・論文、著作、学会等の報告を参照)。
著者
増田 一夫 伊達 聖伸 網野 徹哉 杉田 英明 長沢 栄治 村松 真理子 矢口 祐人 安岡 治子 古矢 旬
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

「宗教的近代」を疑問に付す諸現象(宗教の再活性化、保守革命、イスラーム民衆運動)に対して西洋諸社会が警戒を示すなかで、寛容を創出すべき政教分離の制度が、かえってマイノリティ抑圧へと転化する状況が見られる。本研究では、民主主義的諸価値が特定の宗教に対して動員され、グローバル化に伴う社会問題を相対化、隠蔽する様子を分析した。フランスでは、国家が対話しやすいイスラーム教を制度化するという、政教分離に矛盾する動きも見られた。他方で、ナショナル・アイデンティティとしてのライシテ(脱宗教)が、イスラーム系市民を周縁化しつつ、差別、経済格差、植民地主義的な人種主義をめぐる問題提起をむずかしくしている。
著者
M・A Huffman
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

アフリカ・アジアの大型類人猿(チンパンジー、オランウータン)、旧世界ザル(ニホンザル等)と原猿類(ワオキツネザル、ヴェローシファカ)の植物性食物の採食部位およびヒトの民間薬或いは実際に有効な天然化合物として用いられている植物を網羅し、主要な霊長類の潜在的薬用植物のデータベース作成を継続して行っている。この研究は、霊長類の採食生態学的観点から、栄養成分とそれ以外の健康管理に役立つ薬理効果をもつ成分の存在の可能性を探ることを目標としている。作成されるデータベースに基づいて今後の研究対象とすべき霊長類と植物を明らかにし、霊長類における自己治療研究に必要な領野と重点的研究項目を明確にする。本計画の2年間の成果として以下の主な実績を報告する。1)16年度の基盤C研究費でまとめた論文集「A study of primate self-medication」(1989年から2004年の間に申請者の研究グループ(CHIMPP)によって出版された48の論文等)70冊ほどを世界各地の専門家や図書館に配り、共同研究を呼びかけている。2)この出版物の内容を中心に、ウェブサイトを作成した。CHIMPPグループの設立経緯、研究の意義や目標等をまとめて、現在6カ国語(和、中、独、伊、シンハラ、英)に訳されたものを載せた(htt://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shakai-seitai/seitai/huffman/index.html)。2006.03.22現在、既に1563ヒットを受けている。3)各霊長類種の食物データベース作成を継続している。昨年入力が終わったチンパンジー(N=550植物種)、オランウータン(N=551)、ニホンザル(N=515)、シファカ(N=242)、ホエザル(N=109)に関して、それぞれの採食植物品目に対応する民間薬・生薬・天然化合物の文献収集が進んでいる。本年度中に完成したのはチンパンジー(文献12件、36/550薬用とされた植物種)とニホンザル(文献81件、薬用とされた植物287/515種)のである。4)2度スリランカを訪問し、現地生息の野生霊長類のトクザルとハヌマンラングルを10カ所で調査し、現地の共同研究者らとの情報交換、研究打ち合わせを行った。
著者
安井 恒則 高橋 由明 長谷川 治清 守屋 貴司 奥 康平
出版者
阪南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、中国、タイ、ベトナムに進出した自動車産業などの日系企業が現地で直面する管理上の諸問題について、現地企業や欧米企業と比較してどのような特徴があるかの解明に焦点を当てた。とくに、日本的経営の要をなす作業・雇用慣行、協調的な労使関係、企業間の系列関係の3点が、現地でいかなる適応を試みられているかに注目した。本研究が示したのは、製造過程に関連しては強みを生かす取組みが成果を発揮しつつあるものの、それ以外の領域では日本的手法が競争力の源泉として生かされる段階には到達できていないし、その弱点を十分克服することができていないなどの諸点である。
著者
郡 和範
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

4年間で、関連の深い論文34本、まとめの論文を1本執筆したことが最大の成果である。2013年のヒッグス粒子発見を受け、それと無矛盾な最小超対称性理論のパラメーター領域は、厳しく制限されることとなった。そのパラメーターの範囲内で、超対称性粒子がダークマタ―になる条件と、長寿命荷電粒子がビッグバン元素合成に与える悪い影響を逃れる条件を課す場合、さらにパラメーター領域は制限される。我々はsinglinoという粒子を一つ導入することにより超対称性理論を拡張すれば、そのsinglinoがダークマタ―となり、ビッグバン元素合成でのリチウム7問題とリチウム6問題を同時に解決することを示した。
著者
中村 良子
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

