著者
津田 博史 多田 舞 山本 俊樹 一藤 裕 曽根原 登 椿 広計
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.442-451, 2013-12-07 (Released:2014-02-07)
参考文献数
4
被引用文献数
1

本研究の目的は,地域観光の政策実行主体である自治体やホテルなどの宿泊施設事業者が,データに基づいた合理的な観光政策,事業経営を実施するための情報収集・データ解析理論,方法を研究することである.本研究では,Webサイトから収集したホテル空室データや観光情報を用いて,日次で宿泊施設の稼働率を推定し,また,宿泊施設であるホテルの人気の要因を分析した.今回の研究目的の1つ目として,京都市の観光政策の経済波及効果を捉えるために,京都市内のホテルの客室稼働率を推定することとした.2つ目の目的として,人気ホテルの要因を解明することとした.実証分析結果により,京都市内のホテルの客室稼働率,および,ホテルの人気の要因に関して新しい知見が得られた.
著者
岩月 幸一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.452-458, 2013 (Released:2013-06-25)
参考文献数
61

完全脊髄損傷慢性期に対する嗅粘膜移植法においては, 運動機能の部分的回復およびそれに伴う随意性の筋電図の出現が報告されている. しかし筋電図の出現は, 電気生理学的に皮質脊髄路の再構築を証明するものではない. われわれは完全脊髄損傷慢性期患者4名に対し本法を施行したが, 4例中2例において6カ月後より運動機能の改善がみられ, うち1例では装具を用いた立位保持や歩行器を用いた歩行が可能となった. 4名いずれの患者においても, 日常生活上何らかの運動機能改善がみられた. また1例において, 大脳運動野の経頭蓋磁気刺激により下肢筋において運動誘発電位が認められ, 錘体路の接続性を世界で初めて電気生理学的に明らかにした.
著者
鈴木 聡 森松 博史 江木 盛時 清水 一好 松崎 孝 佐藤 哲文 片山 浩 森田 潔
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.215-220, 2011-04-01 (Released:2011-10-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

術後の発作性心房細動の発生は,ICUや病院滞在日数,医療費の増加につながることが報告されており,その管理は重要である。我々は,食道癌術後に難治性の発作性心房細動を合併し,短時間作用型β1選択的遮断薬である塩酸ランジオロールを使用した7例を経験した。症例は51~87歳で,いずれも男性であった。複数の抗不整脈薬が無効であり,塩酸ランジオロール投与を開始した。初期の急速投与は行わず,4.3~33.5μg/kg/minと低用量の範囲で開始し,投与前と投与1時間後の心拍数は平均153[140, 167][95%信頼区間] /minから101[88, 116] /min(P<0.0001)と有意な低下を認めた。平均血圧は88[78, 94] mmHgから82[74, 89] mmHg(P=0.37)と有意な変化を認めず,重症な低血圧に陥る症例もなかった。6例では投与開始24時間以内に洞調律に回復した。複数の抗不整脈薬に抵抗性の食道癌術後発作性心房細動に対する低用量の塩酸ランジオロール投与は,大きな血圧の低下なく心拍数の安定をもたらした。
著者
原 信之 大田 満夫 古川 次男 吉田 猛朗 井口 潔
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.441-448, 1982-09-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
2

127例の肺癌手術例を対象にして術後呼吸困難に及ぼす術前術後因子を検討した.肺葉切除104例中42%は術後呼吸困難がなく, 49%は軽度, 8%は中等度, 1%は重症であった.全肺摘除23例では, 軽度48%, 中等度35%, 重症17%であった.術後の呼吸困難の程度は, 術式, 術後肺機能, 気道感染の有無に強く影響された.全肺摘除患者に運動負荷試験を行ったが, いつれの症例も運動能力の低下があり, 軽度の負荷に対しても換気量, 酸素消費量, 心拍数は著明に増加した.
著者
守田 万寿夫
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器集団検診学会雑誌 (ISSN:13454110)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.11-19, 2002-01-15 (Released:2012-12-11)
参考文献数
14
被引用文献数
1

