著者
白川 久志
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア
巻号頁・発行日
vol.52, no.10, pp.960, 2016

さて、標題の話しを耳にした時、皆さんはどちらの反応をしますか?<br>A,"こんな都会にもカブトムシっているんだ。クワガタムシも捕まえられるかな?"<br>B,"レアキャラのゲットいいね。僕はそこの公園ではピカチュウしか捕まえられなかったよ。"<br>私は最近、長男の趣味に付き合ってクワガタ・カブトムシを採集に行くようになったのでもちろん"A"の反応でした。しかし、本当は最近世間で大流行の「Pokémon GO」のゲームの話しだったようで、"カブト"とはカブトガニのモンスターとのことなので、"B"の対応が正かったのです。カブト=カブトムシという"先入観"が招いた勘違いでした。
著者
渡辺 由加利
出版者
札幌市立大学
雑誌
札幌市立大学研究論文集 = SCU Journal of Design & Nursing (ISSN:18819427)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-36, 2013-03-31

本研究の目的は,妊娠末期にある妻と夫からみた夫婦関係の実態と夫婦関係に関連する要因について分析することである.対象は,初妊婦とその夫で妻224名,夫177名であった.調査方法は,自記式質問紙法で,質問紙の内容は,夫婦関係(結婚満足度,情緒的関係,意見の一致度,意見の不一致時の対処,共同行動,会話時間,出産育児の会話,家事),結婚と妊娠の状態,身体的・心理的状態である.調査の結果,夫の結婚満足度は妻より有意に高かった(p=.000).妻と夫いずれも情緒的関係は高得点であった.妻と夫いずれも結婚満足度と情緒的関係が他の要因に比べ高い関連があり(妻rs=.603,夫rs=.500),夫婦間の情緒的関係は,妊娠期の夫婦関係において中核となる要因であり,情緒的関係に視点をおいた援助の重要性が示唆された.

2 0 0 0 OA 国訳大蔵経

著者
国民文庫刊行会 編
出版者
国民文庫刊行会
巻号頁・発行日
vol.経部 第7巻, 1936
著者
中村 剛治郎
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.275-298, 2012-12-30 (Released:2017-05-19)
被引用文献数
1

現代においては,既存の経済活動を維持することが難しくなり,経済発展を牽引する革新的な経済活動を創出すること,そのための制度的な環境を準備することが重要になっている.結果としての経済地理を描くだけでなく,経済発展のための制度的環境を創り出して,経済と地理の新しい結びつきを生みだすことが,経済地理研究の現代的課題になっている.筆者は,経済と地理の間に,経済発展のための制度的環境としての地域(地域社会・文化・政治・環境・経済)という概念を入れて,地域における諸アクターの関係性の蓄積が作りだす地域の制度や制度的構造が経済発展にどのような影響を与えるか,それらを部分的に変えようとする制度的設計,地域的制度的仕掛けが新たな経済発展の経路を拓けるかを検討する方法が必要と考える.筆者は地域政治経済学的アプローチを,主体重視の発展論的で動態的な比較地域制度アプローチとして展開しつつある.本稿は,この視点から,筆者のこれまでの事例研究のうちのいくつかを整理し直して紹介し,現代の経済地理あるいは地域経済の抱える構造的問題と政策研究の課題を明らかにしようとするものである.はじめに,筆者の動態的比較地域制度アプローチに言及した上で,内発的発展という地域の論理をもちえずに外発的成長の国民的論理に翻弄された山間地域,地域の論理をもちながら国民的論理に組み込まれた大都市地域,国民的制度構造のもとで独自の内発的発展をしてきた地方都市,東京一極集中の問題性,外発的成長から内発的知識経済に変わった米国の都市,辺境の分工場経済から内発的知識経済に発展した北欧の都市を取り上げ,最後に震災復興の地域産業政策に言及する.
著者
高松 礼奈 Takamatsu Reina タカマツ レイナ
出版者
大阪大学大学院 人間科学研究科 対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 = Japanese journal of interpersonal and social psychology (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.18, pp.53-59, 2018-03