宇宙を飛び交っている10^<15.5>eV以下の粒子(宇宙線)は、銀河系内の超新星残骸(SNR)で加速されていると信じられている。しかし、現在見つかっている~TeVまでの加速が行われているSNRは、系内のSNR 270個のうち10個程度しかなく、そのほとんどが爆発からん1000年経った若いSNRとなっている。従って、宇宙線加速とSNRの環境との関係、宇宙線加速の進化、そして宇宙線の主成分である陽子加速については未だ解明されていない。そこで私は加速源の環境と加速の進化を解明するために、(i)爆発から数万年経ったSNRから、電子加速の証拠となるシンクロトロンX線を発見すること、(ii)系内SNRのうちシンクロトロンX線が受かっているサンプルを集め、光度の時間変化を追うことの2点に着目して研究を行った。(i)については、古いSNR W28と、CTBS7Bという2つのSNRがら初めてシンクロトロンX線を発見した。次に、(ii)に述べたサンプルにW28とCTB37Bのデータを加え、光度の時間変化を見た。その結果、年齢の若いSNRはシンクロトロンX線の光度が10^<34>erg/secと明るく、古くなるにつれて光度がさがる傾向が見られた。この傾向を説明するために、我々はSNRの進化に基づいて衝撃波の速度、磁場、電子の最高エネルギーを計算し、シンクロトロンX線の半径に対する光度を求める簡単なモデルを構築した。その結果、プラズマの密度が0.01-1cm^<-3>の時に観測データを良く再現でき、密度が低い環境下にあるSNRほど高いエネルギーまで電子が加速され、加速のタイムスケールも長くなること発見した。同様のモデルを宇宙線の主成分である陽子加速にも適用した。その結果、陽子はSNRの進化の早い時期に一気に~1015eVまで加速されること、また最高到達エネルギーの密度依存性が小さいことがわかった。このように電子加速、陽子加速の進化を追った研究は世界で初めてであり、モデルを構築することによって宇宙線加速と環境の関わりを示唆できたことは、宇宙線加速解明への重要な成果であると言える。
著者
花見 仁史 吉森 久
出版者
岩手大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

本補助金によって、X線、電波を含む追観測が実現できた。これにより、1)多波長深宇宙探査で検出した10万個の銀河データベースを再構築をし、2)多波長スペクトル解析から赤方偏移、星質量、星形成率、ダスト量を再導出し、3)星形成と銀河中心核(AGN)の活動性を赤外線ー電波スペクトルで分離して、1000個のz<3の赤外線銀河を星形成銀河、AGN銀河、星形成+AGN銀河に再分類し、4)AGNのブラックホールへの質量膠着率を再導出し、5)z<0.8でのAGNによる星形成の抑制傾向などを明らかにした。一方、銀河の系統樹を再構築する統計的因果推論については、多波長データの誤差評価が今後の課題と残された。
著者
ボッレーガラ ダヌシカ
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

二つの対象物(エンティティ)間の関係Rを定義するためには2種類の方法がある。一つの方法はその関係にあるエンティティのペアを挙げることである(外延的定義,extensional definition)。もう一方の方法は関係Rを語彙パターンで表現することである(内包的定義,intensional definition)。本研究では、この双対となる関係の定義に基づくクラスタリング手法を提案し、それを用い関係抽出を行う。提案するクラスタリング手法の一つの特徴としては語彙パターンとentityペアを「同時に」クラスタリングすることであり、このように「お互い何らかの制約を満たしている二つの量を同時にクラスタリングする」クラスタリングアルゴリズムは統一的にco-clustering(共クラスタリング)アルゴリズムと呼ばれている。本研究もこのco-clusteringアルゴリズムの一種であり、関係の異なる定義の双対性という制約に基づいて実現する点に特徴がある。教師なし学習であるクラスタリングによるので、訓練用データを必要としない。co-clusteringによりentityペアの関係種別クラスタリングに使う特徴量となる語彙パターンも同時にクラスタリングするので、特徴次元を圧縮し安定的なクラスタリングを可能にする特徴をゆうする。Webのような膨大なテキストコーパスからエンティティ間の関係を抽出する際に、膨大な数のエンティティペアと語彙パターンを同時にco-clusteringする必要があるため計算量の小さいアルゴリズムが重要である。本研究ではオーダー0(nlogn)の計算量でco-clusteringできるsequential co-clusteringアルゴリズムを提案し評価した。
著者
堤 英俊
出版者
旭出学園教育研究所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