富山県内で実施される職域検診受診者を対象に, X線, PG同時併用による胃がん検診を実施した。X線は間接または直接造影法で実施した。PGはIRMA法にて測定し, スクリーニング基準をPGI≦70ng/mlかつPGI/PG II比≦3.0とした。X線またはPGで要精検とされた者全てに精検を勧奨した。対象者5,567名中過去3年間の胃がん検診受診割合は88.5%であった。要精検率はX線11.7%, PG23.6%, X線またはPG31.9%, 精検受診率はX線, PGともに要精検63.3%, X線のみ要精検55.4%, PGのみ要精検51.9%であった。発見胃がん症例数は10名であり, 3名はX線PGともに要精検, 7名はPGのみ要精検であった。早期がんは9名, 進行がんは1名であった。陽性反応適中度はX線0.8%, PG1.4%, 胃がん発見率はX線0.05%, PGO.18%であった。
著者
瀬川 昂生 岡村 正造 大橋 信治 小林 世美
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器集団検診学会雑誌 (ISSN:13454110)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.415-419, 2003-07-15 (Released:2012-12-11)
参考文献数
3

愛知県健康づくり振興事業団の平成3年から12年までの10年間の間接撮影による胃がん検診の成績に基づいて, その適正な要精検率について検討を行った。その結果, 要精検率が高くなるとともに胃がんの発見率および早期胃がんの比率が高くなっていたが, 胃がん発見率が0.07~0.09%であった年の要精検率を比較すると, 8.6~12%の間にあり, 要精検率を多くしてもがんの発見率の伸び率は高くなく, 全国集計の要精検率である10%代は一つの目安であると考えられた。今後は撮影技術および読影技術を高めてさらに要精検率を低くして, 的中率を上げる努力が必要であると考える。
著者
杉浦 宏樹 山口 晃 柴崎 浩一
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.108-112, 2006-03-10 (Released:2011-01-31)
参考文献数
31

Introduction: Helicobacter pylori (H. pylori) DNA has been detected at a high prevalence in saliva. The aim of this study was to clarify the prevalence and the risk of intrafamilial transmission of H. pylori infection by detecting H. pylori DNA in saliva of Japanese children and their parents.Materials & Methods: Saliva was collected from 92 children and their parents, and nested PCR and PCRRFLP were used to detect and analyze H. pylori DNA. Subtyping by PCR-RFLP is considered to be useful in order to clarify the mode of transmission.Results: The detection rate of H. pylori DNA in saliva was 12.0%(11/92) in Japanese children, however, all of the children aged less than 6 years old were negative. All of the H.pylori infected children had H.pylori positive parents (both or only one), and in 7 out of 11 cases, children and their parents were infected with the sam e strain. Especially, in 6 cases, the subtype of both the child and the mother was the same.Conclusion: H. pylori DNA in saliva was detected in 12.0%, and parents-to-child, especially mother-to-child, transmission is the most likely route of intrafamilial infection of H. pylori.
著者
Masahide Kawai Tomoyori Iwao Daisuke Mima Akinobu Maejima Shigeo Morishima
出版者
一般社団法人 情報処理学会
雑誌
Journal of Information Processing (ISSN:18826652)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.401-409, 2014 (Released:2014-04-15)
参考文献数
27
被引用文献数
2 10

Speech animation synthesis is still a challenging topic in the field of computer graphics. Despite many challenges, representing detailed appearance of inner mouth such as nipping tongue's tip with teeth and tongue's back hasn't been achieved in the resulting animation. To solve this problem, we propose a method of data-driven speech animation synthesis especially when focusing on the inside of the mouth. First, we classify inner mouth into teeth labeling opening distance of the teeth and a tongue according to phoneme information. We then insert them into existing speech animation based on opening distance of the teeth and phoneme information. Finally, we apply patch-based texture synthesis technique with a 2,213 images database created from 7 subjects to the resulting animation. By using the proposed method, we can automatically generate a speech animation with the realistic inner mouth from the existing speech animation created by previous methods.
著者
館山 千絵 鄭 仁豪
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.339-350, 2011 (Released:2013-09-14)
参考文献数
26

本研究は、音声言語をおもなコミュニケーション手段とする聴覚障害幼児を対象に、健聴母親とのコミュニケーションと遊びを検討し、母子相互作用の発達的特徴を明らかにすることを目的とした。1歳から3歳の先天性重度聴覚障害幼児とその健聴母親26組の、母子で自由に遊ぶ場面での遊びレベルとコミュニケーション手段、機能、ターンについての分析を行った。研究の結果、聴覚障害1歳児では、物を中心とする遊びの中で、母親主導の母子相互作用が行われ、聴覚障害2歳児の遊びでは、健聴児よりやや遅れる傾向があるものの、コミュニケーションの質的変化により、1歳児とは異なる母子相互作用が行われていた。また、聴覚障害3歳児の遊びでは、健聴児と同等のレベルでの、活発な母子相互作用が行われることが示された。総じて、聴覚障害幼児は1歳から3歳にかけて、コミュニケーションが拡充され、同時に遊びの内容も深まり、母子相互作用が量的・質的に広がっていく発達的傾向が示された。
著者
織田 浩嗣
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.105-109, 2013 (Released:2013-12-26)
参考文献数
18
被引用文献数
1
著者
岡 好良 加藤 豊明 野村 紘一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.147-153,A10, 1966-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
3