原著本研究は、人身的ジレンマを判断課題に使用し、多くの人びとを救うことを目的とした特定の他者への危害の肯定に影響を与える要因として共感を検討した。そこで、犠牲となる特定の他者に対する共感を操作し、危害の肯定率に変化が生じるか質問紙実験を行った。結果、犠牲者に共感しにくい社会的属性をフレーミングしたところ(低共感条件)、直接的危害を与える功利主義判断をする傾向が高くなった。また、犠牲者に共感するよう教示してから判断課題を行なったところ(高共感条件)、危害を与える功利主義判断をする傾向が低くなった。このことから、ジレンマ状況において、共感を操作するフレーミングは功利主義判断に影響を及ぼすことが示された。The present study examined the effect of empathy on utilitarian judgment in sacrificial dilemmas by manipulating empathy with a victim. Results showed that participants who read a modified version of Footbridge dilemma in which the victim is described as a released convict were more willing to sacrifice him to save more people. In the empathy-inducing condition, participants performed a perspective-taking task to increase empathic concern for the victim and were less likely to make utilitarian judgment. These suggest that utilitarian judgment in high-conflict dilemmas is not only based on a calculation of greater good, but is also susceptible to interpersonal cues, such as empathy with the victim.
著者
唐沢 孝一
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.25, no.100, pp.94-100, 1976-12-30 (Released:2007-09-28)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

1975年9月から1976年3月まで,東京の北東部にある水元公園で,モズのハヤニエの季節的消長について調査を行なった.1)観察したハヤニエ129個体のうち,120個体(92%)が11月~1月の3ヶ月間に集中してつくられた.ハヤニエ消失時期は,12月~2月で,特に2月が多く,45個体が消失した.2) 10月~11月には,コオロギ,イナゴなどの昆虫類やウシガエルなどが多く,12月~2月には,魚類(モツゴ,タイリクバラタナゴ)や甲殼類のような水中動物,あるいはミミズのような土壌動物が増加する傾向がみられた.3) ハヤニエがつくられてから消失するまでの期間は,1~2ヶ月以内が最も多く,全体の93.7%であった.3ヶ月以上たったハヤニエは固くなり,あるいは変色したりして,食用に適さない状態であった. 4) モズの個体数の季節変化とハヤニエ数の関係は,Fig.2に示したように,秋の高鳴きの激しい9月~10月にモズの個体数は1日あたりの最大値22羽に達したが,ハヤニエ数は3個体であった.冬期テリトリーの確立した11月~2月には,モズの個体数は4羽に減少したまま安定し,ハヤニエ数は急増した.5) 公園内に分散したモズの冬期テリトリーは4つで,各テリトリー内にはハヤニエを集中的につくる場所がみられた.この集中場所は.ハヤニエのつくりやすい場所(有刺鉄線,樹枝)の分布とほぼ一致していた.6) 冬期,ハヤニエがテリトリー内で利用される可能性について多少考察した.
著者
奥田 賢 美濃羽 靖 高原 光 小椋 純一
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.19-26, 2007
参考文献数
20
被引用文献数
2