<研究局的>ある一人の発達障害生徒(Z君)の自己語りの分析から、特別支援学校中学部に通う発達障害生徒の自己の様態に関する仮説を生成するとともに、その自己語りが生み出される文化的・社会的文脈について考察することを目的とした。<研究方法>保護者・本人の了解のもと、Z君との個別指導の時間の一部で、インタビュー・データを収集した。エピソードを引き出すことを念頭に、本人の特性を踏まえたライフストーリーワーク教材(ワークシート等)を作成した。データ収集は、主にICレコーダーを使って行った。録音データは、文字起こし作業を行った上で分析材料とした。<研究成果>Z君は、以前在籍していた小学校(通常学級)と現在在籍する中学校(特別支援学校中学部)では学習内容の難易度が異なる(小学校の方か難しい)とし、小学校(通常学級)への在籍には「学力(本人の意味する)」による条件があると語った。ただし、現在在籍する中学校(特別支援学校)の同級生の約半数は「学力(本人の意味する)」の条件をクリアしており、少なくとも自分は「ゆるい学校が好き」という理由から現在の中学校を選択し入学してきたと語った。こうした語りから、Z君において小学校通常学級と特別支援学校中学部は、異なる性質を持つ場として認識されつつも、分離した場としてではなく、質的に連続する場として認識されていることが理解できた。そして、その背景要因として、特別支援学校が障害児の学校であることが意図的に伏せられていること、本人の見なす「幼馴染」「いじめっ子」「自分より頭のいい人」「おしゃべり相手」が両校に共通して存在していることなどが関係していることが分かった。
著者
村上 幸史
出版者
神戸山手大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は「個人が成功や幸福を得るための資源には限りがある」という考え方の中でも、特に特定の社会での限定説(「対人的定量観」)と主観的幸福感の関連性について検討を行った。その結果「対人的定量観」を持つ者は主観的幸福感が低く、競争的達成動機も高く、不幸の程度を相対的に判断しやすいことが示唆された。この影響はweb上でニュースを判断する実験を通して、他者の不幸を非難する傾向や喜ぶ(シャーデンフロイデ得点)傾向の形でも示された。このような観点から主観的幸福感を維持する過程は、幸福感を高めることに関する負の影響と考えられる。
著者
浅川 晋 齋藤 雅典
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

有機栽培・冬期湛水が土壌微生物群集に及ぼす影響を明らかにするため、冬期湛水を含む有機栽培試験水田圃場を対象に、土壌微生物群集を分子生態学的手法により解析した。水田作土中の土壌微生物(細菌、糸状菌、メタン生成古細菌)の群集構成と存在量は有機栽培と冬期湛水により大きな影響を受けなかった。これらは水田生態系の持続性や恒常性を土壌生物性の面から示唆する知見であり、環境保全や生物多様性の保全といった水田の機能を維持するという視点からは望ましいと考えられた。
著者
片岡 洋行 齋藤 啓太
出版者
就実大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ファイバー固相マイクロ抽出(SPME)法またはインチューブSPME法を用いて皮膚ガス及び皮膚滲出液中の揮発成分や唾液成分を非侵襲的かつ簡便迅速にサンプリング、抽出濃縮した後、ガスクロマトグラフ-質量分析(GC-MS)法または液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)法との連結により高感度分析する方法を開発した。ファイバーSPME/GC-MS法を用いて、揮発性アルデヒド類や含硫化合物などの体臭成分の分析法を確立し、喫煙や食品摂取の影響を解析した。また、インチューブSPME/GC-MS法を用いて、コルチゾールやテストステロンなどのストレス・疲労関連ホルモン類や8-イソプロスタン及び8-OHdGなどの酸化ストレス関連化合物の自動分析法を確立し、喫煙による酸化ストレスの影響を解析した。これらの方法は、口臭や体臭の診断、疾病診断への応用が期待される。
著者
茅野 理恵
出版者
長野県教育委員会
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