鉄,コバルトおよびニッケルに日本原子力研究所の電子線型加速器で得られる最大エネルギー20MeV,約9×104r/minのγ線を照射し,光核反応残留核に関する基礎検討を行ない,多量の鉄に含まれるコバルトおよびニッケルを非破壊定量する方法を確立した。本照射で起る主反応として54Fe(γ,n)54Fe,57Fe(γ,p)56Mn,58Co(γ,n)58Co,58Ni(γ,n)58Niおよび58Ni(γ,p)57Coを確認し,時間の照射よる生成量を求め,それぞれ,1.3μc57Fe/mg Ni Fe, 8.1×10-2μc56Mn/mg Fe, 6.3×10-2μc58Co/mg Co,1.3μc57Ni/mg Ni および1.5×10-2μc57Co/mg Ni を得た。照射後の試料を約1日冷却すれば主成分の鉄から生じる53Fe(半減期,8.9分)および56Mn(半減期,2.58時間)は減衰し去り,コバルトは58Co(半減期,71日)の0.803MeVのγ線,ニッケルは57Ni(半減期,37時間)の1.37MeVのγ線の光電ピークの示す面積計数率を求め,それぞれを定量できる。このとき鉄をγ線束強度の内部モニターとし,あらかじめ56Mnの1.81MeVあるいは0.845MeVの光電ピーク面積を求めた。酸化鉄(III)100mgに種々の量の酸化コバルト(II)あるいは酸化ニッケル(II)を添加,混合した試料をそれぞれ1時間照射し,照射終了時に換算した放射能計数率比,RA0=cpm(58Co,0.803MeV)/cpm(56Mn,1.81MeV)あるいはRA0=cpm(57Ni,1.37MeV)/cpm(56M,0.845MeV)と混合重量比,Rwとの関係を求め,両者の間によい比例関係を得た。実試料の分析にあたっては照射および測定の条件を混合物のものと同一にしてRA0を求めればRwを知ることができる。本法は,鉄中のコバルト約100ppmニッケル約50ppmまでの非破壊分析法となる。多量のマンガンおよび銅の共存は支障となる。
著者
Mayumi KOTAKU Ryosuke MURAYAMA Yutaka SHIMAMURA Fuminori TAKAHASHI Takayuki SUZUKI Hiroyasu KUROKAWA Masashi MIYAZAKI
出版者
日本歯科理工学会
雑誌
Dental Materials Journal (ISSN:02874547)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.648-655, 2014-09-30 (Released:2014-10-01)
参考文献数
33
被引用文献数
11

Effects of a fluoride-releasing varnish containing surface reaction-type prereacted glass ionomer (S-PRG) filler on dentin demineralization were examined using optical coherence tomography. Bovine incisors that were sliced and treated with undersaturated 0.1 M lactic acid buffer solution (DE group). A thin film of varnish-containing S-PRG filler was applied before demineralization (PRG group). Control was maintained in artificial saliva. Using optical coherence tomography of selected locations on the dentin surface, peak intensity (dB) and width (μm) at 1/e2 were obtained and integrated values calculated. Although alterations in integrated values were different in each group, there was a slight but not significant increase in those for the control group and a slight but significant increase for the De group. For the PRG group, integrated values were doubled seven days after experiment initiation, followed by a significant increase. Fluoride-releasing varnish containing S-PRG fillers prevented dentin demineralization as detected by optical coherence tomography.
著者
渡辺 勉 佐藤 嘉倫
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.197-215, 1999-09-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
24
被引用文献数
3

戦後日本経済の飛躍的な発展は, 人々の生活全般に変化をもたらしてきた。その中でも職歴や労働市場に対しては大きな影響を与えてきており, 時代の変化を捉えずして, 職歴は捉えることができない。本稿では, 戦後の日本経済と照らしあわせながら, 職歴の変化によって戦後の労働市場がどのように変化してきたのかを捉えていく。分析から, 職業の移動パターンは年齢によって最も大きく規定されているが, 時代の変化の影響としても内部労働市場としての終身雇用制と, 外部労働市場としての二重構造や産業構造によって規定されていることがわかる。特に二重労働市場が戦後強化されている傾向が見て取れる。