京都市周辺の都市近郊二次林において,近年,分布を拡大しているシイ林について,その拡大過程を解明し,今後のシイ林の拡大について考察した。2004年に撮影したデジタルオルソフォトおよび1987年,1975年,1961年撮影の空中写真を判読することによって,各年のシイの樹冠分布図を作成し,さらに1936年のシイ林の分布図も併せて比較を行うことでシイの分布拡大過程を解明した。また,現地踏査によって林冠下のシイの分布図作成を行うことによって,現在のシイの分布状況を把握した。その結果,以下のことが明らかになった。1)シイは1961年以降に分布を拡大した。2)シイの全樹冠面積は1961年には6.9haであったが2004年には32.1haに達した。3)2004年の時点で調査地の東側斜面において林冠に達しているシイはほとんどなかった。4)しかし,現地踏査によって,東側斜面の林冠下にシイの分布が確認された。このような東山における1960年代以降のシイ林拡大は,1960年代から始まったガス,電気の普及に伴う,柴刈りなどによる森林への人為的な影響の減少や1970年代以降のマツ材線虫病によるマツ枯れが遷移を促進させたことなどが考えられた。また,2004年の時点で林冠にシイが確認されなかった東側斜面の多くの地域で林冠下にシイが確認されたことから,今後,シイ林は東側斜面でさらに拡大する可能性が高いと考えられた。
著者
Takeshi Yagyu Satoshi Yasuda Noritoshi Nagaya Kaori Doi Takeshi Nakatani Kazuhiro Satomi Wataru Shimizu Kengo Kusano Toshihisa Anzai Teruo Noguchi Hajime Ohgushi Soichiro Kitamura Kenji Kangawa Hisao Ogawa
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.CJ-18-1179, (Released:2019-05-17)
参考文献数
45
被引用文献数
11

Background:Mesenchymal stem cells (MSCs), which have the potential to differentiate into cardiomyocytes or vascular endothelial cells, have been used clinically as therapy for cardiomyopathy. In this study, we aimed to evaluate the long-term follow-up results.Methods and Results:We studied 8 patients with symptomatic heart failure (HF) on guideline-directed therapy (ischemic cardiomyopathy, n=3; nonischemic cardiomyopathy, n=5) who underwent intracardiac MSC transplantation using a catheter-based injection method between May 2004 and April 2006. Major adverse events and hospitalizations were investigated up to 10 years afterward. Compared with baseline, there were no significant differences in B-type natriuretic peptide (BNP) (from 211 to 173 pg/mL), left ventricular ejection fraction (LVEF) (from 24% to 26%), and peak oxygen uptake (from 16.5 to 19.2 mL/min/kg) at 2 months. During the follow-up period, no patients experienced serious adverse events such as arrhythmias. Three patients died of pneumonia in the 1st year, liver cancer in the 6th year, and HF in the 7th year. Of the remaining 5 patients, 3 patients were hospitalized for exacerbated HF, 1 of whom required heart transplantation in the 2nd year; 2 patients survived for 10 years without worsening HF.Conclusions:The results of this exploratory study of intracardiac MSCs administration suggest further research regarding the feasibility and efficacy is warranted.
著者
高橋 絵里香
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第46回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.132, 2012 (Released:2012-03-28)

本発表は、トーベ・ヤンソン著「ムーミン」童話シリーズを題材として、フィンランドの家族概念を社会思想として理解し、外縁としての共同体との関係を明らかにすることを目指す。ムーミン物語における家族描写にはリベラルと保守という対極的な思想が混在しており、それはフィンランドの家族のかたちを反映している。こうした物語構造の分析を通じて、フィンランドの保守/リベラルをめぐる社会思想の軸を理解していく。
著者
辻 富基美 高橋 隼 篠崎 和弘
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.59-63, 2011 (Released:2011-06-30)
参考文献数
7

てんかん患者がもつ発作後精神病の予防にlamotrigineが有効であった3例を報告する。3症例は全て側頭葉てんかんと診断され、てんかんの発症から17~27年時に発作後精神病が出現した。発作型はいずれも複雑部分発作であり、十分な抗てんかん薬を投与したにもかかわらず、月1回以上の発作があった。精神病エピソードはこれまでに2~5回以上であったが、ラモトリギンの投与後10~12カ月の期間では精神病エピソードの再発がなかった。発作頻度はラモトリギンにより1症例は群発発作が消失し、2症例は発作頻度が減少した。この群発発作の消失、発作頻度の減少が発作後精神病の再発を予防した可能性がある。一般的にラモトリギンは精神病症状を引き起こす副作用の頻度が小さい。これらのことより、発作後精神病の予防ための抗てんかん薬として有用な可能性がある。
著者
江田 香織 伊藤 正哉 杉江 征
出版者
Japanese Society of Sport Psychology
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.37-47, 2009 (Released:2009-05-08)
参考文献数
31
被引用文献数
1 2