目的:本研究では,児童生徒がどのような体験を喪失体験として感じているのか,そして教師は児童生徒がどのような喪失の体験をしていると考えているのかを明らかにし,さらに兜童生徒の認識と教師の認識との差異を検討することを目的とする。調査方法:質問紙調査法。対象者:大学生268名,教師324名(小103名,中109名,高112名)。調査時期:大学生2010年11月~12月。教師2011年9月~12月。大学生への実施については,臨床心理を専門とする研究協力者が調査実施前に喪失についての質問があることを説明し,最近喪失体験をした者や思い出すことが辛い経験をしている者は回答しないようお願いをした。調査内容:大学生は、小学校から高等学校までを振り返って「失った」と感じた出来事についてその内容を自由記述。教師は,児童生徒が学校生活の中で「失った」と感じるであろう出来事にはどのようなものがあると考えるか自由記述で回答を求めた。結果と考察:自由記述の回答をKJ法によって分類した結果,大学生の回答〔小学生〕,〔中学生〕,〔高校生〕,教師の回答〔小学校教師〕,〔中学校教師〕,〔高等学校教師〕の全てで共通する分類項目は「死別体験」,「親の離婚・不和」,「ケガ・病気」,「いじめ・対人関係トラブル」,「大切な物の紛失・破損」,「部活での敗北」,「学習のつまずき・受験の失敗」,「卒業」,「友人の転校・退学」,「自身の転校」であった。小・中のみに共通であったのは「教師からの叱責」。中・高では「失恋」,「メンバーや委員の落選」であった。児童生徒にのみ見られた項目は,中・高に共通で「キャラを演じること」,「夢の実現が不可能と知った時」,「以前は感じられた感情になれなかった時」であった。教師のみに見られた項目は,小・中に共通で「虐待」,「クラス替え・教師の転任」,「嘘の露見」,中・高で「目標の達成」,「不登校」であった。児童生徒の経験と教師のとらえは多くが共通していた。大学生の回答にのみ分類された項目に注目すると,人や物などの実態のあるものの喪失が伴わず,自分の中での感情の動きによってのみで生じている出来事であるととらえることができる。今後の課題:本研究では,何かを「失った」と感じた出来事についての調査を行ったが,その出来事によって具体的に何を失ったと感じたのかまで検討できていない。今後,この喪失感の構造についてより明らかにしていきたいと考える。また,本研究の結果からは,教師が児童生徒が喪失感を抱いているであろうと思われる体験の多くをとらえることができていると考えられた。しかし,茅野(2010)にあるように,その喪失体験が児童生徒にもたらす影響については十分に認識されてはいない。今後,喪失感がどのような問題につながる可能性がるのかの認識を高め,より適切なサポートの在り方を検討し,いかに実践していけるかが今後の課題である。
著者
関谷 龍一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

PLAGL2(Pleimorphic adenoma gene like-2)は卵巣癌で発現が見られる転写因子である。今回卵巣癌におけるPLAGL2の機能解析を行った。卵巣癌細胞においてPLAGL2を抑制させると細胞骨格および細胞遊走能に変化を認めることが分かった。この変化はアクチン骨格の構成に必要なRhoA、Rac1などのRho GTPaseの活性が関与していることが示唆され、特に細胞骨格にはRhoA、細胞遊走にはRac1が強く関与していた。また、Rac1の変化にはRacに特異的なGTPae結合タンパクであるCHN1(chimerin1)も関与していることが示唆された。
著者
及川 佐枝子 市原 学 久保 雅敬
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、近年化粧品や食品などに広く利用されている二酸化チタンや酸化亜鉛のナノ粒子について、THP-1マクロファージ様細胞および大腸癌細胞Caco2を用いて炎症反応の誘導および炎症性疾患増悪作用の検討を行った。その結果、二酸化チタンのナノ粒子による炎症反応誘導作用は、ルチル型よりアナターゼ型で強く認められた。また、THP-1マクロファージ様細胞において、酸化亜鉛のナノ粒子により粥状動脈硬化進行の原因とされるマクロファージ泡沫化の促進が認められたが、二酸化チタンのナノ粒子では認められなかった。酸化亜鉛ナノ粒子はマクロファージの泡沫化を促進し、粥状動脈硬化症を増悪する可能性が示唆された。