The purpose of this study was to examine the effects of sense of authenticity (SOA) and contingent self-esteem (CSE) in college athletes' self-development on their mental health. University students (n =241) answered the sense of authenticity scale (SOAS) and the contingent self-esteem scale (CSES) administered as indicators of self-development, and the General Health Questionnaire-28 (GHQ-28: somatic complaints, anxiety and insomnia, and severe depression). They were classified as athletes (n =156) or non-athletes (n =85). The results of examining the effect of SOA and CSE were as follows. SOA promoted the mental health in athletes and non-athletes. CSE promoted anxiety and insomnia in athletes, but showed no effect on any subscales of the GHQ-28 in non-athletes. Almost no difference in CSE was seen between athletes and non-athletes, although SOA was higher in athletes than non-athletes. The effect of CSE on anxiety and insomnia among athletes did not disappear with the influence of SOA. It has been suggested that SOA and CSE are located at opposite poles conceptually. However, the commitment of athletes to the athletic setting was promoted by their self-worth contingent on sporting achievements, which lead to performance enhancement. This indicates that neither SOA nor CSE is necessarily located at opposite poles conceptually for athletes. These results suggest first the possibility that there are states of SOA and CSE characteristic to athletes, and second the need to consider self-development from both of SOA and CSE in relation to athletes.

2 0 0 0 OA 近世史談

著者
北垣恭次郎 著
出版者
蘆田書店
巻号頁・発行日
vol.巻3, 1928
著者
川崎 健
巻号頁・発行日
no.13, pp.95-107, 1959 (Released:2014-08-22)

1 マアジの漁獲量は戦後急激に増大した。これは主として、資源量の増大によるものと考えられる。2 北上魚群の主群は、7月から9月にかけて太平洋岸を北上して青森県沖に達し、そこに11月まで滞泳し、又日本海岸では4月から6月にかけて北上して秋田県沖に達し、そこに11月まで滞泳している。3 マアジの主群は、太平洋岸では20~21℃の水帯と共に北上する。4 太平洋・日本海両岸に於て、北程高年魚の割合が少ない。5 マアジの1回の平均産卵数は、体長15cmのもので20,000、20cmのもので50,000、25cmのもので100,000、30cmのもので180,000と考えられる。6 初めて成熟する体長は14cmと考えられる。7 東北海区で採集された稚魚・幼魚の体長分布から、産卵は沿岸で行われると推定される。産卵期の中心は7月と考えられる。8 マアジでは、体長10cm前後で大きな生理的・生態的変化が起こるものと思われる。9 マアジはプランクトン食性であり、一度に体重の1.1~1.3%の餌を取るものと考えられる。10 楯鱗数および鰓把数には南北の傾斜が認められる。
著者
瀧 和夫 関 竜宏 物部 長順 加藤 耕一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.425-430, 2007-10-13 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8

生態系保全を重視した富栄養化湖沼の水質改善のためには, 異常増殖した植物プランクトンのみならず栄養塩も含めた除去が必要であり, その除去物も資源として捉えるべきである。本研究では, 浮上分離技術を用いてマグネシウム化合物による植物プランクトンおよび湖水中のアンモニア性窒素, リン酸性リンの除去可能性について検討した. 結果, 効果的な浮上除去に至らなかったが, 水酸化マグネシウムの凝集効果による固液分離ならびに原水のpHを制御することで, 各pHでのPO4-PおよびNH3-N除去量の総和および除去率は0.25mg-P/L (90%), 0.10mg-N/L (17%) と同時除去可能であった。以上より, 植物プランクトンおよび栄養塩の同時処理による水質改善, リン資源回収の可能性が見出された。